ホワイト企業に求められる、治療と仕事の両立支援とは?

日付2021.07.30
更新日:2021.12.24
ホワイト企業に求められる、治療と仕事の両立支援とは?

治療と仕事の両立支援とは?

がんや脳血管疾患といった身体疾患を持ちながら仕事をしている人が年々増加しています。治療と仕事の両立を支援することは、労働者を確保する国策としても重視されており、企業には、病気や障害を抱える労働者の活用や配慮が求められています。企業は、産業医と連携して、このような持病を持つ従業員が病気を悪化させることなく仕事と治療を継続してもらえるよう環境を整える必要があります。

まずは主治医から情報収集をしましょう

会社が従業員の就業支援を検討する際は、主治医の意見をもとに判断していく必要があります。主治医は従業員の病状は詳しく知っていますが、勤務状況や職場での問題については把握できません。そこで、職場や勤務状況、会社の方針などを詳しく知っている産業医を通して、就業支援に必要な情報を主治医から得るとよいでしょう。
主治医との連絡は、「情報提供書」や「情報提供依頼書」を活用し、電話は記録に残らないため、記録に残る形で情報収集を行いましょう。

主治医に情報を伝える「情報提供書」

主治医に、従業員の就業支援を検討してもらうためには、業務内容、サポート体制、上司からの客観的な指摘など会社での従業員の状況について詳しく知ってもらう必要があります。そのため、会社から本人の勤務状況を記載した「情報提供書」を作成し主治医に提供しましょう。

主治医から情報をもらう「情報提供依頼書」

会社側や産業医が求めている情報と、主治医が提供してくれる情報に差がある可能性があるため、具体的な業務内容の可否、業務時間制限、立ち作業などの可否、運転業務の可否など、会社として主治医に判断してほしい情報(または産業医が求める情報)を主治医に把握してもらえるよう明確に提示しましょう。そのため、必要な情報を主治医が記載できるようテンプレートをあらかじめ作っておき、主治医に渡すのがよいでしょう。最終的に、テンプレートに記載された主治医からの意見をもとに、産業医が会社における就業配慮を判断します。

情報提供書・情報提供依頼書のやり取りの流れ

「情報提供書」を渡し、「情報提供依頼書」を受け取る流れは以下のようになります。

1. 会社または産業医が「情報提供書」を記載します。
2. 「情報提供書(記入済み)」と「情報提供依頼書(テンプレート)」を封筒に入れて封をし、本人が通院する際に主治医へ渡してもらいます。
3. 「情報提供依頼書(主治医が記載済み)」を、本人が通院する際に受け取ってもらい、本人から会社へ提出してもらいます。

※Dr.健康経営が提供するテンプレートはこちら!ぜひご活用ください。

情報提供書・情報提供依頼書

就業配慮にむけて、産業医面談を設定しましょう

主治医の「診断書」や「情報提供依頼書」が揃ったら、産業医面談を行い、本人の体調や要望などを確認します。産業医面談の際は、直近の健康診断結果、通院している場合にはお薬手帳、業務内容や職場環境などの情報を準備し、産業医へ提示しましょう。
「面談者事前記入シート」を配布して本人に記入してもらい、人事経由で産業医へ共有します。産業医面談後は、産業医が作成した報告書(就業上の措置に係る意見書含)を人事労務担当者と職場上司に共有してもらいます。共有内容は、基本的に本人に共有の同意をとった項目に限ります。

※Dr.健康経営が提供するテンプレートはこちら!ぜひご活用ください。

面談者事前記入シート

就業配慮のポイント

産業医面談の後、以下のポイントをもとに具体的な就業配慮を決定してきます。
①~⑤を全て満たすよう就業配慮を検討していき、各ステークホルダーへ丁寧に説明し理解を得ましょう。

① 本人の医学的な病状

主治医からの「情報提供書」や、産業医面談で確認します。

② 主治医からの指示

主治医からの「情報提供書」で確認します。基本的に「情報提供書」の内容に沿った配慮を行いますが、現実的に無理な指示の場合には、産業医と会社で検討し、可能な範囲での配慮を行いましょう。

③ 本人の要望

あまりにも一方的過ぎる要望の場合は、会社と産業医から就業配慮の必要性や内容について、本人が納得するように説明しましょう。

④ 会社側で可能な対応の範囲

⑤ 会社側の要望

上司や人事担当者、産業医で検討します。本人の病状を無視して一方的過ぎる要望にならないよう、産業医の意見をしっかり聞きましょう。

治療と仕事の両立支援における、参考サイトをご紹介!

もっと詳しく治療と仕事の両立支援について知りたい場合は、下記の厚生労働省のホームページにて分かり易く説明してあります。

★「治療と仕事の両立支援ナビ」(厚生労働省)

https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/index.html

さらに厚生労働省では、働き方改革の一環として、がんや脳血管疾患などの身体疾患を持つ従業員が治療と仕事を両立させるためのガイドラインも用意されています。

★「事業所における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000113365.html

また、独立行政法人労働者健康安全機構が、全国47の都道府県に設置する「産業保健総合支援センター」に相談する事も可能です。

★「産業保健総合支援センター(さんぽセンター)」の案内(独立行政法人労働者健康安全機構)

https://www.johas.go.jp/shisetsu/tabid/578/Default.aspx

鈴木 健太
監修者
鈴木 健太(すずき けんた)
代表取締役/医師・産業医

1989年、東京都国立市出身。2009年、筑波大学医学部へ入学。
在学中にKinesiology, Arizona State Universityへ留学し、医学・経済学・人文学等を学ぶ。
卒後は国立国際医療研究センターで勤務医として働く。
予防医療の重要性に気づき、帝京大学公衆衛生大学院で健康経営を研究しつつ、産業医として多くの企業を担当する。