産業保健・健康管理

衛生管理者が行う職場巡視とは?頻度や実施方法、チェックリストを紹介【工場・オフィス】

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更新日:2023.06.30

衛生管理者は、原則1週間に1回以上の職場巡視を行わなければいけません。これから職場巡視を行う企業は、巡視の流れやチェックポイントをしっかりと理解しておく必要があります。

本記事では、衛生管理者による職場巡視を成功させるための知識を解説します。工場・オフィス別にチェックすべき項目をリストで紹介するので、ぜひ自社の職場巡視に役立ててみてください。

衛生管理者が行う職場巡視とは

常時50人以上の事業所では、衛生管理者による職場巡視が法律で義務付けられています。

そもそも、衛生管理者とはどのような役割を持っていて、職場巡視ではどのようなことが行われるのでしょうか。まずは、衛生管理者が行う職場巡視の概要をみていきましょう。

なお、職場巡視の詳細はこちらの記事でも解説しています。あわせてご一読ください。

職場巡視とは?巡視の仕方から実施者やポイントを解説【チェックリスト付】

職場巡視を行う衛生管理者とは

衛生管理者とは、従業員の健康管理や労働災害を防止するため、安全に働ける職場づくりをサポートする者です。衛生管理者となるためには、「衛生管理者資格」という国家資格が必要です。

従業員が常時50人以上働く事業所では、衛生管理者の選任義務が生じます。衛生管理者だけを業務としている人は少なく、総務部や人事部の一員として働きながら衛生管理業務も兼任することが一般的です。

衛生管理者が行う業務としては、次のようなものが挙げられます。

    • ・健康診断の実施や結果の管理
    • ・職場巡視
    • ・職場環境の整備
    • ・定期的な衛生教育
    • ・衛生日誌における職務上の記録の整備

なお、衛生管理者は事業所の専属となるため、事業場を掛け持ちすることはできません。必ず、事業所ごとに衛生管理者を選任しましょう。

衛生管理者の詳細や資格要件については、こちらの記事で解説しています。あわせてご一読ください。

衛生管理者とは?役割や業務内容・資格取得のメリットをわかりやすく解説

衛生管理者が行う職場巡視の目的

職場巡視は、従業員が働く職場を実際に目で見て回り、安全かつ快適に働ける環境かどうかについて確認することを目的に実施します。作業方法や衛生状況の中から身体に有害とされる要因を見つけ出し、問題が生じる前に改善することを目指しています。

単に職場環境を確認するだけではなく、問題が見つかった場合は、それを改善するための措置を講じましょう。また職場巡視のあとは、衛生委員会における報告や記録の作成・保管を行う必要があります。

衛生管理者が行う職場巡視の頻度

労働安全衛生規則 第11条では、週に1回以上、衛生管理者による職場巡視を行うことを義務付けています。衛生管理者による職場巡視は頻繁に実施されるため、職場における最新の状況を把握できる点がメリットです。

なお衛生管理者の他にも、産業医による職場巡視の実施も法律で義務付けられています。産業医による職場巡視は、原則毎月1回以上(条件付きで2カ月に1回以上)で行わなければいけません。

上記の法令で義務付けられたルールのほか、労働災害発生時にも職場巡視を行うことが求められます。

※参考:e-GOV法令検索|労働安全衛生規則

衛生管理者が職場巡視を怠ったときの罰則

衛生管理者や産業医による職場巡視は、労働安全衛生規則で定められている義務です。そのため、実施を怠ると法律違反だとみなされ、50万円以下の罰金もしくは6カ月以下の懲役に科されます。

さらに、職場巡視を実施せずに労働災害が発生した場合、企業に課された「安全配慮義務」に違反しているとみなされる可能性があります。安全配慮義務とは、従業員が安全で快適な環境で働けるように配慮する義務です。

安全配慮義務違反であると判断されると、企業が責任を問われたり信頼を落としたりしてしまうおそれがあります。従業員と会社の両方を守るためにも、職場巡視は適切に行いましょう。

衛生管理者が職場巡視を行う方法

ここからは、衛生管理者が職場巡視を行う方法を詳しく解説します。

職場巡視の流れは、以下のとおりです。

    • 1,スケジュールの確認
    • 2,事前準備
    • 3,職場巡視の実施
    • 4,結果の共有と改善
    • 5,巡視記録の作成
    • 6,従業員や経営層へのフィードバック

