健康経営・職場改善

ホワイト500とは?認定を受けるメリットや認定に必要な条件・申請方法を解説

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更新日:2023.02.21

近年、健康経営に意欲的に取り組む企業が増えてきました。少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や、働き方改革による労働環境の多様化を受け、企業は労働生産性を向上したり、従業員の雇用を維持したりする上での環境づくりを迫られています。

健康経営は従業員の健康を経営資源の一つと捉え、健康維持を促進させる取り組みです。健康経営を行う企業にとって、健康経営優良法人やホワイト500、ブライト500の認定取得は重要な指標となります。ホワイト500などの認定は「従業員を大切にする会社」に与えられるものであり、投資家などへの企業イメージが高まったり、採用が有利になったりと、さまざまなメリットを得ることが可能です。

この記事では、ホワイト500の概要や認定取得のメリット、認定基準や具体的な事例などを解説します。

ホワイト500とは?

経済産業省の認定制度「ホワイト500」の概要と、名称の似た認定制度である「ブライト500」との違いについて解説します。

ホワイト500の概要

ホワイト500とは、特に優れた健康経営を実践している企業に対して、経済産業省が与える認定のことです。2016年に創設された「健康経営優良法人認定制度」には、大規模の企業を対象とした「大規模法人部門」と、中小規模の企業等を対象とした「中小規模法人部門」の2部門があり、ホワイト500とは大規模法人部門に該当する企業のうち、上位500法人に与えられる認定のことです。

法人の業種と従業員数によって、大規模法人部門と中小規模法人部門のどちらかに分類されることとなります。ホワイト500の該当する大規模法人部門では、従業員数は卸売業で101人以上、小売業で51人以上、医療法人・サービス業で101人以上、製造業・その他の業種で301人以上などと定められています。

ブライト500との違い

ホワイト500が健康経営優良法人認定制度の大規模法人に与えられる認定であるのに対し、ブライト500は中小規模法人部門で上位500法人に与えられる認定です。ブライト500の認定要件は、健康経営に即した経営理念や組織体制が整っており、従業員の心身の健康に配慮した具体的な取り組みを行っていることなど、ホワイト500と重なる要件も多くみられます。

ただしブライト500では、健康経営の評価項目を満たしていることに加えて、地域に対して健康経営の取り組みについての発信を行っていることも、認定要件の一つとされています。

(引用:経済産業省ヘルスケア産業課. 「健康経営の推進及び「健康経営銘柄2021」「健康経営優良法人2021」について」.2021年, 出版年, https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/1_METI_R2kenkoukeieikensyoseido_setsumei_shiryo.pdf?_fsi=PRsJA8nR
, (2021年11月12日参照)

そもそも健康経営とは

健康経営とは、経営的な視点から従業員の心身の健康状態に配慮し、健康増進に向けた戦略的・実践的なアプローチをとっていくことです。健康経営の視点では、従業員の健康は重要な経営資源の一つと考えます。健康の保持や増進は将来的には企業全体の収益性を高めていくための投資であるというのが根本的な考え方です。

従業員の心身が健康な状態であれば、医療費が削減されるだけでなく、従業員のパフォーマンスの向上にもつながるでしょう。従業員の活力や生産性が向上すれば組織全体としての活性化がもたらされ、企業としての業績向上や株価向上につながると期待されています。健康経営は、企業と従業員の双方にとってメリットのあるアプローチです。

ホワイト500に認定されるには健康経営優良法人の認定が必要

ホワイト500の認定を受けるには、健康経営優良法人認定制度の大規模法人部門に認定され、なおかつ上位500以内にランクインする必要があります。そのため、ホワイト500の認定を希望する場合には健康経営優良法人としての認定を目指します。

健康経営優良法人とは?

健康経営優良法人とは、経済産業省から「健康経営を実践していること」を認定された法人を示します。2017年より始まった健康経営優良法人認定制度は、優良な健康経営に取り組む法人の「見える化」を行うためのものです。認定された法人は企業情報が公開されるので、株主や一般消費者らにも広く知られることとなります。

従業員 や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として評価されるため、社会的評価の向上が期待できます。単に企業イメージがよくなるだけでなく、金利や融資の優遇措置を受けられたり、助成金を得られたりすることも、健康経営優良法人のメリットといえるでしょう。

(引用:経済産業省ヘルスケア産業課. 「健康経営の推進及び「健康経営銘柄2021」「健康経営優良法人2021」について」.2021年, 出版年, https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/1_METI_R2kenkoukeieikensyoseido_setsumei_shiryo.pdf?_fsi=PRsJA8nR
, (2021年11月12日参照)

