産業カウンセラーの役割とは?必要条件や企業にもたらすメリットを解説

日付2022.05.30
更新日:2022.07.29
職場に必要なカウンセラーとは?

従業員のメンタルヘルスをサポートする仕事の一つに産業カウンセラーというものがあります。産業カウンセラーの役割は、カウンセリングの専門家として従業員が健康的に働けるようサポートすることです。

本記事では産業カウンセラーについて、カウンセラーの主な役割、導入によって企業にどのようなメリットがあるのか等を解説します。あわせて産業カウンセラーの資格を取得したい人に向けて受験の流れや概要も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

職場に必要なカウンセラーとは?

職場におけるカウンセラーは、職場の従業員を対象としたカウンセリングを実施するカウンセラーを指します。産業カウンセラーや企業内カウンセラーといったいくつかの種類があるため、それぞれの違いや特徴について解説します。

産業カウンセラーの必要条件

従業員が抱える仕事上の問題を心理学的な手法を用いて、自力で解決できるようにサポートするのが産業カウンセラーの役割です。産業カウンセラーになるためには、一般社団法人日本産業カウンセラー協会の認定資格が必要となります。

資格を有し専門知識を持つ産業カウンセラーは、メンタルヘルスのサポート以外に、キャリア開発援助や職場環境、人間関係改善の援助なども行います。産業カウンセラーには一対一の対面によるカウンセリングスキルが不可欠です。

また、産業カウンセラーの上位資格としてシニア産業カウンセラーというものがあります。産業カウンセラーの資格を取得した後、一定のレベルに到達すればシニア産業カウンセラーの資格が付与されます。

企業内カウンセラーの必要条件

企業内カウンセラーとは労働衛生分野における心理カウンセラーの総称です。企業内カウンセラーは職場カウンセラーと呼ばれることもあります。従業員のストレス緩和や職場環境の改善、モチベーション管理などが企業内カウンセラーの主な役割です。

厚生労働省の『労働者の心の健康保持増進のための指針』によると、企業内カウンセラーは内部産業保健スタッフなどによるケア、外部の心理専門家など事業場外資源によるケアを担うことになっています。

前述の産業カウンセラーとなるには資格が必要ですが、企業内カウンセラーになるための資格は特に定められていません。しかし、メンタルヘルスケアに関わる専門家として心理学やカウンセリングの資格を取得することで、より高水準のカウンセリングを提供できるでしょう。

出典:厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(参照:2022-05-18)

産業カウンセラーの3つの役割

産業カウンセラーの3つの役割
産業カウンセラーはメンタルヘルスケアをサポートするのが仕事です。役割としてはメンタルヘルス、キャリア形成、職場環境改善の支援といった3つの分野を担っています。

メンタルヘルス対策の支援

産業カウンセラーの業務内容は多岐に渡りますが、メインとなる役割はメンタルヘルスのサポートです。仕事においては業務内容や人間関係から、従業員がストレスを抱えることも少なくありません。

中には強いストレスからメンタルヘルスに不調をきたしてしまう従業員もいます。メンタルヘルスの不調は仕事における生産性を損なわせ、全体的なパフォーマンスの低下につながるのです。産業カウンセラーはメンタルの問題を抱える従業員と向き合い、健康的に働けるようサポートする役割があります。

また、不調者のサポートだけでなく、メンタルヘルス不調の予防や休職中の従業員への職場復帰支援、高ストレス者へのフォローなど、メンタルヘルスケアに関わる業務全般が産業カウンセラーの仕事です。

キャリア形成のための支援

産業カウンセラーはキャリア相談や将来設計のサポートを行うこともあります。現代では社会の移り変わりとともに働く人の意識が大きく変化しています。多様な働き方がある中で最適なキャリアを選択するのは容易ではありませんが大切なことです。こうした背景からキャリア開発支援の重大性が高まっています。

多くの場合、仕事を続けていると人生の節目で働き方に関する悩みが生じることもあるでしょう。産業カウンセラーは悩み相談やキャリア教育・研修などを通して、働く人のキャリアビジョンを明確化する手助けもします。

職場環境改善への支援

職場環境の改善をサポートし、働きやすい職場を実現することも産業カウンセラーの仕事です。従業員からの相談にアドバイスを行うとともに、相談を受ける中で気づいたことがあれば新たな組織づくりの提案として企業に報告する場合もあります。

