産業保健・健康管理

衛生委員会を立ち上げる方法は?設立の流れや、必要な書類の作成例も紹介

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更新日:2023.05.08

従業員数が50人を超えている企業は、衛生委員会の設置が義務付けられています。自社で衛生委員会の設置が必要になったときに、どのように立ち上げればいいのか分からない担当者の方も少なくありません。

本記事では、衛生委員会を立ち上げるための方法をわかりやすく解説します。さらに、立ち上げに必要な書類議事録の作成例なども合わせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

衛生委員会とは

衛生委員会とは、そもそもどのような目的で立ち上げ、どのくらいの頻度で開催するものなのか、企業としての役割は何なのかといった基本情報を把握しておくことが大切です。ここでは、衛生委員会の目的や開催頻度、義務について解説します。

衛生委員会の目的

企業が衛生委員会を立ち上げる目的は、労働災害を未然に防止して従業員の健康を守るためです。経営陣が、従業員の要望や意見を無視して安全措置を決めてしまうと、現場の状況に合った対応がおこなえず、労働災害や健康被害が発生してしまう恐れがあります。

労働安全衛生法では衛生委員会の設置だけでなく、次の事柄を義務付けています。

  • ・企業は従業員と協力して、労働災害の予防に取り組む
  • ・職場環境の向上や従業員の健康の維持・改善のための話し合いを行う
  • ・ストレスチェックの実施結果などを審議する

衛生委員会の設置に関して詳しくは『衛生委員会を設置する目的は?設置基準や各メンバーの役割・安全委員会との違いを解説』も参考にしてください。

衛生委員会の開催頻度

労働者が50名を超える事業所では、衛生委員会を毎月1回設置・開催する必要があります。衛生委員会の立ち上げ方法、毎月の運営方法については、基本的には会社主導でおこなっていくものです。

しかし、社内に慣れている担当者がいない、日々の業務で忙しいといったケースも多く、そのような場合は産業医のアドバイスのもと進めていくのが一般的です。

業種により安全委員会の設置も必要

業種によって衛生委員会だけでなく、安全委員会の設置が必要になる場合もあります。安全委員会の設置が義務付けられている業種は、林業や建設業、製造業などです。詳しくは、以下の表をご覧ください。

業種 常時使用する労働者の数 衛生委員会 安全委員会
林業、鉱業、建設業、製造業の一部(木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、
金属製品製造業、輸送用機械器具製造業)、運送業の一部(道路貨物運送業、港湾運送業)、
自動車整備業、機械修理業、清掃業
50人以上 必要 必要
製造業(1以外)運送業(1以外)電気業、ガス業、熱供給業、水道業、
通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、
家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業
100人以上 必要 必要
50人以上100人未満 必要 義務なし
1と2以外の業種 50人以上 必要 義務なし

衛生委員会の構成メンバー

衛生委員会に参加するメンバーは、法律で定められているメンバーと、任意による参加メンバーで構成されています。法律で参加が義務付けられているのは、以下のメンバーです。

      • ・委員長(1名)
      • ・衛生管理者(1名以上)
      • ・産業医(1名以上)
      • ・衛生に関する経験を持つ人(1名以上)

衛生関連の経験がある人を選定する場合は、委員長や衛生管理者、産業医以外の人材を選ぶ必要があります。例えば、役員や人事担当者などが候補に挙げられます。上記に挙げたメンバーは、事業者側の代表者です。衛生委員会は企業と従業員の代表者が話し合う場のため、従業員側の代表者も選出するのが原則です。

衛生委員会に参加するメンバーの人数は、明確に定められてはいませんが、7人体制が望ましいでしょう。

事業者側と従業員側の代表者は同数で合わせるのが好ましいとされているため、従業員側も3名の代表者を選びます。ただし、従業員の人数が少ない事業場など参加人数を集めるのが難しい場合は、衛生委員会に参加するメンバーが5人になるように人数の調整をしましょう。

