リモハラ(リモートハラスメント)とは?事例や対策を解説

日付2022.05.30
更新日:2022.06.30
リモハラ

新型コロナウイルス感染症の蔓延をきっかけにリモートワークを取り入れる企業が増えました。リモートワークを円滑に進めるためには、リモハラに注意する必要があります。

ここでは、リモートワークを推進する企業の担当者に向け、リモハラの概念や、リモハラを起こさないための対策などを紹介します。リモハラに関して正しい知識を習得しましょう。

そもそもリモハラとは?

リモハラ(リモートハラスメント)は、テレワークの普及により問題視されるようになりました。管理職や部下の区別なく、誰しもがリモハラの加害者や被害者になり得る恐れがあります。以下では、リモハラについての定義と原因を解説します。

リモハラの概要

リモハラとは、リモートワークによるハラスメントです。リモート環境を通じて引き起こされる、セクハラやモラハラ、マタハラなど、あらゆるハラスメントがリモハラになります。また、リモハラは、テレワークハラスメント(テレハラ)、オンラインセクハラ・パワハラと呼ばれる場合もあります。

リモハラは、管理職が加害者になるとは限りません。例えば、リモートワークに欠かせないITツールに不慣れな人がいると、部下からテクハラ(テクノロジーハラスメント)を受ける場合があります。

相手の気持ちを考えて行動しないと、予期せずリモハラを引き起こしてしまいます。リモハラをしないよう、全社員に気を引き締めてもらいましょう。

リモハラの主な原因

リモハラは、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに社会問題になりました。リモートワーク特有の環境により引き起こされるのがリモハラです。

リモートワークでは、プライベートと仕事の区別を付けにくく、不適切な行動を取ってしまう恐れがあります。また、リモート環境では人の目が届きません。気を緩めてしまう結果、不用意な発言や行動にいたる人もいます。

テキストメインのやり取りになる点もリモハラにつながります。テキストでは相手の状況がわかりにくく、悪気はなくても相手を傷つける場合があります。管理職も部下もリモートワークに慣れていなければ、円滑なやり取りが困難になるでしょう。

新型コロナウイルスの流行によるストレス、他者への信頼感の低下などもリモハラに関係します。慢性的にストレスを抱えていると、ふとした瞬間に相手にイライラや厳しい意見をぶつけてしまうかもしれません。

リモハラになり得る具体的な例

リモハラになり得る具体的な例
ここではリモハラになり得る具体的な例を紹介します。リモートワークを行う企業は、リモハラに関する社内研修を行うなど、リモハラに関する情報を社内に周知することが大切です。

服装に関する限度を超えた指摘

厳しすぎる服装への指摘はリモハラと見なされる可能性があります。もちろん、リモートワークでも仕事をしていることには変わりありません。ある程度節度ある服装をすることが大切です。

しかし、服装に関して必要以上に指摘することは控える必要があります。例えば、リモートワークで上下スーツの着用を強要するとリモハラ扱いになる場合もあるのです。アクセサリーや化粧に関する女性の外見を指摘する話題も、相手との関係性や状況によっては不快と感じられる可能性があるため注意が必要です。

カメラオンを強要し業務に関係ない部分に触れる

自宅など遠隔地に部下がいると、状況がわかりにくくなるためハラスメントが起きやすくなります。特に、カメラオンを求める際は注意が必要です。以下の行為はリモハラと認識される恐れがあるため注意する必要があります。

・業務時間は常にカメラオンにするよう促す
・家族の話し声や子どもの泣き声など生活音について叱責する
・早朝、深夜など業務時間を気にせず連絡を取ろうとする

管理職が仕事ぶりを確認する目的でカメラオンを希望しても、部下はプライベートが晒されると感じる恐れがあります。Web会議など必要なシーンのみカメラオンにして、普段はメールやチャットをメインにやり取りするよう社員を教育しましょう。

また、全社員がリモートワークに適した環境を用意できるわけではありません。やむを得ず子どもの面倒を見つつ仕事をする社員もいます。事情を無視した叱責は望ましくありません。

リモートワーク中は、仕事とプライベートの区別も大切です。終業後や休日にも連絡を強要するとパワハラと見なされる恐れがあります。

セクハラに該当する行為を行う

リモートワークでは、Webカメラで垣間見える生活感が、セクハラ行為の引き金になる恐れがあります。以下の行為はセクハラと認識される可能性があります。

・化粧や服装、髪型に対して言及する
・私服を見たい、カメラで全身を見たいなど仕事と関連しない要求をする
・性的な会話を持ちかける
・プライベートなSNSやメールで連絡をしようとする
・同居人など、プライベートの情報を聞き出そうとする

化粧や服装、髪型などはカジュアルすぎない限り指摘する必要はないでしょう。仕事に関連のない要求は、オフィスでもセクハラと見なされる恐れがあるため注意が必要です。

リモハラ対策として企業ができること

リモハラ対策として企業ができること
「リモハラは個人の問題だから」と企業が見て見ぬふりをしていると社内で大きなトラブルに発展してしまう可能性があります。以下では、企業ができるリモハラ対策を紹介します。

リモートワークによる社内ルールを明確にする

個人の価値観は異なるため、企業が関与しなければリモハラが起こってもおかしくはありません。就業規則などにハラスメントとして避けるべき行為を明記し、全社員に通達する必要があります。また、リモートワークが円滑に進むように、進捗確認方法や報告手順に関するガイドラインも作っておきましょう。

