メンタルヘルス・ストレスチェック
ストレスチェック後は職場環境改善を!進め方や具体例、集団分析結果別アイデア集を紹介
ストレスチェックを実施したあとは、職場環境改善を行い、従業員が快適に働ける環境を整えることが大切です。しかし、ストレスチェックの結果をどのように職場環境改善へ反映すればよいのかわからず、具体的な対応ができていない企業は少なくありません。
そこで本記事では、ストレスチェック後に職場環境改善を行う流れや成功の秘訣、具体例を解説します。ストレスチェック結果別の改善アイデアについても紹介するので、職場環境改善でお困りごとがある企業は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ストレスチェック後に行う職場環境改善とは
はじめに、ストレスチェック後に行う職場環境改善の概要を紹介します。職場環境改善の意義や効果を押さえたうえで、自社にとって最適な改善策を講じていきましょう。
職場環境改善とは
職場環境改善とは、職場の物理的レイアウトや労働時間、作業方法、組織、人間関係などを改善して、労働者のストレス軽減・メンタルヘルス不調予防を目指す手法です。産業医や衛生管理者などの産業保健スタッフだけでなく、人事・労務担当者、管理監督者、労働者が一緒に参加することで高い効果を発揮します。
なお職場環境改善は、メンタルヘルス対策が確立し、セルフケアやラインケアなどがある程度浸透したあとに、次のステップとして実施することが望ましいとされています。
職場環境改善の詳細はこちらの記事で解説しているので、あわせてご一読ください。
職場環境改善を通じたストレス対策のポイント
職場環境改善を通じてストレス対策を講じるときは、米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)が挙げる7つのポイントを意識することが大切です。
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- 1.過大あるいは過小な仕事量を避け、仕事量に合わせた作業ペースの調整ができること
- 2.労働者の社会生活に合わせて勤務形態の配慮がなされていること
- 3.仕事の役割や責任が明確であること
- 4.仕事の将来や昇進・昇級の機会が明確であること
- 5.職場でよい人間関係が保たれていること
- 6.仕事の意義が明確にされ、やる気を刺激し、労働者の技術を活用するようにデザインされていること
- 7.職場での意志決定への参加の機会があること
ぜひ、ここで挙げたポイントを念頭に置いたうえで、職場環境改善を実施してみてください。
なお、詳しい従業員参加型の職場環境改善の取組みについては、下記の厚生労働省の手引きが参考になります。あわせてご参照ください。
※参考:厚生労働省|いきいき職場づくりのための参加型職場環境改善の手引き 改訂版
ストレスチェック後に職場環境改善を行う効果
ストレスチェック後に行う職場環境改善は、科学的にも有効であると証明されています。
下記の、メンタル不調や生産性と職場環境改善の関係性について調べた研究をみてみましょう。
ストレスチェック後に職場環境改善を経験した労働者には、心理的ストレス反応の改善と生産性の増加がみられました。つまり、ストレスチェック後に集団分析結果を活用して職場環境を改善することは、ストレス低減とパフォーマンスの向上に有効だということです。
またある研究では、次のように職場環境改善と個人向けストレスマネジメント教育(セルフケア)を比較しています。
1人あたりの費用 | 1人あたりの便益 | |
職場環境改善 | 7,660円 | 15,200円〜22,800円 ○ |
管理監督者教育A(グループワークあり) | 5,290円 | 4,400円〜22,800円 △ |
管理監督者教育B(グループワークあり) | 2,948円 | 0円 × |
個人向けストレスマネジメント教育(セルフケア教育) | 9,708円 | 15,200円〜22,920円 ○ |
※1人あたりの費用:介入にあたって必要な費用の総額を介入群の費用で割ったもの(従業員等の賃金や講師謝金)
※1人あたりの便益:HPQ(労働生産性の指標)の介入前後の差×介入人数×年間賞与額
引用:吉村健佑、川上憲人、堤明純ら、日本におけるメンタルヘルスの第一次予防対策に関する費用便益分析、産衛学雑誌、55(1)、11-24(2013)
表を見てみると、1人あたりの便益はほぼ同じですが、職場環境改善の費用対便益効果が高いことが判明しています。
このように、ストレスチェック後に行う職場環境改善はストレス低減効果が高く、企業にもたらす利益が大きい施策であると科学的に証明されているのです。
ストレスチェック後に行う職場環境改善の進め方
ストレスチェック後に職場環境改善を実施するときの流れは、以下のとおりです。
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- 1.ストレスチェックの実施・集団分析結果の作成
- 2.職場環境改善の体制づくり
- 3.職場環境の評価
- 4.職場環境改善計画の考案
- 5.計画の実施
- 6.評価と改善
