COLUMN

2020.09.16.Wed

ストレスチェックの実施事務従事者とは?選任されたときのポイントを解説!

「実施事務従事者って何?どんな役割がある?」
「もし選任されたら何をすればいい?それに何か大変そう」
「誰に任せればいいのか・・」

実施事務従事者の役割や義務はストレスチェック制度の中で規定されていますが、意外とわかりにくいもの。具体的な役割や守るべきポイントについて、解説していきます。

ストレスチェックの「実施事務従事者」とは?

実施事務従事者は簡単に言うと「実施者を補助する人」のことです。そのため、実施事務従事者を理解するうえで外せないのが実施者の存在です。

「実施者」とは?

実施者は、ストレスチェックの実施内容について医学的見地から意見を述べ、結果を評価する人です。

実施者になれるのは、医師・保健師・厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師または精神保健福祉士と規定されています。(労働安全衛生法 第66条)

社内事情を把握している産業医が実施者になるのが一番望ましいですが、産業医が受任を拒否するなど、選任すべき者が不在の場合は、外部機関に委託できます。

また、チェック結果が人事上の不利益扱いにつながらないように、労働者の解雇等に関して直接の権限を持つ者、つまり人事権を持っている人は実施者になることが禁止されています。

実施者は、事業者の調査票・高ストレス者の判定基準や評価方法の決定時に専門的見地から意見する、結果に基づき医師による面接指導の必要を判断することが役割とされています。

つまり、専門的な立場からストレスチェックを実施するという、根幹としての役割を担っています。

実施事務従事者は「実施者をサポート」する人

実施者が「チェック制度推進の道」をつくる役割を持つとしたら、その道に標識を立てるなど「受検者がその道を歩きやすくしてあげる」のが実施事務従事者です。

具体的には実施にあたっての実質的な事務実務全般を担います。事務実務全般は、調査票の回収や情報の管理、結果の通知など多岐に渡るため、実務者が事務全般まで担当するには負担は大きいものです。

そこで実務者をサポートして事務業務を行う実施事務従事者が活躍します。

「実施事務従事者」の役割と義務

「選任された!でも、何をすれば・・・?」とお悩みの方にとって気になるのが、実際の役割や義務。
実施事務従事者はストレスチェックの事務実務を一手に担います。

実施者の指示にしたがって、調査票の配布やデータ回収、結果の通知など、業務は多岐に渡ります。事業者が指名した場合、記録の保存にも携われます。

では、具体的にどのような役割を果たし、どのような義務を持つのかを見ていきましょう。

「実施事務従事者」がやるべきこと

具体的には次のような業務に携わります。

・制度に関する社内説明会準備(説明資料作成)
・チェック委託会社とのやり取り、スケジュール管理
・質疑応答
・調査票の配布
・記入後の調査票の回収や内容の確認、データの入力など
・結果の通知に関する事務
・面接指導の申出の勧奨、申出時の対応
・チェック結果の集団分析の通知
・記録の保存(事業者が指名した場合)

チェック制度の初めの取っ掛かりにもなる社内説明会に関する業務も、実はチェック制度推進において大切な業務です。

実施者になり替わって行う業務も多く、チェック結果など個人情報に関わることもたくさんあります。

実施事務従事者で最も大切なことは、この個人情報をどう扱うかです。当然、制限なしに開示できるような情報ではないため、法律により守秘義務が定められています。

もし選任された場合はまず守秘義務についてきちんと理解するようにしましょう。

個人情報を守る「守秘義務」がポイント

チェック結果などの個人情報に関わる実施事務従事者には、実施者と同じように、知り得た情報に対する守秘義務(労働安全衛生法の第104条)が課せられます。

情報を漏らすと守秘義務違反となり罰せられますので、厳重な注意が必要です(労働安全衛生法第119条)。

ストレスチェックの事務はあくまで、実施者の指示によって行うものです。つまり、実施の事務に関与していない人の指示で知り得た労働者の秘密を漏らしてはいけません。

各部署の責任者から結果の開示を強要するようなことがないように、周囲も実施事務従事者が担う守秘義務に関して理解することが大切です。

一方で、実施事務従事者にとっては、この守秘義務は心理的な負担にもなりえます。そんなに負担になるかなと考える方もいるかもしれませんが、自分だけが知っている秘密を持ち続けていくというのは、結構な負担になります。

ストレスチェックの業務に関与できるのは「実施事務従事者」だけ?

