メンタルヘルス・ストレスチェック

メンタルタフネスとは?ビジネスで重要視される背景やメリット・高める方法などを解説

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更新日:2022.11.21

メンタルタフネスとは、メンタル面の強さを表す言葉です。ビジネスを行う上でストレスに直面する機会も多く、メンタルタフネスに注目する企業が増えています。

本記事では、メンタルタフネスの意味やビジネス上で重要視されている背景、メリットなどを解説します。メンタルタフネスを高める方法や、メンタルが強い人、弱い人の特徴なども解説しているので、人事採用に携わる企業の責任者・担当者の方はぜひ参考にしてください。

メンタルタフネスとは

メンタルタフネスはネガティブな感情にとらわれず、解決のための前向きな行動を実行できる考え方のことです。以下では、メンタルタフネスの意味やビジネスで重要視されている背景を詳しく解説します。

メンタルタフネスの意味

メンタルタフネスは精神力の強さを表す言葉で、生まれ持った性格ではなく努力次第で習得できるスキルです。ストレスとどのように向き合えばいいのか具体的な方法を学ぶことで誰でも習得できます。

メンタルタフネスが鍛えられると、さまざまな問題やトラブルが発生したときでも、ストレスに心が押しつぶされにくくなります。またネガティブな感情によって目の前の仕事が手につかなくなったり、問題の解決策を見つけられなかったりすることもなくなるため、業務を円滑に進められるでしょう。

従業員のメンタルタフネスが高まれば、個人の生産性向上やメンタルヘルスの強化だけでなく、組織全体の生産性の向上にもつながります。

メンタルタフネスがビジネスで重要視される背景

メンタルタフネスは近年、ビジネスで重要視されています。企業がメンタルタフネスに注目している理由は、社員一人ひとりが目指すべき目標に向けてキャリアパスを考慮する必要があるからです。

日本は終身雇用制度によって労働者の安定的な仕事や収入を維持してきました。しかし近年の少子高齢化やグローバル化などをはじめとする時代の変化によって、求職者に有利な売り手市場になりつつあります。企業は求職者にとって魅力的な会社であることをアピールする必要があり、従来のような年功序列による評価ではなく、社員の実績や経験、スキル、ストレス耐性などを総合的に評価するようになりました。

社員が昇進や収入アップを目指すためには仕事で成果を上げなければならず、強いストレスと向き合う必要性が出てきたことによって、メンタルタフネスが重要視されるようになったのです。

メンタルが強い人の特徴

メンタルが強い人の特徴
社員のメンタルの強さやストレス耐性を見極めることができれば、メンタルタフネスの習得がスムーズに進められます。まずは社員の特徴を把握するためにも、メンタルが強い人の特徴を確認しておきましょう。

ポジティブな考えを持っている

ポジティブな思考でいられることはメンタルが強い人に共通する特徴の一つです。メンタルが強い人は、初めての仕事や実力以上の対応が求められる難易度の高い仕事を任された場合でも、「自分の成長につながるからチャレンジしてみよう」と前向きな姿勢で対処できます。

またメンタルが強い人は精神的な余裕があるため、ミスをしてしまったときには、「ミスを取り返すためにはどうすればいいのか」「同じミスをしないためには何に気を付ければいいのか」など、困難な状況を改善する道筋を自分で探せます。

自分のことを理解している

メンタルが強く、メンタルタフネスといえる人は、自分自身のことを理解しています。例えば、どのようなときにストレスを感じやすいのか、プレッシャーを感じたときにはどのようにすればいいのかを知っています。

また自分に合ったストレス発散方法などを見つけることが得意です。自分のことを理解しているため、落ち込んだときにもすぐに気持ちを切り替えられたり、初めて対峙する仕事でも過去の経験則から見通しを立てられたりと、自分なりに「リスクを最小限に抑えるためにはどうすればいいのか」と、常に思考を巡らせることができます。

周りの意見や評価に振り回されない

メンタルに強い人は自分の考えや信念を持っているため、他人からのネガティブな評価や意見に振り回されにくいです。自分と他人とは違うことを認めているため、自分のことを他人に理解してもらえなくても落ち込みにくいといえます。

評価されることを恐れずに仕事に取り組めるため、生産性を落とさずに業務を進めやすいでしょう。また、他人からの評価を気にせずに誰とでも対等に付き合えるため、チームメンバーや他部署との連携が必要な仕事にも向いています。

メンタルが弱い人の特徴

社員の中には、メンタルが弱い人もいるかもしれません。メンタルが弱い社員がいる場合、上司や同僚などによるサポート体制が必要です。

ネガティブな感情にとらわれやすい

メンタルが弱いタイプの人に共通する特徴は、ネガティブな感情にとらわれやすいことです。ミスをしたりマイナス評価をされたりすると落ち込みやすく、いつまでもネガティブな感情をひきずってしまう傾向があります。

本来は、ミスと人間性は切り離して考えるべきことですが、メンタルが弱いタイプの人は「ミスをする自分はダメな人間」と、仕事の評価と人間性を一緒にとらえてしまうケースが見られます。また気持ちを切り替えることが苦手なため、叱責したり強いプレッシャーを与えたりすると、本来の能力を発揮できないでしょう。