各プロセスの詳細を解説します。
1.ストレスチェックの実施・集団分析結果の作成
まずは、ストレスチェックを実施して集団分析結果を作成しましょう。
ストレスチェックの集団分析結果とは、ストレスチェックの結果を職場や部署などの集団単位で集計し、ストレス状況や傾向を分析したものです。集団分析は努力義務ではありますが、職場環境改善には欠かせない情報であるため、実施することが望ましいとされています。
なお労働安全衛生法では、「職業性ストレス簡易調査票」と「仕事のストレス判定図」を用いてストレスチェックや集団分析を実施することを推奨しています。自社で実施することが難しい場合は、外部のストレスチェックサービスを活用するとよいでしょう。
※出典:厚生労働省|労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル
2.職場環境改善の体制づくり
次に、職場環境改善の体制づくりを進めていきましょう。事業主が職場環境改善の方針や進め方を取り決め、衛生委員会などで衛生管理者や産業医と審議します。
特に、日ごろから従業員とコミュニケーションをとっている衛生管理者の視点は、職場環境改善において非常に役立ちます。職場巡視や日常の業務で得られた情報は、しっかりと職場環境改善の体制づくりに活かしていきましょう。
また、管理監督者に職場環境改善の進め方や目的などをしっかりと説明し、理解を得たうえで主体的に関与してもらうことも大切です。
3.職場環境の評価
職場環境の評価を行うことも、職場環境改善の際に重要です。
ストレスチェックの集団分析では、部署やグループごとのストレス要因を分析することができます。集団分析の内容をしっかりと確認し、「どの部署のストレス度が高いのか」「どのようなことがストレスになっているのか」などを把握して、職場の現状を正しく評価していきましょう。
また、衛生管理者や管理監督者、従業員からのヒアリングも職場におけるストレス要因の把握に役立ちます。現場から得られる生の意見は、優先的に職場環境の評価へ反映していくことが望ましいでしょう。
4.職場環境改善計画の考案
集団分析と職場環境の評価をふまえ、職場環境改善のための計画を考案していきましょう。ここで大事になるのは、次の4つのポイントです。
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- ・良好事例を参考に計画を立てる
- ・体への負担だけではなく、心への負担にも配慮する
- ・職場環境だけではなく労働条件についても検討する
- ・計画の考案や実施に従業員が積極的に参加できるようにする
具体的な改善計画を考案できたら、実施のタイミングやスケジュールを定めていきましょう。場合によっては、事前準備や組織の体制を整える必要があるかもしれません。
職場環境改善の取り組みには、長い時間やコスト・人手などのさまざまな社内リソースを要します。職場の状況をふまえ、現実的な計画を立てることが大切です。
5.計画の実施
しっかりと職場環境改善の計画を立てられたら、あとは実施するのみです。
この際、単に計画を実施するだけではなく、衛生委員会や各部署からの報告を通して「計画が予定通り進んでいるのか」「問題は起きていないか」などを把握しましょう。しっかりと進捗を把握することで、職場環境改善への取り組みが形骸化してしまうことを防げます。
6.評価と改善
計画の実施後は定期的に成果や進捗を評価し、問題があれば改善策を講じましょう。
職場環境改善の成果を評価する方法としては、次の2つがおすすめです。
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- ・計画通りに施策が進んでいるのかを評価する方法
- ・「欠勤率」や「休職率」など、目標とする指標をもとに評価する方法
思うような成果が得られていない場合は、原因や問題点を探し出し、より高い成果が得られるように計画を立て直す必要があります。反対に、成果につながった施策があった場合は、社内に周知することで従業員の士気高揚に役立てられるでしょう。
繰り返し評価と改善を実施することで、継続的に成果が得られる職場環境改善計画を立てていきましょう。
職場環境改善を進めるときのポイント
職場環境改善を進めるときは、以下の3つの方法で進めていくことが一般的です。
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- 1.経営層・管理部門主導型
- 2.現場の管理監督者主導型
- 3.従業員参加型
各進め方では、職場環境改善のプロセスや意識したいポイントが異なります。ここでは、職場環境改善を進める際のポイントをそれぞれのパターンに分けて紹介します。
経営層や管理部門が行う職場環境改善
職場環境改善の1つ目の進め方は、経営層や人事・総務などの管理部門が行う「経営層・管理部門主導型」です。
集団分析の結果などをもとにストレス要因を把握し、産業医や産業保健スタッフの助言・支援のもと職場環境改善を進めていきます。具体的な改善施策としては、制度や組織の見直し、管理監督者を対象とした研修の実施などが挙げられます。