実は、実施事務従事者は制度上、人数の制限はなく、実施者と違って誰が実施事務従事者であるか労働基準監督署へ報告する義務はありません。

では、どんな人でも何人でも選任してもいいのかと言うとそうではありません。先ほど解説した通り、受検者の個人情報が関わってくるため、出来る限り最小限の人数で担当するのが望ましいです。

「実施事務従事者」になれない人

実施事務従事者もまた、結果を取り扱うため、実施者と同じように人事権を持っている人は、実施事務従事者になることが禁止されています。

反対に、人事権さえなければ、人事に関係する部署(例えば人事部)の人も実施事務従事者として事務を行えます。

しかし、人事に関連する部署がストレスチェックの事務に携わる場合は特に個人情報の管理には気をつけなければなりません。人事関連部署の人が実施事務従事者になる場合、事業者は選任する人に対して、次のことをきちんと周知する必要があります。

・情報に対しての守秘義務が課せられる
・実施事務に関与していない上司などの指示を受けて情報を漏らさない
・ストレスチェック実施の事務と関係しない業務に、知り得た情報を利用しない

とにかく大事なポイントは、第三者に個人情報が漏れることがないように注意をしなければならないという点です。

「実施事務従事者」になれなければストレスチェック業務に関われない?

人事権があるために実施事務従事者になれない人が、ストレスチェックの運用に全く関われないのかと言えば、そうではありません。実施事務従事者のサポートとして関われます。

個人情報が選任者を限定する要件となっていたため、簡単に言うと、個人情報に関わらない範囲での業務を行えます。

例えば、調査票の配布などがあげられます。記入前の調査票は個人情報には関わらないからです。

また、各部署の責任者の場合、ストレスチェック制度について部下へ説明し、受検を勧めることもできます。

当然、受検者が多ければ多いほど、会社としての改善につなげることができるため、実施事務従事者以外のこういったアクションもスムーズなストレスチェック推進には非常に大切です。

ストレスチェックを円滑に進めるために「実務担当者」を設置しよう!

先ほど解説したような、実施事務従事者としてではなく、実施事務従事者のサポートとして、個人情報に関わらない範囲の事務などを担当する人を実務担当者として設置できます。

実施事務従事者が関わる事務業務の範囲は非常に広範囲なので、実施事務従事者を補助する実務担当者を設置することで少しでも負担を減らすことができるため大変有効です。

先ほど、実施事務従事者の心理的負担の話をしましたが、実際の事務の多さから、業務的な負担も増えてしまうことも考えられます。

実施事務従事者だけが一生懸命頑張っているだけでは、チェック制度はなかなかスムーズに進行しないのです。

ストレスチェック制度は実施事務従事者が中心となって、会社全体の取り組みとして進めていくような体制を構築することが望ましいです。

まとめ:実施事務従事者はストレスチェックのキーパーソン

ストレスチェック推進には必要不可欠なキーパーソンである実施事務従事者。もし、実施事務従事者に選任された場合は、最も大切なポイントである、個人情報の守秘義務が課せられているということを絶対に忘れてはいけません。

個人情報を適切に管理し、また、高ストレス者が出た場合のフォローも必要と実務内容は実に多岐に渡ります。

しかし、ストレスチェックの進行や個人情報の管理などの責任ある業務は、やりがいやスキルアップにも繋がることでしょう。

また、実施事務従事者以外の人も実務担当者として業務に関われます。特に各部署の責任者は、「自分には関係ない」と放置するのではなく、部下に対して制度のメリットや目的を説明ができます。

他にも、実施事務従事者をサポートし、負担を軽減することもできます。会社全体でストレスチェックの推進を図っていける体制にしていくことも大切です。

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