メンタルヘルス・ストレスチェック

メンタルヘルスマネジメント検定とは?活用法やコース、難易度を解説【人事・労務向け】

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更新日:2023.07.26

メンタルヘルスマネジメント検定は、メンタルヘルスに不調をきたしたときの対処法や予防策に関する基本的な知識の取得を目的とした資格です。従業員がより健康的な状態で働ける環境を整えるために、今さまざまな企業で活用されています。

そもそも、メンタルヘルスマネジメント検定はどのような資格で、取得することによりどのようなメリットが生じるのでしょうか。

本記事では、メンタルヘルスマネジメント検定の基本的な知識と試験概要、難易度を解説します。より効果的な健康経営を実現するためにも、ぜひメンタルヘルスマネジメント検定を活用してみてください。

メンタルヘルスマネジメント検定とは?

メンタルヘルスマネジメント検定とは、働く人たちのメンタル不調を未然に防ぐ方法や適切な対処法を学び、いきいきと働ける職場づくりを目指すための検定試験です。

厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」をふまえ、大阪商工会議所が主催している公的な民間資格です。

メンタルヘルスマネジメント検定の対象者には、人事・労務部門や管理職のみならず一般社員も含まれ、それぞれの立場に必要な知識を身につけることで、企業全体としての健康意識向上を目指せます。

よりメンタルヘルスマネジメント検定についての知識を深めるために、まずはこの資格が企業にとって重要な理由や取得して得られるメリットをみていきましょう。

メンタルヘルスマネジメントが重要な理由

メンタルヘルスマネジメント検定が重要な理由は、多くの労働者がストレスを抱えたまま働いている現状があるためです。

厚生労働省が行った「令和3年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、「仕事で強いストレスになっていると感じる事柄がある」と回答した人は53.3%にものぼることがわかりました。ストレスの原因は、仕事の量・質、対人関係などと人によって異なりますが、2人に1人以上もの労働者が仕事に対する悩みを抱えているということになります。

こういった強いストレスを抱えたまま働いていると、心身に不調をきたすおそれがあります。メンタルヘルスの不調はもちろん、高血圧や心臓病など体の不調につながる可能性もあり、休職や労働災害などの原因にもなるでしょう。

ストレスによる心身の不調が従業員に生じれば、生産性の低下や人材の損失、最悪の場合は責任問題の追及など多くのリスクが企業にふりかかります。そのため、企業はすすんでメンタルヘルス対策を実施する必要があるのです。

“参考:厚生労働省「令和3年 労働安全衛生調査(実態調査)」

メンタルヘルスマネジメント検定のメリット

メンタルヘルスマネジメント検定を取得することには、4つのメリットがあります。

ここでは、各メリットの詳細をみていきましょう。

メンタルヘルスケアを強化できる

企業のメンタルヘルスケアを強化できる点が、メンタルヘルスマネジメント検定の大きなメリットです。

メンタルヘルスマネジメント検定で知識を身につければ、上司は部下のメンタルヘルスをケアしながら適切な管理監督を行えます。また一般社員を含め、各従業員が自分のメンタルヘルスをケアできるようになる点もうれしい効果でしょう。

管理者はもちろん、各従業員がメンタルヘルスに関する知識を身につけることで、お互いにケアする体制を整えて相談しあえる良好な環境を構築できるようになります。

生産性や労働環境の改善につながる

メンタルヘルスの不調を改善することは、生産性や労働環境の改善にもつながります。実際、経済産業省の資料では「心身の不調は生産性を低下させること」「健康投資が生産性向上やコスト削減につながること」が示されています。

心身に不調を抱えたまま仕事をしても、思うような結果を出すのは難しいものです。モチベーションが低くなれば仕事に集中できず、ミスをしてしまう可能性もあるでしょう。このような状態の従業員が多い事業所は、次第に職場環境も悪くなっていく傾向にあります。