健康経営優良法人の認定要件

健康経営優良法人認定制度の大規模法人部門で、要件を満たした法人のうち、健康経営度調査の上位500社がホワイト500として選出されることとなります。認定要件としては、大項目、中項目、小項目に分類され、各評価項目の詳細が定められています(下図参照)。

引用元:経済産業省. 「健康経営銘柄2022選定及び健康経営優良法人2022(大規模法人部門)認定要件」, 2021年, https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeieiyuryohojin2021_chushokibo_ninteiyouken.pdf, (2021年11月12日参照)

大項目は、
1.経営理念
2.組織体制
3.制度・施策実行
4.(健康経営の推進に対する)評価・改善
5.法令順守・リスクマネジメント
の5つで、ホワイト500の認定を受ける企業は、「3.制度・施策実行」以外ではすべての評価項目を満たしている必要があります。なお「3.制度・施策実行」の評価項目は13項目以上を満たさなければなりません。

一例として、「2.組織体制」では産業医・保健師の関与が求められており、質の高い産業医を確保することが大切です。また、「3.制度・施策実行」については従業員の健康診断の受診率100%や、50人未満の事業場においてもストレスチェックを実施すること、感染症予防やメンタルヘルス不調者への対応、喫煙率低下のための取り組みなどが評価されます。

なお、中小規模法人向けの認定であるブライト500でも、上記5つの大項目の要件を満たす必要があります。

健康経営が求められている背景

健康経営への注目が高まっている背景として、従来の終身雇用制度が生み出した長時間労働や、サービス残業の常態化した労働環境への反省があります。それらについて解説します。

ブラック企業の存在

ブラック企業とは、労働者に無理を強いることで利益を上げている企業のことです。厚生労働省のホームページでは、ブラック企業の特徴として、極端な長時間労働やノルマを課したり、サービス残業やパワーハラスメントが横行したり、そのような状況下で労働者に過度の選別を行ったりすることなどが具体例として挙げられています。

(参考:労働条件移管する総合情報サイト 確かめよう労働条件|厚生労働省. 「Q&A「ブラック企業」ってどんな会社なの?」. https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/qa/roudousya/zenpan/q4.html, (2021年11月12日参照.)

これまで日本では、正社員を採用から定年まで雇用し続ける終身雇用制度を採用する企業が多くみられました。結果として、一つの会社で定年まで尽くして働くという傾向が強くなり、ブラック企業の出現へとつながった経緯があると考えられています。

ブラック企業ではときに理不尽ともいえる過酷な労働を迫られることで、従業員の身体の健康やメンタルヘルスが損なわれる事態も問題視されてきました。ブラック企業をなくして健全な経営体制を取り行うためにも、健康経営が求められています。

長時間のサービス残業

長時間のサービス残業は、これまで日本の多くの企業で慣例的に行われてきたものでした。しかし、就業時間を越えて無賃金で労働させることは、健全な経営体制とはいい難いものです。

原則として1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えて労働させた場合、会社が割増賃金を支払うことが定められており、法定労働時間を超えて労働しているのに残業代が支払われないのならば違法な状態といえます。みなし残業制(固定残業制度)をとっている企業についても、あらかじめ設定された残業時間を超過した分の残業代を支払わなければなりません。

長時間労働が常態化すれば、従業員は満足に休養を取ることができず、心身の疲労が蓄積します。業務に支障をきたし、生産性の低下をもたらすこととなるでしょう。従業員が働けなくなれば、企業にとっても損失となります。これらの問題を解消するためにも、健康経営が求められています。

ホワイト500の認定を受けるメリット

ホワイト500の認定を受けた企業は、次の5つのメリットを得ることができます。

企業のイメージアップにつながる

ホワイト500の認定を得られれば、企業のイメージアップにつながるでしょう。なぜなら、ホワイト500が経済産業省によって企画運営されているため、信頼性が高い認定制度といえるからです。

ホワイト500の認定企業は、経済産業省のホームページの「認定法人一覧」で公開されるため、社会的にも「健全でホワイトな会社である」「従業員の健康に配慮できている優良な企業である」と高く評価される機会を得ます。健康経営によって業務向上が期待できる企業というイメージが広まれば、投資家から好まれて株価上昇につながる効果も期待できるでしょう。

採用や雇用維持に役立つ

ホワイト500の認定は、採用時の強力なアピールポイントにもなります。ホワイト500の認定を受けた企業は、採用希望者に「従業員を大切にする優良な企業」という認識を与えるためです。世間でブラック企業の問題点が注視され、「ブラック企業に勤めたくない・辞めたい」という声が多い中、ホワイト500の認定企業に人気が集まることが期待できます。

