健康経営アドバイザーとは?役割や資格を取得するメリット、取得方法を解説

日付2022.03.30
更新日:2022.03.30
健康経営アドバイザーとは?役割や資格を取得するメリット、取得方法を解説

健康経営の必要性が取り沙汰され、最近では健康経営に関連した資格が創設されています。数ある資格の一つが、東京商工会議所の健康経営アドバイザーです。本記事では健康経営アドバイザーとはどのような役割があるのか、取得すると得られるメリットなどを解説します。

本記事を最後まで読むことで、健康経営アドバイザーの概要はもちろん資格を取得する具体的な方法も把握できるため、ぜひ参考にしてください。

健康経営アドバイザーとは?

健康経営アドバイザーとは?

健康経営アドバイザーは企業の健康経営に関する専門知識を取得できる資格です。健康経営アドバイザー制度は、中小企業で健康経営が普及していない、健康経営を行うための具体的な方法が正しく理解されていないなどの課題を解決するために設けられました。

本章では、健康経営アドバイザーの具体的な役割や産業医との違いを解説します。

健康経営アドバイザーの役割

健康経営アドバイザーが担っている役割は、企業に合わせた課題を見つけることです。企業の課題は規模や業種によって異なるため、現状を把握した上で健康経営につながる課題の抽出を行う必要があります。

課題の抽出後は改善策の提案と具体的な計画を策定する役割も担っています。単に課題を改善するための提案ではなく、改善すると企業にどのようなメリットがあるのかを明示しなければ、経営陣を納得させられません。

策定した計画に基づいて実施した後は評価を行い、必要に応じて改善点などのアドバイスをします。ただし、短期で効果を得られるものと長期間の実施が必要なものがあるため、バランスを考慮した計画の策定・評価を行うことが求められます。

産業医との違い

産業医は事業場で働く全ての従業員に対し、心身の健康をサポートする役割があります。具体的には医学的な視点から、従業員が安心・安全に働けるかを評価し、事業主に指導や助言を行います。

健康経営アドバイザーとの違いは、産業医は労働安全衛生規則の中で設置が定められていることです。50人以上の従業員が働く事業場の場合、産業医の設置が義務付けられています。

また産業医を選任する際は、医師免許の取得だけでなく厚生労働大臣が指定する教育機関で該当する課程を修了している、日本医師会などの産業医研修を受けているなどの要件を満たしている人材を選任する必要があります。

一方で健康経営アドバイザーは法令で義務付けられていません。健康経営アドバイザーは任意で利用するのが一般的です。

産業医と医療機関で働く医師との違いについては『産業医とは?医療機関で働く医師との違いや企業にもたらす導入メリットを解説』を参考にしてください。

健康経営アドバイザーの取得により得られるメリット

健康経営アドバイザーの利用は任意ですが、有資格者が社内にいればさまざまなメリットが得られます。本章では、健康経営アドバイザーの資格を取得した人材がいることで企業が得られるメリットを詳しく解説します。健康経営アドバイザーの資格取得を検討している方は、自身の強みとして活かすことも可能です。

自社に健康経営を浸透できる

健康経営アドバイザーの資格を取得した社員が自社にいれば、健康経営に取り組むための具体的な方法を把握でき、現状をしっかりと理解した上で的確な提案で経営の課題を解決に導くことができます。

健康経営アドバイザーは資格を取得するプロセスの中で健康経営に関連するさまざまな知識を学んでいます。豊富な専門知識を正しく活用できれば、健康経営の目的から外れた取り組みになるのを未然に防げるでしょう。

さらに健康経営アドバイザーの提案や策定した計画を実行すれば、企業全体の健康経営に対する意識を向上させられます。健康経営アドバイザーの在籍は自社に健康経営を効果的に浸透させることができます。

イメージアップにつなげられる

健康経営アドバイザーは、企業や自身のイメージアップにつなげられます。企業が健康経営アドバイザーの在籍を公認すれば健康経営を推進している企業であることを前面にアピールでき、取引先などに安心感を与えられるでしょう。健康経営アドバイザーの資格を取得した人は名刺の肩書きを増やせる上に、自身の提案や説明の訴求力を高めることも可能です。

例えば営業担当者が健康経営アドバイザーを取得した場合、名刺に肩書きを載せることで取引先の担当者との信頼関係を築きやすくなります。また健康経営アドバイザーが持つ専門知識を用いることで、説得力のある提案や説明を行えるようになるため、商談などの交渉を有利に進められるでしょう。

従業員からの信頼を得やすくなる

健康経営アドバイザーの資格を取得した人が健康経営を主導すれば、他の従業員からの信頼を得やすくなります。従業員の中には従来の方法を好み、新しい取り組みに対して積極的に関わろうとしない人がいるケースも珍しくありません。健康経営に関する知識を持たない人が新しい取り組みを実行しようと試みても、説得力がないため従業員の信頼は得られにくいです。

一方で健康経営アドバイザーの資格を取得した人であれば、なぜ健康経営の推進が必要なのか、従業員一人ひとりにどのような行動が求められるのかを分かりやすく説明できます。結果的に、従業員からの信頼を得やすくなるため、健康経営の取り組みを進めやすくなります。

健康経営アドバイザーになるには?

健康経営アドバイザーになるには?

