産業医の役割・選任
産業医面談のスポット契約とは?活用メリットや探す方法・報酬相場を詳しく解説
昨今では、従業員のメンタルヘルスケアの重要性が増し、産業医の活用が浸透しています。産業医のスポット契約も知られつつありますが、産業医の探し方や活用方法について分からないという人も多いのではないでしょうか。
本記事では、産業医のスポット契約の概要やメリット・デメリット、探し方などについて解説します。この記事を最後まで読めば、スポット契約のメリットから活用方法、費用感まで幅広く理解できます。ぜひ参考にしてください。
目次
産業医面談のスポット契約とは?
産業医は、職場巡視や健康診断の結果に基づく指導など、労働者の健康管理を行う医師です。ストレスチェックの実施に際して、高いストレスが認められる労働者との面談など、「従業員が安心して働ける環境作り」に貢献します。
産業医は企業と契約を交わす「嘱託」が一般的です。しかし中には、産業医面談のスポット契約という契約形態もあります。ここでは、産業医面談のスポット契約の概要や、契約が利用できる要件などを解説します。
産業医面談について詳しくは『産業医って何をしてくれるの?産業医が必ず行う5つの役割。』こちらも参考にしてください。
時間や回数を決めて面談する方法
産業医面談のスポット契約とは、通常の産業医とは異なり、時間や回数を決めて面談をする方法です。産業医選任義務が発生していないこともあり、産業医がいない事業所でも、スポット契約によって産業医面談が可能です。
産業医面談のスポット契約が役立つ具体的な例としては、以下のケースがあります。
・ストレスチェックによる高ストレス者の指導
・産業医選任義務がない職場における産業医面談
・長時間労働が認められる労働者の面接指導
・健康診断で異常な所見が認められた労働者の面接指導
・精神疾患などを発症していた人の就業判定など
すでに産業医が設置されている企業も活用できる
上記の項目でも確認したように、スポット契約は、すでに産業医が設置されている企業でも活用できます。例えば女性特有の相談(セクハラなど)をしたいが、設置されている産業医が男性であり、どうしても相談しにくいケースです。このような問題は、女性の産業医とスポット契約を結ぶことで解決できます。
また産業医面談のスポット契約は、上記の項目でも解説したように、産業医専任義務がない小規模事業所でも活用できます。従業員のストレスチェックや長時間労働に関する相談をしたいが、産業医と契約を交わしていない場合、スポット契約を活用して問題を解決できます。
産業医面談のスポット契約のメリット
産業医面談のスポット契約のメリットは、必要な分だけ面接を依頼できる点です。例えば小規模事業所では、「産業医と契約を交わす余裕はないが、必要な時に産業医面談を活用したい」などのニーズがあります。その時に役立つのがスポット契約です。
またスポット契約は、オンラインでの面談にも対応しているケースが多く、より次世代的なケアが可能です。場所にとらわれず面談ができるため、労働者にとっても活用しやすい環境といえるでしょう。
さらに面談が必要な労働者が少ない場合は、特に費用を抑えられるのもポイントです。面談をする人数が比較的少数であり、それほど多くの時間を必要としない場合は、スポット契約を検討してみると良いでしょう。
そして特に小規模事業所(労働者の数が50人未満)であれば、助成金制度を利用しながらスポット契約を活用できます。ここまで紹介したスポット契約のメリットをしっかりと整理し、適切な活用を心がけましょう。
産業医について詳しくは『産業医とは?設置基準や仕事内容、報酬相場や探し方まで徹底解説!』を参考にしてください。
産業医面談のスポット契約のデメリット
ここまでスポット契約のメリットを解説しましたが、一方でデメリットもいくつか存在します。例えば紹介会社の場合は、担当する医師がそのたびに異なる可能性があるため、労働者の安心感に大きな影響を与えます。
産業医と労働者の面談は、繰り返すことで信頼関係が生まれていきます。面談のたびに異なる産業医が出てくるような状態であれば、労働者はまた1から産業医と関係を築かなければならず、それを負担に感じてしまう人も多いでしょう。
また面談費用が割高なのも、産業医面談のスポット契約のデメリットといえます。面談の回数や人数が少ないのであればあまり問題はありませんが、定期的に面談を実施する会社であれば、嘱託と比べて割高になってしまうでしょう。
定期的に産業医との面談を行う会社であれば、嘱託などの担当産業医を専任した方が、労働者のメンタル面や費用面でも安心です。上記のケースであれば、担当の産業医の選任も検討してみましょう。
産業医面談のスポット契約をする方法は?
