ストレスチェックの目的とは?メンタルヘルス不調を予防しよう!

日付2020.09.16
更新日:2021.12.24
ストレスチェックの目的とは?メンタルヘルス不調を予防しよう!

2015年12月から厚生労働省から事業者へ義務化されたストレスチェック。
義務化されたのでとりあえず実施しているものの「なぜストレスチェックをする必要があるの?」と素朴な疑問を持っている事業者や労働者の方々も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ストレスチェック制度が義務化された背景から、職場で行うメンタルヘルス予防「ストレスチェック」の目的について説明します。

ストレスチェック義務化の背景とは?

ストレスチェックが義務化された経緯として、ここ数年の精神障害による労災補償請求件数が増加したことが背景にあります。
厚生労働省が公言している”過労死等の労災補填状況”を見てみると、脳や心臓疾患による請求件数は平成30年で887件になっており、前年度29年と比べると37件の増加です。
また、精神障害よる請求件数は平成30年で1,820件で、前年度29年と比べて88件増えています。
このような労災補償請求件数の増加から見てとれるように、職場でのストレスが原因で起こるメンタルヘルス不調は、とても深刻な問題で事業者が早急に改善するべき課題と言えます。
しかし、ストレスチェック制度がスタートした平成27年以前は、事業者からの積極的なストレス対策は多くありませんでした。
このような深刻な状況の中で生まれたのがストレスチェック制度であり、以降事業者がメンタルヘルスの問題に取り組むきっかけになっています。

【参照URL】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05400.html
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/h29-46-50b.html

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ストレスチェックは義務なのか?ストレスチェックの疑問点を解説

ストレスチェックの目的とは?


労働者自身が自分のストレスに早い段階で気づくことで、ストレスを溜めないようにセルフケアし、メンタルヘルス不調を未然に防ぐこと(一次予防)が目的です。
年に1度の実施が義務付けられているストレスチェックですが、効果があるものにするために実施の目的を事業者が理解しておく必要があります。
労働安全衛生法改正後のストレスチェック制度の目的は、ただ単純に「事業者がメンタルヘルス不調の労働者を見つけること」ではありません。
労働者自身が自分のストレスに早い段階で気づくことで、ストレスを溜めないようにセルフケアをし、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことが目的です。
そして高ストレス状態の労働者は、医師からの適切なアドバイスをもらい、事業者側が適切な措置を取ることで、職場環境の改善につなげ「うつ病」をはじめとしたメンタルヘルス不調を予防していきます。
メンタルヘルス不調の予防には「一次予防」「二次予防」「三次予防」の3段階に応じた対処していく必要があります。

なぜストレスチェックはメンタルヘルス不調の予防になるのか

なぜストレスチェックを行うことがメンタルヘルス不調の予防になるのでしょうか。まず「メンタルヘルス不調」とは、厚生労働省の指針で下記のように示されています。
「引用」

精神および行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活および生活の質に影響を与える可能性のある精神的および行動上の問題を幅広く含むもの

つまりストレスチェックを行うことで、労働者自身がストレスに気づき、カウンセリングやセルフケアなどの対策に繋げることが出来るため、メンタルヘルス不調の予防になるということです。
メンタルヘルスケアには、不調を未然に防ぐ「一次予防」、不調を早期に発見し適切な措置を取る「二次予防」、不調となった労働者の職場復帰を支援し再発防止に繋げる「三次予防」の3つの段階があります。
義務化されたストレスチェックの目的はこの「一次予防」に当たり、労働者がストレスに対してどのような意識を持っているかが重要になるのです。

【参考URL】

https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/roudou/an-eihou/dl/060331-2.pdf

メンタルヘルス不調における3つの段階とストレスチェックの目的

ストレスチェックの目的①:不調を未然に防ぐための一次予防

一次予防はメンタルヘルス不調を未然に防ぐ段階です。大きな不調に繋がらないためにも、日頃から労働者自身が自分のストレスの具合を把握し、セルフケアとして個人でストレスマネジメントを行うきっかけになります。
また効果的な一次予防にするためには、労働者がセルフケアの視点を持つことだけでなく、事業者が職場環境改善の視点から会社全体のストレス状態を把握し、職場としてのストレスマネジメントを行います。
事業者がストレスチェック制度を実施する際に目的を理解していないと、ストレスチェックをしない労働者が出たり、ストレスチェックを受けることで不安になる労働者が出てしまい効果的な一次予防に繋がりません。
ストレスチェックの実施前には、事業者側が「メンタルヘルス不調を未然に防ぐために行う定期的なチェックである」と労働者に明言しておくことが大切です。