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衛生委員会を立ち上げる方法


ここでは、衛生委員会を立ち上げる際の具体的な方法を解説します。衛生委員会を立ち上げるための方法は、大きく分けて以下の4つのステップが挙げられます。

    • 1:衛生委員会の意義を理解する
    • 2:規定やルールを定める
    • 3:年間計画を立てる
    • 4:衛生委員会の審議内容を決める

1.衛生委員会の意義・罰則を理解する

50人以上の従業員が働いている企業は、従業員の健康の保持・増進や、健康障害を未然に防止するために衛生委員会を立ち上げなければなりません。労働安全衛生法では、衛生委員会の設置や実施は事業者の義務と定めています。

事業者が義務を怠った場合、罰則が科せられます。罰則の対象になる事項は以下のとおりです。

    • ・衛生委員会を設置していない
    • ・委員長や衛生管理者、産業医などのメンバーが参加していない
    • ・委員長を除く参加メンバーのうち、従業員側の代表者が半数を満たしていない
    • ・毎月1回以上、衛生委員会が開催されていない
    • ・衛生委員会の議事録が3年間保管されていない

上記の項目に一つでも該当してしまうと、50万円以下の罰金を支払わなければなりません。

2.規定やルールを定める

衛生委員会を立ち上げるときは、以下の項目を含む規定やルールを決めておくとスムーズに運営できます。

    • ・開催の頻度
    • ・委員メンバーの任期
    • ・欠員メンバーの補充
    • ・議事録の保管に関すること

衛生委員会の開催頻度は毎月1回以上と定められています。自社の労働環境の状況などに応じて、必要なタイミングで開催することが大切です。

衛生委員の任期や、構成メンバーに欠員が出た場合に補充する際の要件なども明確にしておきましょう。衛生委員会の議事録は3年間の保存が義務付けられています。

3.年間計画を立てる

衛生委員会の年間スケジュールを立てておくことも重要です。限られた時間内で労働環境の衛生に関する話し合いをする必要があります。衛生委員会の時間を有効に活用するためにも、年間計画を立て、後述する審議内容や議題などを決めておきましょう。

衛生委員会は、参加メンバーの業務時間内に開催するのが原則です。

衛生委員会の構成メンバーが無理なく参加できる日時を設定しましょう。衛生委員会の当日は、従業員側の代表者が現場を離れても問題がないようにシフトなどの人数を調整しておく必要があります。また、産業医が常駐していない企業では、産業医の訪問日程に合わせて衛生委員会を開催するケースも多いです。

4.衛生委員会の議題を決める

衛生委員会でどのような内容を話し合うのかを事前に決めておく必要があります。一般的に、衛生委員会で扱うテーマは、従業員の健康の保持・増進や健康障害の防止、労働災害などへの対策が挙げられます。衛生委員会で審議すべき事項の一部を確認しておきましょう。

    • ・規定やルールの策定
    • ・具体的な衛生計画の策定や実施、評価・改善
    • ・衛生教育の実施計画
    • ・労働災害が発生した場合の衛生面の原因究明や再発防止対策
    • ・従業員の定期健康診断などの結果に対する対策
    • ・長時間労働による健康障害への対策
    • ・従業員のメンタル面の健康を保持増進するための対策

上記以外に、職場内の温度・湿度の管理方法や、メンタルヘルスケアワークライフバランスなどもテーマに挙げることができます。

衛生委員会の立ち上げに必要な書類


衛生委員会を立ち上げる際に、準備しなければいけない書類があります。衛生委員会を立ち上げた後、産業医と衛生管理者を選任したことを報告するための書類を労働基準監督署に提出しなければなりません。産業医と衛生管理者の選任は、選任すべき事由が発生した日から14日以内におこなうのが原則です。

提出する報告書は一から自分で作成する必要はなく、厚生労働省の公式サイトからフォーマットをダウンロードできるため、作成は簡単です。

“引用:厚生労働省総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告様式」”

また、インターネット上で報告書を作成できるサービス「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」もあります。こちらも厚生労働省の公式サイトから確認できますので、作成しやすい方を選びましょう。

初めての衛生委員会の進め方

産業医と衛生管理者を選任したことを報告するための書類を作成したら、初回の衛生委員会では、以下の内容について確認していきます。
初めての衛生委員会は、産業医のサポートのもと進めていき、2回目以降の衛生委員会では委員長が主導で進めていくとスムーズです。

