職場のメンタルヘルス対策「セルフケア」の考え方と具体例をご紹介!

日付2021.07.28
更新日:2021.12.24
ストレッチング

メンタルヘルスにおけるセルフケアとは?

セルフケアの定義は「労働者自身が行うストレスへの気づきとその対処および自発的な健康相談、さらにはストレスの予防」です。つまり、ストレスとうまく付き合っていくための自分でできる対処法のことです。適度なストレスは心を引き締めて仕事や勉強の能率をあげたり、心地よい興奮や緊張を与えてくれますが、一方で、興奮や緊張が度を超してしまうと心や体が適応しきれなくなり、心身にダメージを与えてしまいます。ストレスと上手に付き合うためには、自分に過剰なストレスがかかっていることに早く気付くこと、そして自分に合うストレス対処法を見つけることが大切です。
ストレスに早く気付いて対処するためには、一人一人の労働者が「自分の健康は自分で守る」いう意識を持ちストレスの原因やメンタルヘルスについて正しい理解と、日常的に自身の体調を振り返り、定期的な心のリフレッシュをすることが大切です。
そのため、企業は従業員に対して、メンタルヘルスケアに関する教育研修や情報提供などを行ない、セルフケアを学ぶ機会を提供することが重要です。

会社から従業員へのセルフケア対策は3つ

一般的なセルフケアの内容として、下記の3つが挙げられます。会社における教育研修・情報提供では必ず行いましょう。また、セルフケアを行う対象として、管理監督者も含めることを忘れないようにしてください。

ストレスに対する正しい理解(情報提供)

・ストレスのメカニズム、メンタルヘルスとは
・ストレスによる身体的・精神的・社会的症状など

ストレスへの対処法(情報提供)

・ストレスとの付き合い方(考え方、セルフケアの方法)・食事や睡眠、運動など
・定期的なセルフチェックの方法

ストレスへの気付き(ストレスに気付くための機会の提供)

・ストレスチェック制度について
・職業性ストレス簡易調査票によるチェック

セルフケアにおける情報提供、具体的内容をご紹介!

会社から従業員へのメンタルヘルスやセルフケアに関する情報提供の方法は、以下のようなものがあります。
セルフケアにおける情報提供

メンタルヘルスやセルフケアに関する情報は、メンタルヘルス対策におけるさまざまな情報やe-ラーニングが無料で掲載されている下記のサイトを活用しましょう。社内研修としてe-ラーニングを使用し、感想を提出してもらうなどの方法が効果的です。

★働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」(厚生労働省)

https://kokoro.mhlw.go.jp/

ストレスマネジメントの4つの考え方

ストレスマネジメントとは、身体や心に悪影響を起こすストレスに対し、どのように対処しどのように付き合っていくかを考えることです。個人としてできるストレスマネジメントには、下記の4つの考え方があります。

1.ストレスをなくす

ストレスの原因となるものを減らす・遠ざけることで、そもそもストレスが蓄積されないようにします。根本解決の一つである一方、働く環境や家庭環境など自分で解決できないケースもしばしばみられます。

2.ストレスにさせない

ある物事や事実に対して、それをどのように捉えるか次第で、ストレスと感じるのか、元気になるのかは大きく変わってきます。これを「認知的評価」といいます。例えば、繁忙期で仕事量が多いという状況(事実)に対して、「早く終わりたい。嫌だ!」と捉えるとストレスに感じ、「自分が成長する機会かもしれない。頑張ろう!」と捉えることでストレスに感じないだけでなく、元気の源に変えられることもあります。このように、物事の見方を変えることで、そもそもストレスにさせないという根本解決の一つの方法になりますが、習得までに時間がかかるのが難点です。

3.ストレスを抜く

趣味に没頭する、人に話す、リラクゼーションなどでストレスを抜く、いわゆる「ストレス発散」と呼ばれることです。誰でもすぐに実行できますが、根本解決にならないことが多く、時間やお金がかかることが多いのも難点です。

4.ストレスを跳ね返す

つらい状況を我慢して耐えることです。誰でもすぐに実行できますが、一時的な対応策で根本解決にはなりません。我慢できる範囲や期間には個人差があり、我慢を続けることで疲弊してしまいメンタルヘルス不調につながる恐れがあることに注意が必要です。

「ストレスを抜く」セルフケア9つのポイント!