また、管理職と部下がリモートワークのあり方について話し会える職場環境も大切です。新型コロナウイルス感染症をきっかけに浸透したリモートワークは、新しいビジネスの習慣といえます。メンバーが忌憚なく話し合い、必要なルールを決めていくことで、理想的なリモートワークのスタイルを整えられるでしょう。

リモハラに関する内容の周知や研修などを行う

リモハラについての正しい知識を持ってもらうために、全社員に対して適切な教育を行いましょう。まずは、リモハラは避けるべき行為と認識させることが重要です。

社員への周知方法は、それぞれの会社に合わせたスタイルで実施するといいでしょう。例えば、モラハラを周知するためのポスターの作成や研修、セミナーなどを検討する方法があります。また、社内に適格な人材がいなければ外部講師の検討も必要です。

管理職には、マネジメント手法の見直しを促す必要があります。リモートワークの適切な進め方を知らないため、リモハラをしてしまう管理職は少なくありません。前述した、リモートワークによる社内ルールをもとに、リモートワークに適した対応を伝えましょう。

リモハラを相談できる窓口を設置する

リモハラの被害を受けた、相手を傷つけたかもしれない、などの不安を相談するための社内窓口を設置することも大切です。リモートワークでは、管理職や同僚に気軽に相談できません。担当者が窓口を設置するとリモハラの実態がわかりやすくなるでしょう。

同性の相談員を希望する人は多いと考えられます。男性と女性、それぞれ1名以上の担当者を選任しましょう。また、相談窓口を設置した際は、相談者のプライバシーは守られる必要があるため安心ということを全社員に周知しましょう。

社員への周知方法は、チャットやメールなど複数の方法で実施してください。出社しない社員にも情報が伝わるように告知方法を考えましょう。

リモハラが発覚した際の担当者の対応は?

リモハラが発覚した際は、関係者の情報を周囲に開示しないように徹底することが重要です。

情報が漏れないよう注意しつつ、担当者は速やかに被害の状況をヒアリングし、リモハラの証拠を揃えます。リモハラはIT機器に記録が残りやすい傾向があります。被害を受けている社員にメールの履歴やチャット画面のスクリーンショット、会議の録音などを依頼して証拠を集めましょう。

担当者は被害者に寄り添う気持ちでヒアリングを行います。ただし、話しを聞く際は、加害者・被害者の区別なく公正に意見を聞く必要があります。状況を正しく把握できなければ事態を悪化させる恐れがあるためです。

厚生労働省によるテレワークガイドラインの改定も確認

2021年3月には、厚生労働省からリモートワークまたはテレワークに関する新たな方針が公表されました。モラハラに相当する記述もあるため、リモートワーク導入の際には確認しておきましょう。

出典:厚生労働省「テレワークガイドラインを改定しました 新たな日常、新しい生活様式に対応した良質なテレワークを推進するために」(参照 2022-05-11)

新ガイドラインの目的

新ガイドラインの目的はリモートワークの推進であるため、リモートワークを円滑かつ適切な制度として導入する方法が記載されています。ガイドラインには、リモートワークのメリットも記載されており、リモートワークに不安や懸念を抱えている人も前向きに取り組める工夫がされています。

また、リモートワークを取り入れたばかりの企業では予想もしなかったトラブルが起きることも少なくありません。新ガイドラインには相談窓口についても言及しているため、状況に応じた機関に相談する際の参考にできます。

新ガイドラインにおける主な留意点

業務状況が見えにくいということは、リモートワークで問題が起こりやすいといえます。そのため、管理職は人事評価基準やマネジメント方法に悩みがちです。新ガイドラインでは、部下に人事評価基準を明示することと、状況がわかりにくいときはWeb面談を活用することを推奨しています。

オフィスと同じくリモートワークでも職場環境の安全衛生確保は必要です。リモートワークでは上司や部下の様子が伝わりにくいため、メンタルを病んでしまうリスクがあります。新ガイドラインでは、「自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト」が事業者と社員向けに公開されています。

チェックリストを確認して安全な労働環境を構築しましょう。また、新ガイドラインではリモハラを行ってはならないとして、企業に対し十分な防止策を講じるよう求めています。

まとめ

リモハラは当事者だけの問題ではありません。企業はリモートワークに関するルールを定め、リモハラを防止する必要があります。また、ルールを決める際には、厚生労働省のテレワークガイドラインも参考にしましょう。

また、企業には社員が健康に働けるよう守る義務があります。Dr.健康経営の産業医コンシェルジュは、産業医とのオンラインでの面談を通じて社員の健康を管理します。リモートワークを推進する際もぜひ産業医コンシェルジュをご検討ください。

鈴木 健太
監修者
鈴木 健太(すずき けんた)
代表取締役/医師・産業医

1989年、東京都国立市出身。2009年、筑波大学医学部へ入学。
在学中にKinesiology, Arizona State Universityへ留学し、医学・経済学・人文学等を学ぶ。
卒後は国立国際医療研究センターで勤務医として働く。
予防医療の重要性に気づき、帝京大学公衆衛生大学院で健康経営を研究しつつ、産業医として多くの企業を担当する。