また、産業カウンセラーは従業員の個人的な問題だけでなく、職場全体の研修や組織改革などを受け持つケースもあります。個人ではなく全体にアプローチすることで根本的なメンタルヘルスの改善ができ、ハラスメント防止にも有効です。その他には、職場環境について管理職と議論したり、従業員へのメンタルヘルス研修などを行ったりします。

産業カウンセラーの導入で企業が得られるメリット

産業カウンセラーを導入することで従業員だけでなく企業にもメリットがあります。ここでは、企業が得られる主なメリットとして3つ解説します。

企業の業績に良い影響を与える

メンタルヘルスの不調は従業員一人ひとりだけでなく、企業全体のパフォーマンスを低下させます。従業員がメンタルヘルスの不調によって抑うつ状態になると、気力や集中力の低下から業務に支障が起こるからです。

また、ネガティブで攻撃的になるため周囲の同僚にもマイナスの感情が伝播し、結果として全体の生産性低下につながる可能性もあります。産業カウンセラーの活用によって一人ひとりのメンタルヘルスが改善すると、全体のモチベーションがアップしチームワークが改善されるため業績アップも期待できるでしょう。

企業のイメージアップにつながる

メンタルヘルスケアに取り組むことは、企業のイメージアップにもつながります。企業として従業員からはもちろん、外部からの信頼も高まり、社内外からのイメージが良くなります。企業イメージは求人などの際にも注目されることもあるため、企業の成長にとって大切です。

また、従業員がメンタルヘルスの不調から健康を害すると、企業が責任を問われるケースがあります。従業員が健康的に働ける環境作りは企業の義務です。この義務を怠ったとみなされれば安全配慮義務違反となり、企業イメージを低下させる恐れがあります。

退職者や休職者を減らせる

従業員のメンタルヘルスが改善されることで退職・休職者を減らすことにつながります。休職は現場の人員不足を引き起こし、業務に支障をきたします。退職者が多いと雇用や教育にかけた費用が無駄になってしまい、企業としては大きな損失です。

産業カウンセラーを導入すれば、ストレスやトラブルを抱えた従業員が悩みを溜め込むことなく相談できるようになり、問題解決が容易になるでしょう。メンタルヘルスケアによって健康的に働ける人が増えることで職場環境も明るく改善されます。

産業カウンセラーになるには?

産業カウンセラーになるには?
産業カウンセラーになるには前述したとおり、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する資格が必要です。資格取得のためには、受験資格を得る必要があります。受験資格は産業カウンセラー養成講座の修了、または大学院での所定専攻修了・所定科目の単位取得のいずれかです。

産業カウンセラー養成講座は通学制・通信制、そして東京支部ならe-Learning制から選べます。受講料や受講期間は異なりますが、いずれも学習内容は同じです。

産業カウンセラーの試験は毎年1月に実施され、学科試験と実技試験が別日に行われます。学科試験はカウンセリング基礎知識や、基本的事例への対応能力・対話分析能力が問われます。実技試験は受験者同士によるロールプレイ、そして口述試験です。受験料は学科試験が10,800円、実技試験が21,600円、いずれも税込み価格です。

出典:一般社団法人日本産業カウンセラー協会「産業カウンセラー試験」(参照:2022-05-18)

まとめ

産業カウンセラーは職場におけるカウンセラーの中でも、資格を持ち知識を有する専門家です。職場のメンタルヘルスケアやキャリア開発をサポートし、一人ひとりが健やかに働く手助けをするのが産業カウンセラーの仕事です。

産業カウンセラーを導入すれば、従業員のメンタルヘルスが改善され、業績向上につながります。従業員の作業効率が上がり、休職者や離職者も減らせるため結果として経済的な効果が期待できるでしょう。

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鈴木 健太
監修者
鈴木 健太(すずき けんた)
代表取締役/医師・産業医

1989年、東京都国立市出身。2009年、筑波大学医学部へ入学。
在学中にKinesiology, Arizona State Universityへ留学し、医学・経済学・人文学等を学ぶ。
卒後は国立国際医療研究センターで勤務医として働く。
予防医療の重要性に気づき、帝京大学公衆衛生大学院で健康経営を研究しつつ、産業医として多くの企業を担当する。