1.ストレッチング

長時間同じ姿勢でいるときや、仕事の量、人間関係などのストレスがかかる状況でも筋肉は緊張します。仕事の合間などでストレッチングを行うことで、筋肉の緊張が緩まり血行がよくなるため、心身のリラックスに効果的です。ストレッチングは、特別な道具を用いることなく、場所や時間もとらずに手軽に行えます。

ストレッチング

出典:「Selfcare こころの健康気づきのヒント集」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000561002.pdf

2.リラクセーション

最も手軽な方法は呼吸法です。 1分間の腹式呼吸を意識するだけでリラクセーション効果はあるとされるので、自宅や職場のデスクなどでも簡単に行えます。特に女性は胸式呼吸になりやすいので、腹式呼吸を意識するとよいでしょう。ヨガや瞑想もリラクセーション法の一つです。

3.仕事に関係のない趣味を持つ

仕事以外の時間の過ごし方にバリエーションを持っている人の方が、ストレス耐性が強いといわれています。趣味を介した、仕事とは関係のない人々と交流することで、新たな人間関係を生み、生活の幅が広がります。自分の好きなことができる時間を大切にしましょう。

4.適度に運動をする

適度な運動は、満足感や開放感、リフレッシュ効果を得ることができます。競争ではなく、手軽に楽しみながらできるということがポイントで、ジョギング、ウォーキング、サイクリング、ボルダリング、スイミング、ヨガ、ピラティスなどがおススメです。最低1日20分程でも効果があるとされています。

5.快適な睡眠

睡眠は個人差があるため、必ずしも長い睡眠が望ましいとはいえません。起きたときに気持ちがいい睡眠、日中に眠くならない睡眠をバロメータとし、自分に合った睡眠時間をみつけましょう。シエスタ(昼寝)は欧州では盛んに導入されており、横にならず、デスクに座ったまま15分程昼寝をするのが最も効果的といわれています。
下記のサイトに健康でいるための睡眠の指南が「睡眠12箇条」として掲載されていますので参考にしてみましょう。

★「健康づくりのための睡眠指針 2014」(厚生労働省)

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf

6.親しい人たちと交流する時間を持つ

心の内にある気持ちを人に話すことで、思考の偏りを和らげたり、解決策が見えてきたりします。まずは親しい人に話を聞いてもらったり、アドバイスを受けたりすることが効果的です。職場やプライベートに関係なく1~3人くらい気軽に相談できる人をみつけておきしょう。

7.笑いのすすめ

笑うことよって自律神経のバランスを整えたり、NK細胞(※)を活性化させて免疫機能が正常化させることができます。周りの人と笑い合ったり、お笑い番組を観たりすることも効果的です。小児病棟や高齢者病棟では「笑いヨガ」を導入しているところも多くみられます。

★日本笑いヨガ協会ホームページ
http://waraiyoga.org/

(※)NK細胞…ナチュラル・キラー細胞の略。免疫細胞の一種で、がん細胞やウイルスに感染した細胞などをキャッチして攻撃・破壊する細胞。

8.ストレス解消をお酒やタバコに頼らない

お酒やタバコは徐々に量が増えていくことで依存症となってしまうケースがみられます。特に、うつ病の有病率が高く、精神障害の労災請求も多い30~40代の中間管理職が陥りやすいのが、お酒やタバコに依存することで発症する各種依存症です。下記は、アルコールやニコチン依存のスクリーニングテストです。身に覚えのある方はテストしてみましょう。

★新久里浜式アルコール症スクリーニングテスト(新KAST)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-026.html

★アルコール使用障害スクリーニング(AUDIT)

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/seikatsu/dl/hoken-program3_06.pdf

★TDSニコチン依存度テスト

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/tobacco/yt-048.html

9.専門家に相談

親しい人と話しても解決しない、そもそも話したくないなどの場合は、産業医や保健師などの専門家に相談し、必要があれば医療機関を受診しましょう。企業は、従業員が安心して専門家などに相談できる体制づくりをすることが必要です。

鈴木 健太
監修者
鈴木 健太(すずき けんた)
代表取締役/医師・産業医

1989年、東京都国立市出身。2009年、筑波大学医学部へ入学。
在学中にKinesiology, Arizona State Universityへ留学し、医学・経済学・人文学等を学ぶ。
卒後は国立国際医療研究センターで勤務医として働く。
予防医療の重要性に気づき、帝京大学公衆衛生大学院で健康経営を研究しつつ、産業医として多くの企業を担当する。