健康経営・職場改善

【2022年】健康経営優良法人の変更点とは?意識するポイントや認定企業の取り組み事例を紹介

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更新日:2023.02.18

コーポレートサイトや企業パンフレットなどで、健康経営優良法人のロゴマークをみたことがありませんか?健康経営優良法人に認定されると、優良な健康経営を実践している先進企業として社会から評価されます。また、企業活動の活性化や業績向上なども期待できるため、企業に多くのメリットが期待できるでしょう。

本記事では、健康経営優良法人制度の概要や健康経営銘柄との違い、認定までのフローや認定基準、2022年度の変更点などを解説します。併せて企業事例も紹介しているので自社の健康経営に関する取り組みの参考にしてください。

健康経営優良法人とは?

健康経営優良法人とは、特に優良な「健康経営」に取り組んでいると経済産業省から認められた企業です。健康経営は従業員の健康管理を経営的な観点から考える経営手法で、結果的に業績向上や企業価値の向上につながることが知られています。

健康経営優良法人に認定される大企業や中小企業などの数は、健康経営優良法人制度がスタートした2016年以降、年々増え続けています。2022年度の認定数は大企業が2299法人、中小企業などが1万2255法人でした。

出典:経済産業省「健康経営優良法人認定制度」(参照:2022-05-11)

ここでは健康経営優良法人制度の目的と企業の区分を解説します。

健康経営優良法人の目的

経済産業省は健康経営優良法人制度の目的を次のように述べています。

“健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受けることができる環境を整備することを目標としています。”

引用:経済産業省「健康経営優良法人認定制度」(参照:2022-05-11)

上記の「見える化」の仕組みとしては、まず認定基準を経済産業省が明確化、標準化していることが挙げられます。基準は追って詳しく解説しますが、社会情勢や企業の取り組み状況などを考慮して改正が続けられています。

もうひとつは認定を受けると経済産業省から顕彰されるだけでなく、認定ロゴマークの使用が許可されることです。企業のホームページや企業パンフレットなどに掲載すれば健康経営に実績のある先進的な企業であることをアピールできるでしょう。

これらの見える化によって健康経営優良法人は、社会的に評価を受けやすくなります。健康経営の推進と企業業績の向上には相関関係があることが知られていますので、投資効果が高い企業として融資や投資を受けやすくなるからです。

健康経営優良法人の区分

健康経営優良法人制度は、常時使用する従業員数によって大規模法人部門と中小規模法人部門に区分されています。

業種 健康経営優良法人
大規模法人部門 中小規模法人部門
製造業、その他 301人以上 300人以下
卸売業 101人以上

 

100人以下

 

小売業 51人以上 50人以下
医療法人・サービス業 101人以上 100人以下

健康経営優良法人とは別に、大規模法人部門の「ホワイト500」や中小規模法人部門の「ブライト500」という認定基準もあります。これらは健康経営優良法人の評価で上位500社に入り、地域への健康経営の情報発信をするなどの条件を満たす企業に与えられる認定です。

ホワイト500について詳しい情報を知りたい方は以下の記事もご覧ください。
『ホワイト500とは?認定を受けるメリットや必要な認定・申請方法を解説』

健康経営優良法人と健康経営銘柄との違い

健康経営銘柄とは、健康経営を実践している上場企業の中から、特に優良な取り組みを行っている企業です。

社会的な評価を与える目的は健康経営優良法人制度と同じですが、対象となる企業や認定している団体、認定基準が以下のように異なります。

健康経営優良法人 健康経営銘柄
対象企業 大企業や中小企業などの法人 上場企業
認定 経済産業省が認定 経済産業省と東京証券取引所が共同して認定

健康経営銘柄の主な認定基準は以下のとおりです。

・健康経営銘柄と健康経営優良法人の審査のために実施している『健康経営度調査』の総合評価の順位が上位20%
・直近3年間のROE(自己資本利益率)の平均が3年連続で下がっていない
・重大な法令違反などがない

なお、2022年の健康経営銘柄は過去最多の32業種で50社でした。それでも健康経営優良法人より数は少なく、認定条件は厳しくなります。

出典:経済産業省|「健康経営銘柄2022」に50社を選定しました!」(参照:2022-05-11)

