休職には診断書が必要?期間はいつからいつまで?休職の手続きや従業員への対応方法を解説

日付2022.02.14
更新日:2022.07.29

労働者の休職は増加傾向にあります。休職理由として多いものの一つはメンタルヘルスの不調です。

この記事では、労働者が休職を申し出た場合、企業としてどのような対応をすることになるのかを解説します。休職の定義や、手続きの流れや必要書類、注意点などを紹介しています。休職への対応について、わからないことがある場合は、参考にしてください。
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休職とは?

労働者が個人の都合によって会社を長期的に休むことを休職といいます。休職の定義や、似たワードとしての「休業」「休暇」「欠勤」との違いを解説します。

休職の定義

休職制度とは、一時的に働けなくなった労働者に対して企業が一定期間労務を免除する制度です。労務を提供できない労働者をすぐに退職させるのではなく、回復のための期間を設け復職させることで雇用を維持できます。

働けなくなる理由としては、病気や怪我が一般的です。その他には留学のため、逮捕・勾留・起訴等された場合、公職業務との両立が困難な場合なども休職理由として認められるケースがあります。

休職制度を設けていれば、労働者を解雇することになった場合でもトラブルを軽減しやすくなります。企業は休職期間の上限を定めておくことで、回復の見込みがない労働者を規則によって自然退職の扱いにすることが可能です。休職期間を設けたことにより、すぐに解雇した場合と比べて企業は解雇を回避する努力をしたとみなされます。

休業との違い

休業とは、労働者が一定期間労務を提供しない点で休職と似ています。しかし、休業と休職は2つの点で異なっています。

休職との違いの一つは、休業は労働者個人の都合だけでなく、企業側の都合によるものも含まれる点です。労働者都合の休業理由としては、産前産後・育児・介護などが当てはまります。企業都合の休業理由としては、工場の操業停止といったものが挙げられます。

休業制度は、法律で定められている点でも休職制度と異なっています。例えば労働者が出産した場合、たとえ企業や当該労働者本人が就労を希望しても、産後6週間は産後休業として仕事を休まなくてはならないことが労働基準法第65条で定められています。

また、企業の都合で休業する場合、企業は休業期間中の労働者に賃金の60%以上を支払わなければならないことが労働基準法第26条で決められています。

休暇や欠勤との違い

休暇とは本来なら働く必要がある日に、労働者の事前の申請によって労働が免除される場合をいいます。労働基準法では年次有給休暇といった、一定の条件下で付与しなくてはならない法定休暇を定めています。

企業が任意に付与する休暇は、法定外(特別)休暇と呼ばれ、企業によって取り決めが異なります。誕生日休暇やリフレッシュ休暇、慶弔休暇、教育訓練休暇などが一般的です。

欠勤とは労働義務がある日に、義務が免除されていないにもかかわらず、仕事をしない場合を指します。欠勤は労働契約に基づく労務の提供の不履行となり、賃金が支払われません。欠勤が続いた場合や、無断欠勤は懲戒処分の対象となる場合があります。

休職診断書とは?

休職診断書とは、企業が労働者の休職を認める際に必要となる書類です。休職診断書とはどのようなものなのか、そして休職診断書を用意する方法について紹介します。

医師の診断を証明するもの

休職診断書とは、休職の必要性や正当性を証明する書類です。医師の診断によって、休職が必要とされた場合に発行されます。多くの企業では、休職の際に休職診断書を提出するよう、就業規則で定めています。

休職診断書には症状についての所見や、治療内容、休職期間の見込みなどが記載されます。休職期間については、暫定的に1〜2カ月程度と見立て、その後労働者の症状を見ながら診断によって延長、または短縮することが一般的です。

休職診断書の発行手数料は医療機関により異なりますが、一般的な費用は数千円〜1万円程です。申請から発行までの期間については、即日発行される場合もあれば、2週間程度かかるケースもあります。

休職診断書を用意する方法

前述のとおり休職を申し出る際には、一般的に休職診断書を提出することになります。例えばメンタルヘルスに不調がある場合は精神科や心療内科、脳血管疾患なら神経内科といった、症状に合った医療機関にかかり、休職診断書を発行してもらう必要があります。

また任意の医療機関の他、労働者は在籍企業の産業医に休職診断書の発行を依頼することもできます。産業医とは、企業の労働者の健康管理などを医学の専門家としての立場からサポートする医師をいいます。労働者が50人以上の企業では1名以上の産業医を、3001人以上では2名以上の産業医を選任することが法律で義務付けられています。

休職手続きの一般的な流れと注意点


休職手続きは、原則として企業の就業規則に定められています。ここでは、企業の労働者が休職を申し出た場合の一般的な手続きの流れとその注意点を解説します。

1.診断書の提出

労働者が休職を申し出た際は、当該労働者が就業規則による休職制度の対象となるのか判断する必要があります。休職の可否判断は、診断書や労働者との面談の実施によって確認します。