また、健康経営で従業員の健康増進に投資すると、雇用維持の観点からも効果的といえます。従業員の心身の健康を維持・増進が叶えば、心身の健康を損ねるリスクが減少し、体調不良による休職・離職の抑止力となるでしょう。離職者が減れば、代替する人材を確保する必要性がなくなるため、採用に関する手間や費用を抑えることにつながります。

生産性の向上につながる

ホワイト500の認定取得を目指すことは、各従業員の生産性向上にもつながります。なぜなら、健康経営優良法人の中でも上位500以内に属するホワイト500の法人は、特に高いレベルでの健康経営が実践できているため、従業員が健康を損なうリスクが低いといえるためです。

従業員が心身ともに充実した状態であれば、高いパフォーマンスとモチベーションを期待でき、組織全体の活性化にも寄与します。従業員が「この会社は自分を大切にしてくれている」という認識を持てると、企業への帰属意識や愛社心も高まるでしょう。

優遇措置を受けられる

ホワイト500やブライト500を含む健康経営優良法人として認定されると、さまざまな優遇措置を受けることが可能です。自治体や地方銀行、保険会社などによる健康経営優良法人認定制度へのインセンティブ措置は増加傾向にあります。

例えば自治体による入札参加資格の等級格付けに加点されたり、地方銀行や信用金庫からの融資の際に金利が優遇されたりと、全国的に健康優良法人に対するインセンティブは広がりを見せています。ホワイト500を含めた健康優良法人認定制度は2017年に始まったばかりのものであり、今後ますます認知度が高まっていくでしょう。広く認知されるにつれて、今後さらに優遇措置の拡大が期待できます。

従業員の健康を維持できる

ホワイト500の認定を受けるには、健康経営の方針を社内外に発信したり、従業員の健康に関する具体的な取り組みを行ったりすることが必須です。例えば、ワークライフバランスを促進し適切な働き方を実現させるための取り組みや、メンタルヘルスで不調を訴える従業員への対応、喫煙率の低下への取り組みや受動喫煙対策、事業場におけるストレスチェックの実施などが求められます。また、事業場50人以上ではストレスチェックは義務となりますが、50人未満でもストレスチェックの実施が認定要件の一つとなっています。

これらの取り組みを実践する中で、働きやすい労働環境が整っていくため従業員の健康維持につながるのです。

ホワイト500の申請方法

企業がホワイト500を取得するには、経済産業省の担当部署へ申請し、要件を満たしているという認定を受ける必要があります。以下に、具体的な申請方法をお伝えします。

ホワイト500の対象となる法人の条件

ホワイト500の対象となる法人は、健康経営優良法人の「大規模法人部門」に分類される法人です。業種ごとに従業員数の条件が定められており、この人数を満たす必要があります。

・卸売業:101人以上
・小売業:51人以上
・サービス業:101人以上
・製造業・その他:301人以上
・特定非営利活動法人:101人以上
・医療法人・社会福祉法人・健保組合等保険者:101人以上
・商工会議所・商工会・財団法人・社団法人:101人以上
・公法人、特殊法人(地方公共団体、公団等):301人以上

この人数に満たない場合には「大規模法人」に分類されないので、ホワイト500を取得することは不可能です。その場合は「中小規模法人部門」の対象となるため、ブライト500の取得を目指すことができます。

ホワイト500の申請と手続き

ホワイト500の申請と手続きの流れは次の5ステップです。

1:健康経営度調査を提出する
経済産業省が毎年8月から10月頃に実施する「健康経営度調査」に回答し、日本健康会議認定事務局に提出します。

2:経済産業省からのフィードバックシートが返送される
健康経営度調査の結果を受けて、11月頃にフィードバックシートが返送されてきます。認定基準に達していると判断された場合には、ホワイト500の申請書類が同封されています。なお、ホワイト500の認定基準は健康経営優良法人大規模法人部門の、上位500以内の法人です。

3:申請書類の提出を行う
フィードバックシートに同封されている申請書類を、主な保険者と連名で日本健康会議健康経営優良法人認定委員会事務局宛てに提出します。

4:健康経営優良法人認定委員会による審査が行われる
提出後2ヶ月程度は審査期間となり、認定基準に達しているか、健康経営優良法人認定委員会が審査を行います。

5:健康経営優良法人認定委員会による認定書を授与する
基準に達している場合には、翌年2月に内定となり、3月以降に健康経営優良法人の発表、ホワイト500の認定取得となります。