健康経営優良法人2022の認定フローや認定基準・変更点とは


健康経営優良法人の認定を目指す企業の担当者向けに、中小規模法人部門と大規模法人部門それぞれの認定フローや認定基準、主な変更点などを解説します。

大規模法人部門

大規模法人部門の主な変更点も把握しておきましょう。

項目 変更点
申請プロセスの効率化 申請が電子化、フローの効率化
スケジュールの変更 フローの効率化によるスケジュール変更
保険者との連携 保険者との連携を推進(40歳以上の従業員の健診データ提供、特定健診と特定保健指導の実施率を問う設問の追加など)
認定要件 ・健康経営に関する評価改善(PDCA)を必須化・健康課題把握の取り組みを強化・喫煙率低下に向けた取り組みを評価項目に追加など
新型コロナ対応 救済措置を撤廃

大きな変更点としては中小規模法人部門と同様、申請プロセスが効率化されることによって、担当業務の負担が軽減されることです。申請が電子化されて紙媒体での提出が不要になります。業務フローの効率化によりその分、健康経営に対する施策の注力が可能になるでしょう。大規模法人部門の認定フローと認定要件については下記を参考にしてください。
経済産業省「健康経営優良法人の申請について」
画像引用:経済産業省「健康経営優良法人の申請について」(参照:2022-05-11)
経済産業省「健康経営優良法人の申請について」参

画像引用:経済産業省「健康経営優良法人の申請について」参照:(2022-05-11)

中小規模法人部門

中小規模法人部門の主な変更点について確認しましょう。なお、下記の項目に加え、申請が押印なしの完全電子化となり郵送が不要になった点も挙げられます。後ほど紹介する申請認定のフローの図も参考にしてください。

項目 変更点
認定要件 ・健康経営に関する評価改善(PDCA)を必須化
・健康課題把握の取り組みを強化
・喫煙率低下に向けた取り組みを評価項目に追加
など
新型コロナウイルス感染症の
流行に伴う対応
・救済措置を撤廃

 

健康宣言事業の取り扱い 各自治体の健康宣言事業への参加でも代替可能になった
ブライト500の認定方法 自社からの発信を重視する評価に変更

出典:経済産業省「健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)今年度の概要と主な変更点」(参照:2022-05-11)

中小規模法人部門の変更点で注視すべき部分は、ブライト500の認定方法が変更になった点でしょう。前述のように、ブライト500とは、健康経営優良法人(中小規模法人部門)の中から特に優良な企業上位500法人に対して表彰されるものです。

これまでは、ブライト500による『健康経営の評価項目における適合項目数』を12項目以上としていました。しかし、ブライト申請数が5000社を超え、評価項目新設に伴い13項目以上に変更されました。なお、評価対象の変更はありませんが、自社からの発信をより重視するウエイトに変更されたという点に注目です。

中小規模法人部門の認定フローと認定要件については、経済産業省の公式サイトで公表しています。こちらも参考にしてください。
経済産業省「健康経営優良法人の申請について」
画像引用:経済産業省「健康経営優良法人の申請について」(参照:2022-05-11)
経済産業省「健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)今年度の概要と主な変更点」(
画像引用:経済産業省「健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)今年度の概要と主な変更点」(参照:2022-05-11)

健康経営優良法人2023の認定基準の発表時期

健康経営優良法人制度の設計は、経済産業省と提携している健康・医療新産業協議会健康投資ワーキンググループが行っています。健康経営優良法人の認定基準時期は例年5〜6月ごろに検討され、8月末頃より申請の受付が始まります。

ただし日程や詳細に関しては変更になる可能性もあるため、正しい日程や評価の内容・項目や対象の詳細については経済産業省のホームページで確認しておきましょう。

【2022】健康経営優良法人の取り組み事例(大規模法人部門)

健康経営優良法人の取り組み事例(大規模法人部門)

ここでは大規模法人部門で健康経営優良法人として認定を受けた企業の事例を紹介します。

株式会社J-POWERビジネスサービス

株式会社J-POWERビジネスサービスでは、『健康でいきいきと仕事をすることが顧客の満足につながる』という考えのもと健康経営を実践しています。重点的に取り組んでいるのは以下の4つです。

・定期健康診断100%受診
・メンタルヘルス対策
・THP活動の推進
・ワークライフバランスの推進等

THP(トータル・ヘルスプロモーション・プラン)は厚生労働省が作成した「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に基づく、従業員の健康増進プランです。

これらの施策によって、従業員はより健康経営を身近に感じられるようになりました。同社は従業員本人だけでなく、その家族にも健康づくりの範囲を広げるなど今後も積極的な施策を展開していくということです。

出典:株式会社J-POWERビジネスサービス「健康経営優良法人2022(大規模法人部門)」に認定されました(参照:2022-05-11)

