ストレスチェックの面接指導についての疑問を解決!面談の進め方や注意点を解説

日付2020.09.16
更新日:2021.12.24

労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐためのストレスチェック制度。調査を実施後、高ストレス者と判定された労働者は医師による面接指導を申し出ることができます。
そんな面接指導について「どこからが面接指導の対象になるのか?誰が面接指導するのか?必ず実施しないといけないのか?」など気になることも多いのではないでしょうか。
そこで今回は事業者側が知っておくべきストレスチェックの面接指導に関する疑問をまとめました。

ストレスチェック後の面接指導とは?

ストレスチェック制度における面接指導とは、実施者によって調査結果が高ストレス者と判定された労働者がメンタルヘルス不調に陥らないよう、産業医などの医師が面談を行うことです。
心身の健康状態や職場環境、勤務内容などを確認し、高ストレス者本人に面接指導を行います。
高ストレス者の判定を受けた労働者は、出来るだけ面談の申し出て医師による指導を受けることが望ましいとされています。

ストレスチェック面接指導はだれが行う?

面接指導は原則として医師との対面で実施すると定められています(労働安全衛生法の第66条)またICTの活用が合理的である場合は、事業者の判断でICTを活用した面接指導を実施することも可能です。
厚生労働省の「労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル」では、職場環境を理解している専属の産業医による面接指導が推奨されています。
また外部委託でも面接指導について理解のある産業医資格を持つ者を実施者とすることが望ましいです。

【参考URL】

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-1.pdf

ストレスチェック面接指導の対象者はだれ?

対象になるのは高ストレス者の面接指導希望者

面接指導の対象になるのは、産業医などの実施者により高ストレス者と判定され医師による面接指導が必要であると認定を受けた労働者で、面接指導を希望する者です。
労働者が事業者に対して面接指導の申し出をしない場合は面接指導を行う義務は発生しません。医師による指導を受けるか受けないかは労働者の自由です。
必ずしも面談を受ける訳ではありませんが、事業者や職場を気にして面接指導の申し出をしないことは、ストレスチェック制度上好ましくありません。

ストレスチェックの高ストレス者を判定する方法は?

高ストレス者を決める基準は、衛生委員会での調査や審議の上で事業者が定めます。
また労働安全衛生法によるストレスチェック制度実施マニュアルによると、高ストレス者判定の基本的な考え方としてストレスチェックの結果が下記に該当している者としています。

・「心身のストレス反応」に関する項目の評価点の合計が高い者
・「心身のストレス反応」に関する項目の評価点の合計が一定以上であり、かつ「仕事のストレス要因」及び「周囲のサポート」に関する項目の評価点の合計が著しく高い者

つまり、周囲のストレス(ストレッサー)により多くの自覚症状がある労働者や、仕事が原因でストレスを感じているが周囲からの支援が少ない労働者が高ストレス者に該当します。

【参考URL】

https://www.mhlw.go.jp/content/000533925.pdf
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150803-1.pdf

ストレスチェックにおいての面接指導は義務?

ストレスチェックの結果により医師の面接指導が必要と判断された高ストレス者から、面接指導を受けたいと申し出があった場合、事業者は面接指導を受けさせることが義務になります。
労働者はストレスチェックの結果を通知されてから1ヶ月以内に面接指導希望の申し出を行い、事業者は申し出から1ヶ月以内に面接指導を実施する必要があります。
高ストレス者に対して面接指導を申し出ることができない状況を作ったり、面接指導の申し出を受けたにも関わらず事業者が面接指導を実施しなかった場合、労働者の権利を侵害することになるので、注意が必要です。

【参考URL】

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150709-1.pdf

ストレスチェックの面接指導の具体的な進め方は?

実施者はストレスの程度、高ストレス者判定、医師による面接指導の必要性などストレスチェックの結果を労働者に通知します。
実施者により高ストレス者の判定を受け、労働者本人が面談を希望した場合、面接指導は行われます。
面接指導をした医師は、労働者の健康や安全に関わる必要な事項のみ事業者に伝えます。事業者は提供された情報をもとに、就業上の適切な措置を講じます。
就業上の措置とは、労働時間の短縮や作業の転換、療養のための休暇などです。
面接指導で聴取した情報のうち就業上の措置に関わることは、労働者の了解なしに事業者に提供することが可能ですが労働者への配慮も必要です。
医師による面接指導の実施後、事業者はストレスチェック受験人数と、面接指導を受けた人数を労働基準監督署に報告します。

面接指導の際に事業者が準備しておくことは?

