COLUMN

2021.06.04.Fri

衛生管理者と産業医で進める、職場巡視の流れと見るポイントを解説!

職場巡視とは

50名以上の事業所では、職場巡視を定期的に実施することが義務付けられています。職場巡視とは、従業員の作業や職場の環境を巡回して見ていくことで、職場における安全衛生上の問題点を見つけ改善していくことを目的としています。職場巡視の頻度も法律で決められており、企業の衛生管理者は週1回以上産業医は原則は毎月1回以上(条件付きで2ヶ月に1回)の実施が義務付けられています。

職場巡視の事前準備と持参するもの

職場巡視を行うにあたり、確認すべきポイントをリストアップした「職場巡視チェックシート」を事前に作成します(※参照リンク:コラム「衛生管理者は必見!職場巡視チェックシートと事前準備を解説!」)。職場巡視チェックシートの内容は、企業や業種ごとに様々ですが、まずは、事務所やトイレ、休憩所や喫煙所、救急用具など、どの企業においても共通してみるべき基本部分を押さえておきましょう。職場巡視を重ねていく中で事業所に合った内容を作成していくとよいです。
職場巡視を行う当日は、職場巡視チェックシートを印刷し、デジタルカメラを持参しましょう。製造業や有害物質を取り扱う職場では、必要に応じて測定機材(温度湿度計、照度計、騒音計など)、保護具(作業着や安全靴)を用意しましょう。

職場巡視に参加するメンバー

企業の衛生管理者は週1回以上の職場巡視が義務付けられており、その際は衛生管理者1人で職場巡視を行っても問題ありません。
産業医は原則は毎月1回以上(条件付きで2ヶ月に1回)の職場巡視が義務付けられています。その際は、衛生管理者が産業医に同行して、職場巡視を行うことが一般的です。特に嘱託産業医では、産業医が企業を訪問する頻度が月に1回などと少ないため、産業医が作業や職場環境について常に詳細まで把握することが難しいです。そのため、産業医による職場巡視を行う際は、衛生管理者や職場の統括者など、作業や職場環境についてよく理解している人が同行者として共に巡視をします。可能であれば、衛生委員会の参加者も一緒に職場巡視に参加するとよいでしょう。

職場巡視の進め方

ここでは、産業医が訪問した際に、衛生管理者と産業医で職場巡視を行っていく際の進め方を解説していきます。
まず、職場巡視を行う前に、衛生管理者と産業医において、「今日はこういう順序で巡視をしましょう」などと職場巡視の流れや工程を共有しておきましょう。
職場巡視を行う際は、職場巡視チェックシートに記載した見るべきポイントを意識して、各職場を確認していきます。職場巡視が終わった後に、改善に向けた意見交換がスムーズにできるよう、職場巡視チェックシートには気になった点をすべて記載しておきましょう。
職場巡視の最中では、衛生管理者や職場の統括者は、産業医に対して現場の視点から作業工程や職場環境について説明したり、適宜質問に答えたりしましょう。
また、衛生管理者と産業医は、職場巡視する際にも従業員とのコミュニケーションを円滑にとるよう心掛けましょう。従業員に対して、「作業や職場環境において、何か困っていることや気になることはありませんか?」など声掛けをするとよいです。そうすることで、新たな改善点が見つかることもあります。
もし従業員に「〇〇を設置しなくてはなりませんよね?」など相談された場合には、その場で即答はせずに「後で確認してみますね」とお伝えし、衛生委員会などの場で議論するのが望ましいです。
従業員への声掛けをしている中で、自身の健康や悩みのことなどで相談を持ち掛けられた場合には、その場で詳しく聞くのではなく、後日相談を聞いたり別の日程で産業医面談を設定することで、安心して個別に相談できる環境を整えましょう。
職場巡視の後は、衛生委員会で改善すべき点や良い点を報告・共有していきます。衛生委員会で意見交換ができるように、職場巡視を行いながら、気になった点をすべて職場巡視チェックシートに記載しておきましょう。

職場巡視で見るべきポイント

職場巡視では、職場巡視チェックシートを参考にしながら、各職場を確認していきます。その際に、以下のポイントを確認するとよいでしょう。
月1回の衛生管理者と産業医で職場巡視する際は、産業医より見るべきポイントのアドバイスをもらいながら進めることができます。しかし、週1回の衛生管理者による職場巡視では、衛生管理者や職場の統括者などが1人で行う必要があるので、これらを参考に確認していくとよいでしょう。

●事務所衛生基準規則を参考にしたオフィスの衛生基準
事務所、トイレ、食堂や休憩所、通路など
●快適職場づくり
5S(※下記参照)の状況確認、受動喫煙対策、各種配置やレイアウトなど
●作業方法の確認
作業姿勢や腰痛予防、作業の時間や強度、作業の反復性、休憩時間、精神身体的負担など
●安全・防災対策
救急・防災グッズ、消化器、避難経路など
●過重労働・メンタルヘルス対策
職場の雰囲気、コミュニケーションなど
●有害物質の取扱い・保護具など

詳細は、こちらの記事を参照ください。
参照リンク:コラム「衛生管理者が知るべき、職場巡視のポイント(オフィス編)
参照リンク:コラム「衛生管理者が知るべき、職場巡視のポイント(工場編)

【安全衛生における5Sとは】

1. 整理
会社にとって必要なものと不要なものをきっちり区別し、必要なものだけを残しているか
2. 整頓
必要なものが、必要なときにすぐに取り出せるように置き場所、置き方が決められているか
3. 清掃
ゴミや汚れのない綺麗な状態が保たれているか、綺麗な状態の定義を決め掃除のルールが作られているか
4. 清潔
整理・整頓・清掃を徹底して実行し、定めた状態を維持して定期的にチェックできているか
5. しつけ
従業員が決められたことが守れるよう習慣化し、それを確認できる仕組みが作られているか

労災発生時にも職場巡視が必要

万が一、労働災害が発生した際は、すみやかに労災が起こった現場を職場巡視しましょう。
衛生委員会で労災状況を報告すると共に、労災の再発防止にむけた対策を検討していくことが重要です。

職場巡視の後は、衛生委員会で報告

職場巡視を行う際は、気になった点をすべて職場巡視チェックシートに記載していきます。職場巡視の後は、各自が気になった改善すべき点や良い点について、衛生委員会で報告・共有し、職場環境の改善に向けたアクションを決めていきます。その際に、気づいた点すべてを報告するのもよいですが、重篤な事故につながるもの、起きる可能性が高いもの、を優先して共有するよう心掛けてください。また、前回のの職場巡視で指摘された点について、前回から改善されていたかなども確認していきましょう。
全員で積極的に職場環境を改善していくコツとして、職場巡視で見つけた問題点だけではなく、すでに実施できている良い点も同時に見つけて伝えていくとよいです。
また、職場巡視の結果をもとに、職場巡視報告書を作成します。報告書には、指摘された問題点に対して「いつまでに、だれが、どのような対処を行うか」という内容を記載していきましょう。

もっと職場巡視を知りたい方へ

衛生管理者や職場の統括者は、職場の安全衛生を担う役割です。職場巡視についてもっと知りたい方にむけて、以下の書籍をご紹介します。これらは、産業医が参考にする書籍でもあります。
『まるわかり職場巡視』は、事務所編・工場編ともに、職場巡視の具体的なポイントが掲載されています。
『写真で見る職場巡視のポイント』は、各業種や各現場ごとの職場巡視のポイントが写真付きで分かりやすく掲載されているので、職場巡視の最適化のために役立ちます。

『まるわかり職場巡視 事務所編』 竹田透 著/産業医学振興財団

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