各プロセスのポイントを詳しくみていきましょう。

1.スケジュールの確認

まずは、職場巡視の実施スケジュールを確認しましょう。

工場が分散していたりオフィスが広かったりする企業では、1回ですべての場所を巡視することが難しいかもしれません。その場合、衛生管理者や職場の責任者は、産業医とともにどのような順番で巡視するかについて定めた年間スケジュールを作成し、計画的に職場巡視を行いましょう。

その際、事業場の組織図や工場設備の平面図をあらかじめ準備して、産業医や他の職場巡視メンバーも確認できるようにしておくことが大切です。また、職場や従業員間で起きている問題、労災が発生した場所などがあれば、事前にメンバーに共有しておいてください。

2.事前準備

次に、職場巡視の準備をします。職場巡視の前に職場の概要についての資料を用意し、メンバー間で共有しておきましょう。

資料にまとめておきたい情報としては、次のようなものが挙げられます。

    • ・安全衛生委員会の議事録
    • ・過去の労災の記録
    • ・使用化学物質の種類や正常
    • ・リスクアセスメントの結果
    • ・過去の巡視報告書
    • ・作業環境測定の結果
    • ・健康診断の結果

職場巡視を行う場所や見るべきポイントが決まったら、それに合わせて装備や服装を準備します。産業医にも現場の作業者と同様の作業服・装備に着替えてもらい、職場巡視を実施してもらいましょう。

3.職場巡視の実施

準備が整ったら、実際に職場巡視を実施します。

巡視の際は、ただ現場を眺めているだけでは不十分です。事故や従業員の健康障害につながりそうなリスクをしっかりと発見できるように、厳しい目で確認していくことが大切です。

この際、危険の芽をいち早く見つけるためにも、チェックリストを活用しながら巡視を進めることを推奨します。確認しておきたいポイントやチェックリストは後述するので、ぜひ参考にしてみてください。

4.結果の共有と改善

職場巡視が終わったら、一緒に巡視を行ったメンバーで会議を開きましょう。気になったポイントや問題点を共有のうえ、巡視の結果をまとめてリスク評価を行います。

リスク評価は、厚生労働省が推奨する「リスクアセスメント」という手法を用いることがおすすめです。

リスクアセスメントでは、事業場にある危険性や有害性を特定してリスクを見積もり、優先度を設定のうえリスク低減措置を決定していきます。厚生労働省のホームページで事例や教材が紹介されているため、興味がある方はぜひ目を通してみてください。

緊急を要する問題があれば直接現場に伝え、急いで改善してもらいます。事故が起きてからでは遅いので、問題の改善は後回しにせず、すぐに対処することが大切です。

※参考:厚生労働省|リスクアセスメント

5.巡視記録の作成

職場巡視を適切に行ったことを証明するためにも、巡視結果は記録にまとめ、一定期間保管しておきましょう

また職場巡視の結果は、衛生委員会で報告したり審議したりする必要があります。あまりにも大きな問題や課題が見つかった場合は、取り急ぎの応急措置を講じたうえで、衛生委員会で審議して改善策を探します。

その際に正しい情報を共有できるよう、問題点や課題だけではなく、どのような改善指示を出したのかについてもしっかりと記録しておいてください。

6.従業員や経営層へのフィードバック

職場巡視の結果や衛生委員会での審議は、必ず関係者全員と共有しましょう。関係者とは、衛生管理者や産業医、管理監督者、経営層、従業員などを指します。

問題があったときはもちろん、何も問題がなかった場合も従業員にフィードバックを行ってください。従業員へのフィードバックは、定期的に巡視していることを伝えられるチャンスです。見られていることを知ってもらうことで、現場の意識を向上する効果が得られます。

また、職場巡視の結果は経営層にも報告してください。経営層は現場に足を運ぶ機会が少ないため、職場の現状を伝えて気づきを与えるよいきっかけになります。

【工場編】衛生管理者が職場巡視を行う際のポイント

ここからは、衛生管理者が職場巡視を行うときにチェックしておきたいポイントを解説します。

工場の職場巡視では、以下の5つの作業に関するリスクと注意点を確認しておくことが重要です。

    • ・化学物質使用作業
    • ・粉塵作業
    • ・高温(暑熱)作業
    • ・重筋負荷作業
    • ・騒音のある職場

ここでは、それぞれの作業のポイントを説明します。

化学物質使用作業

化学物質による健康障害は、次の2つに分けられます。

皮膚または粘膜(眼・呼吸器、消化器)の接触部位で直接起こすもの

塩素やフッ化水素などが、皮膚に付着することで頭痛・発赤・水疱・潰瘍などができます。目に接触すると角膜炎・結膜炎を起こし、失明に至るケースも珍しくありません。呼吸器に入ると肺炎・気管支炎・肺気腫などを引き起こします。

