メンタルヘルス・ストレスチェック

メンタル不調のサイン7つ|具体的な初期症状や予防の取り組みも解説

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更新日:2023.06.24

従業員のメンタル不調サインを見抜き、企業が適切に対処することは「離職率の上昇」「生産性の低下」などのリスクを抑えることにつながります。

一方、「どのような状態がメンタル不調か」をイメージしにくいとお悩みの方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、従業員のメンタル不調サイン7つとその原因を詳しく解説します。記事の後半では、予防に向けた具体的なメンタルヘルス対策や、不調のサインに気づいた場合の対処法も紹介します。ぜひ最後までお読みください。

【一覧表】メンタル不調のサインをチェック

職場で見られるメンタル不調のサインの一覧表は以下の通りです。

仕事や私生活でストレスを抱えている場合、従業員は精神・身体・行動に異変を感じることがあります。

上記のような異変に対処できなければ、従業員が健康的に働くことが難しくなり、業務パフォーマンスの低下や、精神疾患による休職・離職などにリスクがあるでしょう。

従業員のメンタル不調のサインを見逃さず、早期に発見・対処をするためにも、企業はストレスマネジメントやメンタルヘルス対策を講じることが重要です。

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メンタル不調のサインとは

メンタル不調のサインとは、心の健康が崩れている兆候や変化のことです。たとえば、やる気や食欲の低下、職場での交流が減るといった症状があげられます。

具体的なメンタル不調のサインは、従業員によって様々な形で現れるものです。厚生労働省の「こころの耳」によると、こころ・体・行動の3つの面で現れるとされており、具体例として以下があげられます。

    • ・こころの面:悲しみや不安感が多い、やる気が出ない
    • ・体の面:食欲低下、寝つきが悪い
    • ・行動の面:消極的になる、飲酒・喫煙量が増える

職場の具体的なメンタル不調のサインについては、下記の「メンタル不調のサイン7つと具体的な初期症状」で詳しく解説しています。

メンタル不調に起因する精神疾患

メンタル不調が悪化すると、従業員は以下のような精神疾患を発症する可能性があります。

    • ・うつ病
    • ・適応障害
    • ・パニック障害
    • ・不安障害

これらの病を患うと、従業員が健康的に働き続けることが困難となります。

休職や離職が出た場合、企業は人材不足に陥るだけでなく、社内の業務負担が増えることで他の従業員もメンタル不調に陥るかもしれません。

また場合によっては、「損害賠償責任」や「安全配慮義務違反」が問われるリスクもあるため、企業のストレスマネジメントは必須と言えます。

※参考:事例紹介|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

※参考:11.過重労働 – 裁判例|厚生労働省

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メンタルヘルス対策と早期発見の重要性

厚生労働省は、職場におけるメンタルヘルス対策の原則的な実施方法として、「3つの予防と4つのケア(注1)」を定めており、企業は従業員の健康状態を守る取り組みが求められます。

令和3年度の労働安全衛生調査によると、メンタル不調で「1か月以上休業した労働者」または「退職した労働者」がいた事業所の割合は10.1%です。令和2年の数値(9.2%)から約1ポイント上昇しています。

令和3年度の過労死等の労災補償状況では、過去5年間の調査において、精神障害に関する労災の請求件数は増加傾向(平成29年度:1,732件、令和3年度:2,346件)にあります。

メンタル不調サインに気づかず、早期に対処できなければ、従業員と企業の双方にリスクが伴います。

休職や離職、生産性低下などを未然に防ぐためにも、企業はメンタル不調サインを見逃さず、早期発見・早期対応をおこなうことが必要です。

注1:3つの予防と4つのケアについては、「メンタルヘルスで重要な「4つのケア」とは?予防法や対策・取り組み事例を紹介」のページで詳しく解説しています。あわせてお読みください。

