ストレスチェック制度の目的とは?義務となる企業や対象者は?

日付2020.09.16
更新日:2022.03.31

労働安全衛生法の改正で義務付けられたストレスチェック。
初めてのストレスチェックを実施するなら「なぜストレスチェックをするの?」「何から初めていいの?」「誰が対象になるの?」など様々な疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
そんな何かと気になるストレスチェックについて、実施ルールや罰則など知っておくべき制度の概要を解説します。

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ストレスチェックとは?


ストレスチェック制度は労働安全衛生法の改正により義務づけられた、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐための調査です。
労働者のストレス環境を定期的にチェックすることで、労働者は自身のストレスの状態に気づきセルフケアを行ったり、高ストレス者と判定された場合は医者に相談するなどして、メンタルヘルスの本格的な不調の予防に努めます。
事業者はストレスチェック制度を労働者のメンタルヘルス問題に取り組むきっかけとし、ストレスチェックの結果を踏まえて、労働環境の改善に繋げます。
ひとりひとりの労働者がストレスなく心身ともに健康に働くことで、職場全体の能率が上がるなど、会社全体にプラスになるようストレスチェック制度を活用していくことが望ましいです。

【参考URL】

https://stresscheck.mhlw.go.jp/material.html

ストレスチェック制度の義務化について

ストレスチェック義務化の背景

職場のストレスが原因で起こるメンタルヘルス不調は、ここ数年増加傾向にあり事業者が早急に取り組むべき深刻な問題になっています。
厚生労働省により発表された”過労死等の労災補填状況”によると、精神障害での労災補償請求件数は平成30年で1,820件、前年の平成29年と比べて88件の増加でした。
しかしこのような由々しき問題である労働者のストレス状態に対して、残念ながら事業者からの積極的な対策は多く見られませんでした。
このような大変な状態である労働者のメンタルヘルス不調の問題に対し、事業者が取り組むきっかけになるようストレスチェック制度は義務化されました。

義務化対象になる企業の条件と罰則について

ストレスチェックが義務になる企業は労働安全衛生法第66条10に準じて、「常時50人以上の労働者がいる事業場」になります。
また、労働安全衛生法によって義務づけられているストレスチェックは、実施しなかったことに対する罰則はありませんが、労働安全衛生法第100条で労働基準監督署に報告することが義務づけられています。
したがって、ストレスチェックの結果を報告しなかった場合、義務を怠ったことになり50万円以下の罰金が課せられます。

義務化の対象にならない企業のストレスチェック

常時働く労働者が50人以下の事業場は、ストレスチェックの結果報告も義務ではありませんので罰則もありません。
しかし常時働く労働者の数に関係なく、複数の人間が働く環境には労働内容や人間関係によりストレスが生まれます。
したがって労働者の人数に関わらず、定期的なストレスチェックを実施することは、働きやすい職場にする上で意味があることだと言えます。
ストレスチェック制度の目的を理解した上で、事業経営の一環としてうまく活用するのが望ましいです。

高ストレス者に対する事業者の義務

ストレスチェックの結果高ストレス者と判定された労働者は、医師による面接指導を受けることが可能です。
高ストレス者の労働者から医師による面接指導の申し出がなされた場合、事業者は面談の実施が義務になり、申し出から1ヶ月以内に実施しなければなりません。
費用を削減する目的などで面談を行わなかったり、面接指導の申し出を出せないような対応をした場合は、労働者の権利侵害になります。

【参照URL】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05400.html
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/h29-46-50b.html

【関連記事】

義務化されたストレスチェックに罰則はある?導入時の注意点を解説

ストレスチェックの目的


ストレスチェック制度の目的はただ単純にメンタルヘルス不調に陥っている労働者を見つけることではありません。
労働安全衛生法改正後に義務付けられたストレスチェック制度の目的は、労働者が自分自身のストレス状態に早い段階で気づき、メンタルヘルス不調に繋がらないようセルフヘアの視点を持つきっかけになること。
また事業者が職場全体のストレスを把握することで、会社全体としてストレスマネジメントの視点を持つこと。
このようにメンタルヘルス不調を未然に防ぐための一次予防になることが、ストレスチェック制度の目的です。