皮膚・呼吸器および消化器から体内へ吸収・蓄積し、各臓器に障害を起こすもの

一酸化炭素や硫化水素・シアン化水素は化学窒息を起こすため注意が必要です。マンガンなどは中枢神経に障害を与える作用があるため、手足の震えや麻痺を引き起こします。石綿やクロム化合物などは、暴露から数年経過してからがんを発症することがあります。

化学物質による労働災害の多くは、作業主任者が選任されていない、もしくはその職務を遂行していないことによるものがほとんどです。

化学物質による健康障害を予防するためには、安全衛生の主な対策である「作業環境管理」「作業管理」「健康管理」の3つの管理(3管理)が基本となります。また、作業者への教育の徹底や、作業主任者の選任とその職務を遂行させる体制作りを意識しましょう。

粉塵作業

粉塵には、鉱物や金属の粉砕・研磨などによる発生、高温での金属ヒューム、動植物織物、カビ、花粉、細菌などが含まれます。

粉塵を吸入すると、次のような健康障害が引き起こされます。

鉱物や金属の粉塵

吸入すると塵肺となります。進行すると呼吸困難となり、日常生活に支障をきたすだけでなく、結核や肺がんなどを合併することもあります。

鉛などの金属

吸入すると中毒症状がみられたり、石綿やクロム酸などの発がん物質で肺がんが生じたりすることがあります。金属ヒュームを吸入すると金属熱(アレルギー反応の一種)が見られます。

動植物などの有機物の粉塵

吸入すると気管支喘息、過敏性肺臓炎、花粉症などの呼吸器疾患が起こります。

粉塵による健康障害を予防するためには、化学物質と同じく安全衛生の3管理が基本となります。体積粉塵清掃責任者、保護具着用管理責任者などを必ず選任しましょう。

高温(暑熱)作業

高温環境による健康障害としては、熱中症、熱傷、循環器障害や腎疾患などが挙げられます。また、火照りや口や喉の渇き、判断力や筋力の低下、作業ミスの増加、労働災害の発生、生産効率や業務量の低下も引き起こします。

熱中症の発生事例で多いのは、次のようなケースです。

    • ・休憩時間が取れていない
    • ・塩分や水分の補給が適切でない
    • ・作業者の健康状態が把握されていない など

高温環境下における作業の危険性について認識のないまま作業が行われている場合は、注意が必要です。

【熱中症について】

高温多湿の環境下で発汗することなどにより、水分と塩分のバランスが崩れたり、体温上昇によって脳機能などの障害を起こしたりします。

重症度に応じて1度〜3度に分類され、従来の熱射病は3度に相当し、死亡に至る可能性があります。特に糖尿病や高血圧の持病のある作業者は、熱中症発症のリスクが高いため注意が必要です。

【熱中症予防のポイント】

    • ・WBGT値(湿球黒球温度計を用いて測定)を求めることにより暑熱状況を把握
    • ・計画的な熱への順化期間(熱に慣れ、環境に適応するための期間)の設定
    • ・自覚症状の有無にかかわらない水分と塩分の定期摂取
    • ・熱中症の発症リスクの高い疾患を踏まえた生活や健康管理

重筋負荷作業

重筋負荷作業による腰痛の発生件数は増加傾向にあり、業務上疾病のおよそ6割を占めています。特に、不自然な姿勢や瞬間的に力を入れた際に発生するものが多い傾向にあります。

一日中同じ姿勢で行う作業、同じ動作の繰り返し作業、重量物取り扱い作業など、重筋負荷作業についてはリスクアセスメントを行い、それぞれに対策を講じましょう。

重筋負荷作業への対応策としては、次のようなものが挙げられます。

設備改善

重量物や取り扱いにくい荷物を持ち上げたり、移動させたりする作業には、機械の力を利用した自動化や省略化を検討しましょう。

作業方法の見直し

機械を利用できない作業は、腰に負担がかからない姿勢や動作に変更しましょう。また、どうしても腰に負担がかかる場合はコルセットなどを使用してください。

作業環境の見直し

温度、照明、作業床、作業空間などの改善を心掛けてください。

腰痛はさまざまな原因で発生するため、行うべき対策は決して作業方法の改善だけとは限りません。日頃の体調管理や体力づくり、食生活・飲酒・喫煙・ストレス管理など、作業者の健康を総合的に管理できる体制を整えましょう。