メンタルヘルスマネジメント検定では、心身に不調を抱えている従業員をサポートするための知識を身につけられます。悩みに応じた必要な対策が取れるようになれば、モチベーションや生産性の向上につなげられるでしょう。

必要に応じて労働環境や仕事内容を改善することで、すべての従業員がいきいきと働ける職場環境を目指せるようになります。

“参考:経済産業省「企業による「健康投資」に関する情報開示について」

企業のイメージアップにつながる

メンタルヘルスマネジメント検定を取得して、積極的に従業員の健康問題へ取り組んでいることをアピールできれば、企業のイメージアップ効果が得られます。

投資家や求職者からの支持獲得、社会的イメージの向上はもちろん、従業員の帰属意識向上にも役立ってくれるでしょう。

実際、経済産業省によれば「健康投資に積極的な企業の株価は全体に比べて高い値を示している」ことがわかっています。経営戦略としてメンタルヘルス問題に取り組めば、企業の評価を大幅に向上できる可能性があるのです。

“参考:経済産業省「企業による「健康投資」に関する情報開示について」

キャリアアップにつながる

メンタルヘルスマネジメント検定は企業に多くのメリットをもたらしますが、取得者本人にもメリットはあります。資格を取得すれば、従業員のキャリアアップに役立ちます。

メンタルヘルスマネジメントの知識をもつ従業員は、企業にとって重要な人材です。とくに、管理者には部下をサポートする能力が求められるため、メンタルヘルスの知識をもっていればマネジメント人材としての評価を高められる可能性があります。

積極的なキャリアアップを希望している従業員に対しては、メンタルヘルスマネジメント検定の取得を促してみるとよいでしょう。

メンタルヘルスマネジメント検定の活用法

メンタルヘルスマネジメント検定は、企業のどのようなシーンで役立つのでしょうか。

資格取得後の活用法を3つ紹介します。

快適に働ける職場づくり

メンタルヘルスマネジメント検定は、快適に働ける職場づくりに役立ちます。

検定では、職場の評価や改善の方法、労働者への配慮方法などを学びます。学んだ知識は、従業員が働きやすい環境を整えたり、問題を抱えている従業員をフォローしたりする際に活用できるでしょう。

またメンタルヘルスマネジメント検定の知識は、職場環境改善や職場巡視、衛生委員会などを実施するときも役立ちます。メンタルヘルスに詳しい人材が職場巡視や衛生委員会に参加すれば、より高い成果を得られるようになるでしょう。

休職や退職のリスク管理

メンタルヘルスマネジメント検定の知識は、休職や退職のリスクを早期発見し、適切に管理する際にも活用できます。

休職や退職する従業員が出てくれば、どうしても業務に影響が出てしまいます。リスク管理を行って業務への影響を最小限にとどめ、従業員に負担をかけにくい体制を整えるのも、企業に課された重要な義務です。

不調を感じている従業員を素早く発見して適切に対応できれば、労働災害や休職・退職を未然に防げる可能性があります。

ハラスメントや過重労働への対策

ハラスメントや過重労働は、従業員のメンタル不調につながる大きな要因です。メンタルヘルスマネジメント検定の知識は、ハラスメントや過重労働への対策にも活かされます。

とくに、ハラスメントを受けている従業員は、相談することによってさらに状況が悪化することをおそれます。不適切な対応で相談者が不利益を被ることがないよう、適切にサポートすることが求められるのです。

メンタルヘルスケアに関する知識があれば、ハラスメントを受けている従業員、過重労働を強いられている従業員への適切なフォローやケアが行えます。また専門知識をもっていれば、このような問題にいち早く気づけるようになるというメリットもあります。

メンタルヘルスマネジメント検定のコースは3つ

メンタルヘルスマネジメント検定には3つのコースが用意されていて、それぞれ対象者や学ぶ内容が大きく異なります。

以下では各コースの詳細を解説します。

Ⅰ種(マスターコース)