健康経営アドバイザーの資格を取得するには、資格取得のための条件を満たした上でテストに合格する必要があります。本章では、健康経営アドバイザーの概要や受験資格、申し込み方法、難易度などを詳しく解説します。健康経営アドバイザーの資格の取得を目指している方はぜひ参考にしてください。

資格の概要

健康経営アドバイザーは、経済産業省から委託された東京商工会議所が創設した健康経営に関する資格制度です。資格制度の運営が開始されたのは2016年5月で、比較的新しい資格制度となっています。

健康経営アドバイザーの資格を取得するためには、東京商工会議所が開催する研修を受講する必要があります。研修はオンラインでも開催されているため、試験地から遠方の地域に住んでいる人でも気軽に自宅で受けることが可能です。

初年度の2016年の受講者は7,335人でしたが、これまでに延べ30,000人以上の人が研修を受講しています。受講者が増加傾向にあることから、健康経営アドバイザーへの注目が高まっていることが分かります。

出典:東京商工会議所「健康経営アドバイザーとは」(参照:2022-02-20)

受験資格・申し込み方法

健康経営アドバイザーの研修を受けるための資格は特にないため、誰でも受講できます。受験する際は、東京商工会議所のホームページにアクセスして申し込みましょう。

研修を受講するためには、8,800円の受講料を収めなければなりません。受講料にはテキスト代と動画の受講料、IBT受験料が含まれています。支払方法はクレジットカード払いとコンビニ後払いから選べます。受験の流れは以下のとおりです。

1.受験の申し込み、受験料を納付する
2.研修を受講する(オンライン・オフラインのいずれか)
3.動画視聴後にIBT(効果測定)を実施する
4.合格者は修了証を自身で出力する

また個人の申し込みの他に、5人以上の団体での申し込みも可能です。パソコンだけでなく、タブレットやスマートフォンでも受講できます。

難易度

健康経営アドバイザーの合格率は比較的高い傾向にあるため、安心して受験できる資格です。研修後に実施されるIBT(効果測定)では10問が出題され、4択から回答を選ぶ仕組みです。合格ラインは正答率7割以上のため、10問中7問以上の設問で正解できれば合格できます。

万が一不合格になった場合でも、受験の期間中であれば合格するまでテストを受けられます。テストで一発合格を目指すなら、オンライン研修を集中して受けられる環境を整え、研修の内容をしっかり聞いて知識を身に付けることが大切です。

認定期間があり更新が必要

健康経営アドバイザーの資格は、一度取得したら終わりではありません。定期的に更新する必要があり、認定期間中に更新しなければ資格は失効します。健康経営アドバイザーの資格を更新する場合は、最初の認定日から2年ごとに研修を受講する必要があります。

また更新する際は、8,800円の受講料が発生します。前回受講した研修内容が変更されている場合もあるため、最新の知識を学ぶ姿勢で研修に臨みましょう。研修後は最初の受験時と同様にIBTを受ける必要があります。7割以上の正答率を達成できれば更新できます。

健康経営エキスパートアドバイザーとは?

健康経営アドバイザーの上位資格に、健康経営エキスパートアドバイザーと呼ばれる資格が新たに創設されました。健康経営アドバイザーと同様に、厚生労働省の委託を受けた東京商工会議所から認定を受けられる資格の一つです。健康経営エキスパートアドバイザーは、健康経営アドバイザーよりも具体的なサポートを行うことが求められる資格です。

受験資格

健康経営エキスパートアドバイザーには受験資格があり、資格の所持と実務経験が必要です。健康経営エキスパートアドバイザーを受験できるのは、以下の資格を所持している人です。

・健康経営アドバイザー
・中小企業診断士
・社会保険労務士
・労働衛生コンサルタント
・医師
・保健師、看護師
・管理栄養士
・健康運動指導士

健康経営エキスパートアドバイザーの受験資格を得られる実務経験は、以下のとおりです。

・健康、医療、保健(医療保険者や医療機関、健診機関などでの勤務経験がある)
・経営(経営者や経営企画などの企業経営に携わった経験がある)
・人事労務(人事担当者や労務管理担当者など)
・健康経営(健康経営の普及・支援・実践に携わった経験がある)

出典:東京商工会議所「健康経営エキスパートアドバイザー研修とは」(参照:2022-02-20)

試験内容・難易度

健康経営アドバイザーの難易度はそれほど高くありませんが、健康経営エキスパートアドバイザーは上位資格のため、難易度は高くなります。

健康経営エキスパートアドバイザーの試験は多肢選択式で実施され、50問のうち正答率が8割以上で合格できます。多肢選択式とは複数の選択肢の中から該当する回答を選ぶ試験方式のことです。回答は一つとは限らないことから、健康経営アドバイザーよりも難易度が高いとされています。

健康経営エキスパートアドバイザーの受講料はテキストの発送ありの場合は7,700円で、発送なしの場合は5,500円です。健康経営エキスパートアドバイザーの更新期間は健康経営アドバイザーと同様に2年間のため、更新期限までに受験する必要があります。

まとめ

健康経営アドバイザーは健康経営に必要な知識を備えた資格で、企業の健康経営のために課題を抽出して改善提案や計画策定、指導・アドバイスを行う役割があります。資格を取得した人材が在籍している企業は自社での健康経営を浸透できる上に、イメージアップにつなげられます。

また資格を取得した本人は従業員からの信頼を得やすくなるため、健康経営の取り組みをスムーズに行えるでしょう。取得後は、上位資格の健康経営エキスパートアドバイザーも取得できるため、健康経営の知識を向上させたい方はぜひチャレンジしてみてください。

鈴木 健太
監修者
鈴木 健太(すずき けんた)
代表取締役/医師・産業医

1989年、東京都国立市出身。2009年、筑波大学医学部へ入学。
在学中にKinesiology, Arizona State Universityへ留学し、医学・経済学・人文学等を学ぶ。
卒後は国立国際医療研究センターで勤務医として働く。
予防医療の重要性に気づき、帝京大学公衆衛生大学院で健康経営を研究しつつ、産業医として多くの企業を担当する。