面接希望者から事前に情報を集める

事業者は面接指導希望の労働者から事前に情報収集しておく必要があります。
労働安全衛生法によるストレスチェック制度実施マニュアルによると、医師が面接指導で参考にする情報は下記の項目です。
また下記で得られた情報とストレスチェックの結果と、かけ離れていることはないかに注意しながら見ていく必要があります。

事前の情報収集
・面談希望の労働者の個人情報(氏名、性別、年齢、所属先の事業場名、部署、役職など)
・ストレスチェックの結果(個人のストレスプロフィールなど)
・ストレスチェックを実施する直前 1 か月間の仕事内容(労働時間、労働日数、業務内容など)
・定期健康診断、その他健康診断などの結果
・ストレスチェックの実施時期が繁忙期と比較的閑散期どちらだったか
・職場巡視での職場環境の状況に関する情報

【参考URL】

https://www.mhlw.go.jp/content/000533925.pdf
https://stresscheck.mhlw.go.jp/download/material/04.pdf

報告書や意見書の用紙を作成

事業者は面接指導の結果を記録として5年間保存する必要があるので、あらかじめ医師に記入してもらうための報告書、意見書の用紙を作成しておくと、面談結果の記録が円滑に行えます。
報告書や意見書には、労働者や医師の氏名を記載する欄など、必須の記載項目がいくつかあるので「報告書・意見書作成マニュアル」を参考にしながら用紙作成をしましょう。

【参考URL】

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/dl/151124-01.pdf

面接指導を行う時間や場所は?

面接指導は原則就業時間内に実施します。通常の健康診断などと同じように、労働者が選択できるよう日時や時間帯を複数設定することが望ましいです。
また、実施する場所は秘密が守られるような配慮が必要です。他の労働者からの目が気にならず、リラックスして面談が受けられる場所が推奨されています。
就業時間外や職場以外で実施する場合は、それにかかる費用や賃金は事業者が負担することが望ましいです。

【参考URL】

https://www.mhlw.go.jp/content/000533925.pdf

面接指導で確認する内容とその後の指導は?

面接指導を実施する医師は、職場が原因のストレス(不安、疲労、抑うつ)の程度や心身の負担を評価します。
事業者から提出された面接指導希望者の個人情報やストレスプロフィールの情報と面談での様子を医学的に判断して、労働者に対して保健指導や専門機関への受診指導など医学上の指導を行います。
また事業者は、医師からの診断書や意見書を参考に労働者に対して今後の就業上の措置について決めます。

【参考URL】

https://www.mhlw.go.jp/content/000533925.pdf

面接指導を行う上での注意点

ストレスチェックと面接指導は、事業者が実施者のもとで労働者に対して行います。そのためストレスチェックの結果等の個人情報は、事業者を含む第三者に知らされることはありません。
しかし高ストレス者判定を受けた労働者が面談を希望した場合は、ストレスチェックの結果や面接指導の内容が必要に応じて事業者に提供されることになります。
面接指導を担当する医師から、面談結果が事業者に提出されることがあることを、労働者へ再度説明することがトラブルを防ぐために望ましいです。

面接指導の結果はどこまで共有される?

面接指導の結果は労働者の大切な個人情報に当たるので、人事労務部門内のみで保有し慎重に取り扱います。
労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアルを参考にした例では、就業上の適切な措置を講じるためなど、職務遂行上必要な情報のみを面接指導を受けた労働者の上司に報告するなどがこれに当たります。

【参考URL】

https://www.mhlw.go.jp/content/000533925.pdf

事業者は結果を記録し保存しなければならない?

事業者は面接指導の結果を作成して、その記録を5年間保存しなければなりません。記録の際には下記の内容を記載する必要があります。

・実施年月日
・当該労働者の氏名
・面接指導を行った医師の氏名
・法第66条の10第5項の規定による医師の意見

【参考URL】

https://www.mhlw.go.jp/content/000533925.pdf

鈴木 健太
監修者
鈴木 健太(すずき けんた)
代表取締役/医師・産業医

1989年、東京都国立市出身。2009年、筑波大学医学部へ入学。
在学中にKinesiology, Arizona State Universityへ留学し、医学・経済学・人文学等を学ぶ。
卒後は国立国際医療研究センターで勤務医として働く。
予防医療の重要性に気づき、帝京大学公衆衛生大学院で健康経営を研究しつつ、産業医として多くの企業を担当する。