Ⅰ種(マスターコース)は、人事労務管理者や経営幹部を対象としたコースです。従業員への働きかけ方や職場環境の改善方法について学ぶため、企業全体のメンタルヘルス対策推進に役立ちます。

3つのコースの中でもっとも難易度が高く、合格には多くの学習時間が不可欠です。しかし、取得できれば高度なメンタルヘルス対策体制を構築できます。

メンタルヘルスケアの対策計画立案や従業員に向けたトレーニング、外部の専門機関との適切な連携などを可能にしてくれるでしょう。

Ⅱ種(ラインケアコース)

Ⅱ種(ラインケアコース)は、管理者を対象としたコースです。上司という立場から、どのように部下のストレスや人間関係に対処していけばよいのかを学びます。

そもそもラインケアとは、直属の上司や課長、部長などの管理監督者が部下の異変に素早く気づき、相談に対応したり職場環境の改善に努めたりする取り組みを指します。従業員に近しい存在である上司が異変に気付くことにより、不調が軽いうちに対策できる点がメリットです。

このコースでは、部下が不調に陥らないように配慮する方法や、不調が出てしまったときの適切な対処法を身につけられます。また、メンタルヘルスの不調が原因で休職していた従業員に対するサポート方法を学ぶことも可能です。

ラインケアについては、こちらで詳しく解説しています。あわせてご一読ください。

Ⅲ種(セルフケアコース)

Ⅲ種(セルフケアコース)は、一般社員を対象としたコースです。主に、いち早く自分自身のストレス状況に気づき、セルフケアしたり周囲に助けを求めたりすることの重要性を学びます。

メンタルヘルスケアの基礎知識や実施する意義、セルフケアの重要性、ストレスへの対処法などを学びます。職種や業種、職歴、年齢を問わず、すべての労働者におすすめのコースです。

セルフケアについては、こちらの記事でも解説しています。あわせてご覧ください。

メンタルヘルスマネジメント検定の試験内容

ここからは、メンタルヘルスマネジメント検定の試験内容を詳しく解説します。

受験を検討している方、社員の資格取得を促進したい企業はぜひ参考にしてみてください。

メンタルヘルスマネジメント検定の試験概要

2023年・2024年におけるメンタルヘルスマネジメント検定受験試験概要は、次のとおりです。

第35回 第36回
受験日 2023年11月5日(日) 2024年3月17日(日)
実施コース Ⅰ種(マスターコース)
Ⅱ種(ラインケアコース)
Ⅲ種(セルフケアコース)
Ⅱ種(ラインケアコース)
Ⅲ種(セルフケアコース)
申込期間 <一般受付>
9月15日(金)~ 9月28日(木)<団体受付>
8月28日(月)~ 9月8日(金)
<一般受付>
2024年1月26日(金)~ 2月8日(木)<団体受付>
2024年1月9日(火)~ 1月19日(金)
受験地 札幌、仙台、さいたま、千葉、東京、横浜、新潟、浜松、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、高松、福岡

受験費用は、次のとおりです。

    • ・Ⅰ種(マスターコース):11,550円(税込)
    • ・Ⅱ種(ラインケアコース):7,480円(税込)
    • ・Ⅲ種(セルフケアコース):5,280円(税込)

なお、メンタルヘルスマネジメント検定には受験資格がありません。学歴や年齢、性別、国籍にかかわらずすべての方が受験可能です。

また、いきなり2種・1種を受験することも可能です。Ⅰ種と Ⅱ種、Ⅱ種とⅢ種を同日に受験しても問題ありません。

メンタルヘルスマネジメント検定の難易度と合格率

メンタルヘルスマネジメント検定の難易度と合格率は、コースによって大きく異なります。

各コースの難易度と合格率をみていきましょう。

“参考:メンタルヘルスマネジメント検定試験「結果・受験者データ」

Ⅰ種(マスターコース)