この進め方のメリットは、スピーディーな対応や制度改革をともなう大きな取り組みが可能な点です。その一方で、現場の実情とギャップのある施策になりやすい、従業員が受動的になりやすいというデメリットにも注意が必要です。
現場の管理監督者が行う職場環境改善
職場環境改善の2つ目の進め方は、各部署や現場で行う「管理監督者主導型」です。ストレスチェックの集団分析結果を現場の管理監督者に共有し、各々の部署で必要な対策を講じてもらう取り組み方です。
管理監督者は保健衛生のプロフェッショナルではないため、産業医や衛生管理者のサポートが欠かせません。集団分析結果の見方や各数値の意味、抱えている問題点などを正しく知ってもらうために、研修や教育を行う必要があるでしょう。
現場を理解している責任者が主導するので、従業員や業務の特性をふまえた施策が実施て着る点がメリットです。ただし、管理監督者の裁量で取り組みへの熱量や施策が変わってしまう点、管理監督者の独善的な取り組みになりやすい点に注意しなければいけません。
従業員参加型の職場環境改善
職場環境改善の3つ目の進め方は、管理監督者と従業員がともに取り組む「従業員参加型」です。職場環境改善においては、もっとも効果があるとされています。
ストレスチェックの集団分析結果などを参考にしつつ、管理監督者と従業員が話し合いながら、職場環境の評価と改善策の立案を行います。この際、産業医や衛生管理者がサポートしながら話し合いを実施できれば、より活発な意見交換を促せるでしょう。
この方法には、経営層や管理監督者の目が届きにくい細部まで改善できる、リームワークの向上が期待できるなどのメリットがあります。ただし、人間関係のトラブルや意見の偏りに注意しなければならないというデメリットも挙げられます。
【ストレスチェックの結果別】職場環境改善の取り組み具体例
ここからは、職場環境の取り組みについて紹介します。
ストレスチェックの集団分析が示す結果別に具体例を説明するので、ぜひ自社の職場環境改善に活かしてみてください。
「仕事の量的負担」が高数値の場合
「仕事の量的負担」が高数値だった場合、従業員が抱えている仕事が多すぎたり業務内容の負担が大きすぎたりすることが考えられます。この場合、従業員の業務負担を軽減するための対策が必要です。
改善するための具体的な取り組みとしては、次のようなものが考えられます。
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- ・勤務体制を見直す
- ・長時間労働や休日出勤を減らす
- ・従業員の事情に応じて業務調整する
- ・デジタル化で業務負担を軽減する
- ・マニュアル化で属人化を防止する など
仕事の量的負担の数値が高い場合は、脳や心臓、メンタル面の不調リスクが高くなります。従業員の健康を守るためにも、可能な限り早く対策しましょう。
ただし、次の項目で紹介する「仕事のコントロール」が高数値であれば、忙しくても自らの裁量で働けていることになるため、従業員が感じるストレスは減ります。「仕事の量的負担」と「仕事のコントロール」は、相互関係をふまえて判断することが大切です。
「仕事のコントロール」が低数値の場合
「仕事のコントロール」が低数値の場合は、業務において裁量が少ないと考えている従業員や、自由度が低いと考えている従業員が多い傾向にあるかもしれません。この場合は、やりがいを見失ったり仕事に対するストレスを感じやすくなったりするリスクが高まります。
改善するための具体的な取り組みとしては、次のようなものが考えられます。
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- ・テレワークやフレックスタイム制を導入する
- ・チーム内での裁量権を広げる
- ・ひとり一人の能力に応じた業務分担にする
- ・業務を自分らしく遂行する余地を与える
仕事のコントロールは、従業員の意欲や生産性にもつながる重要な要素です。制度の導入や裁量権の拡大は簡単なことではありませんが、必要に応じて取り入れてみるとよいでしょう。
「上司の支援」が低数値の場合
「上司の支援」が低数値の場合、上司のマネジメントが適切に発揮されておらず、信頼関係を構築できていない状況であると読み取れます。今後、人間関係や業務で不具合が生じる可能性が高いため、スムーズに連携が取れるように体制を整えることが大切です。
改善するための具体的な取り組みとしては、次のようなものが考えられます。
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- ・リーダー向けのコミュニケーション研修を実施する
- ・相談しやすい雰囲気づくりを心がけてもらう
- ・会話が生まれやすいオフィスレイアウトにする
- ・チームビルディングを実施する
上司の支援を最適化できればコミュニケーションが活発になり、心身の不調を未然に防いだり業務を円滑化したりする効果が得られます。
「同僚の支援」が低数値の場合
「同僚の支援」が低数値の場合、チーム内の人間関係や職場の環境に何らかの問題があると考えられます。