【関連記事】

ストレスチェックの目的とは?メンタルヘルス不調の一次予防で職場環境改善に繋げよう

ストレスチェックの対象者


ストレスチェック制度導入ガイドによると、対象者になる労働者を決める基本的な考え方として、下記のように定められています。
「引用」

  • 期間の定めのない労働契約により使用される者(契約期間が1年以上の者並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者及び1年以上引き続き使用されている者を含む。)であること。
  • 週労働時間数が、当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。

したがって、パートやアルバイト、契約社員でもストレスチェックの対象になる可能性が高く、対象者に対しての認識に注意が必要です。
また、外国人労働者や長期海外出張者も一定の基準を満たしている場合は義務の対象になります。出向者や派遣社員に関しては、賃金支払いなどの実態からの判断していきます。
また事業者は、休職者、雇用予定者など基準を満たしていない者や役員など事業者に当たる者に対して、ストレスチェックを受験させる義務は事業者にはありません。
ストレスチェック対象者について、派遣労働者や出向者に関しては少々複雑ですが、派遣元と派遣先、出向元と出向先の事業者が実態を総合的に判断し、集団分析を含めストレスチェックの実施が意味のあるものになるよう決める必要があります。

【参考URL】

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/160331-1.pdf

【関連記事】

ストレスチェックの対象者は?常時使用する50人に含まれる労働者について解説!

ストレスチェックの実施者


ストレスチェックを実施できるのは、ストレスチェックを受験する労働者の人事権を持たず、国家資格をもつ産業医、保健師、厚生労働大臣が定めた研修を受けた看護師などに限られており、ストレスチェック制度の役割としては「実施者」と呼ばれます。
事業者は法廷で定められたストレスチェック実施者のもとで、労働者に対して調査票などを用いて検査を行います。
また事業場をよく知る産業医が実施者になることが望ましいとされており、多くの企業や団体では、ストレスチェックの実施者として産業医に依頼することが求められます。
このように選出された実施者の評価のもとで受験した労働者は高ストレス者の判定を受けます。

【参照URL】

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150709-1.pdf

【関連記事】

ストレスチェック実施者とは?誰がなれる?やるべきこととは何かを解説

ストレスチェックの質問票について


ストレスチェックの3種類の質問項目とは?
ストレスチェックを行う上で、質問事項は下記の3領域が含まれている必要があり、この3領域の質問を点数化し評価することで高ストレス者を判定します。
3領域を含んでいること、科学的な根拠があることが調査票に必要な要素で、この2つが守られていれば、職場の特性上のストレスを測る質問などを追加しても問題はありません。

・仕事のストレス原因(ストレッサー)に関する質問項目
・ストレスによる心身の反応や自覚症状に関する質問項目
・労働者に対する周囲のサポートに関する質問項目

厚生労働省が推奨する57項目の質問票

ストレスチェックを行うための質問票は特に指定されていませんが、質問票を準備するのが難しい場合は、国が推奨する「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」を活用しましょう。
「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」は、ストレスチェックの質問票に必要な3領域がバランスよく含まれ、集団分析を実施する上でも効果的とされているため、ストレスチェック指針でも推奨されている質問票です。
質問票は「57項目の職業性ストレス簡易調査票」のほか、「23項目の簡略版調査票」や「80項目の新職業性ストレス簡易調査票」があります。
仕事のモチベーションやハラスメントについても調査できる80項目は近年多くの企業から注目を集めいています。
また質問数が少なく手短に実施できる23項目の質問票でも、必要な3領域を満たしているので問題ありません。事業場に適切な質問票を用いて効果的なストレスチェックを行いましょう。

【参考URL】

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150709-1.pdf
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/dl/stress-check_j.pdf

鈴木 健太
監修者
鈴木 健太(すずき けんた)
代表取締役/医師・産業医

1989年、東京都国立市出身。2009年、筑波大学医学部へ入学。
在学中にKinesiology, Arizona State Universityへ留学し、医学・経済学・人文学等を学ぶ。
卒後は国立国際医療研究センターで勤務医として働く。
予防医療の重要性に気づき、帝京大学公衆衛生大学院で健康経営を研究しつつ、産業医として多くの企業を担当する。