Ⅰ種(マスターコース)は、もっとも難易度が高いコースです。

出題形式は「マークシート形式+論述問題」と、3つのコースのうち唯一論述問題がある点が特徴的です。論述問題では正確な知識を確実に記述することが求められるため、中途半端な学習で突破することはできません。

合格率は、15~20%前後です。2022年11月の試験では、17.6%の合格率でした。

Ⅱ種(ラインケアコース)

Ⅱ種(ラインケアコース)は、試験の傾向をつかんでしっかりと準備をしておけば、問題なく合格できるレベルの難易度です。決して簡単とはいえませんが、しっかりとテキストの内容を理解できれば合格は難しくないでしょう。

とはいえ、Ⅲ種と比べると細かい暗記が必要になるため、ポイントを押さえて学んでいく必要があります。法律で定められている数字や条件などを問われることがあるので、用語や制度の概要だけではなく、重要な法律や数値などは重点的にチェックしておきましょう。

合格率は、50~70%前後です。2023年3月の試験では、54.1%の合格率でした。

Ⅲ種(セルフケアコース)

Ⅲ種(セルフケアコース)は、比較的難易度が低いコースです。

公式テキストを一通りチェックして問題を解いておけば、難なく合格が狙えるでしょう。常識の範囲で応えられる問題も多いため、他のコースほど本腰を入れて勉強しなくても問題ありません。

しかし、まったく勉強せずに受験することは避けるべきです。なぜなら、資格取得の目的は試験に合格することではなく知識を身につけることであるためです。しっかりとテキストで正しい知識を身につけたうえで受験しましょう。

合格率は、65~85%前後です。2023年3月の試験では、79.3%の合格率でした。

メンタルヘルスマネジメント検定の出題範囲

コースによって、メンタルヘルスマネジメント検定の出題範囲は異なります。

なお、どのコースの問題も厚生労働省策定の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を参考に構築されています。出題内容は、公式テキストの内容と応用問題です。

以上をふまえ、以下では各コースの出題範囲と勉強時間目安を説明します。

Ⅰ種(マスターコース)

Ⅰ種(マスターコース)の出題範囲は、次のとおりです。

    • 1.企業経営におけるメンタルヘルス対策の意義と重要性
    • 2.メンタルヘルスケアの活動領域と人事労務部門の役割
    • 3.ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
    • 4.人事労務管理スタッフに求められる能力
    • 5.メンタルヘルスケアに関する方針と計画
    • 6.産業保健スタッフ等の活用による心の健康管理の推進
    • 7.相談体制の確立
    • 8.教育研修
    • 9.職場環境等の改善

選択問題100点(2時間)、論述問題50点(1時間)で構成されており、合計105点以上かつ論述問題の得点が25点以上で合格になります。

勉強時間の目安は、110時間前後です。論述問題があり難易度が高いため、しっかりと腰を据えて勉強する必要があります。直前になって焦ることがないよう、早めに着手することがおすすめです。

Ⅱ種(ラインケアコース)

Ⅱ種(ラインケアコース)の出題範囲は、次のとおりです。

    • 1.メンタルヘルスケアの意義と管理監督者の役割
    • 2.ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
    • 3.職場環境等の評価および改善の方法
    • 4.個々の労働者への配慮
    • 5.労働者からの相談への対応(話の聴き方、情報提供および助言の方法等)
    • 6.社内外資源との連携
    • 7.心の健康問題をもつ復職者への支援の方法

選択問題100点(2時間)で構成されており、70点以上の得点で合格になります。

勉強時間の目安は、40時間前後です。難易度は高くないものの、ある程度の勉強時間を確保する必要があります。試験1~2カ月前から1日1時間程度学習に取り組むとよいでしょう。

Ⅲ種(セルフケアコース)

Ⅲ種(セルフケアコース)の出題範囲は、次のとおりです。

    • 1.メンタルヘルスケアの意義
    • 2.ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
    • 3.セルフケアの重要性
    • 4.ストレスへの気づき方
    • 5.ストレスへの対処、軽減の方法
    • 6.社内外資源の活用

