メンタルヘルス・ストレスチェック

ストレスチェックの費用は?費用相場や使える助成金・コストを抑える方法も解説

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更新日:2023.02.20

メンタルヘルス不調を未然に防ぐために50人以上の事業場で義務化されたストレスチェック。いざ調査を実施する際に、気になるのが何にどのくらいの費用がかかるのかです。
「対象になる労働者の人数でどのくらい費用が変わるのか?費用を抑えるためにできる工夫はあるのか?」など費用についての疑問は多いかと思います。
今回はストレスチェックに関わる費用についての疑問を解説していきます。

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ストレスチェックの費用相場はどのくらいになるの?


法令に基づくストレスチェック制度は、ストレスチェックと面接指導の組み合わせが基本です。
厚生労働省では、事業者がストレスチェック制度をスムーズに行うことができるよう、厚生労働省版ストレスチェック実施プログラムを無料で提供しています。
しかし、職業性ストレス簡易調査票(57項目)と簡略版である23項目版の調査票しか設定されておらず、事業場が業務内容や職場環境に合わせて質問を増やすことができません。
またストレスチェックを実施するまでの環境構築は事業者が行う必要があります。
各事業場が独自の質問を追加したり環境構築にかかる手間を軽減するために、ストレスチェックに関する業務を外務の専門業者に委託する場合の相場はどのくらいかかるのか知っておきましょう。
ストレスチェックに関する業務は1人あたり300円〜1,500円程度、また面接指導は30分〜60分で15,000円〜50,000円程度が外部委託する際の相場です。
またストレスチェックの費用については、事業所の規模、職場環境に合わせた追加の質問内容、職場環境改善のために努力義務で行う集団分析を実施するかなどによって費用は変わります。

【参考URL】

https://www.chubu-ishikai.or.jp/kensin_center/wp-content/uploads/2019/03/61_siryo_03_ryoukinhyo.pdf

ストレスチェック費用の多くは人件費

ストレスチェックを実施するには、多くの工程で人件費が発生します。主にかかる人件費は下記のものです。

  • ストレスチェックの実施方法についての審議
  • 調査票(質問票)の作成
  • 高ストレス者へ面接指導申出に関する書類
  • 実施者によるストレスチェック実施
  • 産業医などによる高ストレス者への面接指導
  • ストレスチェックの結果をもとにした集団分析
  • ストレスチェックや面接指導の保存

このように実際にはストレスチェック自体にかかる費用より、高ストレス者の人数によって変動する面接指導の費用、受験結果の長期的な保存にかかる費用、集団分析にかかる費用などにより、当初より費用がかさむことがあります。
ストレスチェックの結果、実施者により高ストレス者と判定される割合は全体の10%〜15%です。全国労働衛生団体連合会の報告書によると、高ストレス者は平成30年で受験者の14.4%、前年度平成29年は13.6%で高ストレス者の割合が上がっている結果になっています。
高ストレス者と判定された労働者は医師による面接指導を受けることが望ましいとされていますので、ストレスチェック制度の予算として面接指導にかかる費用を見込んでおく必要があります。

【参考URL】

http://www.zeneiren.or.jp/cgi-bin/pdfdata/20190925114437.pdf

ストレスチェックの費用はどこまで事業者負担になるの?


ストレスチェックの実施は事業者の義務であり健康診断などと同じ福利厚生に含まれるため、実施にかかる費用は全て事業者負担です。
そのため会計処理する時にはストレスチェックにかかった費用を福利厚生費として損金計上できます。
またストレスチェックの結果、実施者により高ストレス者と判定された労働者が医師による面接指導を受ける場合、面接指導にかかった費用も事業者が負担します。
ストレスチェックで事業者が負担すべき費用とは、福利厚生費に該当する「全ての従業員が対象」かつ「常識の範囲内」の金額です。

【参考URL】

https://www.altpaper.net/qa/qa-439/

高ストレス者に対する面接指導の費用は誰が負担するのか?


