メンタルヘルス・ストレスチェック

メンタルヘルスケアの「事業場外資源によるケア」とは?主な種類も解説

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更新日:2023.02.24

事業場外資源によるケアとは、労働者のメンタルヘルスケアとして専門的な知識を持つ、事業場外(社外)の資源を活用する方法です。事業場外の資源には、病院や地方保険機関、従業員支援プログラム(EAP)などがあります。

この記事では、事業場外資源によるケアの目的や役割、活用できる医療機関の種類や特徴などを解説します。自社で問題を抱えており解決策を考えている担当者の方はもちろん、今後に備えて情報収集をしている方も、ぜひ参考にしてください。

【事業場外資源によるケア】とは?

前述のように事業場外資源によるケアは、社外の専門機関を活用するメンタルヘルスケアのことですが、厚生労働省の指針で定められている4つのケアのひとつでもあります。まずは、4つのケアの種類や概要を確認しつつ、事業場外資源によるケアの役割などについて解説します。

厚生労働省指針『4つのケア』のうちのひとつ

厚生労働省は労働安全衛生法に基づき、「事業者は労働者に対する心の健康保持増進を目的としたメンタルヘルスケアを講ずるように努めるべき」と定めています。このメンタルヘルスケアは、以下の4つのケアに分類されており、事業場外資源によるケアはそのひとつです。

4つのケア 概要 担当者
セルフケア ストレスやメンタルヘルスケアの理解とセルフケア 労働者
ラインによるケア 労働者からの相談対応職場復帰支援職場環境把握、改善 企業の担当者
事業場内産業保健スタッフ等によるケア セルフケア、ラインによるケアを効果的に実施するための具体的なメンタルヘルスケアの企画立案 産業医、産業保健師など
事業場外資源によるケア メンタルヘルスの相談、カウンセリング、診断、復職指導などメンタルヘルス対策全般の支援 社外の専門機関(病院、クリニック、地域保健機関、従業員支援プログラムなど)

出典:厚生労働省「職場における心の健康づくり」(参照:2022-06-07)

事業場外資源によるケアの主な役割

事業場外資源によるケアは主に病院、クリニック、地域保健機関、従業員支援プログラム(EAP)などの専門的な知識を持つ機関を活用してケアをおこないます。

事業場外資源によるケアの主な役割は、メンタルヘルスの相談、カウンセリング、診断、復職指導などメンタルヘルス対策全般を支援することです。従業員が相談内容を企業側に知られたくない場合や、企業が適切なメンタルヘルスケアを実施することが難しいケースなどに備えて、専門機関のアドバイスやサポートを活用する方法が用意されています。

【事業場外資源によるケア】主な種類

【事業場外資源によるケア】主な種類
事業場外資源によるケアを委託するには、具体的にどのような選択肢があるのでしょうか。ここでは3つの種類と特徴を解説します。

病院やクリニックなどの医療機関

病院やクリニックなどの医療機関は、労働者がそれぞれの医療機関に通院し、メンタルヘルスケアの相談や治療を行います。この場合は、あくまで労働者が主体になります。

しかし労働者の許可を得れば、労働環境をどのように改善するべきか、労働者への接し方や配慮、就労の判定基準などについて、企業も医療機関に相談することが可能です。

労働者に許可を得る際は、情報を取得する目的を本人に明確に伝える必要があります。また、その情報は労働者本人から提出を受けることが望ましいです。

地域保健機関

地域保健機関は、精神保健福祉センターや保健所、地域産業保健センターなど、各都道府県に設置することが定められた保険機関です。代表的な機関の特徴は以下のとおりです。

精神保健福祉センター 本人や家族からの精神保健福祉相談を受け付けている機関
社会復帰や社会適応のための指導や援助などもおこなっている
保健所 結核や食中毒、メンタルヘルスケアなど、健康や衛生について全般的に取り扱っている機関
精神保健福祉センターより地域密着型
地域産業保健センター 従業員50人未満の事業場に対して産業保健サービスを無料で提供している機関
十分な産業保健サービスを提供できないなど一定の条件を満たすと、メンタルヘルスの指導や援助を受けられる

 

従業員支援プログラム(EAP)

EAP(Employee Assistance Program:従業員支援プログラム)はメンタル不調の従業員を支援する社外の専門家です。日本ではEAPの専門機関は少数で、病院、産業医サービスなどが社外EPAを提供しているのが一般的です。

メンタルヘルスケアに関するEAPの活動には、下記のような内容があります。

・個別カウンセリング
・メンタルヘルスセミナー実施、研修講師の派遣
・メンタルヘルスの体制整備

EAPは守秘義務があり、事業場と関係のない外部機関であるため、従業員が悩みを打ち明けやすいことが特徴です。このため、事業場外資源によるケアに社外EPAを導入する企業が増えています。

従業員が活用しやすいように社外EPAと定期契約して、電話相談やメール相談、オンライン面談などの窓口を設ける場合もあります。

まとめ

事業場外資源によるケア
事業場外資源によるケアは、病院や地域保健機関、EAPなどの社外専門機関の支援を受けるメンタルヘルスケアの方法です。セルフケアや企業による支援だけでは具体的な対策が取れないときに効果的に活用できます。

事業場外資源によるケアの中でも従業員支援プログラム(EAP)は、従業員が悩みを打ち明けやすい方法として企業が取り入れやすいでしょう。株式会社Dr.健康経営は従業員のメンタルケアに強みを持っており、従業員のメンタルヘルスケア、休職・復職のサポートとして経験豊富な産業医を紹介しています。従業員のメンタルヘルスケア推進のために、ぜひお気軽にご相談ください。

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鈴木 健太
監修者
鈴木 健太
医師/産業医

2016年筑波大学医学部卒業。
在学中にKinesiology, Arizona State University留学。
国立国際医療研究センターでの勤務と同時に、産業医として多くの企業を担当。
2019年、産業医サービスを事業展開する「株式会社Dr.健康経営」を設立、取締役。

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