Ⅱ種と同様に、選択問題100点(2時間)で構成されており、70点以上の得点で合格になります。

勉強時間の目安は、20時間前後です。テキストを一通り理解できれば合格を狙えるので、他のコースと比べると勉強時間は少なく済みます。試験1~2週間前から1日1~2時間程度の学習に取り組むとよいでしょう。

メンタルヘルスマネジメント検定受験の流れ

メンタルヘルスマネジメント検定を受験するときの流れは、以下のとおりです。

    • 1.受験を申し込む
    • 2.会場で受験する
    • 3.合格証明書の発行とスキルアップ

それぞれの詳細を解説します。

1.受験を申し込む

まずは、申込期間中に試験の申し込みを行いましょう。メンタルヘルスマネジメント検定の申し込みは、個人と団体のどちらかで行うことになります。

個人申し込みの場合は、各受験者が申し込み手続きや結果の確認を行います。申し込みは、メンタルヘルスマネジメント検定の公式サイトから行うことが可能です。

団体申し込みは、10人以上の受験で可能となります。公開試験日に受験する「公開試験」と、企業や団体が日時を指定する「団体特別試験」のいずれかを選べます。ただし、団体特別試験はⅡ種とⅢ種しか受験できない点に注意しましょう。

団体申し込みの公開試験を希望する場合は、メンタルヘルス・マネジメント検定試験センターに電話で連絡のうえ、送付される申請書に記入・返送して手続きをします。団体特別試験を希望する場合は、専用の申し込みフォームへの入力が必要です。

詳しくは、こちらのページをご参照ください。

“参考:メンタルヘルスマネジメント検定試験「申込方法」

2.会場で受験する

申し込み後に受験票が届くため、それを持参して会場で試験を受けます。

試験地は、次の中から選択することが可能です。

札幌、仙台、さいたま、千葉、東京、横浜、新潟、浜松、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、高松、福岡

なお、受験時に必要な持ち物は次のとおりです。

    • ・受験票
    • ・筆記用具
    • ・身分証明書
    • ・マスク

集合時間に遅刻したり試験会場を間違えたりした場合、受験できなくなってしまうため注意が必要です。また、一度退出すると再入室できない点も押さえておきましょう。

 3.合格証明書の発行とスキルアップ

メンタルヘルスマネジメント検定の合格者には、合格証(カード)が発送されます。

合格証以外にも、合格証明書を発行することが可能です。必要な場合は、合格証明書の発行請求フォームからご申請ください。なお、合格証明書の発行には1,320円(税込)の手数料がかかります。

また大阪商工会議所は、メンタルヘルス・マネジメント検定試験のⅠ種(マスターコース)合格者を対象に「Ⅰ種合格者フォーラム」を設置しています。ここでは、最新情報の収集や相互交流などを通じてスキルアップを図ることが可能です。

無料登録すると、メンタルヘルス対策に関する最新情報やイベントのお知らせなどが掲載されたメールマガジンを受け取れるようになります。Ⅰ種に合格した方は、ぜひご活用ください。

“参考:メンタルヘルスマネジメント検定試験「セミナー・講座」

メンタルヘルスマネジメント検定の勉強法

メンタルヘルスマネジメント検定は、独学もしくは受験対策講座で勉強することが可能です。

ここでは、各勉強法について紹介します。

独学で学ぶ

メンタルヘルスマネジメント検定は、独学でも十分に合格を狙える資格です。

自分のペースで学びたい、金銭的な負担を軽減したいなどのご希望がある方には、独学のほうが向いているでしょう。ただし、モチベーションを維持したり勉強時間を自己管理したりと、工夫しながら学習を進める必要があります。