※参考:令和3年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況|厚生労働省

※参考:令和3年度「過労死等の労災補償状況」を公表します|厚生労働省

メンタル不調のサイン7つと具体的な初期症状

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メンタル不調のサインと具体的な初期症状を解説します。

    • ・勤怠が乱れている
    • ・業務パフォーマンスが低下している
    • ・行動傾向に変化がある
    • ・表情や見た目に元気がない
    • ・体調不良が多い
    • ・本人から相談される
    • ・ストレスチェックで「高ストレス者」と判定されている

それぞれ順に詳しく解説します。

1.勤怠が乱れている

メンタル不調のサインとして、遅刻や早退、欠勤などの勤怠不良の増加があげられます。メンタル不調に陥ると、仕事への意欲が低下し、出社すること自体が負担に感じるためです。

朝の起床を苦痛に感じたり、仕事を早く切り上げたりすることが多くなり、悪化すると無断で欠勤する可能性もあります。テレワークの場合は、「勤務時間や報告義務を守れない」「連絡頻度が少なくなる」などのサインも見られるでしょう。

部下の勤怠が乱れていると感じた際は、メンタル不調のサインとしての考慮を忘れず、まずは耳を傾けることも重要です。

2.業務パフォーマンスが低下している

業務パフォーマンスの低下もメンタル不調のサインです。

メンタル不調の従業員は、思考力や判断力、記憶力などの役割を担う脳の機能や、神経伝達物質のバランスが乱れている可能性があります。

思考力や判断力、記憶力などが低下し、簡単な業務であっても作業時間やミスが多くなるでしょう。やりがいや自信を失い、仕事に対するモチベーションが低下している可能性もあります。

「今まで通りの業務をスムーズに遂行できていない」と感じた際は注意が必要です。

3.行動傾向に変化がある

メンタル不調のサインとして、上司や同僚とのコミュニケーションの減少や、攻撃性が強くなるなどの行動傾向の変化もあげられます。

メンタルに不調が生じると、人と関わることや周囲への配慮を苦痛に感じ、会話を避けたり孤立したりするためです。自分の感情をコントロールできず、イライラを周囲にぶつけることもあります。

またアルコールやタバコの摂取量の増加、食欲不振・過食気味になる場合もあります。

これらのサインは、自分自身のメンタル不調を深刻化させるだけでなく、職場での人間関係や雰囲気を悪化させることもあるため、見逃さないように気をつけましょう。

4.表情や見た目に元気がない

笑顔が減ったり、目がうつろになったり、声が小さくなったりする従業員の表情や見た目にもメンタル不調のサインが現れます。

たとえば、笑顔が減ったり、疲れが溜まっているように目がうつろになっている場合などです。また心に余裕がなくなると、自分の身だしなみに気を使えなくなり、清潔感がない見た目や服装も増えます。

心の状態は外見や表情にも反映されることが多いため、周囲から「最近元気がない」と声を聞くようになる場合は、メンタル不調の可能性を考慮する必要があります。

5.体調不良が多い

メンタル不調の状態は、心だけでなく身体症状にサインとして現れます。

ストレスによって自律神経や免疫系の働きが乱れ、体調不良に陥りやすくなるためです。具体的には以下のような症状が多くなります。

    • ・頭痛
    • ・睡眠不足
    • ・腹痛・嘔吐
    • ・腰痛
    • ・貧血・めまい
    • ・肩こり・筋肉痛
    • ・下痢・便秘
    • ・疲労感

※参考:No.5 身体症状に着目したストレス反応|こころの耳

部下の体調不良や疲れが溜まっている様子を頻繁に見かける場合は、メンタル不調を疑ってみましょう。

6.本人から相談される

部下から仕事やプライベートの悩みを相談された場合においても、メンタル不調のサインとして注意しましょう。

たとえば、業務への不満や同僚との人間関係などの職場、病気・ケガや恋愛などの私生活における悩みがあげられます。

上司へ悩みを打ち明けるということは、仕事にも影響が出るような精神的に大きなストレスやダメージを抱えている可能性があります。

部下から相談を受けた場合は、傾聴する姿勢を示し、必要に応じて職場環境の改善や専門家への紹介などサポート(ラインケア)を検討することが重要です。

管理職必見!職場のメンタルヘルス対策「ラインケア」を徹底解説!