【参考URL】

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-1.pdf

ストレスチェックの目的②:早期発見で適切な措置を取るための二次予防

二次予防はメンタルヘルス不調がある労働者を出来るだけ早期に発見し、適切な対策を講じる段階です。
高ストレス者が重大な疾患になる前に周囲に相談出来ることや、必要に応じて専門機関へ受診することによって重大な精神障害になることを防ぎます。
また事業者側は高ストレス者に対して、業務負担の軽減や休職を取るなど就業上の適切な措置を取ることでメンタル不調の悪化を防ぐことができます。
メンタルヘルス不調は早期の発見であればあるほど、短期間の治療で改善することが見込めます。
発見が遅れた場合は改善に時間がかかってしまうことが多く、事業者と労働者の双方にデメリットになるので、本格的な不調になる前に対策を打つことが重要です。

ストレスチェックの目的③:労働者の治療と職場復帰、再発防止のための三次予防

三次予防とは、メンタルヘルス不調により働けなくなった労働者が職場に復帰できるよう支援を行い、再度ストレスによる不調を起こさないように防止する段階です。
労働者がメンタルヘルス不調により休職した場合、医師などの専門家による適切な治療を経て職場復帰するできることを目標にします。
さらに復職後に再休職にならずに継続して働けるように、労働時間や職場環境などを合わせて対策を行なっていく必要があります。

目的を理解した上で全労働者が受験できるように配慮する


全労働者が受験できることがストレスチェックを効果的にするために重要です。そのためにストレスチェックの目的や手順を、事業者だけでなく労働者が以下の点を理解していることが望ましいです。

  • ストレスチェックの目的はメンタルヘルス不調を未然に防ぐためであること
  • ストレスチェックは国家資格を持つ産業医や保健師(実施者)が行うこと
  • 高ストレスの場合は医師による面接指導など問題解決につながる取り組みがあること
  • ストレスチェックの結果は理由なく第三者(事業者を含む)に開示されることはないこと

特にストレスチェックを行うことが出来るのは国家資格をもつ産業医や保健師などであり、ストレスチェックの結果は仕事上の評価などには全く関係しないことを明言しましょう。
その上で事業者は労働安全衛生法で定められたストレスチェック実施者のもとで検査を行い、受験した労働者は実施者の評価のもとで自身を取り巻くストレスについて知ることがこの制度の目的です。
そして、努力義務である「集団分析」を実施する際は、全労働者が受験できる環境作りをしていくことが分析結果を効果的なものにするためにも重要です。

【参照URL】

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150709-1.pdf

ストレスチェック制度の目的を理解して職場環境改善に繋げる


厚生労働省の労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアルでは、ストレスチェック制度に対する基本的な考え方として、以下のように記されています。
「引用」

事業者は、ストレスチェック制度が、メンタルヘルス不調の未然防止だけでなく、従業員のストレス状況の改善及び働きやすい職場の実現を通じて生産性の向上にもつながるものであることに留意し、事業経営の一環として、積極的に本制度の活用を進めていくことが望ましい。

ストレスチェック制度は労働者を取り巻く職場環境からメンタルヘルス不調を防ぐために効果的な制度です。しかし労働者だけのための制度ではなく、この制度により労働者の能率が上がることは会社全体の大きなメリットに繋がります。したがって義務化されたから実施するのではなく、事業経営の一環として職場環境改善の絶好の機会と捉えてストレスチェック制度を活用しましょう。

【参照URL】

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-1.pdf

鈴木 健太
監修者
鈴木 健太(すずき けんた)
代表取締役/医師・産業医

1989年、東京都国立市出身。2009年、筑波大学医学部へ入学。
在学中にKinesiology, Arizona State Universityへ留学し、医学・経済学・人文学等を学ぶ。
卒後は国立国際医療研究センターで勤務医として働く。
予防医療の重要性に気づき、帝京大学公衆衛生大学院で健康経営を研究しつつ、産業医として多くの企業を担当する。