人間関係や職場環境が悪いと従業員はストレスを感じやすくなり、業務自体に悪影響を与えるリスクが高まります。原因を探り、お互いがサポートし合える環境を構築することが大切です。
改善するための具体的な取り組みとしては、次のようなものが考えられます。
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- ・イベントや研修を通して日常的に同僚と交流できる環境を整える
- ・チームで一丸となって業務を遂行できるよう、目標を共有する
- ・上司がサポートし、チーム内で協力できる体制を構築する
「同僚の支援」が低数値になる原因としては、特定の従業員間における人間関係の悪化だけではなく、企業の風土が影響していることも考えられます。広い視野で現状を振り返り、抜本的な解決を目指しましょう。
職場環境改善を成功させる秘訣
職場環境改善の実施時は、米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)が挙げる「職場環境の改善を通じたストレス対策のポイント」を理解しておくと、成果が得られやすくなります。
押さえておきたいポイントは、以下の7つです。
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- 1.わかりやすい言葉で説明する
- 2.経営層の理解とリーダーシップを促す
- 3.既存の取り組みを活用する
- 4.情報量を最小限にとどめる
- 5.職場のよい点に目を向ける
- 6.職場内外の支援者からフォローしてもらう
- 7.結果だけではなく、活動の経過も重視する
各ポイントの詳細をみていきましょう。
わかりやすい言葉で説明する
管理監督者や従業員は、必ずしも職場環境改善や健康経営について理解しているとは限りません。そのため、取り組みについて説明するときは、わかりやすい言葉を用いることが大切です。
例えば、ストレスチェックを「自動車の車検」と説明すると、なぜ必要なのかを理解してもらいやすくなるかもしれません。また、職場環境改善プログラムの名称を「いきいき職場づくり」「職場ドック」などに変更すると、親しみやすく思ってもらえるでしょう。
経営層の理解とリーダーシップを促す
職場環境改善を成功させるためには、経営層の理解とリーダーシップの発揮が欠かせません。
職場環境改善を実施すれば、従業員がいきいきと働けるようになり、高いパフォーマンスを発揮できる職場になります。さらに、魅力ある職場には優秀な人材が集まり定着しやすいため、経営面において良い循環が生まれます。
担当者は経営層に職場環境改善を実施する経営上のメリットをよく説明し、企業全体で積極的に取り組めるように士気を高めていきましょう。
既存の取り組みを活用する
職場環境改善では、決して目新しい取り組みをしなければいけないわけではありません。自社に既存の取り組みがあれば、それを活かしながら職場環境の改善を目指すことも可能です。
業務や事業所の経営戦略に沿った取り組み、人事部門や健康管理部門が主体で行っている活動、事業場が一体となって行っている活動がある場合は、積極的に活用しましょう。既存の取り組みを活用したほうが準備や周知に手間がかかりにくく、従業員も順応しやすいというメリットがあります。
情報量を最小限にとどめる
職場環境改善を実施するにあたって管理監督者や従業員へ情報を提供する際は、情報量を最低限にとどめるようにしましょう。情報量が多くなるほど理解に負担がかかりますし、すべての資料に目を通してもらえなくなる可能性があるためです。
提示や配布する資料は、A4~A3サイズ1枚程度にとどめてください。情報量や文字が多くなるときは、図やグラフを用いることがおすすめです。
職場のよい点に目を向ける
職場環境改善を実施するときは、職場のよい点にも目を向けましょう。
悪い点や課題ばかりを指摘されると、管理監督者や従業員のモチベーションが大きく低下してしまうおそれがあります。よい点や強みを理解することで、より強みを活かせるようになったり従業員の士気が高まったりして、前向きに職場環境改善へ取り組めるようになります。
職場内外の支援者からフォローしてもらう
職場環境改善の実施時は、産業保健を熟知した専門家からの支援が欠かせません。衛生委員会や産業医を含む産業保健スタッフ、外部機関などからサポートを受け、必要な範囲で支援してもらいましょう。
Dr.健康経営では、産業保健に精通した産業医による職場環境改善のサポートを提供しています。職場環境改善でわからないこと・お困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。
結果だけではなく、活動の経過も重視する
職場環境改善を実施するときは、結果だけではなく、活動の経過も重視して評価を下すことが重要です。労使が一体となって取り組むこと自体に、職場環境改善を実施する価値があるためです。
たとえすぐ結果につながらなかったとしても、職場改善のために話し合いの場を持てたこと、改善案が提案されたことなどについては、高く評価しましょう。そうすることで、職場環境改善への意欲増進や積極的な関与を促せます。
職場環境改善には「職場ドック」がおすすめ