産業医面談のスポット契約をする場合は、そもそもその形態の契約に対応している医師を選ばなければいけません。ここでは、産業医面談のスポット契約をする方法を、4つのトピックに分けて解説します。
知り合いの産業医に声をかける
産業医を探している場合は、まず知り合いの産業医に声をかけてみましょう。産業医のスケジュールに余裕があれば、対応してもらえる可能性があります。その際に確認しておきたいのは、以下の2点です。
・そもそも産業医面談のスポット契約に対応しているかどうか
・自社のニーズにあった性質を持っている産業医かどうか
自社に合った産業医だと分かったら、費用面や稼働時間などの細かい条件を詰めていきます。特にスポット契約をする場合は、これからも長期で付き合っていく可能性があるため、なるべく無理のない範囲で条件を調整しましょう。
医師会に依頼する
医師会に依頼する方法も有効です。医師会は医師であることを要件とする職能団体で、法人としては公益財団法人に当たります。
産業医には要件があるため、医師のすべてが産業医資格を持っているわけではありません。さらに、産業医であったとしてもスポット契約に対応しているとは限りません。
そのためスポット契約に対応している産業医を自分で探すとなると、かなりの労力がかかります。医師会に依頼をし、スポット契約対応の産業医を紹介してもらえば、余計な手間を省きつつ産業医を設置できます。
個人産業医事務所に依頼する
個人産業医事務所に依頼するのも良いでしょう。個人産業医事務所は、産業医の業務専門の事務所であり、プロの産業医を簡単に探せます。自分で産業医を探すのに限界を感じたら、こうした個人作業事務所を検討してみましょう。
注意しておきたいのは、産業医によって特徴やカラーが異なる点です。例えば特定の問題を相談したい場合は、その専門領域に合った産業医を選ぶ必要があります。
また産業医の人柄を見極めておくのも大切です。スポット契約とはいえ、定期的に産業医面談に対応してもらう関係であるため、より良い関係を築ける産業医に依頼すると良いでしょう。
産業医紹介会社に依頼する
医師会や個人産業医事務所だけでなく、産業医紹介会社に依頼する方法もあります。一般的な産業医やスポット契約に対応している産業医を探している場合は、産業医紹介会社がおすすめです。
産業医紹介会社であれば、多数の産業医から自社に合った人を選べます。スポット契約に対応している産業医も、より効率的に見つけられるでしょう。ただし産業医紹介会社の数は多いため、良い会社を見極める力が必要です。
産業医紹介会社で特に重要視したいのは、料金体系やサポートシステム、産業医のクオリティなどの要素です。
産業医のスポット契約の報酬相場は?
産業医のスポット契約の報酬相場が気になっている方も多いでしょう。スポット契約は、依頼方法によって大きく費用感が変わってきます。
スポットでの面談を依頼する場合の報酬相場は3〜5万円で、安いところだと1.5万円〜というところもあります。
ですが、依頼する紹介会社や希望する条件によって金額はバラバラです。
初期費用がかかるケースもあれば、面談時間が1回につき2時間までなど限られているケースもあります。
また、報酬額を表示していないケースも多いので、まずは直接問い合わせて確認してみるといいでしょう。
※【参考】嘱託産業医の場合
参考までに、スポット契約ではなく、嘱託産業医の報酬相場を確認してみましょう。相場は事業所の従業員数によって異なります。
従業員数 | 月額報酬相場 |
50名〜100名 | 月額6万円程度 |
101名〜200名 | 月額7万円程度 |
201名〜300名 | 月額8万円程度 |
301名〜400名 | 月額9万円程度 |
401名〜500名 | 月額10万円程度 |
上記は嘱託産業医の月額費用です。これに加えて、6,000円程度の訪問料が必要になる場合もあります。従業員の人数が増えれば、産業医の月額費用も高くなるため、スポット契約の方が割安です。
ただし定期的に面談を行うなど、産業医の活用頻度が高い場合、その都度支払いが発生するスポット契約は割高になります。嘱託産業医の方が安く済むケースもあるため、しっかりとした見極めが重要です。
まとめ
ここまで産業医のスポット契約を解説しました。すでに産業医を設置している職場や、産業医専任義務がない事業所でも活用できるため非常に便利です。ただし場合によっては嘱託の方が割安になるケースもあるため、どちらを活用するかの見極めが重要です。
産業医のスポット契約をうまく活用しつつ、従業員の適切なメンタルケアを行いましょう。産業医コンシェルジュは、プロの産業医が従業員のメンタルヘルスをケアし、健康経営の実現をサポートしています。ぜひお気軽にご相談ください。
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