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【セミナーレポート 2020/7/31】 「テレワークに関する、キャリアコンサルタントと産業医の役割・連携について」
コロナによるテレワークが進む中、従業員のメンタル不調が問題視されてきております。
そこで、2020年7月31日に3社共催のWEBセミナーを開催させて頂きました!
今回は、株式会社電算の西田様の進行のもと、産業医とキャリアコンサルタントの目線から様々な質問に対してパネルディスカッションをいたしました。
登壇者:
株式会社Dr.健康経営(代表・医師 鈴木健太)
株式会社ジャパンEAPシステムズ(代表・キャリアコンサルタント 松本桂樹)
株式会社電算(西田慶)
西田:
産業医はどのような仕事をしているのですか?
鈴木:
産業医の仕事は、働く人が病気にならないための予防をすることです。そのために、働く人本人だけでなく、同僚や上司との関係、会社のルール、組織の風土、働く環境、またはご家族や友人といったプライベートなこと、病気を診ている主治医など、本人を取り巻く様々なステークホルダーを把握します。そして各ステークホルダーと上手く連携し、業務のパフォーマンスが最も上がり、かつ健康を害さずに働けるようお手伝いをしています。
産業医の主な仕事は、個々に対する健康増進と組織に対する体制作りの2つです。
①個々の健康増進については、体調が悪くなった際に面談をしますが、病気を治すわけではなく、不調の兆しを早く見つけて個別に対応していきます。
②組織に対する体制作りとは、会社の健康管理体制のルールを作ることや、労災が起きた、過重労働によるメンタル不調が起きた、といった時の対応を行います。また、快適な職場を作るために会社の中を回る職場巡視をして、安全面、健康面、環境面などの改善点をアドバイスしていきます。そのほかには様々なテーマでの健康講和、休職復職のフォローアップ、健康診断結果確認、ストレスチェック実施、社内研修など多岐にわたります。
西田:
新型コロナウィルスの前と後で産業医の仕事に変化はありましたか?
鈴木:
「見えない」というリスクに対して、会社はしっかりと対策をしていく必要があるという点がコロナの前後で大きく違います。テレワークなどで働き方が多様化して、より社員を実際に目で見られない環境となったことで、今まで以上に心という見えない部分をより意識しなければならないことが、大きな変化だと思っています。
西田:
今回急速に普及したテレワークに関して、どのような役割を担っていくことになりますか?また、どのような関わり方になりますか?
鈴木:
産業医としての役割は、個人の健康の自己管理を促進するというところと、組織の健康の管理体制を構築するというところとなります。
関わり方については、不調者の早期発見早期対応の個別支援をオンラインで実施してきます。月1回訪問時の対面面談ではなく、人事部門と不調者情報の連携を密に行い、「至急オンライン面談をしてください!」といったニーズに対しても柔軟に対応していくことが必要だと思っています。
西田:
新しいコミュニケーションツールとし、オンラインは役立っているのでしょうか?また、どのようなサポートをしていますか?
鈴木:
衛生委員会は法律で実施が決められているものなので形骸化しがちですが、テレワークが進み50人以下の会社でのメンタルの対応や産業医契約の問い合わせ、しかもそれを「全部オンラインでやってほしい」というお問い合わせは増えています。
今後、働き方や環境の変化に対して、今ある法律や形を変えていき、より会社のためになるように社員と会社の健康、よりイキイキと働くことをゴールに、いろんなステークホルダーが連携して不調者の問題を解決していくことが大事です。そのために人事部門をハブにして、メンタル面の重めは産業医、軽めはキャリアコンサルタントみたいな、形が作れたらいいなと思います。産業医としてはここまでできました、情報提供はしますので、ここからはそれぞれが解決してください、と問題を切り分けていけるといいなと思います。ただ中小企業だと産業医は月1回しか来ない、キャリアコンサルタントはいない場合が多く、そもそもその形を作れない。もしその形を作ったとしても産業医側が面倒くさがって嫌がるという問題もあるのかな、と思います。
適応症障害などのメンタル疾患がいい例で、実際の症状の問題だとか、主治医とどうなっているか、治療状況に問題ないかなどは我々産業医が担います。ただ、適応障害は、環境に適応できないから障害が出るものなので、原因を取り除く、解決するには環境を変えるのがセオリーなので、職場の環境を変える、人間関係を変える、という部分は専門家の人事部門やキャリアコンサルタントにバトンタッチとなります。
西田:
管理職として、部下の様子がおかしいな、と気づかないといけないポイントはどういったところになりますか?
鈴木:
人の様子の変化を分類すると3つあって、
①身体の異変
②心の異変
③行動の異変
となります。身体の異変というのは、頭が痛い、おなかが痛い、というもので周りから見ていても気づきにくいです。心の異変も、最近やる気が出ないなぁとか、寝れないなぁという気持ちの上げ下げについてもまわりから見ていてもわかりにくいです。管理職としてアンテナ張ってほしいのは、行動の異変、言動がおかしいとか、遅刻欠席が増える、服装が乱れる、といったことは、メンタル不調の早い段階でのサインになりますので、こういった典型的なサインを適切にキャッチし、共有していくことが大事になります。
ただ、テレワークという働き方は同じ空間で仕事をしないので見えない。メールとか電話って情報量に限界があるので、テレビ電話とか、見える形でのテレビ会議の設定をどんどんしていったほうが私はいいと思います。
西田:
産業医とキャリアコンサルタントが連携をするにあたってどんな課題が見えてきましたか?
鈴木:
人事部門を中心に連携できる形を作りましょうという話がありました。もしその形を作ったとしても、対応してくれる先生がいるのかという産業医側の課題があると思うんです。私は、産業医の選任に一番大事なのは、産業医歴が長いとか精神科の専門であるっていうことよりも、とにかくいろんなステークホルダーとコミュニケーションを一緒に取っていけるかっていう、一択に尽きると思います。足りない分は企業から先生これはどうですか、って聞けばいいと思います。
早期発見の方はまた別で、同じ場所で働いていないからこそ、表情の乱れとか、どこで気づいたらいいのかとか、定量化見える化っていうことのが非常に難しいと思っていますし、テレワーク下での産業医側の課題かなと思っています。
西田:
キャリアコンサルタントと産業医がうまく役割分担し、連携してしっかりとコミュニケーションをとることや、メンタル不調対策に当たっていくことが重要となるのですね。
▼録画形式ということもあり、たくさん方々にご参加・視聴いただくことができました。
ご参加いただいた方々、どうもありがとうございました!
弊社では定期的にセミナーを開催しておりますので、また次回もご参加ください!