ストレスチェックを活用した、職場環境改善の方法を解説!

日付2021.07.27
更新日:2021.12.24
ストレスチェック集団分析を活用した職場環境改善の有用性

職場環境改善とは?

職場環境改善とは、職場の物理的なレイアウト、労働時間、作業方法、組織や人間関係などの職場環境を改善することで労働者のストレスを軽減しメンタル不調を予防する方法です。
職場環境改善には、専門家の指導や、職場上司や従業員による自主的活動など、さまざまな進め方があります。産業医や衛生管理者などの産業保健スタッフだけでなく、人事労務担当者、管理監督者、従業員に参加してもらうことで効果的に対策が実施できます。

 

職場環境改善の効果

職場環境改善は科学的にも有効であると証明されています。下記の、メンタル不調や生産性と職場環境改善の関係性を調べた研究では、ストレスチェック後に職場環境改善を経験した労働者のみ、心理的ストレス反応の改善と生産性の増加がみられました。つまり、ストレスチェック後に集団分析結果を活用して職場環境を改善することは、ストレス低減と生産性の向上に有効であるとされています。

ストレスチェック集団分析を活用した職場環境改善の有用性

ストレスチェック集団分析を活用した職場環境改善の有用性

また、下記のある研究では、職場環境改善と個人向けストレスマネジメント教育(セルフケア)を比較すると、1人あたりの便益はほぼ同じですが、職場環境改善は費用対便益効果が高いこと分かります。

職場環境改善の費用対便益

職場環境改善の費用対便益

職場環境改善の進め方

職場環境改善は、アプローチ先、誰が主導で進めるかによって、いくつかのパターンがあります。下記の図に沿って解説していきます。

ストレスチェック集団分析~職場環境改善へのつなげ方

ストレスチェック集団分析~職場環境改善へのつなげ方
まず、改善に向けてアプローチする職場によって、3つのパターンがあります。
●事業場全体のへのアプローチ(図の「A 全体結果を活用したアプローチ」)
●高ストレス職場へのアプローチ(図の「B 高ストレス職場へのアプローチ」)
●職場環境改善の取組みを自主的に希望する職場へのアプローチ(図の緑色部分)

また、誰が主導で進めるかによって、5つのパターンがあります。
●経営者・人事主導(図の①)
●管理職主導(図の②):管理職研修の実施、産業医や保健師の職場巡視の活用
●専門家主導(図の③):EAP(※) などの外部支援の活用、産業医や保健師の活用
従業員参加型(図の④):参加型職場環境改善「職場ドック」
●集団分析結果を直接活用しない職場改善(図の⑤)
(⑤の場合、集団分析は現場に返却せず、企業全体や各職場の幹部と産業保健スタッフのみで結果を分析把握し、経年変化をみるというモニタリングに活用する場合もあります。)

(※)EAP…メンタルヘルス対策として高い評価を得ている「従業員支援プログラム(Employees Assistance Program)」。

従業員参加型職場環境改善「職場ドック」とは?

「職場ドック」とは、職場メンバー全員で職場環境を見直す従業員参加型(図の④)の取組みです。職場環境改善においてメンタルヘルス一次予防の取組みとして有用です。職場の強み、または職場の働きにくさをチェックリストから洗い出し、従業員同士で意見交換する場を作り、改善実施計画を立てます。計画が実行できているか定期的に評価を行うことが大事です。
その結果、職場のコミュニケーションや相互支援が活性化され、働きやすい労働環境を作ることが出来ます。

職場環境改善のポイントをご紹介!

ここで、職場環境改善を成功させるための秘訣をご紹介します。

職場環境改善の秘訣

職場環境改善の秘訣

NIOSHが提唱する職場環境改善を通じたストレス対策のポイント

1、過大あるいは過小な仕事量を避け、仕事量に合わせた作業ペースの調整ができること
2、労働者の社会生活に合わせて勤務形態の配慮がなされていること
3、仕事の役割や責任が明確であること
4、仕事の将来や昇進・昇級の機会が明確であること
5、職場でよい人間関係が保たれていること
6、仕事の意義が明確にされ、やる気を刺激し、労働者の技術を活用するようにデザインされていること
7、職場での意志決定への参加の機会があること

詳しい従業員参加型の職場環境改善の取組みについては、下記の厚生労働省の手引きを参考にしましょう。

★厚生労働省ホームページ「いきいき職場づくりのための参加型職場環境改善の手引き 改訂版」
いきいき職場づくりのための参加型職場環境改善の手引き 改訂版

鈴木 健太
監修者
鈴木 健太(すずき けんた)
代表取締役/医師・産業医

1989年、東京都国立市出身。2009年、筑波大学医学部へ入学。
在学中にKinesiology, Arizona State Universityへ留学し、医学・経済学・人文学等を学ぶ。
卒後は国立国際医療研究センターで勤務医として働く。
予防医療の重要性に気づき、帝京大学公衆衛生大学院で健康経営を研究しつつ、産業医として多くの企業を担当する。