健康管理室とは?設置の背景や役割・必要性や今後の課題まで詳しく解説

日付2022.05.30
更新日:2022.07.29

メンタルヘルスケアの重要性が高まる現代では、健康管理室を設置する企業が増えています。健康管理室の役割とは企業の従業員の健康を守り、生産性を高めることです。

本記事では健康管理室について設置が増える背景や設置義務があるのか、業務内容や組織体系などを詳しく解説します。設置に当たっての準備や運営上の課題なども紹介しているのでぜひ参考にしてください。

健康管理室とは?

まずは健康管理室とはどのようなものなのか、設置されるようになった背景や、設置義務について解説します。健康管理室の主な仕事内容や構成メンバーなども参考にしてください。

健康管理室が設置されるようになった背景

健康管理室とは企業における産業保健スタッフが在籍する健康管理のための部門です。従業員の身体的な健康、そしてメンタルヘルスをサポートするのが健康管理室の役割です。新型コロナウイルスの影響により、従来以上にメンタルケアが必要となったことから健康管理室を設置する企業が増えています。

安全配慮義務の観点からも健康管理室の設置は有用です。安全配慮義務とは厚生労働省によって定められた義務のことで“使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする”とされています。

引用:厚生労働省「労働契約法のあらまし」(参照:2022-05-18)

多くの大手企業には健康管理室が置かれており、近年では中小企業においても設置されるようになってきています。その理由は、前述したようにメンタルケアの必要性が高まっていることや、従業員の健康管理が企業に経済的メリットをもたらすからだと考えられます。

健康管理室に設置義務はある?

健康管理室は法的な設置義務が定められているわけではありません。義務がないにもかかわらず、健康管理室の設置が進む理由は、健康管理室によるさまざまなメリットがあるからです。

まず、健康管理室は従業員の健康維持に役立ち、一人ひとりがいきいきと働ける環境が整えられます。また、福利厚生の一環としての側面も挙げられます。新型コロナウイルスの影響によって、テレワークの普及などの労働環境の変化に伴う心身の不調解決にも、健康管理室の設置は有効です。

健康管理室の主な仕事内容

健康管理室の主な仕事内容は産業医と同様です。具体的な業務としては高ストレス者への面接指導、従業員の心身についての健康相談などが挙げられます。高ストレス者はストレスチェックによって判定され、そのままにしておくとメンタルヘルス不調に陥るリスクが高くなります。

その他、社内でケガ人・病人が出た場合の応急処置も健康管理室の仕事です。企業規模によっては安全委員会を開く必要があり、参加者には健康管理室も含まれます。また、2カ月に一回は職場を巡視し、危険がないかチェックするなど快適な職場環境を整備することも役割の一つです。

産業医の仕事内容に関して詳しくは『産業医とは?医療機関で働く医師との違いや企業にもたらす導入メリットを解説』も参考にしてください。

健康管理室で構成される主なメンバー

健康管理室は産業医や産業保健師といった医療の専門家の他、企画職や事務職によって構成されます。健康管理室に医療職しか在籍していない場合、他の部署とのやりとりが難しいため渉外担当として企画職が置かれています。

復職のアドバイスも担当する健康管理室では、他の部署、特に人事部との協力が必要となる場面が少なくありません。また、他部署との繋がりがないと部内の風通しが悪くなり、業務がブラックボックス化してしまう可能性もあります。企画職を置くことで他部署との連携が容易になり、こうした問題を解消できるでしょう。

健康管理室に必要な準備とは?


健康管理室をうまく機能させ、効果的に運営するためには、いくつかの準備が必要です。ここでは設置に当たってどのような準備をすればいいのか具体的に解説していきます。

ストレスチェックシステムを整える

ストレスチェックの実施は健康管理室の役割の一つです。ストレスチェックとは従業員のストレス状態を調べるための質問回答式の検査です。2015年12月より労働安全衛生法によって、50人以上の労働者がいる企業では年に一回のストレスチェック実施が義務付けられています。

ストレスチェックを提供している企業もあります。例えば、株式会社Dr.健康経営のストレポを活用すれば手間なく便利に実施でき、手厚いサポートも受けられます。

産業医監修のストレスチェック「ストレポ」

ストレスチェックに関して詳しくは『ストレスチェック制度とは?義務化の背景や労働者への対応・手順や費用など詳しく解説』も参考にしてください。

内部相談窓口を設置する

健康管理室が従業員の健康状態や職場環境作りを効果的にサポートするには、社内における相談窓口の設置が必要となります。また、パワハラ防止法の施行によって企業にはハラスメント相談窓口を置くことが義務となっています。労働環境問題に迅速に対応するには内部相談窓口の設置が有効です。

