メンタルヘルス・ストレスチェック

ストレッサーとは?主な種類や与える影響・健康経営のための予防策を解説

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更新日:2023.02.22

ストレッサーとはストレスを理解する上で外すことのできない概念です。ストレスの原因であるストレッサーにはさまざまな種類があり、ストレッサーの正確な把握は企業の健康的な運営に欠かせません。

本記事ではストレッサーの意味や種類、人に与える影響や具体的な把握方法などについて解説しています。社内のストレス対策やメンタルヘルスケアにぜひ役立ててください。

ストレッサーの意味

ストレッサーとはストレスの原因となる外界からのさまざまな刺激のことです。物理学においてストレスとは、物体に圧力がかかった際のゆがみを指す用語でした。この概念が転じて生物学では、生物の外界からの刺激に対する反応をストレスと呼び、ストレスを生じさせる刺激をストレッサーと呼ぶようになったのです。

ストレスは、ストレッサー・ストレス反応・ストレス耐性の3要素によって構成されています。膨らんだ風船を例として挙げられるケースが多いです。風船を指で押すとへこみが生じます。この場合、指がストレッサーで、へこみがストレス反応に該当します。そして風船の弾力性、つまり指の圧力がどのくらい強ければへこむのか、すぐに元の形に戻れるのかがストレス耐性に当たります。人にとってのストレッサーには複数の種類があり影響もさまざまです。

ストレッサーの主な種類と与える影響

ストレッサーの主な種類と与える影響
ストレッサーには主に物理的ストレッサー、化学的ストレッサー、心理・社会的ストレッサーの3種類があります。それぞれの概要や影響について以下で解説します。

物理的ストレッサー

物理的ストレッサーとは温度や音、光や放射線といった物理的な環境刺激のことです。職場の気温や照明の明るさが適切でなく騒音が激しい場合、働く人にとって大きな物理的ストレッサーとなる可能性があります。

また、発生しやすい物理的ストレッサーは職種によってさまざまです。パソコン作業が多い事務仕事などでは、長時間にわたってディスプレイを見つめることによる眼精疲労の問題があります。工事現場などでは、大きな音が頻繁に発生しストレスを感じることも少なくありません。これらの物理的ストレッサーによる大きなストレスが長期的に続く場合、健康に影響が生じることも考えられます。

化学的ストレッサー

化学的ストレッサーとは薬品や酵素、栄養素といった化学的な刺激のことです。職種によっては有機溶剤や金属、食品添加物といったものを取り扱うことがあり、これらの化学物質は目や鼻、喉に刺激を与える可能性があります

職場での空気環境も化学的ストレッサーの一つです。締め切った室内で酸素が欠乏している場合はストレッサーとなり得ます。喫煙者が多く受動喫煙にさらされる環境も人によっては、大きなストレッサーと感じられるでしょう。喫煙者と非喫煙者双方のストレスをできる限り緩和するためには、喫煙所を設置するなどの配慮が必要です。その他、匂いの強い食品などもストレスになりやすい要因となります。

心理・社会的ストレッサー

心理・社会的ストレッサーとは人間関係や業務における問題といった、社会生活における刺激のことです。現代におけるストレスはこの心理・社会的ストレッサーに起因するものが多いといえます。メンタルヘルスの不調を引き起こしやすいのも心理・社会的ストレッサーだといわれており、近年注目を集めている社会課題の一つです。

心理的ストレッサーは不安や怒り、焦りや抑うつを伴います。締め切りなどに追われている場合は時間のストレッサー、ノルマや問題解決に追われている場合には課題のストレッサーなどと呼ばれることもあります。身体的な脅威を感じる場合や自尊心が傷つけられそうな状況も心理的ストレッサーです。

社会的ストレッサーは経済問題や政治問題、インターネットによる情報過多などによって生じます。現代社会は複雑化しており、自身が働く企業の将来性や必要となるスキルの多さなども、社会的ストレッサーになる可能性があります。

ストレッサーを把握する方法

ストレスを緩和するにはストレッサーの正確な把握が重要です。そこで、ストレスチェックの実施、集団分析の実施といった2つの把握方法を紹介します。

ストレスチェックを実施する

ストレスチェックの実施はストレスの早期発見や改善の必要性の認識に役立ちます。人は知らず知らずのうちにストレスを抱え、自覚がない場合も少なくありません。しかし大きなストレスを長期間にわたって受け続けると、深刻なメルタルヘルス不調が生じる恐れがあります。特に業務が忙しい場合は気が張っていて、自身のメンタルの状態までに気が回らないことも考えられるでしょう。

