産業保健・健康管理

衛生管理者試験に必要な勉強時間は?第一種・第二種別に解説

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更新日:2023.07.11

従業員に試験を受けさせたいと考えている担当者の方は「勉強時間がかかりすぎて、仕事に影響が出てしまうのでは?」「衛生管理者試験は国家資格だから、膨大な勉強時間が必要なのでは?」と不安に思う人もいるのではないでしょうか。

確かに、勉強時間が少ないと試験に落ちてしまう可能性もあるため、業務と並行して進めるためにも、目安の時間数を知っておきたいですよね。

この記事では、衛生管理者試験の合格に必要な勉強時間を紹介したうえで、テキストや問題集の選び方勉強方法について解説します。勉強するときに意識したいポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

衛生管理者試験の合格に必要な勉強時間

初めて第一種衛生管理者試験を受験する人が一発で合格するには、100時間程度の勉強時間が必要です。勉強時間は目安のため、100時間以上時間がかかる場合もあれば、もっと少ない時間で合格できる人もいます。

100時間と聞くと少ないように感じるかもしれませんが、1日1時間勉強したとして、約3か月半の勉強期間が必要です。当然、働きながらの勉強になるため、平日に1日1時間の勉強時間を取るのは難しいケースもあるかもしれません。

家事や育児の合間に1日30分勉強したとすると、100時間の勉強時間を達成するのに約200日かかります。

第二種衛生管理者試験の場合は、第一種より少ない60時間程度の勉強で合格できるといわれています。こちらもあくまで目安ですので、実際には60時間以上の勉強が必要な可能性もある点をご了承ください。

衛生管理者試験の内容と合格基準

衛生管理者試験の勉強を進めるにあたり、まずは試験内容を把握しておくことが重要です。ここでは第一種・第二種の試験別に衛生管理者試験の出題範囲を解説します。

ただし、出題範囲は変更になる可能性がありますので、詳しくは安全衛生技術試験協会の「受験資格」をご覧ください。

“引用:安全衛生技術試験協会受験資格」”

第一種衛生管理者

第一種衛生管理者試験の試験科目は、以下の表のとおりです。

範囲 出題数 配点
労働衛生 有害業務に係るもの 10問 80点
有害業務に係るもの以外 7問 70点
関係法令 有害業務に係るもの 10問 80点
有害業務に係るもの 7問 70点
労働生理 10問 100点

“参考:安全衛生技術試験協会「受験資格」”

第一種衛生管理者の科目は「労働衛生」「関係法令」「労働生理」の3科目です。労働衛生と関係法令は有害業務に係るものとそれ以外に範囲が分けられています。

配点は労働衛生が17問150点、関係法令が17問150点、労働生理が10問100点です。1問当たりの配点が大きいのは労働生理で、1問10点となっています。

第一種衛生管理者試験に合格するには、各範囲あるいは科目で40%以上、全体で60%以上の得点が必要です。つまり、合格には以下の得点が求められます。

範囲 合格点
労働衛生 有害業務に係るもの 32点以上
有害業務に係るもの以外 28点以上
関係法令
有害業務に係るもの 32点以上
有害業務に係るもの以外 28点以上
労働生理
40点以上
全体 240点以上

第二種衛生管理者

第二種衛生管理者試験の試験科目は、以下の表のとおりです。

範囲 出題数 配点
労働衛生 10問 100点
関係法令 10問 100点
労働生理 10問 100点

“参考:安全衛生技術試験協会「受験資格」”

第二種衛生管理者も、第一種と同様に試験科目は3つです。しかし、有害業務に係る科目はなく、それぞれ10問100点の配点です。

合格基準も第一種衛生管理者と同様で、第二種衛生管理者の場合は以下の得点以上で合格となります。

範囲 合格点数
労働衛生 40点以上
関係法令 40点以上
労働生理 40点以上
全体 180点以上

 

衛生管理者試験の勉強に適したテキスト・問題集の選び方

衛生管理者の試験範囲を把握できたら、次は勉強に適したテキストや問題集を選びましょう。ここでは、衛生管理者試験の勉強に適したテキストや、問題集を選ぶポイントを紹介します。

テキストや問題集は最新版を購入する

テキストや問題集を入手する際、最新版を購入しましょう。

古本屋やフリマアプリでは中古のテキストや問題集を格安で手にいれることが可能ですが、過去年版は最新の情報や過去問が載っていないため、おすすめできません。

というのも、近年は衛生管理者試験の内容が変わってきているため、過去年版のテキストや問題集では試験に対応できない可能性があるためです。

解説の詳しい問題集を選ぶ

衛生管理者試験用の問題集は、解説が詳しいものを選びましょう。

掲載されている問題数が多くても、解説がシンプルだと「なぜこの答えになるのか」が分からず、知識の定着につながらない可能性があります。

一つひとつの問題に解説がついており、解説のボリュームも多いものがおすすめです。

自分に合ったテキスト・問題集を選ぶ

衛生管理者試験のテキストや問題集は、多くの出版社から出ています。内容はほとんど変わりありませんが、レイアウトや構成が異なりますので、読みやすいと感じるテキストや問題集を選びましょう。

