COLUMN

2020.09.16.Wed

産業医による職場巡視の目的と内容を詳しく解説!

従業員の健康な職場環境を整えるために、産業医は定期的に巡視という作業をすることが義務付けられています。

産業医の巡視では、どのようなことに注目して、職場環境改善のために活動するのでしょうか?

この記事では、産業医の巡視について、どのような目的で、どんな頻度でどのような活動を行うのかを解説します。

職場巡視は労働者の働き方を知るためのいい機会です。職場巡視の意義について知り、必要な情報や準備をすることで充実した職場環境を産業医と一緒に作りましょう。

職場巡視の目的


産業医の職場巡視の目的は大きく分けて2つあります。1つ目の目的は「健康な従業員が労働により健康状態を悪化させてしまうことを未然に防ぐ」こと。

そして、2つ目の目的は「病気を持っている従業員が労働により、その病気を悪化させてしまうことを未然に防ぐ」ことです。

この2つの目的を果たすために産業医の巡視は、労働の作業方法や衛生状態のなかで心や身体に有害のあるものを見つけ出し、問題が生じてしまう前に改善する活動の役割を果たしています。

また、巡視は産業医にとっては現場での従業員の健康状態や業務内容、職場の雰囲気に直に触れて確認し、従業員達とのコミュニケーションを測る大切な機会の役割も果たしています。

産業医巡視の頻度は2ヶ月に1回以上


2017年に産業医巡視の頻度が「毎月1回」という義務から、「2ヶ月に1回以上」という頻度に変更になりました。

産業医巡視が2ヶ月に1回以上になった理由には、過重労働による健康障害やメンタルヘルスケアがより重要視され、産業医の業務時間が増加してきたということがあげられます。

業務が増加しつつある産業医の巡視にかける時間を軽減するために、巡視の頻度が2ヶ月に1回以上と変更されました。

しかしながら、巡視の頻度が2ヶ月に1回が可能になるためには以下の2つの条件があります。この条件を理解して、産業医と協力して職場環境の改善のための巡視の準備を整えましょう。

  • 所定の手続きを経て事業者の同意が得られていること
  • 事業者から産業医に対し所定の情報を毎月提供できること

産業医の巡視の頻度をしっかり知るために、この2つの条件についても詳しく確認しましょう。

所定の情報とは?

産業医に提供しなくてはいけない「所定の情報」とは、具体的に以下の3つの情報です。これらの情報を産業医に提出する事が、「2ヶ月に1回以上」が可能となる1つ目の条件です。

  • 衛生管理者が少なくとも毎週一回行う作業場等の巡視の結果
  • 衛生委員会等の調査審議を経て、事業者が産業医に提供したもの
  • 休憩時間を除き1週間あたり40時間を超えて労働させた場合における、その超えた時間が100時間を超えた労働者の氏名および当該労働者に係る超えた時間に関する情報

3つ目の過重労働時間についての報告は、産業医巡視の頻度の見直しと共に変更があった項目です。この情報は職場巡視とは関係なく、産業医への情報提供が義務付けられるようになりました。

他の2つの項目についても義務付けられてはいませんが、事業者が産業医に情報を提供することで産業医と状況の理解を共有することができます。

産業医に適切な情報を共有することでよりよい労働環境を一緒に作っていく事ができますね。

事業者の同意とは?

事業者の同意を得るときには、産業医の意見を参考に衛生委員会などで調査審議を行った上で同意を形成する事が「2ヶ月に1回以上」が可能となるための2つ目の条件です。

この同意とは、一回行ってしまえばそれで終わりというものではありません。

同業者調査審議は、巡視頻度を変更する一定期間を定め、定められた期間ごとに産業医の意見に基づいて同意を更新していかなくてはいけません。

つまり一度、巡視頻度を「2ヶ月に1回以上」と決定しても、定期的にその決定で問題がないのかを話し合う必要があるのです。

形式的に「2ヶ月に1回以上」の巡視とするのではなく、より現場のニーズにあった頻度での巡視をするために定期的に同意について見直す必要があるのです。

実際に職場巡視では何を見るのか?


次に、職場巡視では工場や事業場を産業医が確認をします。実際の職業巡視で特に注目される点についてそれぞれ解説していきます。

事務所内の環境管理

事務所内の作業環境は、労働安全衛生法に基づいて衛生基準が定められています。事業所衛生基準規則により以下のような基準をチェックする必要があります。

事務所内の空間の空気の性質や温度、含まれている粉塵、明るさなどについて、従業員が作業するのに適した基準は以下の通りです。

空気環境

  • 気積10㎥/人以上
  • CO濃度:50ppm以下
  • CO2濃度:5000ppm以下
  • 温度:10度以下の時には暖房等の措置を行います。また、冷房を使用する時には、外気温と比較して、著しく低下していないかに注意しましょう。

採光・照明について

  • 精密な作業:300ルクス
  • 普通の作業:150ルクス
  • 粗な作業:70ルクス

空気調和設備等による調整

  • 浮遊粉じん量0.15mg/㎥以下
  • 一酸化炭素10ppm以下
  • 二酸化炭素1000ppm以下
  • ホルムアルデヒド0.1mg/㎥以下
  • 気流0.5m/s以下
  • 室温17度以上、28度以下
  • 相対湿度40%以上70%以下

清潔

給水、排水、清掃等の実施、労働者の清潔保持義務、便所、洗面設備等についての内容です。

水道法にそった水質の維持や、ネズミや昆虫などの害虫がいないかの調査を6ヶ月に一回以上調査・防除を行わなければいけません。

また、男女別のトイレを人数に応じて設置することや洗面設備、(汚染がある場合には)更衣室の設備を設置する事が求められています。

休息施設について

休息施設、睡眠または仮眠が取れる準備、休養室等、立ち作業のための椅子についてなども産業巡視の着目点となります。

産業医は必要に応じて設備が整えられているのかを確認します。例えば、夜間労働がある事業所には、男女別の睡眠・仮眠のための設備を設けることが必要です。

常時50人以上または、常時女性30人以上の労働者がいる場合には、横になって休むことができる休養室を設置しなくてはいけません。

救急用具について

負傷者の手当に必要な救急用具や材料を整えて、場所や使用方法を周知できているのかを確認します。

例えば、AEDや消火器がどこにあるのかをしっかり講習の時に情報を従業員に周知されているのかをチェックします。

避難経路や非常口についても確認が必要です。緊急事態の時に非常扉の前に大きな荷物があったら非常扉の役割を果たすことができません。

避難経路や事情扉が緊急時に機能するためには、扉の前に邪魔になるものが置かれていないかを確認します。

VDT作業

パソコンでの作業のVDT作業は職場巡視にて注目する1つのポイントです。不適切なVDT作業は視力や姿勢の悪化の原因となるからです。

平成20年のVDT作業における身体的な疲労や症状がある労働者および内容別労働者割合(複数回答可能)では、平成20年身体的な疲労や症状がある労働者集計では68.6%の労働者が症状(主に目の疲れや痛み・首、肩のコリ・痛み)を訴えているという結果が出ています。

平成15年時と比較すると改善傾向にあるようですが、依然としてVDT作業が多くの労働者に影響を与える作業であるということがわかりますね。

産業医の職業巡視では、VDT作業を行う時の適切な作業姿勢、作業環境、連続作業時間などに注目して、VDT作業の改善が行われています。

過重労働について

残業や出張などの状況を直接管理者に確認することができることも職場巡視の1つの意義です。

最近のストレスチェックや過重労働面談などの結果を事前にまとめておくと、現場でしか知ることができないような意見交換をすることができるでしょう。

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