1. 衛生委員会、職場の各種状況について

・委員長(司会)、衛生管理者、産業医、委員の決定
・事故や労災の発生状況、私傷病や休職者の発生状況の確認
・会社からの議題や相談事項の確認

2.職場巡視について

衛生管理者は週1回産業医は2カ月に1回以上の職場巡視をおこなうことが義務になります。衛生管理者と産業医で職場巡視を同行し、巡視結果の報告をおこないましょう。

3. 長時間労働について

・長時間労働者の人数(45時間以上、80時間以上、100時間以上)
・長時間労働者面談が必要な対象者の確認
・次回以降に向けた産業医面談の設定

4. 健康診断について

・健康診断の実施時期、対象人数の確認

5. ストレスチェックについて

・ストレスチェックの実施時期、対象人数の確認

6. 産業医面談について

・メンタル不調者、休職復職者、その他健康相談がある社員の確認
・次回以降に向けた産業医面談の設定

衛生委員会議事録の作成例

衛生委員会の議事録を作成する際は、以下の項目を記載しましょう。

    • ・開催日時
    • ・出席者の氏名
    • ・審議内容
    • ・事業場の衛生や健康に関する報告内容
    • ・労働災害や長時間労働などに関する状況

ただし、従業員の氏名などを記載すると個人のプライバシーが侵害される恐れがあるため、氏名や個人が特定される内容は避けるなどの配慮が必要です。

Dr.健康経営では、衛生委員会の議事録フォーマットを提供しており、この議事録に記載の項目に沿って進めることで、なにを確認すべきかが明確になっています。

議事録フォーマットはこちら

衛生委員会 議事録

産業医報告書

衛生委員会を設立したら議事録の作成が義務?作成方法や記入例を紹介

衛生委員会の立ち上げに迷ったときは?

衛生委員会を立ち上げる際には、参加メンバーの選定や産業医と衛生管理者の選任報告書の提出、規定・ルールの策定、年間スケジュールの作成など、やるべきことが多いです。「何から手をつければいいのか分からない」と悩んでしまうケースも少なくありません。

衛生委員会の立ち上げに迷った際は、立ち上げの支援を提供している外部サービスの利用を検討するのも一つの方法です。例えば、産業医紹介サービスが挙げられます。

産業医紹介サービスでは産業医の紹介だけでなく、衛生委員会の立ち上げもサポートします。産業医の選定と合わせて衛生委員会の立ち上げを検討している場合は、産業医紹介サービスに依頼するとスムーズに進められて安心です。

従業員50人以上の事業場における義務とは?産業医の選任が必要?

まとめ

テンションマネジメントによる主なメリット

従業員が50人以上の事業場には、衛生委員会の設置が義務付けられています。衛生委員会に参加すべきメンバーには、産業医や衛生管理者などが挙げられます。自社に産業医が常駐していない場合は産業医紹介サービスの利用がおすすめです。

株式会社Dr.健康経営の産業医コンシェルジュは、経験豊富なプロの産業医と企業をマッチングする産業医紹介サービスです。従業員の健康管理やメンタルケアを始め、衛生委員会の運営まで対応できる産業医を紹介しています。産業医の選定や衛生委員会の立ち上げを検討している担当者の方は、お気軽にお問い合わせください。

そのお悩み、Dr.健康経営に相談してみませんか?

「従業員数が初めて50名を超えるが、なにをしたらいいかわからない…」
「ストレスチェックを初めて実施するので不安…」

そんなお悩みを抱える労務担当者の方はいませんか?
Dr.健康経営では、産業医紹介サービスを中心にご状況に合わせた健康経営サポートを行っております。
些細なことでもぜひお気軽にご相談ください。

鈴木 健太
監修者
鈴木 健太
医師/産業医

2016年筑波大学医学部卒業。
在学中にKinesiology, Arizona State University留学。
国立国際医療研究センターでの勤務と同時に、産業医として多くの企業を担当。
2019年、産業医サービスを事業展開する「株式会社Dr.健康経営」を設立、取締役。

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