メンタルヘルスマネジメント検定の問題は、公式テキストの内容をもとに出題されます。したがって、勉強するときは公式テキストの活用がおすすめです。

公式テキストについては、こちらをご覧ください。

“参考:メンタルヘルスマネジメント検定試験「公式テキスト」

なお、公式の過去問題集は販売されていないので、各出版社が発行しているものをご活用ください。

株式会社日本マンパワーは、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種のドリル式問題集を公開しています。出題の傾向や試験の雰囲気をつかみたい方は、こちらをチェックしてみてもよいでしょう。

“参考:株式会社日本マンパワー「メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種ラインケアコース ドリル式問題集500」

受験対策講座で学ぶ

メンタルヘルスマネジメント検定は、受験対策講座で学ぶことも可能です。

各商工会議所では、メンタルヘルスマネジメント検定の受験対策講座を開催しています。開催場所や対象となるコースは異なりますが、お近くで希望するコースの講座が開催される場合は、参加してみるとよいでしょう。

また、民間企業が提供している資格講座や通信講座などを活用して、メンタルヘルスマネジメント検定について学ぶことも可能です。

“参考:メンタルヘルスマネジメント検定試験「セミナー・講座」

メンタルヘルスマネジメント検定と他の資格の違い

メンタルヘルスマネジメント検定の他にも、メンタルヘルスケアを行って働く人々をサポートするための資格は多く存在しています。

その一例として、以下のようなものが挙げられます。

    • ・産業カウンセラー
    • ・心理相談員
    • ・メンタルケア心理士

これらの資格とメンタルヘルスマネジメント検定の大きな違いは、受験資格と取得の対象者です。

メンタルヘルスマネジメント検定には、特別な受験資格が設けられていません。また、経営幹部や管理者、一般社員など「メンタルヘルスケア・健康経営の当事者」を対象としている資格である点が特徴的です。

それでは、上記に挙げた各資格にはどのような特徴があるのでしょうか。ここでは、それぞれの概要を紹介します。

産業カウンセラー

産業カウンセラーは、一般社団法人 日本産業カウンセラー協会が所管している資格です。職場で働く人々がスムーズに悩みを解決できるよう、カウンセラーとして手助けをすることを目的としています。

受験するためには、協会が主催する専門講座を受講する、もしくは大学・大学院で心理系の学部・学科の修了が必要です。

資格取得後は民間企業や学校などの公的機関に勤め、そこで働いたり生活したりしている人々のさまざまな悩みに耳を傾けます。仕事や人間関係、キャリアなど幅広い問題に対して助言をして、その人自身が問題を解決できるように導きます。

心理相談員

心理相談員は、中央労働災害防止協会が認定している資格です。職場のメンタルヘルスケアに関する基礎知識の取得を目的としています。

心理相談員になるための認定試験は、実は実施されていません。認定を受けるためには、「心理学・社会福祉系・保健系などの大学を修了している」「所定の研修を受講する」などの要件を満たす必要があります。

この資格は、主に産業保健スタッフがスキルアップやステップアップを目指す際に活用されます

メンタルケア心理士

メンタルケア心理士とは、日本学術会議協力学術団体メンタルケア学術学会により運営されている公的学会認定です。精神解剖生理学や精神医科学の知識を身につけたうえで、カウンセリングの基本的な技能や実践力を身につけます。

メンタルケア心理士を受験するためには、文部科学省後援こころ検定2級に合格しなければいけません。また、4年制大学で心理系の学部・学科を修了している、認定心理士や産業カウンセラーの資格を保有しているなどの要件があります。

民間企業でカウンセリングを行うほか、医療・福祉の現場で医師や看護師などと連携しながら働くこともあります。資格を活かして、自らカウンセリングルームを運営することも可能です。

メンタルヘルスマネジメント検定は役に立たない?

