産業医を派遣してもらうにはどうすればいい?産業医選任の基準とは

日付2020.09.16
更新日:2022.03.30
産業医を派遣してもらうにはどうすればいい?産業医選任の基準とは

産業医とひとことで言っても、実は選任義務や契約形態にさまざまな違いがあります。産業医を派遣してもらいたいときにはどうしたらいいのかという疑問や、選任義務、契約形態の違いについて見ていきます。

産業医の選任義務とは

産業医の選任義務とは
従業員が50人以上の事業所では、産業医を選任することが義務付けられています。
産業医には、専属産業医と嘱託産業医の2種類があることを知っていますか?事業所の規模により、選任形態が変わってきます。

専属産業医とは

1000人以上の従業員のいる事業所では、専属産業医の選任が義務となります。従業員の人数が1000人以下でも、下記の有害業務に該当する場合には、従業員数500人から専属産業医の選任が義務となります。
・ 多量の高熱物体を取扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
・多量の低温物体を取扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
・ラジウム放射線、X線その他の有害放射線にさらされる業務
・土石、獣毛等の塵埃又は粉末を著しく飛散する場所における業務
・異常気圧下における業務
・削岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
・重量物の取扱い等重激な業務
・ ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
・坑内における業務
・深夜業を含む業務
・水銀、砒素、黄燐、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、一酸化炭素、 二硫化窒素、亜硫酸、ベンゼン、アニリン、その他これらに準ずる有害物の ガス、蒸気、又は粉塵を発散する場所における業務
・病原体によって汚染のおそれが著しい業務
・その他厚生労働大臣が定める業務

専属産業医の勤務日数や時間に決まりはありませんが、基本的に週に3~4日ほど事業所で勤務することが目安となっています。

【参考URL】

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000103897.pdf

嘱託産業医とは

従業員数が50~999人の事業所では、嘱託産業医を選任することで問題ありません。嘱託産業医とは、月に1回~数回の企業の訪問を目安とし、産業医業務をおこないます。
従業員数が50人未満の事業所では、産業医を必ず選任する必要はありません。しかし、月80時間以上の時間外労働が発生する、高ストレス者がいるという場合には、産業医を選任する必要が出てきます。

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産業医を選任する義務はいつから?選び方や違反した時の罰則も解説

産業医の「紹介」「業務委託」「派遣」とは?

産業医の「紹介」「業務委託」「派遣」とは?
産業医の選任義務に種類があることは解説しましたが、契約形態にも複数種類があります。
産業医の選任が必要なときは、事業所のニーズのほか、産業医側の希望も考慮しながら選任しなければいけません。産業医の業務内容は、労働安全衛生法で以下のように定められています。

・健康診断の実施とその結果に基づく措置

・長時間労働者に対する面接指導、その結果に基づく措置

・ストレスチェックとストレスチェックにおける高ストレス者への面接指導、その結果に基づく措置

・作業環境の維持管理

・作業管理

・上記以外の労働者の健康管理

・健康教育、健康相談、労働者の健康の保持増進のためのそち

・衛生教育

・労働者の健康障害の原因の調査、再発防止のための措置

【参考URL】

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000103897.pdf

人材紹介

民間の産業医紹介サービスに依頼し、産業医を探してもらいます。
産業医の報酬のほかに、紹介サービスをおこなう事業所への支払いが生じます。常勤となる専属産業医を探すときに多く見られる契約形態です。

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産業医の選任は紹介会社がおすすめの理由は?他の方法も詳しく解説

産業医との業務委託契約

従業員が1000人未満の事業所で嘱託産業医を選任するとき、業務委託という形態を取ることがあります。
産業医を選任するときだけでなく、産業医業務をおこなうときや、産業保健活動をサポートするときにも業務委託という言葉が使われることが多くあります。
業務委託契約のときは、どのような業務を依頼するのかということや報酬についてをお互いに確認し、合意の上で委託契約を結ぶ必要があります。

