メンタルヘルス・ストレスチェック
ストレスチェック結果報告書とは?作成義務や提出先、記入例までまるごと解説
ストレスチェック結果報告書とは、労働者を50人以上使用する事業所で作成・提出しなければいけない書類です。結果報告書の提出は労働安全衛生法で定められた義務であり、怠ると罰則を科せられてしまうため注意が必要です。
本記事では、ストレスチェック結果報告書の提出が義務付けられている事業所や提出時期、書き方まで丁寧に解説します。
最新の変更点や記入例も紹介しているので、自社で結果報告書を作成する際の参考にしてください。
目次
ストレスチェック結果報告書とは?
ストレスチェック結果報告書は、常時50人以上の従業員を使用する事業所で提出が義務付けられている報告書です。正式名称は「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」です。
ストレスチェックを実施したあとは、すみやかに結果報告書を提出することが望ましいとされています。
そもそも、ストレスチェック結果報告書はどのような企業で作成が義務付けられており、どこに提出すればよいのでしょうか。まずは、ストレスチェック結果報告書の概要を解説します。
ストレスチェックについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
ストレスチェック結果報告書の提出は義務付けられている
ストレスチェック結果報告書の提出は、労働安全衛生規則によって定められた事業者の義務です。
【労働安全衛生規則 第52条の21】
常時五十人以上の労働者を使用する事業者は、一年以内ごとに一回、定期に、心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(様式第六号の三)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
ストレスチェック結果報告書を提出しなかった場合や虚偽の申請をした場合は、罰則が科される可能性があります。そのため事業者は、「自社に報告書の提出義務があるのか」「どこにいつまでに提出すればいいのか」など、正しい知識を身につけておくことが大切です。
ストレスチェック結果報告書の作成が必要な事業所
ストレスチェック結果報告書の作成が義務付けられているのは、常時50人以上の労働者を使用するすべての事業所です。事業所の人事総務担当者が「ストレスチェック結果報告書」を作成し、提出することが一般的です。
常時50人以上の労働者とは、派遣労働者やパート、アルバイト労働者も含めた「事業所で常態として使用している労働者」を指します。週1回しか出勤しない労働者も、常時雇用している労働者としてカウントします。
結果報告書は、ストレスチェックや面接指導の実施有無にかかわらず提出しなければなりません。つまり、高ストレス者の面接指導がなかった場合や、ストレスチェックを行わなかった場合でも、常時50人以上の事業所では報告書を提出する必要があるのです。
対して、50人未満の事業所には報告義務が定められていません。とはいえ、ストレスチェックを実施したあとはすみやかに報告書を提出することが望ましいとされているため、可能な限り作成・提出することを心がけましょう。
ストレスチェック結果報告書の提出先
ストレスチェック結果報告書は、事業所を管轄する労働基準監督署に提出します。
企業内で複数の事業所があるときは、事業所ごとに報告書を提出しなければいけません。本社でまとめて提出することはできないため、各事業所で提出先が異なるときは注意が必要です。
なお、ストレスチェック結果報告書は以下の3つの方法で提出できます。
- ・持参
- ・郵送
- ・電子申請
紙で提出する場合は、持参もしくは郵送することになります。なお郵送の場合は、申請書のコピーと切手を貼った返信用封筒を同封しておくと、報告書の控えを返送してもらえます。
電子申請を行う際は、事前のアカウント登録が必要です。利用する場合は、早めに準備しておきましょう。
ストレスチェック結果報告書の提出はいつまで?
ストレスチェック結果報告書は1年以内ごとに1回、定期的に提出する必要がありますが、提出時期に定めはありません。事業年度終了後など、事業所ごとに時期を設定して結果報告書を提出することが可能です。
年間で実施時期を分けてストレスチェックを行っている場合は、1年分をまとめて報告できます。この際、報告書の「検査実施年月」欄には、報告日にもっとも近い検査実施月を記入します。年に複数回のストレスチェックを実施している場合は、そのうち1回分だけを報告すれば問題ありません。
結果報告書には、「面接指導を受けた労働者数」や「面接指導の実施医師に関する事項」などを記載する必要があります。そのためストレスチェック結果報告書は、高ストレス者への面接指導を実施したあとに作成・提出することになります。
ストレスチェック結果報告書の書式と書き方
ストレスチェック結果報告書には、定められた書式と書き方があります。スムーズに提出できるよう、作成方法を記入例とともにみていきましょう。
ストレスチェック結果報告書の書式と記入例
ストレスチェックの報告書(心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書)の書式は、厚生労働省のホームページからダウンロードできます。
労働基準監督署はストレスチェックの報告書を機械で読み取るため、必ずこの様式で提出する必要があります。
また、A4サイズで白色度80%以上の用紙を使用するように指定されています。印刷した用紙をコピーして使用することも不可とされているため注意しましょう。
ストレスチェック結果報告書の記入例は以下のとおりです。こちらと後述する書き方を参考に、報告書の作成を進めていきましょう。
※参考:厚生労働省|心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書
ストレスチェック結果報告書の書き方
ここからは、ストレスチェック結果報告書の具体的な書き方を説明します。機械で読み取りやすくするように、枠からはみ出さないように黒のボールペンで記載してください。
労働保険番号
事業所の労働保険番号を記載します。番号がわからないときは、厚生労働省の労働保険適用事業所システムで調べることが可能です。
検査実施年月
ストレスチェックを実施した年月を記載します。複数の月にまたがってストレスチェックを実施しているときは、報告する日に一番近い実施月を記載します。