7.ストレスチェックで「高ストレス者」と判定されている

ストレスチェックとは、従業員のストレス状態を客観的に把握するための調査のことです。

調査票は「領域A:ストレス要因」「領域B:ストレス反応」「領域C:ストレス緩和要因」の3領域に分けられ、以下2つのいずれかを満たす場合、高ストレス者として判定されます。

    • ・領域Bの合計点数が77点以上
    • ・領域AとCの合算の合計点数が76点以上」かつ「領域Bの合計点数が63点以上

高ストレス者は「自覚症状が高い」または「自覚症状が一定程度あり、ストレスの原因や周囲からのサポート状況が悪い状態」を指すため、メンタル不調のサインとも言えます。

自社の従業員がストレスチェックにより高ストレス者として判定された場合、適切に面接指導を行うことが必要です。

※参考:数値基準に基づいて「高ストレス者」を選定する方法|厚生労働省

※参考:ストレスチェック制度 導入マニュアル|厚生労働省

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メンタル不調のサインが現れる原因

メンタル不調のサインは、多くの原因が複合することで現れます。メンタル不調のサインが現れる具体的な原因として、主に以下3つがあげられます。

    • ・職場のストレス
    • ・私生活のトラブル
    • ・個人の性格

それぞれ順に詳しく解説します。

職場のストレス

メンタル不調のサインが現れる原因の1つとして、職場のストレスがあげられます。

職場でストレスを抱えていると、精神的・身体的にも疲労が蓄積されてメンタル不調に陥りやすくなります。

不適切なワークロードや厳しい期限は、働く人々に過度なプレッシャーをかけます。また、人間関係の問題や評価制度の不公平性もストレスを生む要因となるでしょう。

職場の環境が不快であれば、それ自体がストレスとなり、心理的な不調を引き起こします。

私生活のトラブル

私生活のトラブルもまた、メンタル不調の一因となります。家庭内の問題やパートナーとの関係、金銭的な問題は人間関係を複雑にし、ストレスを引き起こします。

これらの問題が積み重なると、気力や活力を失い、メンタル不調へと導くことがあります。

個人の性格

個人の性格もメンタル不調の原因となり得ます。

自己肯定感が低い人は、自分自身を否定的に見る傾向があり、常に自己評価が低い状態です。またストレス耐性が低いと、小さなストレスでも過大に感じることがあり、それが心理的な不調を引き起こします。

またコミュニケーション能力が低いと、他人との関係性を円滑に築くことが難しく、孤立やストレスを感じることがあります。

メンタル不調を予防するための取り組み

メンタル不調を予防する企業の取り組みを4つ紹介します。

    • ・職場環境の改善を図る
    • ・ストレスチェックのデータを活用する
    • ・メンタルヘルス研修を実施する
    • ・健康相談窓口を設置する

それぞれ順に解説します。

職場環境の改善を図る

職場環境の改善を図ることで、従業員のメンタル不調を予防することにつながります。チェックポイントは以下の通りです。

    • ・オフィス:清潔で快適な空間にし、温度や湿度、照明なども適切に調整する
    • ・人事評価制度:公平で透明性の高いものにし、従業員の能力や成果を正しく評価する
    • ・働きやすさ:有給休暇やフレックスタイム制度などの導入により、従業員が自分の状況に合わせて働きやすいように整備する
    • ・ハラスメントの排除:パワハラやセクハラなどの嫌がらせは厳しく排除する