ストレスチェックの結果、実施者により高ストレス者と判定された労働者が面接指導を希望した場合、高ストレス者に面接指導を受けさせるのは事業者の義務になります。
そのため医師による面接指導にかかる費用も事業者が負担すべきです。
またストレスチェックや面接指導を行う際の賃金の支払いについては、労働者と使用者が協議して決定します。
しかし、労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアルでは、労働者の健康を確保することは円滑な運営に不可欠であるので、賃金を支払うことが望ましいとされています。
高ストレス者が面接指導を希望している場合、事業者都合の理由で医師による面接指導を行なわなかったり、面接指導の実施を推奨しない場合は、労働者の権利侵害に当たります。
ストレスチェックだけでなく、面接指導も法令に定められた事業者の義務ですので、面接指導の申し出があった場合は必ず実施しましょう。

【参考URL】

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-1.pdf

そのほかにストレスチェックに関して事業者が負担する費用


ストレスチェックの目的はメンタルヘルス不調を未然に防ぐ一次予防を行うことです。
したがってセルフケア研修会やコミュニケーション研修会、カウンセラーや相談者の設置・運営費用など、メンタルヘルス不調を防ぐための費用は全て事業者負担になります。
ストレスチェックは法令により定められた事業者の義務であり、健康診断と同様に労働者の心身の健康を守るための調査ですので、それを理解した上で必要な費用と捉えましょう。
また、職場での強い心理負担がメンタルヘルス不調に繋がり精神障害を発症したと労災認定されると、事業者は労働者に対して休業補償の責任を負います。そうなっては事業者と労働者のどちらもプラスになりません。
精神障害や労災認定を防ぐためにもストレスチェック制度をしっかり活用し、日頃からメンタルヘルス不調を予防しましょう。

【参考URL】

https://www.chubu-ishikai.or.jp/kensin_center/wp-content/uploads/2019/03/61_siryo_03_ryoukinhyo.pdf

ストレスチェックで労働者が負担する費用はあるの?


労働者が高ストレス者と判定された場合、医師による面接指導にかかる費用は事業者負担になるので労働者の負担はありません。
しかし面接指導において医師から専門機関への受診を勧められ治療を行うことにした際の費用は、事業者負担ではなく高ストレス者判定された労働者本人の負担になります。
また専門機関受診の際にかかった交通費など、専門機関受診にかかる他の費用も労働者の負担です。面接指導後の専門機関受診は健康診断後の病院受診や治療と同様に捉えると理解しやすいです。

ストレスチェックの助成金制度について


平成27年より始まったストレスチェックの助成金制度です。平成29年の改正以前、50人未満の事業場は「他の小規模事業場と団体を構成する」と言う条件があり、ストレスチェックを行いにくいのが現状でしたが、改正以降はこの条件がなくなり50人未満の事業場でも気軽にストレスチェックを行えるようになりました。
ストレスチェックの助成金を受けるのには、5つの条件があります。
”引用

  • 労働保険の適用事業場であること。
  • 常時使用する従業員が派遣労働者を含めて50人未満であること。
  • ストレスチェックの実施者が決まっていること。
  • 事業者が産業医資格を持った医師と契約し、ストレスチェックに係る医師による活動の全部又は一部を行わせること。
  • ストレスチェックの実施及び面接指導等を行う者は、自社の使用者・労働者以外の者であること。

【参考URL】

https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1391/Default.aspx

条件を満たす事業場が受け取れる助成金の上限は下記の通りです。

  • 労働者1人あたり500円
  • 1事業場の産業医1回の活動で21,500円(上限3回)

小規模の事業場であるからこそ労働者ひとりひとりの健康を守ることは大切です。
助成金は常時働く労働者数が50人未満であることや、ストレスチェックを外部委託することなどが前提になりますが、条件に当てはまる事業場は積極的に助成金制度を活用しましょう。

ストレスチェック費用を抑えるにはどうしたらいい?


自社でストレスチェックのためのシステムを開発したり外部の医師に実施者や面接指導の依頼を行うと、事業場の人数や業務内容などに関わらず多額の費用がかかります。
また制度担当者や実施者を社内スタッフが担うとしても、ストレスチェックを実施する際に追加の人件費がかかるでしょう。
そこでコスト削減とスムーズなストレスチェック実施のために外部委託する事業場が増えています。
事業場の規模やストレスチェックの内容など、各事業場に適切な条件のサービスを選択することでストレスチェックの費用を抑えることが可能です。
委託先のサービス条件によっては、個人結果表をストレスチェック担当者が封入する必要がある場合もあります。
外部委託する際は事業場の求める対応や工程がサービスプランに含まれているか、また個人情報保護などに配慮したストレスチェックが実施できるかなどの比較、確認することをおすすめします。

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鈴木 健太
監修者
鈴木 健太
医師/産業医

2016年筑波大学医学部卒業。
在学中にKinesiology, Arizona State University留学。
国立国際医療研究センターでの勤務と同時に、産業医として多くの企業を担当。
2019年、産業医サービスを事業展開する「株式会社Dr.健康経営」を設立、取締役。

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