産業保健・健康管理

常時使用する労働者の定義とは?事業場規模と定期健康診断対象者との違い

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更新日:2023.07.19

常時使用する労働者の定義は法令によって異なります。特に事業場の規模が成長して労働者の数が50人に近づいている企業は、常時使用する労働者の意味を把握しておくことが大切です。

本記事では、常時使用する労働者の定義や事業場規模の判断の仕方を解説します。
定期健康診断やストレスチェックの実施対象者などについても解説するので、自社の職場環境改善に役立ててください。

常時使用する労働者の定義は3つの法令によって異なる

『常時使用する労働者』は、労働関係法令の規定内で事業所の規模を区分するために用いられている言葉です。
常時使用する労働者の定義は法令の種類によって異なります。

労働基準法と労働安全衛生法では、常時使用する労働者とは全ての労働者のことを原則としています。
したがって、社会保険や雇用保険に加入しているかどうかは関係なく、短時間労働のパートタイマーやアルバイトも例外なく含まれるのです。

一方、障害者雇用促進法で常時使用する労働者に該当するのは、障害によって長期間の職業生活に制限を受ける人です。
主に、身体障害者・知的障害者・精神障害者などが当てはまります。

それぞれの法令の概要と目的、常時使用する労働者の対象範囲については以下で詳しく解説します。

労働基準法における定義

労働基準法は1947年に制定された法令で、全ての労働者に保証される最低限の労働条件が定められています。
例えば、賃金の支払方法や労働時間の制限、時間外・休日労働の扱いなどが細かく規定されています。
有給休暇や就業規則に関する内容を定めているのも労働基準法です。

労働基準法は事業主よりも立場の弱い労働者の権利と保護を目的にしています。
職業の種類に関わらず、事業主から賃金を受け取っている全ての労働者は労働基準法によって労働条件が保護されています。

前述のとおり、社会保険や雇用保険に加入しているかどうかは関係ありません。
単発の雇用でなければ、短時間労働のパートタイマーやアルバイトも常時使用する労働者の対象になります
ただし、事業主や経営担当者は使用する側の立場にあるため、労働基準法が定める全ての労働者や常時使用する労働者の対象ではありません

出典:厚生労働省「労働基準に関する法制度①労働基準法」(参照:2022-07-17)

労働安全衛生法における定義

労働安全衛生法は職場で働く全ての労働者の安全や健康を守るための法令です。
労働者の健康管理や労働災害の防止など、全ての労働者にとって安全かつ健康的に働ける職場かどうかの基準が定められています。

労働安全衛生法では、事業場の規模によって労働者の安全と健康を適切に管理するために衛生管理者や産業医の専任を義務付けています。

労働安全衛生法は職場での労働者の安全と健康の確保や、快適な職場環境の形成が目的の法律です。
具体的には、労働災害対策として危害防止基準を設定する、責任の所在を明確化するなどが挙げられます。

労働安全衛生法で示されている労働者に該当するのは労働基準法と同様です。
職場で働く全ての労働者であり、パートタイマーやアルバイトに加え、派遣労働者も常時使用する労働者に含まれます。

出典:厚生労働省「労働基準に関する法制度③労働安全衛生法」(参照:2022-07-17)

障害者雇用促進法における定義

障害者雇用促進法は、身体などに障害のある方に働く場所や機会を確保して職業の安定を図るための法令です。
事業主に対し障害者の雇用を義務付けたり、職場で障害者に対する差別を禁止したりする内容が規定されています。

障害者雇用促進法は、障害者の安定的な雇用を促進する目的があります。障害者に該当するのは、以下の方です。

  • ・身体障害者
  • ・知的障害者
  • ・精神障害者
  • ・発達障害者
  • ・難治性疾患患者 など

また、障害者雇用促進法で常時使用する労働者に該当するのは、労働時間が一定以上の人です。
原則として、週に20時間未満の人は労働者にカウントされません。
20時間以上30時間未満の人は0.5人、30時間を超える人は1人としてカウントされます。

出典:厚生労働省「障害者雇用促進法の概要」(参照:2022-07-17)

事業場の規模を判断するときの「常時使用する労働者」


事業場の規模は常時使用する労働者の数によって判断されます。
常時使用する労働者には、日雇い労働者やパートタイマー、アルバイトなどの労働者も数に含めてカウントするのが原則です。

事業場の規模を判断する際は常時何人の労働者を雇用しているのかが基本になるため、短時間労働者や短期雇用労働者なども含めて数える必要があります

常時使用する労働者に含まれるのか、含まれないのかについては基本的に以下のとおりです。

労働形態 健康診断・ストレスチェックの実施対象者に含まれる/含まれない
派遣労働者 含まれる
パートタイマー・アルバイト 含まれる
休業・休職中の者 含まない
※ストレスチェックを実施しなくても差し支えないとされている
海外の現地法人に雇用されている者 含まない
※海外の現地法人に雇用されている場合は、日本の法律が適用されない
会社役員 含まない
※部長職・支店長などを兼務している役員・執行役員などは含まれる
業務委託 含まない

 

健康診断・ストレスチェックの実施対象者となる「常時使用する労働者」


常時使用する労働者は、健康診断やストレスチェックの実施対象者になる場合があります。
どのような労働形態や条件によって健康診断・ストレスチェックの実施対象になるのかについて、基本的には以下のとおりです。

労働形態 常時使用する労働者に含まれる/含まない
日雇い労働者 含まれる
パートタイマー・アルバイト 含まない
個人事業主本人 含まない
会社役員 含まない
※ただし、従業員と役員を兼務している者は含まれる
休業・休職中の者 含まない
※申請時点で、就業規則に基づき、休業・休職の措置が適用されている者
業務委託 含まない

ストレスチェックは事業場単位での実施が義務付けられています。
事業場に50人以上の労働者がいる場合は、ストレスチェックを実施しなければなりません。50人未満の事業場は義務付けられていませんが努力義務とされています。

ストレスチェックの対象者に関して詳しくは『ストレスチェックの対象者は?常時使用する50人に含まれる労働者について解説!』こちらも参考にしてください。

ストレスチェックの対象となる労働者は?業務委託やアルバイトにも実施すべきか対象範囲を解説

常時使用する労働者が50人以上の事業場では産業医の選任も必要

常時使用する労働者は法令によって対象の範囲が異なります。

労働基準法や労働安全衛生法では、事業主や経営担当者を除く全ての労働者が常時使用する労働者に該当します。
常時使用する労働者が50人以上いる事業場では健康診断・ストレスチェックの実施が義務付けられており、産業医の専任も必要です。

従業員50人以上の事業場における義務とは?産業医の選任が必要?

 

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・Dr.健康経営 ホームページ
https://dr-hpm.co.jp/

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鈴木 健太
監修者
鈴木 健太
医師/産業医

2016年筑波大学医学部卒業。
在学中にKinesiology, Arizona State University留学。
国立国際医療研究センターでの勤務と同時に、産業医として多くの企業を担当。
2019年、産業医サービスを事業展開する「株式会社Dr.健康経営」を設立、取締役。

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