騒音のある作業

騒音は安全作業の妨げになるだけではなく、生理機能にも影響します。騒音によって騒音性難聴となるケースも多く、一時的または慢性的な聴力低下を引き起こされた例は少なくありません。

騒音障害防止としては、騒音発生源対策・伝播経路対策・受音者対策が挙げられます。

また、騒音レベルを低くするためには、消音型の機械を使用する、音源を密閉する、防振ゴムを取り付ける、消音ダクトをつける、室内に吸音処理や防音室を設けるなどの方法があります。

防音保護具の耳栓やイヤーマフを使用し、耳に入る騒音レベルを低下する対策法も有効です。

【オフィス編】衛生管理者が職場巡視を行う際のポイント

次に、オフィスの職場巡視でチェックしたいポイントを9つ紹介します。

    • 1,オフィスの衛生基準
    • 2,快適職場づくり
    • 3,情報機器作業(VDT作業)
    • 4,受動喫煙対策
    • 5,シックハウス症候群
    • 6,腰痛予防対策
    • 7,安全・防災対策
    • 8,過重労働・メンタルヘルス対策
    • 9,感染症対策

各チェックポイントの詳細をみていきましょう。

オフィスの衛生基準

オフィスの環境については、「事務所衛生基準規則(以下、事務所則)」というルールが定められています。

ここでは事務所則にもとづいた、オフィスの職場環境を職場巡視する際のポイントを紹介します。

空気環境

    • ・気積(人がどれだけ密集しているか):10㎥/人以上
    • ・換気:一酸化炭素:50ppm以下、二酸化炭素:5000ppm以下
    • ・温度・湿度:室温17℃以上28℃以下、相対湿度40%以上70%以下
    • ・照度:精密な作業:300ルクス以上、普通の作業:150ルクス以上、粗な作業:70ルクス以上
    • ・騒音・粉塵 等

清潔

    • ・給水、排水
    • ・ねずみ、昆虫等の防除
    • ・廃棄物
    • ・便所・洗面 等

休養

    • ・休憩:50人以上または女性30人以上では男女用を区別すること
    • ・睡眠・仮眠施設
    • ・椅子の設置 等

救急

    • ・救急用具の備え付け、消火器、避難通路等

オフィス環境で特に重要となるのが、「温度・湿度・照度」です。

従業員が長時間滞在する全ての場所に、温湿度計を設置しましょう。照度を測定する際は専用機器が必要となりますが、ない場合は暗すぎず明るすぎない程度に調整することを心掛けてください。

※参考:厚生労働省|事務所衛生基準規則

快適職場づくり

厚生労働省が定める「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」(快適職場指針)では、次の視点が重要とされています。

    • ・快適な作業環境:空気環境や温熱環境、視環境や音環境など
    • ・労働作業の改善:作業負担の軽減、作業動作への配慮
    • ・疲労の回復設備:休憩室・相談室の確保、緑地や運動施設の設置
    • ・快適な職場環境:洗面所・更衣室の清潔や使いやすさ、食堂や談話室の確保

この指針をもとに、疲労やストレスを感じることの少ない、働きやすい職場づくりを目指しましょう。

※参考:厚生労働省|事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針

情報機器作業(VDT作業)

情報機器作業においては、労働衛生の主な対策である「作業環境管理」「作業管理」「健康管理」という3つの管理(3管理)の視点が重要となります。

職場巡視では、次の項目について確認しましょう。

    • ・作業管理:作業時間や作業姿勢、作業機器の選定・調整など
    • ・作業環境管理:照明や採光、グレアの防止、騒音など
    • ・健康管理:定期健診や職場体操など

受動喫煙対策

企業には、受動喫煙の防止が義務付けられています。

職場巡視の際は、企業で定めている全面禁煙あるいは空間分煙の喫煙ルールが適切に守られているかを確認しましょう。空間分煙の場合は、喫煙室の確認や、室外への煙・臭い漏れの有無を確認します。

シックハウス症候群

オフィスを新築・改築した場合、あるいは従業員から目や鼻・のどの刺激症状の訴えがある場合は、ホルムアルデヒド濃度の測定を行ってください。

また、必要に応じて症状を訴えている従業員の就労場所を変更しましょう。

腰痛予防対策

腰痛は休業4日以上の職業性疾病の6割を占めています。腰痛予防対策では、「情報機器作業(VDT作業)」で紹介したポイントと同様、3管理の視点が重要となります。

安全・防災対策

オフィスの安全対策、耐震対策、消防対策が十分に行われているかを確認します。

オフィス内の整理整頓、通路の確保、家具の固定など、“災害が起こったときに危険ではないか“という視点で確認しましょう。あわせて、消火器やAEDの設置と設置場所の確認も忘れずに行ってください。