職場ドックとは、職場メンバー全員で職場環境を見直す、従業員参加型の取り組みです。メンタルヘルス一次予防策としての職場環境改善に有用なツールとして知られています。
職場ドックの主な取り組みは、職場の強みや働きにくさをチェックリストで洗い出し、従業員同士で意見交換する場を作って、改善実施計画を立てることです。その後、計画が実行できているかの評価と改善を繰り返します。
職場ドックは、非常に効果が高いことが研究で明らかになっています。実施することで、職場のコミュニケーションや相互支援が活性化され、働きやすい労働環境や生産性に直接的・間接的に効果を発揮してくれるでしょう。
ただし、職場ドックを実施する際は工数や人員が必要となるため、実施のハードルはやや高いとされています。それでも少しずつ浸透してきているようで、実施している事業場は増えてきています。
どのような取り組みで職場環境改善を実施すればいいかわからないと感じている企業は、ぜひ職場ドックを選択肢のひとつとして検討してみてください。
職場環境改善の良好事例
実際に職場環境改善に取り組んだ企業の良好事例をみてみましょう。
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- 経営者からのメッセージを社内報で発信
職場環境改善の取り組みを始めるにあたり、その内容を社内報に掲載。同時に経営者からの取り組みに対する決意表明をメッセージとして配信した。
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- 取り組みに職場全員を巻き込む
取り組みに職場全員を巻き込む
労働者参加型の職場環境改善を実施することにしたが、業務の都合で職場の検討会に参加できない従業員がいると判明。そこで、アンケート調査を複数回実施して、改善のプロセスにアンケートの意見を反映できるようにした。
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- 視覚教材によるツール作成
ストレスチェック体制そのものや職場環境改善についてわかりにくいという指摘を受け、職場全体に情報を広く周知することを検討。1~2ページの漫画を作成して、取り組みの解説を社内報に掲載した。
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- モデル職場や手上げ方式での取り組み
人事労務部門などで先行的に取り組みを体験して、その結果を全事業場に展開。先行的に取り組みを実施した担当者がその後の取り組みに参加する担当者のよき助言者となり、全体的な展開がスムーズに進んだ。
メンタルヘルス対策では、一個人へのアプローチには限界があります。集団(=職場全体)へのアプローチも合わせて行うことで、より効果的かつ結果が出やすくなるでしょう。
ぜひ会社全体で職場環境改善に取り組み、快適な職場づくりを目指してみてください。
職場環境改善に活用できるツール
最後に、職場環境改善を実施する際に活用できるツールを紹介します。
効率的な取り組みや施策のヒントとして、積極的にご活用ください。
ストレスチェック制度を利用した職場環境改善スタートのための手引き
これからストレスチェックを活用した職場環境改善の実施を始めたいと考える事業所向けに作成された、わかりやすい手引き書です。
事業者や産業保健スタッフ向けの資料で、集団分析結果の見方や活用方法、職場環境改善を成功に導く秘訣、具体例などを説明しています。
※参考:ストレスチェック制度を利用した職場環境改善スタートのための手引き
職場環境改善のためのヒント集
仕事の負担やストレスを減らして、快適かつ安心して働くための職場環境に関する改善アイデアが紹介されているヒント集です。職場で取り上げる改善策を選択形式で選ぶチェック方式となっているため、従業員同士のグループ討議などで活用すると効果的です。
自社の特性にあった職場環境改善に関する目のつけどころや、考え方を理解したい方に向いています。
※参考:職場環境改善のためのヒント集
メンタルヘルス改善意識調査票(MIRROR)
職場における望ましい状況を示す45項目から構成されたチェックツールです。
各職場で改善が望まれる問題点を確認することで、職場環境改善のために必要な取り組みを見極められるようになります。
まとめ
ストレスチェックを実施するときは、結果を分析したうえで、職場環境改善に活かすことが重要です。従業員がストレスなく快適に働ける環境を整えるためにも、ストレスチェックの結果は改善策の考案に役立てましょう。
職場環境改善は、経営者や管理部門だけではなく、現場の管理監督者や労働者が一体となって取り組むことでより高い効果が得られます。本記事で紹介した施策例や成功の秘訣をふまえ、自社の課題にあった取り組みを実施してみてくださいね。
職場環境改善には、産業保健に関する深い知識が必要です。「初めての取り組みでどうしたらいいかわからない」「プロのサポートを受けたい」という場合は、Dr.健康経営までご相談ください。メンタルケアに強い産業医が、一社一社の課題にあった職場環境改善を支援いたします。
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