内部相談窓口には産業医や産業保健師、心理カウンセラーといった専門スタッフが必要になります。セクハラやパワハラといった、センシティブな相談が持ち込まれることもあるため、対面だけでなく電話やメール、チャットなどで気軽に相談できる体制を作ることが望ましいでしょう。

外部相談窓口が活用できるようにする

前述した内部相談窓口は健康サポートやハラスメント防止に有用ですが、相談内容や本人の性格から相談しづらいと感じる従業員も少なくありません。そんな場合のために、従業員が外部窓口を活用できるような体制を作っておくのも一つの方法です。

外部相談窓口は基本的に有料ですが、従業員が無料で利用できるものもあります。厚生労働省の「ハラスメント悩み相談室」や、労働局の労働相談コーナーでは無料で相談を受け付けています。

ただし、これらは公的な窓口として設置されているため、相談窓口の外部委託ができるわけではありません。しかし、利用方法を社内で周知しておけば社内トラブルの改善に役立つでしょう。一方、有料のサービスなら相談窓口の委託ができ、従業員に対してより充実した相談体制を提供できます。それぞれ特徴が異なるため、自社に合ったものを選びましょう。

従業員に向けて研修を行うための準備をする

健康を維持するためには、従業員一人ひとりが知識を身につけることが大切です。正しく実用的な知識の獲得には研修の実施が効果的です。特にメンタルヘルスやストレスマネジメントについては医療分野の知識も関わってくるため、健康管理室が主導することでより実情に沿った有用な研修が実施できます。

メンタルヘルス研修として一般的なものはストレス予防に向けたセルフケア研修や、従業員のメンタルヘルスを守るハラスメント研修です。その上で、さらに管理職に向けては、ラインケア研修が実施されることもあります。ラインケア研修は部下のメンタルヘルスの不調を早期発見し、休職や離職を防ぐことを目的としています。

健康管理室を運営する上での課題

健康管理室を運営する上での課題
企業が健康管理室を運営する上ではいくつかの課題があります。ここでは現状、体制の安定や健康管理室の業務においてどのような課題があるのかを解説します。

産業医・看護師・産業保健師の確保

企業が健康管理室を置く場合、担当者として常勤の産業医や産業保健師、看護師が在籍するのが一般的です。しかし、これらの職業の平均年収は比較的高く、企業としては健康管理にかける人件費を上げられないという事情から担当者が離職してしまうケースも少なくありません。

産業医は臨床医などと同等の年収を求める場合も多く、経験を積んでも年収が上がらない場合、離職する可能性が高くなります。産業保健師に関しても、看護師と比較して年収が抑えられる場合が多く、同じく離職することも珍しくありません。年収への不満などによって担当者が転職しやすく、長期雇用が難しいことが安定した健康管理室運営の妨げになっています。

業務内容の明確化

健康管理室の業務は多岐に渡り、仕事量も少なくありません。その上、業務内容には労働法が関わってくるため変化が大きく、仕事の管轄が曖昧になりやすいという特徴があります。担当業務を明確化しておかないと、本来なら健康管理室が担うはずの業務がしっかりと遂行されないことも考えられます。

また、産業医や産業保健師がメンタルヘルスケアの研修を行わないといったケースもあるため、あらかじめ健康管理室の業務内容をリストアップするなどして明確にしておくことが大切です。

産業医や産業保健師は産業保健のスペシャリストではありますが、ITやソフトウェア業務に関しては慣れていないことがあります。健康管理室を効率的に運営するためには、業務プロセスの最適化やITの活用が必要となります。

まとめ

健康管理室とは従業員の健康を守り、長くいきいきと働いてもらうための部署です。近年、健康管理室を設置する企業が増えています。メンタルヘルスケアの必要性が高まる現代では健康管理室の設置をはじめとした、健康維持への取り組みが肝要といえます。

健康管理室はその業務内容から、産業医や産業保健師といった専門家を置くのが一般的です。Dr.健康経営では産業コンシェルジュというサービスを提供しており、質の高い産業医を紹介しています。数多くの企業での導入実績があり、料金体系も明確で安心です。産業医をお探しの場合、まずはDr.健康経営にお問合せください。

鈴木 健太
監修者
鈴木 健太(すずき けんた)
代表取締役/医師・産業医

1989年、東京都国立市出身。2009年、筑波大学医学部へ入学。
在学中にKinesiology, Arizona State Universityへ留学し、医学・経済学・人文学等を学ぶ。
卒後は国立国際医療研究センターで勤務医として働く。
予防医療の重要性に気づき、帝京大学公衆衛生大学院で健康経営を研究しつつ、産業医として多くの企業を担当する。