医療機関との契約

医療機関に所属する医師に産業医を依頼する場合、事業所と医療機関で契約をし、産業医を派遣してもらう形態です。
健康診断を依頼している病院に産業医がいる場合には、その病院に依頼するケースが多くなるかと思います。

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産業医派遣のメリット

産業医派遣のメリット
産業医との契約形態がいろいろとある中で、派遣を選ぶとどのようなメリットがあるのでしょうか。産業医派遣のメッリトについて見てみたいと思います。

多くの登録医師の中から選べる

産業医として働くには、労働安全衛生法に定められた用件を満たす必要がありますが、紹介会社や派遣サービス会社には多くの産業医が登録しているところもあり、事業所のニーズに合った産業医を派遣してもらうことができます。
たとえば、メンタルヘルスのケアに力を入れたいというときには、精神科や心療内科が専門の産業医を探すこともできます。
産業医にどこのようなことを期待するのかを明確にしておくと、自社に合う産業医を選びやすくなります。
事業所が支店などで複数ある場合には、支店ごとの産業医を探すのは大変ですので、一括して産業医の派遣を依頼することもできます。
産業医の少ない地域では、産業医を探すのが大変な時に、派遣サービスを利用すると助かりますね。

選任前に面接ができる

派遣サービスに登録する時点で、派遣サービスでも産業医の面接をおこなっているので、質のいい産業医がそろっていることが多いです。
産業医の経歴が事前にチェックできるほか、希望に合った複数の産業医と面接できるようセッティングしてくれるところもあります。
このような場合だと、産業医の選択肢が増え、より事業所のニーズに合った産業医を選ぶことができます。
優秀な産業医でも事業所のニーズと合っていなければ、その能力を十分に活かしてもらうことができません。事業所に合った産業医を選ぶことがポイントです。
産業医派遣サービスには複数の産業医が登録しているため、もし現在の産業医が退任したとしても、速やかに次の産業医を探すことができるというメリットもあります。

選任後のサポートがある

産業医派遣サービスの業者には、産業医の派遣だけでなく、さまざまなサポート業務もおこなっているところがあります。
産業医を選任したあとは、14日以内に労働基準監督署に産業医選任報告書を提出しなくてはいけません。
日常の業務のほかにこれらの事務作業をこなすのは大変ですが、このような書類の作成もサポートしてくれる場合もあります。
そのほか、産業医の訪問日程の調整をしてくれるサポートをおこなっているところもあります。
これらのサポート業務は派遣サービスの業者によって異なるため、どのようなサポート業務をおこなっているのか、有料なのか、無料なのかということも確認して選ぶといいでしょう。

料金が明確

個人の開業医や兼任産業医との契約ではないので、産業医を依頼する時の料金が明確であることもメリットのひとつです。
複数のプランが用意されていることが多いので、その中から事業所に合ったプランを選ぶことができます。
複数の産業医と個々に契約すると割高となってしまうこともあります。産業医の人数とサポートの内容、料金との兼ね合いで悩むこともあるでしょう。
例えば、健康診断を依頼している医療機関に産業医の派遣を依頼した場合、健康診断の結果とストレスチェックの結果をまとめて診断してもらえるほか、料金面でも割安となることもあります。
この場合は医療機関との契約になるので、書類作成の代行などのサポートは受けられなく、自分たちでおこなうことになります。
料金面、サポート面なども考慮して、産業医の選任をおこないましょう。

鈴木 健太
監修者
鈴木 健太(すずき けんた)
代表取締役/医師・産業医

1989年、東京都国立市出身。2009年、筑波大学医学部へ入学。
在学中にKinesiology, Arizona State Universityへ留学し、医学・経済学・人文学等を学ぶ。
卒後は国立国際医療研究センターで勤務医として働く。
予防医療の重要性に気づき、帝京大学公衆衛生大学院で健康経営を研究しつつ、産業医として多くの企業を担当する。