なお、時期は年度によって異なる可能性があるため、最新の情報を経済産業省ホームページから確認することをおすすめします。(参考:経済産業省ホームページ. 「健康経営優良法人の申請について」. https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenkoukeiei_yuryouhouzin_shinsei.html入手先URL, (2021年11月12日参照)

ホワイト500企業の取り組み事例

ホワイト500の認定を受けている企業の取り組み事例を3件紹介します。

JTBグループ

JTB国内グループ企業28社は、健康経営優良法人2021のホワイト500認定企業であり、2019年から3年連続で認定を取得しています。心身の不調に対するオンライン面談を含めた相談窓口の設置や、産業医・保健師からの健康情報の発信、デジタル技術による従業員の健康状態の可視化などの取り組みを実施しています。

JTBグループは日経WOMENの「女性が活躍する会社BEST100 女性活躍推進部門1位&総合7位」、マイナビ・日本経済新聞社の「就職人気企業ランキング 文系総合1位」(ともに2020年)といった外部調査でも高い評価を受けており、健康経営が企業価値の向上に寄与しているといえるでしょう。(参考:JTBホームページ. 「3年連続「健康経営優良法人2021 ~ホワイト500~」に認定~JTBグループの健康経営について~」. https://press.jtbcorp.jp/jp/2021/03/32021-500jtb.html), (2021年11月12日参照).

株式会社ニトリホールディングス

株式会社ニトリホールディングスも、ホワイト500の認定法人です。2016 年の健康経営宣言制定以来、健康経営への積極的な取り組みを実施しており、ホワイト500の初年度である2017年以降、4回目の認定を受けています。

株式会社ニトリホールディングスが推進しているのは、健康保険組合と連携したコラボヘルス事業です。社内研修による健康教育プログラムや、健康関連冊子の発行、健康増進イベントの開催、チーム対抗方式によるウォーキングキャンペーン、配偶者・パート従業員などへの人間ドックの拡大など、さまざまな取り組みを行っています。

従業員の健康を経営資源の一つと考え、会社と労働組合、健康保険組合が一体となって健康づくりを支援する姿勢が評価されています。

(参考:ニトリホールディングス. 「「健康経営優良法人 2021~ホワイト 500~」に認定」. https://www.nitorihd.co.jp/news/items/a4c5b84f60a33abe2addb29c7486f92e.pdf), (2021年11月12日参照).

株式会社NTTドコモ

株式会社NTTドコモは、2019年から3年連続でホワイト500に認定されている企業です。「ラインケア」として管理者を中心としたメンタルヘルス研修を行い、リモートワーク下でも管理者が部下のメンタルの変調などを把握できるパルスサーベイというツールを導入しています。

一般社員が自ら取り組む「セルフケア」として行われているのが、オンライン研修の開催やメンタルヘルス検定資格の取得支援です。メンタルヘルス不調者の早期発見と対応を行うための社内の仕組みづくりや外部相談窓口の設置など、社員が気軽に相談できる環境を提供しています。

また、生活習慣病リスクを把握したり、施策の効果確認を行ったりするために、定期的な生活習慣アンケートの経年比較を行っています。スポーツイベントを定期開催したり、エコ活動を取り入れたりと、社内イベントで社員同士のコミュニケーションを活性化して活気ある職場づくりを支援するための取り組みも豊富です。

(参考:ドコモ・システムズ株式会社. 「健康経営への取組み」. https://www.docomo-sys.co.jp/csr/health_management.html, (2021年11月12日参照).

企業と従業員にメリットのあるホワイト500の認定を目指そう

ホワイト500は、健康経営優良法人「大規模法人部門」の上位500法人に与えられる認定です。ホワイト500を取得すると企業イメージが向上したり、社員エンゲージメントが向上したりといった、多くのメリットを受けることができます。ホワイト500の取得を目指すには、健康経営を実現するための取り組みが必須です。質の高い産業医との連携することも、健康経営には欠かせません。

株式会社Dr.健康経営では、経験豊富な産業医を紹介する産業医紹介サービスを展開しています。プロの産業医が従業員のメンタルや休職復職、衛生委員会の立ち上げまで手厚くサポートいたします。ぜひお気軽にご相談ください。

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鈴木 健太
監修者
鈴木 健太
医師/産業医

2016年筑波大学医学部卒業。
在学中にKinesiology, Arizona State University留学。
国立国際医療研究センターでの勤務と同時に、産業医として多くの企業を担当。
2019年、産業医サービスを事業展開する「株式会社Dr.健康経営」を設立、取締役。

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