過重労働対策・メンタル対策

長時間労働が発生する部門や高ストレス者の多い部門を確認し、職場の配置や上司から部下への指示の出し方、業務中のコミュニケーションを確認します。

ここで得られた情報は、労働者との面談や健康管理、職場環境改善などさまざまなシーンで役立てられます。

感染症対策

2020年に新型コロナウィルス感染症が蔓延し、職場での感染症対策が必須となりました。

職場巡視では、感染症対策の1次予防と2次予防ができているかを確認してください。

    • 1次予防(感染予防):手洗いうがい、マスク、手指消毒、環境消毒、3密対策など
    • 2次予防(早期発見):健康状態のモニタリングなど

衛生管理者による職場巡視を成功させるコツ

衛生管理者による職場巡視を成功させるためには、2つのコツを押さえておく必要があります。

ここでは、各コツの詳細を説明します。

チェックリストを活用する

職場巡視を行うときは、チェックリストの活用が欠かせません。チェックリストを見ながら巡視することで確認すべきポイントが明確になり、確認漏れのない有意義な職場巡視にできます。

なお、職場巡視に関する記録を残すことは義務ではありません。しかし、チェックリストや巡視報告書などを残しておけば、適切に職場巡視を行って従業員の安全に配慮していることを証明できます。企業のリスクヘッジのためにも、チェックリストの活用はおすすめです。

職場巡視のチェックリストについては、こちらの記事で詳しく解説しています。すぐに使えるテンプレートも配布しているので、ぜひご活用ください。

職場巡視がスムーズになるチェックリストの活用法を解説!作成例も紹介

 

また、厚生労働省が配布しているチェックリストも参考になります。

安全衛生巡回チェックポイント(例) No 項目

衛生管理者本人が不在のときは代理人を選任する

入院や休職など、やむを得ない理由で衛生管理者が不在になる可能性はゼロではありません。衛生管理者による職場巡視は法律によって定められた企業の義務ですが、衛生管理者が不在になってしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

衛生管理者本人が不在のときは、代理人を選任する必要があります。代理人になれる人の条件としては、次のようなものが挙げられます。

    • ・衛生管理者の資格を有する者
    • ・保健衛生の業務に従事している者
    • ・過去に保健衛生の業務に従事していた経験を有する者

衛生管理者が不在のときは、代理人として衛生管理者の資格を持っている人を選任することが原則です。ただし、有資格者がいない場合は、衛生管理者の業務を補佐していた者や衛生委員会のメンバーなど、保健衛生の業務に従事している・していた者を選任することも可能です。

代理人に選任については、労働基準監督署へ届け出る必要はありません。しかし、衛生管理者が退職したり死亡したりして次の担当者を選任するまでに時間がかかるときは、所轄の都道府県労働局長に申請する必要があります。

もっと職場巡視を知りたい方へ

以下の参考図書には、職場巡視に必要なチェックリストが掲載されています。より職場巡視について理解を深めたい方は、合わせて参考にしてみてください。

『新版 まるわかり職場巡視 事務所編 -現場写真でたどる巡視の視どころ・勘どころ- (Howto産業保健)』竹田透 著/産業医学振興財団

『新版 まるわかり職場巡視 工場編 (Howto産業保健)』加部勇 著/産業医学振興財団

まとめ

退職者を出さないための対策

衛生管理者による職場巡視は、従業員の健康管理や労働災害の防止を目的に実施されます。従業員が常時50人以上働く事業所では、衛生管理者による職場巡視が法律で義務付けられているため、要件を満たす企業は必ず定期的な巡視を実施しましょう。

職場巡視を実施するときは、事業所の特性を踏まえたうえで、多くのポイントをチェックしていかなければいけません。そのため、「職場巡視でどこを見ればいいかわからない」「しっかりと実施できているか不安」と感じてしまう担当者は多いことでしょう。

職場巡視でお困りのことがある企業は、ぜひ職場巡視のプロによる産業医サービス「産業医コンシェルジュ」をご活用ください。職場巡視や衛生委員会の立ち上げ、従業員の健康管理まで、幅広くサポートいたします。

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鈴木 健太
監修者
鈴木 健太
医師/産業医

2016年筑波大学医学部卒業。
在学中にKinesiology, Arizona State University留学。
国立国際医療研究センターでの勤務と同時に、産業医として多くの企業を担当。
2019年、産業医サービスを事業展開する「株式会社Dr.健康経営」を設立、取締役。

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