事業の種類や名称
名称は正式名称で記載してください。事業の種類は、日本標準産業分類の中分類に沿って記載します。わからない場合は、総務省の検索サイトで調べられます。
検査を実施した者
ストレスチェックの実施者について、当てはまる番号を選びます。当てはまる項目が2つある場合は、代表するものを選んでください。
在籍の労働数
労働者の人数を記載します。ここに記入するのは、検査実施月の末日時点での人数です。
検査を受けた人数
今回報告するストレスチェックを受けた人数を報告します。労働者にとってストレスチェックは義務ではないため、「検査を受けた労働者数」は在籍労働者数より少なくなるケースもあります。
面接指導を受けた人数
ストレスが高いと判定された人は、医師と面接することが推奨されています。ここには、実際に面接を申し出て医師との面接を行った人数を記載します。
集団ごとの分析の実施の有無
ストレスチェックを実施したときに、集団分析をおこなっているかどうかを記載します。集団分析レポートがあれば「1」、ない・不明の場合には「2」と記載します。
産業医の氏名
事業所で選任している産業医の氏名と所属医療機関名、所在地を記載します。産業医がストレスチェック実施者でない場合であっても、産業医の氏名を記載してください。ストレスチェックを産業医以外に依頼している場合も、契約している産業医の氏名を記載します。
「ストレスチェック結果報告書」作成時のポイント
ストレスチェック結果報告書は、以下の3つのポイントを押さえておくとより効率的に作成・提出できるようになります。
- ・厚生労働省の作成ツールを活用する
- ・産業医の押印は不要
- ・電子申請が可能
ここでは、各ポイントの詳細を解説します。
厚生労働省の作成ツールを活用する
厚生労働省では、「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」を提供しています。入力支援サービスは、事前登録なしで利用することが可能です。
このサービスを利用すれば、ストレスチェック結果報告書をインターネット上で作成できます。また、次回作成時に共通部分の入力を省略できるため、報告書作成業務を大幅に効率化できます。
ただし、こちらはあくまで「書類の作成を支援するツール」であるため、提出までワンストップで行うことはできません。インターネット上で作成した書類を印刷し、持参または郵送で提出することになります。
※参考:厚生労働省|労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス
産業医の押印は不要
従来、ストレスチェック結果報告書には産業医の署名捺印が必須とされていました。しかし、令和2年8月28日より署名捺印や電子署名が不要となりました。押印廃止によって企業負担が軽減され、よりスムーズな電子申請ができるようになっています。
ただし、廃止されたのは署名捺印や電子署名だけであり、産業医の氏名や所属医療機関の名称、所在地の記載は以前と同様に不可欠です。産業医などによる面接指導やストレスチェックの実施も、引き続き行う必要があります。
電子申請が可能
ストレスチェック結果報告書は、電子申請することも可能です。
電子申請は、「e-Gov(イーガブ)」から行えます。e-Govは、各府省がインターネットで提供する行政情報の検索や、オンライン申請などの窓口サービスを提供しているポータルサイトです。
e-Govで電子申請を行う手順は以下のとおりです。
2:e-Govアカウントを登録し、ログインする
3:マイページの「手続検索」をクリックする
4:「手続名称から探す」の欄に「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」と入力して検索をクリックする
5:「電子申請に関する注意事項」を確認し、アプリケーションで電子申請を行う
電子申請の詳しい流れは、e-Gov電子申請において画像付きで説明されています。わからないことがあれば確認してみましょう。
※参考:e-GOVポータル「e-Govアカウントの登録方法」e-GOV電子申請「電子申請するか」
ストレスチェック結果報告書を提出しない場合の罰則
ストレスチェック結果報告書を提出しない場合、もしくは虚偽の申請をした場合は、50万円以下の罰金が科されるおそれがあるため注意しましょう。
ストレスチェックそのものを行わなくても罰則は科せられませんが、ストレスチェック結果報告書の未提出や偽造は厳しく処罰されます。常時50人以上の従業員を使用している事業所は、ストレスチェックの実施・未実施にかかわらず必ず結果報告書を提出してください。
ストレスチェックを外部委託している場合の手続き
ストレスチェックは、企業の総務部や人事部が担当するケースがほとんどです。しかし、なかには「担当できる人が限られる」「通常の業務の負担になる」という理由から、外部に依頼している企業もあることでしょう。
ストレスチェックを外部委託している場合、結果報告書の作成・提出手続きはどのように進めればよいのでしょうか。
実は、ストレスチェックはすべての業務を委託できるわけではありません。ストレスチェック結果報告書の作成や提出も、外部委託できない業務のひとつです。必ず自社で行いましょう。
ストレスチェックに関して外部委託できる業務の一例は、次のとおりです。
- ・ストレスチェックの実施
- ・労働者への結果通達
- ・集団分析のデータの集計 など
反対に、「ストレスチェック結果報告書の作成」や「実施の告知」は自社で行う必要があります。「外部委託しているから何もしなくて大丈夫」と、報告漏れが生じないように気をつけましょう。
まとめ
ストレスチェック結果報告書は、常時50人以上の従業員を使用する事業所で作成・提出が義務付けられている書類です。ストレスチェックの実施にかかわらず年に1度提出が必要になるため、忘れずに作成しましょう。
ストレスチェックの実施後は、高ストレス者に対するフォローや職場の環境改善もしっかりと行うことが肝心です。事務作業にばかり気を取られて、ストレスチェックの目的を忘れないように気をつけてください。
ストレスチェックの外部委託を検討している企業や、ストレスチェック結果報告書に関してわからないことがある企業は、ぜひDr.健康経営にご相談ください。プロ産業医が、一社一社のお悩みに合わせた健康経営サポートをご提供いたします。
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