診断書では、労務が不可能となる理由や休職を必要とする期間を確認します。面談での確認事項は、復職の意思があるのか、また休職を回避するための手立てはないのかといった事柄です。例えば、部署異動や職種転換などによって、休職しなくても労働者が働き続けられる場合があるかもしれません。

診断書や面談によって休職しても復帰が見込めないことが明らかな場合は、休職を認めない判断を行うケースもあります。

2.休職の可否と期間の決定

診断書や面談の内容を検討し、労働者の休職の可否を判断します。休職を認める場合は、休職辞令を文書として交付することになります。休職辞令には、起算日や終了日(休職期間)、休職命令発令日などを記載することが一般的です。

休職期間満了までに労働者が復職できない場合は、退職扱いとなるため、休職期間をはっきりと示すことが大切です。休職における事由や期間、手続きといったルールを、就業規則で明確に定めることで、退職や解雇となった場合の、労働者とのトラブルを回避しやすくなります。

3.休職に関する確認書の取り交わし

休職する労働者に対しては、休職に関する確認書の取り交わし、そして必要事項の周知が必要となります。

  • ・休職中の連絡先
    休職期間中は、労働者と企業との間で経過報告や書類のやりとりが生じるため、企業側の電話番号などの連絡先や、書類の送付先住所、担当者を知らせておく必要があります。
  • ・病状などの経過報告に関する事項
    休職期間中の労働者からの診断書の提出について、その頻度や提出方法を決めておく必要があります。
  • ・社会保険料の取り扱いについて
    休職中も雇用契約は持続しているため、社会保険料の支払い義務は企業および当該労働者共に変わりません。休職中は給与が発生しないため、社会保険料の徴収方法を決めておく必要があります。

休職期間はどれくらい?

労働者の休職決定後の休職期間の決め方や休職期間が延長となるケースについて、また休職期間が満了となった場合の対応を解説します。

休職期間は就業規則で定められた期間

労働者が休職できる期間の上限は、原則として企業の就業規則に定められています。休職制度は、法律で定められた制度ではないため、企業によって取り決めは様々です。就業年数によって休職期間に違いを設けている企業や、勤続1年未満の労働者は休職制度の対象外としている企業、そもそも休職制度がない企業もあります。

また、労働者の症状の度合いによっても休職期間の目安が異なります。症状が軽度の場合は1カ月、重度の場合は3カ月〜半年の休職期間を設けることが一般的です。休職を申し出る労働者は、一人ひとり事情が違うため、診断書や面談による判断が必要となります。

必要に応じて休職期間の延長も可能

休職期間は原則として、休職申請時の診断書に基づき必要とされた期間になります。しかし、その後の継続的な診断によって、休職の延長が必要と医師が判断した場合には、就業規則に定められた期間の上限に達していない限り、休職期間の延長ができます。

また、休職期間が満了になっても労働者が復職できない場合は、退職または解雇となることが一般的です。退職扱いになるのか、解雇となるのかは、企業の就業規則によります。労働者とのトラブル防止のため、就業規則で休職規定をしっかり定め、明記することが大切です。

休職期間中に支払われる賃金

労働者の休職期間中、企業に賃金を支払う義務があるのか、また労働者が申請できる傷病手当金制度とはどのようなものかを解説します。

給与の支給は就業規則の定めによる

休職制度に法的な制約はなく、企業に休職期間中に給与を支給する義務はありません。給与は労働の対価とされているため、「ノーワーク・ノーペイの原則」に従い、休職中の労働者には給与が発生しないことが一般的です。「ノーワーク・ノーペイの原則」とは、労働者が労務を提供していない場合、企業はその時間についての給与を支払う義務がないという考え方のことです。

ただし、休職期間中でも給与を支払う企業もあります。給与が支払われるケースでは、通常の給与全額ではなく、一部が支給されることになります。

休職中の給与の有無や、支給される場合の金額・期間などについては、就業規則によって定められています。また、給与と同様、賞与(ボーナス)の支給の有無についても、就業規則によります。

休職中は「傷病手当金」を申請できる

休職期間中の労働者は、傷病手当金を受給できる場合があります。傷病手当金とは休職中の労働者に、給与の約3分の2が最長1年6カ月の間支給されるものです。労働者が経済的な心配をすることなく安心して休めるよう、この傷病手当金制度について知らせることが大切です。