具体的な職場環境の改善については、下記ページで詳しく解説しています。あわせてお読みください。

職場環境改善はどう進める?参考になる6つのアイデアや流れ・具体的なポイントを解説

ストレスチェックのデータを活用する

ストレスチェック制度は、2015年12月から施行された労働安全衛生法で定められた制度です。50人以上の従業員を雇用する事業主は、年1回実施することが義務付けられています。

参考:ストレスチェック制度 導入マニュアル|厚生労働省

企業は、ストレスチェックの結果を集団分析し、職場のストレス要因の特定や改善策を検討することが可能です。具体的な活用方法として、以下があげられます。

    • ・組織改善の目標:ストレスチェックの数値改善を目標にすることで、社内全体でメンタルヘルス対策に取り組む
    • ・集団分析:高リスクな集団(部門など)に対し、一度にまとめて研修やセミナーを開催する
    • ・調査の掛け合わせ:社員の意識や本音などの調査を合わせて実施することで、意識改革や活性化につながる改善策を練る

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メンタルヘルス研修を実施する

メンタルヘルス研修は、従業員や管理監督者がメンタルヘルスに関する正しい知識や対応方法を学ぶことで、一次予防に役立ちます。

従業員は自分や周囲のメンタル不調に気付きやすくなり、セルフケアやラインケアについても理解を深められるでしょう。

また管理監督者は、部下のメンタル不調に対する早期発見・早期対処ができるようになります。

Dr.健康経営における企業のメンタルヘルスに関するセミナー・講演について気になる方は、ぜひ下記ページをご覧ください。

セミナー・講演依頼 | 産業医紹介の株式会社Dr.健康経営

ラインケアとは?職場のメンタルヘルス対策の重要性・研修や資格についても徹底解説

健康相談窓口を設置する

健康相談窓口とは、従業員が心身の不調や悩みについて産業医などの専門家に相談できる窓口です。

産業医は労働安全衛生法で定められた制度で、50人以上の従業員を雇用する事業主は常時配置することが義務付けられています。従業員の健康管理だけでなく、職場環境改善や労働安全衛生活動の推進なども行います。

健康相談窓口を設置することで、従業員は気軽に相談でき、的確なアドバイスや治療方針を受けることが可能です。企業は労務管理上の負担を軽減し、職場改善のヒントを得られるでしょう。

社員の健康管理を促進する「産業医コンシェルジュ 」 | 株式会社Dr.健康経営

部下のメンタル不調サインに気づいた際の対処法

部下のメンタル不調サインに気づいたら、まずは相手の話を傾聴しましょう。傾聴とは、相手の話に丁寧に耳を傾け、肯定的な関心を寄せながら共感する姿勢を示すことです。

決めつけたりアドバイスしたりするのは避ける必要があります。話を聞くことで、部下は安心感や信頼感を得られるでしょう。

企業内だけで解決できない場合、産業医や心療内科などの専門家に相談することを勧めます。部下のメンタル不調を早期に発見し、適切に対処することで、部下の健康を守ることができます。

まとめ

従業員の健康を守るためにも、メンタル不調のサインを見逃さず、早期発見・対処することが重要です。

職場で注意すべき部下のメンタル不調のサインとして以下があげられます。

    • ・勤怠が乱れている
    • ・業務パフォーマンスが低下している
    • ・行動傾向に変化がある
    • ・表情や見た目に元気がない
    • ・体調不良が多い
    • ・本人から相談される
    • ・ストレスチェックで「高ストレス者」と判定された

メンタルヘルス対策を実施すれば、人材定着率や生産性の向上、企業のリスクマネジメントにもつながります。従業員のメンタル不調サインに気づき適切な対処をおこなうためにも、ぜひ本記事を参考にしてください。

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鈴木 健太
監修者
鈴木 健太
医師/産業医

2016年筑波大学医学部卒業。
在学中にKinesiology, Arizona State University留学。
国立国際医療研究センターでの勤務と同時に、産業医として多くの企業を担当。
2019年、産業医サービスを事業展開する「株式会社Dr.健康経営」を設立、取締役。

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