メンタルヘルスマネジメント検定についてインターネットで調べると、「役に立たない」「意味がない」などの文言を目にすることがあるかもしれません。

ここでは、メンタルヘルスマネジメント検定が本当に役に立たない資格なのかについて深掘りしてみましょう。

メンタルヘルスマネジメント検定が役に立たないといわれる理由

メンタルヘルスマネジメント検定が役に立たないといわれる理由としては、次の3つが考えられます。

    • ・民間資格だから
    • ・コースが複数あるから
    • ・誰でもチャレンジできるから

どのようなことなのか、詳しくみていきましょう。

民間資格だから

メンタルヘルスマネジメント検定は、国家資格ではありません。大阪商工会議所が主催している、民間資格に分類されます。そのため、メンタルヘルスの国家資格である公認心理師や社会福祉士と比べ、専門性や資格難易度が低いと判断されて「役に立たない」と思われやすいのです。

もちろん、専門性の高さや資格難易度、就職活動への影響などは、民間資格のほうが劣ります。

しかし、メンタルヘルスマネジメント検定を取得する目的は、企業や労働者が従業員もしくは自らのメンタルヘルスをケアすることです。そのために必要な知識が身につけられれば、資格の難易度や就職活動への影響などは考慮する必要はありません。

取得する資格を見極める際は、「今の企業(自分)に必要な知識が身につくかどうか」を判断基準にすることが大切です。

コースが複数あるから

メンタルヘルスマネジメント検定には3つのコースがあり、それぞれで対象者や目的が異なります。各受験者にあったコースを選べなければ、せっかく試験に合格しても知識を役立てられないかもしれません。

例えば、一般社員が経営層向けのⅠ種を受験しても、身につけた知識を業務で活かすことは難しい可能性があります。

まずはメンタルヘルスマネジメント検定を受ける目的を明確にして、課題解決につながるコースを受験することが大切です。

誰でもチャレンジできるから

メンタルヘルスマネジメント検定は、他のメンタルヘルス系の試験とは異なり誰でも受験できます。いきなり難易度が高いコースを受験することも可能なハードルの低さも、「役に立たないのではないか」と思われる一因となっています。

誰でもチャレンジできる資格であっても、全員が合格できるわけではありません。資格を取得するためには自主的な学習や確実な知識が求められるため、受験時のハードルの高さを考慮する必要はないでしょう。

受験・合格の難易度ではなく、学ぶことで得られる知識や成果を重視することが大切です。

メンタルヘルスマネジメント検定は目的に応じて取得することが大切

メリットや活用法の項目でも紹介したとおり、企業がメンタルヘルスマネジメント検定の取得を促進することには多くのメリットがあります。立場に応じたメンタルヘルスケアの知識をもつ従業員が増えれば、より活気があり働きやすい職場を目指せるようになるでしょう。

ぜひ、従業員の健康維持や健康経営戦略のひとつとしてメンタルヘルスマネジメント検定を活用してみてくださいね。

ただし、目的に合わないコースを選んでしまうと、せっかく資格を取得しても役に立たなくなる可能性があることも事実です。企業は資格取得の目的を明確にして、受験させる従業員・コースを見極めることを心がけてください。

まとめ

メンタルヘルスマネジメント検定は、企業で働く人々のメンタル不調を未然に防いだり適切に対処したりすることにより、いきいきと働ける環境づくりを目指す検定試験です。

立場や目的にあったメンタルヘルスの知識を体系的に学べるため、職場環境を改善したい企業や健康経営に力を入れたい企業は積極的に活用してみましょう。

快適な職場づくりや従業員の健康促進には、専門家のサポートが欠かせません。従業員のメンタルケアを課題に感じている企業は、ぜひ産業医への相談もご検討ください。

Dr.健康経営では、メンタルケアに強いプロの産業医サービスを提供しています。一社一社の課題に応じて、定期訪問からオンラインサポート、スポットなどさまざまなプランをご用意しております。

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鈴木 健太
監修者
鈴木 健太
医師/産業医

2016年筑波大学医学部卒業。
在学中にKinesiology, Arizona State University留学。
国立国際医療研究センターでの勤務と同時に、産業医として多くの企業を担当。
2019年、産業医サービスを事業展開する「株式会社Dr.健康経営」を設立、取締役。

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