個人では気付けないストレスの発見にはストレスチェックが重要です。ストレスチェックでは質問回答形式のテストで回答者のストレス状態を計測します。高ストレス状態と判定された回答者は、産業医などの専門家による面接指導で改善のためのアドバイスなどが受けることが大切です。また、産業医から企業に対して労働環境整備のためのサポートが行われる場合もあります。

ストレスチェックの概要については『ストレスチェック制度とは?義務化の背景や労働者への対応・手順や費用など詳しく解説』を参考にしてください。

ストレスチェック制度とは?義務化の背景や労働者への対応・費用や実施するときの注意点を解説

集団分析を実施する

企業が労働環境のストレッサーを把握するためには、個人のストレスチェックの結果を踏まえて集団分析を行うことが大切です。チームや部署、事業所といった単位ごとに所属する労働者全体のストレスレベルや傾向をチェックしてください。分析結果から働きやすい労働環境を作ることで、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防げます。

集団分析ではまず個人のストレスチェックを実施し、その結果を集計して集団ごとのストレスの傾向を調べるといった流れです。高ストレス者の多いグループが判明したら、そのグループの労働時間や業務内容などを確認します。対象のグループとその他のグループを比較することによっても、客観的な判断がしやすくなるでしょう。集計の結果に基づいて産業医などの専門家からアドバイスを受けることも可能です。

ストレスチェック集団分析について詳しくは『ストレスチェック集団分析とはどんなもの?ストレス判定図の見方や活用方法を解説』も参考にしてください。

ストレスチェック集団分析とはどんなもの?ストレス判定図の見方や活用方法を解説

ストレッサーを予防するには?

ストレッサーを予防するには?
ストレッサーの発生を予防するにはメンタルヘルスケアが大切です。メンタルヘルス不調の対策としては一次予防、二次予防、三次予防が重要となります。

一次予防とはメンタルヘルスの正しい知識やストレスのセルフコントロールを身につけ、メンタルヘルス不調を防止する取り組みです。二次予防とはメンタルヘルス不調の早期発見・早期治療を意味します。三次予防とはメンタルヘルス不調で休職している労働者の復帰支援や再発防止などです。

また、厚生労働省『労働者の心の健康の保持増進のための指針』では、セルフケア・ラインケア・事業場内保健スタッフ等によるケア・事業場外の機関および専門家を活用しサポートを受けることの4つのケアが重要とされています。

セルフケアとは労働者自身がメンタルヘルスに関心を持ち、ストレスの予防や対処に務めることです。ラインケアとは職場の管理監督者がメンタルヘルスに関する正しい知識を得て、働きやすい環境作りに活かすことです。事業場内保健スタッフ等によるケアとは、産業医といった専門家によるアドバイスやサポートを指します。事業場外の機関および専門家を活用しサポートを受けることとは、社内で相談しづらい場合に社外の専門家の力を借りることをいいます。

出典:厚生労働省「職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~」(参照:2022-07-17)

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従業員のストレッサーを把握して健康経営を目指そう

ストレッサーとはストレスを生じさせる刺激のことです。職場にはさまざまなストレッサーが存在し、ストレスが大きいとメンタルヘルスに不調をきたす場合があります。現代の労働者は仕事の質・量でストレスを感じる傾向があり、従業員の健康や生産性を高めるためには労働環境の改善が効果的です。

株式会社Dr.健康経営はメンタルケアに強い産業医サービスです。『産業医コンシェルジュ』や『ストレポ(ストレスチェックサービス)』を導入することで、社内のメンタルヘルス向上に役立てられます。ぜひお気軽にご相談ください。

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鈴木 健太
監修者
鈴木 健太
医師/産業医

2016年筑波大学医学部卒業。
在学中にKinesiology, Arizona State University留学。
国立国際医療研究センターでの勤務と同時に、産業医として多くの企業を担当。
2019年、産業医サービスを事業展開する「株式会社Dr.健康経営」を設立、取締役。

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