人気のある問題集・テキストが必ずしも使いやすいとは限りません。

また、テキストや問題集をやりかけで別のものに取り掛かるのはおすすめできません。まずは1冊を完璧に仕上げることが大切です。

衛生管理者試験に合格できる勉強方法

衛生管理者試験に合格するには、以下のように勉強を進めましょう。

  1. 1.試験日までの日程でスケジュールを組む
  2. 2.テキストと問題集を選んで購入する
  3. 3.テキストを読み進めると同時に問題集も進めていく
  4. 4.テキストと問題集を3〜4周する
  5. 5.必要に応じてセミナーや講習会に参加する

それぞれのステップについて解説します。

試験日までの日程でスケジュールを組む

衛生管理者試験を受けることが決まったら、まずは試験日までの日程でスケジュールを組みましょう。

スケジュールを立てるときは、試験日から勉強時間を逆算し、リストアップしたやるべきことをスケジューリングしていきます。

テキストと問題集を選んで購入する

スケジュールを立てたら、衛生管理者試験のテキストと問題集を選びましょう。

前述のとおり、以下のポイントを参考にします。

  • ・最新版であること
  • ・問題集の解説が詳しいこと
  • ・自分に合ったもの

<テキストと問題集を選ぶときは、実際に中身を確かめられる本屋やネットショップがおすすめです。

テキストを読み進めると同時に問題集も進めていく

立てたスケジュールをもとに、テキストと問題集を進めていきます。その際、テキストを読み進めるだけでなく、同範囲の問題集も同時に進めていくと、知識が定着しやすいでしょう。

テキストと問題集を3〜4周する

テキストと問題集は、1回やったら終わりではありません。最低でも2周、できれば3〜4周繰り返すことが大切です。

問題集を繰り返す際は間違えた問題に印をつけ、2周目以降は間違えた問題を中心に解いていきましょう。

必要に応じてセミナーや講習会に参加する

自分でテキストを読み込み、問題集を繰り返すのもよいですが、苦手分野の克服や理解不足のある範囲に対応するため、セミナーや講習会に参加するのもおすすめです。

費用はかかりますが、衛生管理者試験に1回で合格するため、必要に応じて受講を検討しましょう。

衛生管理者試験の勉強で意識したいポイント

最後に、衛生管理者試験の勉強をする際に意識したいポイントを紹介します。勉強を進めるときに、ぜひ参考にしてみてください。

できるだけ早く勉強を始めよう

衛生管理者試験は、国家資格のなかでは難易度が高くありません。

とはいえ、試験ギリギリに勉強を始めるのは危険です。1発で合格を目指すなら、衛生管理者試験を受けることが決まったら、すぐ準備を始めましょう。

具体的には、勉強時間100時間を確保できる3〜4か月前から、勉強を始めるのがおすすめです。

衛生管理者試験の難易度は?合格率とおよその偏差値を解説

過去問だけでなくテキストにも目を通そう

過去問は非常に大切な教材ですが、過去問だけやるのはおすすめできません。というのも、衛生管理者試験の頻出問題は年々変化しており、過去問だけで6割以上得点できるとは限らないからです。

衛生管理者試験の勉強は、過去問だけでなくテキストにもしっかり目をとおしましょう。

スケジュール管理をしながら計画的に進めよう

繰り返しになりますが、衛生管理者に合格するにはスケジュールを立てて勉強することが大切です。

テキストと問題集を手に入れたらすぐに取りかかりたくなる気持ちは分かりますが、まずはひと呼吸おいてスケジュールを立てましょう。スケジュールを立てるときは、試験日から逆算して「今何をすべきか」を明確にして勉強する必要があります。

まとめ

衛生管理者試験に合格するためには、第一種は100時間、第二種は60時間程度の勉強時間が必要です。上記はあくまで目安となる勉強時間なので、学習到達度によって実際に必要な勉強時間は変わります。

勉強の際は、以下のポイントを意識しましょう。

  • ・できるだけ早く勉強を始める
  • ・過去問だけでなくテキストにも目を通す
  • ・スケジュールを立てて計画通りに進める

衛生管理者を目指すなら、勉強した内容を業務に活かせるよう知識を定着させながら額種していきましょう。

なお、従業員が50人以上の事業所では、衛生管理者の選任のほかにも、産業医の選任ストレスチェックの実施などの義務が生じます。

Dr.健康経営では、産業医の紹介やストレスチェックの提供をしています。
もし選任がまだでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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些細なことでもぜひお気軽にご相談ください。

鈴木 健太
監修者
鈴木 健太
医師/産業医

2016年筑波大学医学部卒業。
在学中にKinesiology, Arizona State University留学。
国立国際医療研究センターでの勤務と同時に、産業医として多くの企業を担当。
2019年、産業医サービスを事業展開する「株式会社Dr.健康経営」を設立、取締役。

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