衛生委員会を立ち上げる方法とは?4つのステップに沿って分かりやすく解説

日付2022.06.06
更新日:2022.06.07
衛生委員会を立ち上げる方法とは?4つのステップに沿って分かりやすく解説

従業員数が50人を超えている企業は、衛生委員会の設置が義務付けられています。自社で衛生委員会の設置が必要になったときに、どのように立ち上げればいいのか分からない方もいるのではないでしょうか。

本記事では、衛生委員会を立ち上げるための具体的な方法を4つのステップに分けて解説します。立ち上げに必要な書類や議事録の作成例なども合わせて紹介するのでぜひ参考にしてください。

衛生委員会とは

衛生委員会を立ち上げる前にどのような目的で設置するのか、企業での役割は何なのかなどを把握しておくことが大切です。本章では、衛生委員会の目的や義務などを解説します。

衛生委員会の目的

50人以上の従業員数が就業している企業が衛生委員会を立ち上げる目的は、労働災害を未然に防止して従業員の健康を守るためです。経営層が従業員の要望や意見を無視して安全措置を取れば現場の状況に合った対応が行えず、労働災害や健康被害が発生してしまう恐れがあります。

労働安全衛生法では衛生委員会の設置だけでなく、次の事柄を義務付けています。

・企業は従業員と協力して、労働災害の予防に取り組む
・職場環境の向上や従業員の健康の維持・改善のための話し合いを行う
・ストレスチェックの実施結果などを審議する

衛生委員会の設置に関して詳しくは『衛生委員会を設置する目的は?設置基準や各メンバーの役割・安全委員会との違いを解説』も参考にしてください。

業種により安全委員会の設置も必要

業種によって衛生委員会だけでなく、安全委員会の設置が必要になる場合もあります。安全委員会の設置が義務付けられている業種は、林業や建設業、製造業などです。詳しくは、以下の表をご覧ください。

業種 常時使用する労働者の数 安全委員会 衛生委員会
1 林業、鉱業、建設業、製造業の一部(木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、
金属製品製造業、輸送用機械器具製造業)、運送業の一部(道路貨物運送業、港湾運送業)、
自動車整備業、機械修理業、清掃業
50人以上 必要 必要
2 製造業(1以外)運送業(1以外)電気業、ガス業、熱供給業、水道業、
通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、
家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業
100人以上 必要 必要
50人以上100人未満 義務なし 必要
3 1と2以外の業種 50人以上 義務なし 必要

※ 出典:厚生労働省『安全委員会、衛生委員会について教えてください。』

衛生委員会の構成メンバー

衛生委員会のメンバーは法律で定められているメンバーと任意による参加メンバーで構成されています。法律で参加が義務付けられているのは、以下のメンバーです。

・委員長(1名)
・衛生管理者(1名以上)
・産業医(1名以上)
・衛生に関する経験を持つ人(1名以上)

衛生関連の経験がある人を選定する場合は、委員長や衛生管理者、産業医以外の人材を選ぶ必要があります。例えば、役員や人事担当者などが候補に挙げられます。上記に挙げたメンバーは、事業者側の代表者です。衛生委員会は企業と従業員の代表者が話し合う場のため、従業員側の代表者も選出するのが原則です。

一般的に、衛生委員会に参加するメンバーは、7人が望ましいです。事業者側と従業員側の代表者は同数で合わせるのが好ましいとされているため、従業員側も3名の代表者を選びます。ただし、従業員の人数が少ない事業場など参加人数を集めるのが難しい場合は、衛生委員会に参加するメンバーが5人になるように人数の調整をしましょう。

衛生委員会立ち上げのステップ

衛生委員会立ち上げのステップ
本章では、衛生委員会を立ち上げる際の具体的な方法を解説します。衛生委員会を立ち上げるための方法は大きく分けて4つのステップが挙げられます。以下の4つのステップを参考にして自社で衛生委員会を立ち上げましょう。

1.衛生委員会の意義を理解する

50人以上の従業員が働いている企業は、従業員の健康の保持・増進や、健康障害を未然に防止するために衛生委員会を立ち上げなければなりません。労働安全衛生法では、衛生委員会の設置や実施は事業者の義務と定めています。

事業者が義務を怠った場合、罰則が科せられます。罰則の対象になる事項は以下のとおりです。

・衛生委員会を設置していない
・委員長や衛生管理者、産業医などのメンバーが参加していない
・委員長を除く参加メンバーのうち、従業員側の代表者が半数を満たしていない
・毎月1回以上、衛生委員会が開催されていない
・衛生委員会の議事録が3年間保管されていない

上記の項目が一つでも該当する場合は50万円以下の罰金を支払わなければなりません。

2.規定やルールを定める

衛生委員会を立ち上げる際、以下の項目を含む規定やルールを策定しておくとスムーズに運営できます。

・開催の頻度
・委員メンバーの任期
・欠員メンバーの補充
・議事録の保管に関すること

衛生委員会の開催頻度は毎月1回以上と定められています。自社の労働環境の状況などに応じて必要なタイミングで開催することが大切です。衛生委員の任期や構成メンバーに欠員が出た場合に補充する際の要件なども明確にしておきましょう。衛生委員会の議事録は3年間の保存が義務付けられています。保存方法や保管場所などを決めておくことで、過去の議事録を探す手間を省けます。

