ストレスチェック集団分析とはどんなもの?やり方、目的について解説

日付2020.09.16
更新日:2021.12.24

ストレス社会と言われている現代、耳にすることの多い「ストレスチェック」という言葉ですが、どのようなものなのでしょうか。
職場で受けたことのある人も、詳しい目的を理解せずなんとなく受けていることもあるかと思います。おこなわれる目的や活用法などについて解説します。

そもそもストレスチェックとは

ストレスチェックは、「労働安全衛生法に一部を改正する法律」で新たに創設され、2015年12月1日からは従業員50人以上の職場では定期的におこなうことが定められました。
労働者のストレスの蓄積によるメンタルヘルスの不調を未然に防ぐために導入されました。

ストレスチェックの目的とは

ストレスチェックをおこなうことで、労働者のストレスの度合いを調べ、本人にその結果を通達することで、自分自身のストレスの状態を知ることがストレスチェックの目的です。
ストレスが高い場合には、医師との面談をおこなうなど、メンタルヘルスの不調を未然に防ぐための改善を図ります。
ストレスチェックの結果は、実施者である医師や保健師などから直接本人に通達され、本人の同意なしには企業に知らされることはありません。
ストレスチェックの実施者には守秘義務があります。プライバシーがきちんと守られていること、不正な目的では利用されないことで、労働者が安心してストレスチェックを受けられるようにします。
ストレスチェックは、企業が労働者のストレスの状態を把握するためにおこなうと思われがちですが、労働者自身が自分自身のストレスに気付くためにおこなわれます。

実施方法はどのようなものか

企業から配布された質問票に回答していきます。質問票に指定はないのですが、

・ストレスの原因に関する質問事項
・ストレスによる心身の自覚症状に関する質問事項
・労働者に対する周囲のサポートに関する質問事項

が含まれている必要があります。厚生労働省のホームページに国が推奨する質問票があるので、それを使用することもできます。
第3者や企業で人事権を持つ人が記入後の質問票の内容を見ることは禁止されています。記入後の質問票は、医師などのストレスチェックの実施者によって回収され、評価されます。

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ストレスチェック集団分析とは?


ストレスチェックの結果について、集団分析というものがありますが、これはどのようなものなのでしょうか。
ストレスチェック自体は個人ごとにおこないますが、職場内で同じ部署であったり、同じような環境で働く人など、各職場などで結果を集計し、全体の統計データとして傾向を分析したものがストレスチェックの集団分析です。
ストレスチェックで個人のストレスの状態を評価し、本人がストレスの状態に気付くことが目的ですが、ストレスの原因となっている職場の環境を改善する必要もあります。
個人の結果は、本人の同意がなければ企業側が内容を知ることができません。
そのため、個人としての情報ではなく、個人が特定されない全体のデータを利用して職場環境の改善に活かすために、集団分析が利用されているのです。

ストレスチェック集団分析の進め方


ストレスチェックの集団分析は、ストレスチェック制度で必ずしもおこなわなくてはいけないものではありませんが、職場環境の改善のために実施することが推奨されています。
ストレスチェックの集団分析は、どのようにしておこなわれるのでしょうか。

分析結果の開示範囲

集団分析でのデータは個人が特定されないため、企業の上層部だけでなく、実施に関わった職員全員はもちろん、他の部署の人も閲覧することができるようになっています。
そのようにすることで、それぞれの職場全体の中でどのような問題点があるのかを共有することができ、「自分の部署と比較してどうなのか」と、部署ごとのあり方を考えることができます。
個人の情報ではなく集団の情報として共有されることで、企業も各労働者がどのようなストレスを抱えているのかを知ることができます。
部署ごとにおこなわれた場合には、それぞれの部署が抱える問題点を知ることができます。

集団分析の結果の取り扱い

集団での結果は誰もが閲覧することが可能となりますが、それだけにストレスチェックの集団分析の結果の取り扱いについては注意が必要となります。
企業ごとにルールを取り決め、閲覧できる範囲を制限している場合もあります。
集団分析についても、集計は実施者がおこない、結果を企業に提出します。
個人の結果とは違い、10人以上の労働者がストレスチェックを受けていれば、受けた人の同意がなくても企業は集団分析の結果を受け取ることができます。
ストレスチェックの結果の保存期間は、労働安全衛生法で5年と定められています。集団分析の結果についても、同じく5年となっています。
集団分析は職場の環境改善のためのデータで、経年変化を見ていくためにも5年の保存期間が必要となります。

職員全員が受けることが前提

ストレスチェックの集団分析の結果は職場環境の改善のために活用されるので、職員全員がストレスチェックを受けることが前提となります。
一部の人の結果だけではデータに偏りが出てしまうことが考えられるため、職場全体としてのストレスの状況を知る必要があります。
企業がストレスチェックをおこなうことは義務とされていますが、労働者のストレスチェックの受検は強制ではなく拒否することもできます。
ストレスチェックは、メンタルヘルスの不調の予防や職場の環境改善のために必要であることを労働者に周知し、理解してもらうことが大切です。
言われたからストレスチェックを受けているというのではなく、環境の改善につながっているという実感を持ってもらうことのできるように取り組んでいく必要があります。

ストレスチェックの集団分析のメリット

集団分析のメリットは、労働者は個人情報が守られていることや、企業は労働者の抱えるストレスについて偏りのないデータを得られているということでしょう。
集団分析の結果をきちんと職場改善に活用することで、労働者も企業もさらにメリットを得ることができます。

職場環境の整備による一次予防

職場の環境が整い、ストレスの少ない環境で働けることは、労働者にとっては心身ともに負担が少なく、仕事への満足感に繋がります。
ストレスが悪化し、うつ病などのメンタルヘルスの不調をきたす前に対処する一次予防の目的でストレスチェックは導入されています。
職場環境を改善していくためには、労働者のストレスの原因、どんな環境を望んでいるかということを理解することが必要です。
ストレスチェックの集団分析はそれを知ることができるメリットがあります。
職場環境の改善は、労働者にとっては働きがいを感じることができるメリット、企業にとっては安定した人材確保ができるというメリットがあります。

プライバシーの保護

ストレスチェックを受ける人にとっては、プライバシーの保護がされているかということは、とても重要なことです。
集団分析では個人の特定ができないということが何よりのメリットですが、受検者数が少ないと個人が特定されてしまうことがあります。
そのため、10人以上の受検者が必要とされています。受検者数が10人に満たないときの結果については、個人の結果と同じく、企業側への結果の提出には本人の同意が必要となります。
ストレスチェックのメリットを活かしていくためにも、労働者には個人情報がしっかりと保護されているということ、受けることの必要性を理解してもらい、積極的にストレスチェックを受けてもらえるようにしていきましょう。

鈴木 健太
監修者
鈴木 健太(すずき けんた)
代表取締役/医師・産業医

1989年、東京都国立市出身。2009年、筑波大学医学部へ入学。
在学中にKinesiology, Arizona State Universityへ留学し、医学・経済学・人文学等を学ぶ。
卒後は国立国際医療研究センターで勤務医として働く。
予防医療の重要性に気づき、帝京大学公衆衛生大学院で健康経営を研究しつつ、産業医として多くの企業を担当する。