傷病手当金の受給には、一定の条件を満たす必要があります。

  • ・健康保険に加入していること
    傷病手当金を受給するためには、勤務先企業の健康保険に加入している必要があります。
  • ・業務外のケガや病気により働けないこと
    傷病手当金の受給では、休職の理由が仕事や通勤によるものではないことが必要です。業務内のケガや病気で働けない場合は、労災保険の対象となります。
  • ・連続した3日間仕事を休んでいること
    待機期間となっている3日間を過ぎないと、傷病手当金を受給することはできません。3日間連続で仕事を休むと待機期間が経過したとみなされ、その後の休職期間に対して傷病手当金が支給されます。
  • ・給与の支払いがないこと
    傷病手当金の受給では、給与の支払いがないことが必要です。

傷病手当金に似たものとして障害年金制度があります。同じ病気やケガを対象とした場合、傷病手当金と障害年金の両方の全額は受け取れないため注意が必要です。

休職期間中の社会保険資格の手続き

労働者の休職期間中でも雇用関係は持続しています。したがって社会保険資格の喪失に関する手続きは不要です。また、企業と労働者共に、社会保険料の支払いの義務があり、負担額も変わりません。

通常、社会保険料は労働者の給与から天引きされますが、無給の休職期間中ではそれができません。したがって、休職中の労働者に対しては社会保険料の徴収方法を取り決めておく必要があります。労働者が定期的に保険料を企業に振り込む、企業が未払いの給与から徴収する、企業が立て替えておくといった方法が一般的です。

一方、労災保険や雇用保険にかかる労働保険料は、給与が発生しない場合は支払う必要がありません。労働保険は賃金に応じて保険料が算出されるからです。

休職中の従業員へ必要な対応とは?

休職中の労働者にはどのような対応が適切なのでしょうか。ここでは、定期的な連絡の必要性、解雇や退職の判断について解説します。

定期的に連絡すること

休職中の労働者に対しては定期的な連絡をし、症状の経過を把握することが大切です。同時に、労働者の精神的不安を和らげ、復職に向けた意欲を高めることも重要となります。連絡頻度は1カ月に1回程度が一般的です。連絡手段としては、メールや電話、面談が挙げられます。

休職開始直後では、労働者の精神的負担が少ないといわれるメールで連絡をとることがおすすめです。症状が回復すれば、電話や面談などを取り入れることも有効です。連絡の窓口は一本化することで行き違いを防ぎ、休職中の労働者のストレスを軽減できます。

企業側の連絡の担当者としては、直接の上司の他、人事部や総務部の人員が務める場合もあります。特に、業務で生じたメンタルヘルスの不調による休職のケースでは、日頃の業務から離れた立場にある担当者が適しているといえます。

復職に向けた相談を受けること

労働者からの定期報告や医師の診断書を受け、症状に回復が見られる場合は、復職に向けた相談をしていきます。ヒアリングが必要な事項は、体力や集中力が回復したか、復職意思の有無、復職希望時期などについてです。

特にメンタルヘルスの不調によって休職した労働者の場合は、細心の注意を払う必要があります。たとえ本人に復職希望があったとしても、安易に休職期間を終了してしまうと、症状が再発するリスクが高まります。労働者が復職と休職を繰り返してしまうケースもあります。労働者本人の申告だけでなく、医師による判断を仰ぐことが大切です。

解雇や退職の判断をすることも

休職していても労働者がなかなか回復せず、復職の目処が立たない場合があります。休職期間が満了となっても復職できない場合には、退職や解雇扱いとすることになります。解雇の場合には労働基準法により、労働者に対して30日前に告知すること、または30日分の予告手当を支給する必要があります。

不当解雇として労働者との間でトラブルになるのを避けるためには、あらかじめ就業規則で、休職期間満了時までに復職できない際の取り決めを明示しておくことが大切です。復職できない場合は自然退職とすることを定めておけば、企業としても負担が少なく、円滑に退職の対応を進められるでしょう。

まとめ

一時的に働けなくなった労働者の雇用を守る休職制度。企業の就業制度によって休職制度は異なり、期間の上限や手続きといった取り決めも違っています。

休職は労働者、企業双方にとって痛手となります。労働者が休職してしまった場合の対応も大切ですが、できれば不調を早期発見し、休職を予防したいところです。

休職者を減らすためには、従業員の健康管理が大切といえます。産業医は、労働者の健康をサポートする医療の専門家です。産業医をうまく活用して、快適な労働環境を整えましょう。

株式会社Dr.健康経営では、厳選された経験豊富な産業医をご紹介します。産業医選任に迷っている場合はお気軽にご相談ください。

鈴木 健太
監修者
鈴木 健太(すずき けんた)
代表取締役/医師・産業医

1989年、東京都国立市出身。2009年、筑波大学医学部へ入学。
在学中にKinesiology, Arizona State Universityへ留学し、医学・経済学・人文学等を学ぶ。
卒後は国立国際医療研究センターで勤務医として働く。
予防医療の重要性に気づき、帝京大学公衆衛生大学院で健康経営を研究しつつ、産業医として多くの企業を担当する。