周囲の意見や評価を気にしすぎる

メンタルが弱いタイプの人は、他人からの評価や意見を必要以上に気にしてしまいやすい傾向があります。自分に自信を持てないため、自分の考えや信念を貫き通すことが苦手です。例えば多数決を取る際など、自分の考えよりも周囲の意見に同調してしまうケースが見られます。

また客観的な視点で自己評価できないため、他人からの評価を素直に受け入れがちです。自分の考えを持てないことで、上司からの指示がないと業務を進められない人も少なくありません。周囲の意見や評価を気にしすぎるあまり、他人に依存してしまうケースが多いです。

自己肯定感が低い

自己肯定感が低いこともメンタルが弱いタイプの人に共通する特徴の一つです。自己肯定感はありのままの自分を認め、尊重できることを指します。自己肯定感が低いと承認欲求が強くなったり、他人と比較して落ち込んだりしやすくなります。

自分と他人の実力を客観的に評価できないので、「Aさんはできるのに、なぜ自分はできないのだろう」とネガティブな感情にとらわれやすいです。自分の評価が下がることを恐れて無難な対応になりやすく、自分で決断すべきことを他人に委ねてしまうケースも多く見られます。

メンタルタフネスが企業に与える影響

社員のメンタルタフネスが高まると、従業員エンゲージメントが向上したり、会社全体の生産性が上がったりと、さまざまなメリットを得られます。以下では、それぞれのメリットを詳しく解説します。

従業員エンゲージメントの向上につながる

メンタルタフネスが高まると、従業員エンゲージメントが向上します。従業員エンゲージメントとは、企業に対する信頼や貢献意欲のことです。メンタルタフネスを鍛えることで、一人ひとりが日々の業務の中で感じるストレスに上手に向き合うことができるようになったり、自分と他人との違いを受け入れられるようになったりします。

その結果、自分の意見を相手にはっきりと伝えられるようになるため、社員同士のコミュニケーションの活性化につながるでしょう。社内で円滑なコミュニケーションが取れるようになれば、職場内の人間関係に関するストレスの軽減も期待できます。

組織の生産性が上がる

社員のメンタルタフネスが高まれば、組織全体の生産性を上げることが可能です。メンタルタフネスが鍛えられることでストレス耐性が強化され、メンタルヘルスの不調を感じることも少なくなるでしょう。メンタル面の不調で休職、離職する社員を減らせることで、人手不足の解消につながります。

また社員は自分で考えて積極的に業務に取り組めるようになるため、個人の生産性が向上し、結果的に組織の生産性を押し上げることにもつながります。会社全体の生産性が向上すれば、売上や利益の上昇も見込めるでしょう。

メンタルタフネスを高める方法

メンタルタフネスを高める方法
社員のメンタルタフネスが高まることで企業に良い影響を与えます。社員のメンタルタフネスを高めるには、マイナスな行動を減らす、自分自身の特徴を自覚するなど、実践しやすいことからチャレンジしてもらうことが大切です。メンタルタフネスを高める方法について以下で詳しく解説します。

マイナスな行動を減らす

メンタルが弱いタイプの社員が自己嫌悪に陥ったり、他人と比較して落ち込んだりした場合は、いかにネガティブな思考でいる時間を短くするのかが重要です。社員がマイナスな影響を与える行動を減らし、少しでも早く回復できる行動を取らせるように導きます。

ただし、深く落ち込んでいる社員を無理やりポジティブ思考に切り替えさせようとしても逆効果になる場合があるため注意が必要です。まずは落ち込んでいる社員がリラックスできる環境に身を置き、自分自身と向き合うための行動を考える時間を作る必要があります。

例えば、社員が仕事やプライベートの相談ができる環境を整備したり、勉強会などでネガティブな思考と向き合うための方法を伝えたりするのも良いでしょう。

自分自身の特徴を自覚する

メンタルを鍛えるためには、社員自身が自分の特徴を理解しておく必要があります。自分の得意・不得意を自覚していなければ、不得意な状況に陥るのを未然に防ぐことができず、いつまでも「自分にはできない」などのネガティブな思考から逃れられないかもしれません。得意・不得意などの自分の特徴を再認識することで、不得意な状況にならないように事前に対策することもできるでしょう。

企業にできる方法としては、社員の適性などを考慮した人員配置を行うことです。スキルに合った部署に配属したり、人間関係が合わない社員同士を別の部署にしたりすることで社員は本来の能力を発揮しやすくなる可能性があります。

メンタルタフネス度を高めて強い組織づくりを

メンタルタフネスは、困難な状況でもマイナス感情に振り回されずに解決に向けた行動を起こせることを指します。どのような状況に置かれてもポジティブな考えを持つことができ、自分自身の特徴をよく理解しているため、他人の意見や評価に振り回されにくいです。

社員のメンタルタフネスを高めることで、従業員エンゲージメントや会社全体の生産性の向上につながります。ただし、社員にポジティブ思考を無理強いすれば逆効果になるため、まずは自分自身の特徴を自覚してもらい、マイナスな行動を減らせるように周囲がサポートしながら、メンタルタフネスを高めて強い組織づくりを目指しましょう。

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鈴木 健太
監修者
鈴木 健太
医師/産業医

2016年筑波大学医学部卒業。
在学中にKinesiology, Arizona State University留学。
国立国際医療研究センターでの勤務と同時に、産業医として多くの企業を担当。
2019年、産業医サービスを事業展開する「株式会社Dr.健康経営」を設立、取締役。

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