3.年間計画を立てる

衛生委員会の年間スケジュールを立てておくことも重要です。衛生委員会は毎月1回以上開催しなければなりません。限られた時間内で労働環境の衛生に関する話し合いをする必要があります。衛生委員会の時間を有効に活用するためにも、年間計画を立て、後述する審議内容や議題などを決めておきましょう。

衛生委員会は参加メンバーの業務時間内に開催するのが原則です。衛生委員会の構成メンバーが無理なく参加できる日時を設定しましょう。衛生委員会の当日は、従業員側の代表者が現場を離れても問題がないようにシフトなどの人数を調整しておく必要があります。また、産業医が常駐していない企業では、訪問日程に合わせて衛生委員会を開催するケースも多いです。

4.衛生委員会の審議内容を決める

衛生委員会でどのような内容を話し合うのかを事前に決めておく必要があります。一般的に、衛生委員会で扱うテーマは、従業員の健康の保持・増進や健康障害の防止、労働災害などへの対策が挙げられます。衛生委員会で審議すべき事項の一部を確認しておきましょう。

・規定やルールの策定
・具体的な衛生計画の策定や実施、評価・改善
・衛生教育の実施計画
・労働災害が発生した場合の衛生面の原因究明や再発防止対策
・従業員の定期健康診断などの結果に対する対策
・長時間労働による健康障害への対策
・従業員のメンタル面の健康を保持増進するための対策

上記以外に、職場内の温度・湿度の管理方法やメンタルヘルスケア、ワークライフバランスなどをテーマに挙げることができます。

衛生委員会の立ち上げに必要な書類

衛生委員会の立ち上げに必要な書類
衛生委員会を立ち上げる際、準備すべき書類があります。衛生委員会を立ち上げた後、産業医と衛生管理者を選任したことを報告するための書類を労働基準監督署に提出しなければなりません。産業医と衛生管理者の選任は、選任すべき事由が発生した日から14日以内に行うのが原則です。

厚生労働省のホームページでは、『総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告様式』をダウンロードできます。報告書のフォーマットを出力する場合は、以下のURLから厚生労働省の該当ページに遷移できます。

※ 出典:総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告様式(参照 2022-04-11)

また、インターネット上で報告書を作成できるサービスの利用も有効です。厚生労働省の同ページ内にある該当サービスのリンクも確認しておきましょう。

衛生委員会議事録の作成例

衛生委員会の議事録を作成する際は、以下の項目を記載しましょう。

・開催日時
・出席者の氏名
・審議内容
・事業場の衛生や健康に関する報告内容
・労働災害や長時間労働などに関する状況

ただし、従業員の氏名などを記載すると個人のプライバシーが侵害される恐れがあるため、氏名や個人が特定される内容は避けるなどの配慮が必要です。議事録を作成する際は、下記の作成例を参考にしてください。

産業医報告書

衛生委員会の立ち上げに迷ったときはどうする?

衛生委員会を立ち上げる際には、参加メンバーの選定や産業医と衛生管理者の選任報告書の提出、規定・ルールの策定、年間スケジュールの作成など、やるべきことが多いです。何から手をつければいいのか分からない、と悩んでしまうケースも少なくありません。

衛生委員会の立ち上げに迷った際は、立ち上げの支援を提供している外部サービスの利用を検討するのも一つの方法です。例えば、産業医紹介サービスが挙げられます。

産業医紹介サービスでは産業医の紹介だけでなく、衛生委員会の立ち上げもサポートします。産業医の選定と合わせて衛生委員会の立ち上げを検討している場合は産業医紹介サービスに依頼するとスムーズに進められて安心です。

まとめ

従業員が50人以上の事業場には、衛生委員会の設置が義務付けられています。衛生委員会に参加すべきメンバーには、産業医や衛生管理者などが挙げられます。自社に産業医が常駐していない場合は産業医紹介サービスの利用がおすすめです。

株式会社Dr.健康経営の産業医コンシェルジュは、経験豊富なプロの産業医と企業をマッチングする産業医紹介サービスです。従業員の健康管理やメンタルケアを始め、衛生委員会の運営まで対応できる産業医を紹介しています。産業医の選定や衛生委員会の立ち上げを検討している方は、お気軽にお問い合わせください。

鈴木 健太
監修者
鈴木 健太(すずき けんた)
代表取締役/医師・産業医

1989年、東京都国立市出身。2009年、筑波大学医学部へ入学。
在学中にKinesiology, Arizona State Universityへ留学し、医学・経済学・人文学等を学ぶ。
卒後は国立国際医療研究センターで勤務医として働く。
予防医療の重要性に気づき、帝京大学公衆衛生大学院で健康経営を研究しつつ、産業医として多くの企業を担当する。