宮崎県庁

宮崎県庁は長寿日本一を目標に掲げており、『先ず隗より始めよ』の考えで健康経営優良法人認定を目指しているとのことです。

宮崎県庁の取り組みは大きく次の5つに分けられます。

1.特定健康診査受診率の向上など
2.食生活の改善
3.運動機会の拡大
4.禁煙及び受動喫煙防止の推進
5.メンタルヘルス対策の推進

こうした取り組みの結果、宮崎県庁は2021年と2022年で連続認定を受けました。宮崎県庁は自らをモデルケースにして健康経営サポートサイトを開設するなど地元への情報発信にも力を入れています。

出典:宮崎県庁「宮崎県庁が健康経営優良法人2022に認定されました!」(参照:2022-05-11)

株式会社電通クリエーティブX

株式会社電通クリエーティブXは、従業員が健康かつ快活であってこそ持続的な発展を遂げられるという考えから健康経営に着手しました。

例えば健康管理や疾病予防では、人間ドック受診、全員のストレスチェック実施、フィットネスクラブ利用の補助などを行っています。また22時以降の残業の原則禁止やフレックスタイム制度の導入など健康的な働き方を支援しています。

2020年以降同社は3年連続の健康経営法人認定となり、今後も職場環境の整備に取り組んでいくということです。

出典:株式会社電通クリエーティブX「「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に3年連続で認定されました」(参照:2022-05-11)

【2022】健康経営優良法人の取り組み事例(中小規模法人部門)

中小規模法人部門の事例では、自社の課題を的確に発見することで健康経営優良法人として認定されるケースが多くあります。3社の事例をみてみましょう。

株式会社新井精密

自動車や医療機器の精密機械加工を請け負う株式会社新井精密は、健康アドバイザーから職場環境改善のアドバイスを受けたことがきっかけで健康経営に取り組みはじめました。

当時の課題は高ストレス者の発生予防と早期発見でしたので、その対策として専属産業医によるストレスチェックと面談体制を整えました。この際、一般的な基準と比べるのではなく、一人ずつのストレス指数の推移を分析することで高ストレスの発生予防と早期発見が可能になったそうです。

健康課題の解決に取り組んだ結果、過去最高の増収増益を達成した期があるなど業績にも好ましい影響が出ています。

出典:経済産業省「健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)認定法人取組事例集(令和4年3月発行)」(参照:2022-05-11)

株式会社山田商会

ガス・水道工事、リフォーム工事などを請け負う株式会社山田商会は、2018年ごろに社会的な課題となっていた長時間労働の是正をきっかけに健康経営に着手しました。

そこで見つかった健康課題は生活習慣病などの疾病リスクが高いことです。そのため同社は協会けんぽの『生活習慣病予防健診』の活用や運動系イベントによる啓蒙活動などを通じて、健康意識の向上を目指しました。

こうした取り組みの結果、2021年の健康診断での有所見者は前年の47%から30%に減少するなどの成果が出ています。

出典:経済産業省「健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)認定法人取組事例集(令和4年3月発行)」(参照:2022-05-11)

新関西製鐵株式会社

製鋼や圧延鋼材の製造などを営んでいる新関西製鐵株式会社では、健康診断での有所見者が88%という状況に危機感を覚え、健康経営に関心を持ったそうです。

特に大きかった健康課題はメンタルヘルス不調者の早期発見と予防でした。そこで産業医による相談窓口や個別面談、専門医療機関の提携などを充実させ、メンタルヘルス不調者の割合を1%未満に抑える目標を立てました。

結果として2021年度のメンタルヘルス不調者は0.5%で目標達成となり、2022年度も1%未満を目指しています。

出典:経済産業省「健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)認定法人取組事例集(令和4年3月発行)」(参照:2022-05-11)

まとめ

優良な健康経営を実践する健康経営優良法人を目指す企業が増えています。従業員への健康管理の質を高めることによって生産性や業績、企業イメージの向上など多くのメリットがあるからです。

従業員の健康管理を維持するには、健康づくりに関する高い専門知識を持つ産業医による相談や面談が有効です。

「株式会社Dr.健康経営」は、メンタルケアに強い「産業医」サービスです。従業員一人ひとりが健康的に働けるための健康経営サポートも行っています。健康経営を実現する方法としてぜひ一度ご相談ください。

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些細なことでもぜひお気軽にご相談ください。

鈴木 健太
監修者
鈴木 健太
医師/産業医

2016年筑波大学医学部卒業。
在学中にKinesiology, Arizona State University留学。
国立国際医療研究センターでの勤務と同時に、産業医として多くの企業を担当。
2019年、産業医サービスを事業展開する「株式会社Dr.健康経営」を設立、取締役。

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