ストレスチェック実施者とは?誰がなれる?やるべきこととは何かを解説

日付2020.09.16
更新日:2022.03.31

ストレスチェックをおこなうためには実施者が必要となりますが、実施者にはどんな人を選定するといいのでしょうか。
また、実施者のおこなう業務はどのような内容になっているのでしょうか。さまざまな点からストレスチェックの実施者について見ていきたいと思います。

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ストレスチェック実施者とは?


労働安全衛生法で、常に50人以上の労働者がいる事業所には、ストレスチェックをおこなうことが義務とされました。
ストレスチェックをおこなうためには、実施者が必要となります。実施者の業務の内容、誰を実施者に選ぶといいのか、実施者選びのポイントはなんでしょうか。

ストレスチェック実施者になれる人とは

ストレスチェックの実施者には誰でもなれるわけではなく、労働安全衛生法で定められた資格を持っている人に限られます。
医師、保健師の資格を持っている人は無条件でストレスチェックの実施者になることができます。
そのほか、看護師、精神保健福祉士、歯科医師、公認心理師も実施者になることができますが、これらの資格の人は厚生労働省が定める研修を受ける必要があります。
複数の資格者がストレスチェックの実施者になれるとされていますが、厚生労働省の『労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル』には、「事業場で選任されている産業医が実施者となることが最も望ましい」とされています。
ストレスチェックの結果をもとに職場環境の改善をするとき、職場の状況に詳しい産業医が介入するほうが効率的だからです。
ストレスチェックを受ける労働者の人事権を持つ監督的地位にある人は、実施者になるための資格を持っていても実施者になることはできません。
実施者はストレスチェックの結果を把握するため、人事に影響しないようこのように定められています。

ストレスチェック実施者研修とは

医師、保健師以外の人がストレスチェックの実施者になるには厚生労働省の定める研修を受ける必要がありますが、どのような研修なのでしょうか。
研修は、厚生労働省に指定された団体などがおこなっており、複数の企業や団体が開催しています。指定された団体の研修であれば、どの団体の研修を受けても問題ありません。
どの団体でも1回きりの研修ではなく、数回に渡って研修を開催しています。
研修では、ストレスチェック制度に関わる内容について受講します。研修自体は1日程度であることがほとんどで、受講証明書も発行されます。
研修場所は首都圏に限らず、各地でおこなわれています。開催場所やスケジュールについては、厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課産業保健支援室で確認することができます。
事業所によっては、産業医以外に労働者の健康や職場環境について相談できる産業保健スタッフを導入しているところもありますが、産業保健スタッフがストレスチェックの実施者に必要な資格を取得してあり、厚生労働省指定の研修を受けた場合には実施者に選任することも可能です。
ストレスチェックは50人以上の労働者がいる事業所で実施することが義務とされていますが、実施者となる医師は不足しているようです。
そのため、医師、保健師以外の特定の資格を持った人であれば、研修を受けてストレスチェックの実施者として、ストレスチェックが行えるようにようにされています。

ストレスチェック実施者の選び方


厚生労働省の『労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル』には、「事業場で選任されている産業医が実施者となることが最も望ましい」とされていますが、産業医がメンタルヘルスに詳しくない、ストレスチェック後の面接の実施が難しいなどの理由で、産業医以外にストレスチェックの実施者を依頼したい場合もあるかと思います。

産業医以外を実施者にする場合

ストレスチェックの実施者には、メンタルヘルスに関して専門的な知識が求められます。産業医以外をストレスチェックの実施者にするときには、どのような注意点があるのでしょうか。
ストレスチェックの実施は事業所の義務ですが、ストレスチェックの業務の一部を外部に委託することが可能です。実際に、ストレスチェックを外部委託している事業所もあります。
厚生労働省のマニュアルでは、実施者には職場の状況を理解している産業医を推奨しています。
しかし先程述べたように、実施者にはメンタルヘルスに関する専門的な見地が求められます。産業医がこの業務に向いていない場合には、メンタルヘルスに関して専門的な見地が述べられる実施者と、職場の状況を理解している産業医を共同実施者としておくことをおすすめします。

外部機関に委託する場合は産業医を共同実施者に

産業医を共同実施者としたほうがいい理由としては、

・ストレスチェックの結果、高ストレスと判定された従業員から面接指導の申し出があった場合には、産業医が面談指導を実施しなくてはならない
・ストレスチェック本来の目的である労働者のストレスを軽減するための職場環境の改善には産業医との連携が必要

などが挙げられます。

共同実施者となったときには、ストレスチェックの実施に関わってくることが求められますが、どの程度関わっていればいいのでしょうか。
その疑問については、厚生労働省のストレスチェック制度関係Q&Aを確認するといいでしょう。
共同実施者となった産業医は、外部委託した機関と連携してストレスチェックをおこなうことが求められます。
質問票の作成、高ストレス者の基準を定めるなどがあります。その他に、ストレスチェックの結果で医師との面接が必要かどうか判断する際にも関わる必要があります。
外部委託でストレスチェックをおこなう場合には、委託先と産業医の連携ができていることが重要になってきます。
ストレスチェックの外部委託を検討しているときには、まず産業医に相談してみるといいかもしれません。

ストレスチェック実施者の役割

厚生労働省のストレスチェック実施マニュアルで実施者の役割については以下のように定められています。

・事業者がストレスチェックの調査票の内容を決めるにあたり、事業者に対して専門的な知識をもとに意見を述べること。
・事業者が高ストレス者を選定する基準や評価方法を決めるにあたり、事業者に対して専門的な知識をもとに意見を述べること。
・個人のストレスの程度の評価方法に基づき、医師による面接指導を受けさせる必要があるかどうかを判断すること。
・個人のストレスチェック結果を当該労働者に通知すること。

このようにストレスチェックの実施者は、事業者が調査票の項目、高ストレス者の評価方法などを決めるときに専門的なアドバイスをすることが求められています。
実施者のほかに実施事務従事者という人を選任し、実施者の指示のもと業務に当たってもらうことも可能です。実施事務従事者は実施者の補助をおこなう存在となります。
調査票の配布、記入後の調査票の回収、労働者への結果の通知など、ストレスチェックに関わる事務的な作業を担当します。

ストレスチェック実施者がいない場合の対応方法

ストレスチェックの実施者について解説してきましたが、どうしても実施者に選任する人が見つからないという事業所では、どのような対応をしたらいいのでしょうか。
ストレスチェックは実施者がいなければおこなうことができません。
ストレスチェックの実施は義務となっており、ストレスチェックの実施しないことへの罰則はありませんが、ストレスチェック実施後の労働基準監督署への報告をしなかった場合には、50万円以下の罰金となることもあります。
ストレスチェックの実施が義務となる事業所では、適切な実施者を選任してストレスチェックを実施する必要があります。
実施者の選任について迷ったときには、産業医に相談する、ストレスチェックの委託を受けている機関に問い合わせするなどしてみましょう。

鈴木 健太
監修者
鈴木 健太(すずき けんた)
代表取締役/医師・産業医

1989年、東京都国立市出身。2009年、筑波大学医学部へ入学。
在学中にKinesiology, Arizona State Universityへ留学し、医学・経済学・人文学等を学ぶ。
卒後は国立国際医療研究センターで勤務医として働く。
予防医療の重要性に気づき、帝京大学公衆衛生大学院で健康経営を研究しつつ、産業医として多くの企業を担当する。