産業保健・健康管理

安全衛生委員会のマンネリ化の原因は?解決策や防止ポイントも解説

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更新日:2023.07.18

安全衛生委員会は、企業と従業員が一体となって危険や健康障害を防止することを目的に設置されます。そのため、「自分たちのこと」として問題や課題に取り組む姿勢がなければ、マンネリ化の原因になることも。

例えば、開催するだけで満足していたり、現場の声に耳を傾けず運営をしていたらマンネリのサイクルから抜けだせず有意義な議論は難しいでしょう。

したがって、マンネリを解決するためには運営方法を見直す必要があります。

本記事では「安全衛生委員会のマンネリ化の特徴」と「マンネリ化する原因」について解説します。

また、記事の後半ではマンネリ化を解決する方法も紹介していくので、意義のある安全衛生委員会を運営し、従業員に還元できるよう工夫をしていきましょう。

安全衛生委員会のマンネリ状態の特徴

マンネリ状態の安全衛生委員会は、活発な意見が飛び交わず「とりあえず開催する」だけの状態になりがちです。ここでは、マンネリ化した安全衛生委員会の特徴を詳しく解説します。

テーマが毎回同じ

季節ごとのイベントや気候にまつわるテーマは毎年出てくるため、同じになりがちです。とはいえ、テーマが同じになることは悪いことではありません。

ただし、以下のことをしっかり言語化していくことを心がける必要があります。

  • ・どのような問題が生じたのか
  • ・問題に対する具体的な対策は何をしたのか
  • ・結果はどうなったのか

また、安全衛生委員会で話し合うべきことは、厚生労働省の公式HPに詳しく掲載されているように、ある程度内容は決まっていますのでテーマの主軸として参考にしてみましょう。

“出典:厚生労働省安全衛生に関するQ&A」”

話し合いだけで終わる

安全衛生委員会とは、従業員の声をくみとり、安全で衛生的な環境を整えるためにある組織です。そのため、安全衛生の問題に対する解決策を提示し、現場に還元する必要があります。

したがって、話し合いだけで何も解決策がでてこなければ意味がありません。話し合いだけでいつも終わっていると感じる場合は、委員会の目的を再度確認するようにしましょう。

発言する人がいつも一緒

会議においては、発言する人がいつも一緒になってしまうのは割と起こりがちな問題です。

議長や安全管理者、衛生管理者、産業医などは、毎回発言を求められますが、それ以外のメンバーは発言しにくい場合が多いでしょう。

したがって、安全衛生委員会の役職についていていないメンバーも発言しやすい雰囲気づくりを心がけなければいけません。

また、さまざまな角度で話し合いをするなど、委員会に新しい風をいれられるように、役職以外のメンバーを定期的に入れ替えることも必要になるでしょう。

安全衛生委員会がマンネリ化する原因とは?

それでは、何が原因で安全衛生委員会はマンネリ化するのでしょうか?考えられる原因を3つ解説していきます。

開催するだけで満足している

開催することが目的になっている場合、深い議論ができなくなってしまう可能性が高いです。

安全衛生委員会が「なんとなく話し合いをしている雰囲気になっている」そのようなことが続く場合は、定期的にテーマの見直しを検討しましょう。

専門家に丸投げしている

安全衛生委員会のメンバーには産業医がいます。専門家ではありますが、生活習慣病や感染症対策、健康診断など医学をテーマにする場合であっても、すべての判断を専門家に丸投げするのはやめましょう。

なぜなら、安全衛生委員会は、企業が主導で行なうものだからです。産業医はあくまでアドバイザーであることを念頭において運営するよう注意しましょう。

現場の声を汲み取れていない

安全衛生委員会は、労働者の健康障害や労働災害を防止するために存在します。

そのため「現場で何が起きているのか」「労働者が安全衛生面で困っていることがないか」など、生の声を汲み取る努力をしていきましょう。

場合によっては、安全衛生委員会のメンバーの中に定期的に従業員を配置するのも有効かもしれません。

安全衛生委員会のマンネリ化を防止する方法

 

マンネリ化してしまった安全衛生委員会に必要なのは、「運営方法やテーマの見直し」です。マンネリ化防止の具体的な方法を解説していきます。

企業全体の課題を発見する

自分に関係のないテーマだと深い議論がしづらく、積極的な意見が出づらいものです。したがって、企業内で起きている課題を発見することから始めてみましょう。

例えば、部署ごとに労災発生件数や時間外労働者数を割り出し、それをテーマに選んでみるのも1つの方法です。自分ごと化しやすい内容なので、共感しやすく意見が出やすくなるでしょう。

ネタ選びを工夫する

時期や気候にまつわるテーマなどは、毎年必ず出てくるものです。しかし、似たようなテーマばかり取り上げていると積極的な意見が出ず、マンネリ化しやすくなります。

そこで、新鮮なテーマを取り入れたい時は「時事ネタをヒントにしてみる」「議論してほしいテーマを社内聴取する」などを行い、工夫をしてみましょう。

例えば、COVIT-19の影響で普及しつつあるリモートワークや、最近リフレッシュ手段として話題のサウナなどを、産業医の意見も聞きながら深堀りしていくのも1つの方法です。

また、テーマを選ぶ人をいつも同じにするのではなく、従業員からアンケートをとり、本当に悩んでいることをすくい上げていくのもよいでしょう。

委員以外からの意見を集める

安全衛生委員会のメンバーや、テーマ選び担当者が固定している場合は、委員以外からの意見を求めてみるのもおすすめです。

例えば、各部署から1人ずつ順番に会議に参加してもらいます。すると、安全担当や衛生担当だけでは気づきにくい視点から意見が集められ、現場の声にも耳を傾けることができるでしょう。

アクションプランを設定する

会議をする以上、話し合った結果を実行しなければ改善にはつながりません。そこで、具体的な行動をするためにアクションプランを設定してみましょう。

アクションプランとは、目標を達成するための具体的な過程を1つずつ行動に振り分け、それをまとめた行動計画のことです。

例えば、従業員側から上がってきた課題に対する改善策に対して「誰が、何を、いつまでにするのか」を明確にしておきましょう。

話し合いだけで終わらせないためにも、どんな行動をするのかまで記録しておくことが重要です。

社長が先導する

労働安全衛生委員会は、従業員の労働環境や衛生面を改善するための組織です。したがって、本来ならば企業のトップである社長が先導し、よりよい組織作りをしていく必要があります。

社長自ら、従業員の声に耳を傾け、改善策を練る姿はきっと「働きやすい企業作り」にもつながることでしょう。

まとめ

安全衛生委員会のマンネリ化は、運営方法を確認するよい機会です。

委員会を開催するだけで議論が活発にならなかったり、専門家に丸投げして、他人事のように課題と向き合ったりしていると、マンネリ化に繋がります。

安全衛生委員会は、従業員が安全で衛生的な労働環境で仕事ができるよう議論するために存在します。

そのため、現場の声が反映されるようテーマ選びを工夫し、話し合った結果をもとに行動プランを深堀りすることで、会議はより有意義なものになるでしょう。

もし、テーマ選びに行き詰まってしまう、安全衛生委員会をどのように運営していったらいいのかわからないと悩んでいる人は、Dr.健康経営の産業医サービス「産業医コンシェルジュ」を検討してみてください。

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鈴木 健太
監修者
鈴木 健太
医師/産業医

2016年筑波大学医学部卒業。
在学中にKinesiology, Arizona State University留学。
国立国際医療研究センターでの勤務と同時に、産業医として多くの企業を担当。
2019年、産業医サービスを事業展開する「株式会社Dr.健康経営」を設立、取締役。

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