健康経営・職場改善

ブライト500とは?ホワイト500との違いや認定基準・企業の取り組み事例を解説

日付
更新日:2023.02.28

従業員の健康を経営的な視点から捉え、企業の生産性向上につなげる手法を健康経営と呼びます。健康経営への注目が高まる中、ブライト500を申請する企業は次第に増加しています。ブライト500とは健康経営の実践を認められた中小企業に与えられる称号です。ブライト500として認定されると、企業にはさまざまなメリットがあります。

この記事ではブライト500の概要やホワイト500との違い、認定されるメリット、認定の基準や流れを解説します。ブライト500に選出された企業の具体的な取り組み事例もあわせて紹介するのでぜひ参考にしてください。

ブライト500とは

ブライト500とは健康経営優良法人認定制度の一つです。ホワイト500との違いやブライト500の歴史を解説します。

健康経営優良法人認定制度の一つ

ブライト500は健康経営優良法人認定制度の一つです。健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題に即した取り組みや、日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や、中小企業等の法人を顕彰する制度のことです。経済産業省が制度を設計し、日本健康会議が認定を行っています。

ブライト500は健康経営優良法人の中でも中小企業部門で健康経営度調査のトップ500に認定された企業に与えられる称号です。継続的な健康経営に関する課題解決を行うことや、健康経営普及に向けた発信を目的として、ブライト500は運営されています。(※)

健康経営度調査について詳しくは下記の記事も参考にしてください。
健康経営度調査とは?令和3年からの変更点や申請手順・活用方法などを分かりやすく解説

※出典:健康経営優良法人認定制度(METI/経済産業省)

ホワイト500との違い

ブライト500に似た称号としてホワイト500というものがあります。ブライト500は中小規模部門の健康経営優良法人におけるトップ500の企業への称号ですが、一方、ホワイト500は大規模企業や医療法人のトップ500の企業に与えられる称号です。概要や役割はブライト500、ホワイト500ともに同じです。

法人が大規模か中小規模のどちらに区分されるかは、人数によって決定され、業種によっても基準が異なっています。

大規模企業の区分

  • ・製造業その他:301 人以上
  • ・卸売業:101人以上
  • ・小売業:51人以上
  • ・サービス業:101人以上

中小規模企業の区分

  • ・製造業その他:1人以上 300人以下
  • ・卸売業:1人以上 100人以下
  • ・小売業:1人以上 50人以下
  • ・サービス業:1人以上 100人以下

ホワイト500について詳しくは下記の記事も参考にしてください。
ホワイト500とは?認定を受けるメリットや必要な認定・申請方法を解説

ブライト500はいつから始まった?

ブライト500の称号認定は2021年に始まりました。一方、ホワイト500の称号認定が開始されたのは、2016年の健康経営優良法人認定制度の制定と同時です。開始当時は大規模法人部門全体の健康経営認定企業をホワイト500と呼んでいましたが、申請企業の増加にともなって上位500社のみが認定されるようになりました。

2021年度にはブライト500の制度が新たに加えられました。認定においては特に地域社会への貢献が重視される傾向です。

ブライト500の認定を受ける3つのメリット

ブライト500の認定を受ける3つのメリット
ブライト500の認定を受ける主なメリットは、従業員の健康維持、優秀な人材の獲得、ステークホルダーからの信頼獲得の3つです。それぞれの内容について解説します。

1.従業員の健康維持が実現できる

企業がブライト500への選出を目指す場合、健康経営優良企業としての施策に取り組むため、その過程で従業員の健康状態の向上や維持が期待できます。認定後も称号維持のために健康経営に関する取り組みの強化や、社会に向けた発信を継続することが必要です。ブライト500の称号にふさわしい取り組みを続けることで、企業には経営を行う上での時代に即した対策を行う姿勢ができます。

従業員の健康維持につながる施策としては、例えば運動不足の解消を促すものが挙げられます。近年ではコロナ禍の影響で外出が減り、運動不足になる人も少なくありません。フィットネスなどを取り入れ、適度な運動の機会を作ることも健康経営につながる取り組みです。

2.優秀な人材の獲得につながる

ブライト500に選ばれると従業員の健康を大切にしている企業として認識され、社会的なイメージの向上につながります。長時間労働や過労死といった、仕事における課題が社会問題になっている中で、健康経営に対する社会的な注目度が高まってきています。

ブライト500は健康経営実践に関して説得力のある称号です。健康経営に取り組む優良企業であることを採用活動の中でアピールできれば、就職希望者が多く集まり、優秀な人材の採用につながる可能性があります。

3.ステークホルダーからの信頼を獲得できる

健康経営に取り組めば従業員や消費者だけではなく、ステークホルダー(投資家など)からの信頼も獲得できるため、企業の経営資金の確保に役立つ場合があります。近年の投資家の間では企業の売上や利益率といった財務情報だけではなく、サステナビリティ(持続可能性)などの非財務情報を重視して、投資するべきだという考え方が広がっています。

社会課題の解決に取り組んでいる企業は、社会や働く人に貢献し、社会課題の解決に寄与していると判断され、投資を受けやすくなるでしょう。ブライト500に選ばれた会社は健康経営に力を入れていることが分かるため、地域貢献している企業へ投資したいと考えている投資家からの注目を集めやすくなります。

ブライト500の認定基準と認定までの流れ

ブライト500の認定基準と認定までの流れ
ブライト500の認定基準にはどのようなものがあるのか、そして認定までの大まかな流れを解説します

ブライト500の認定基準

健康経営優良法人2022|経済産業省
※画像引用:健康経営優良法人2022|経済産業省

上記の経済産業省による認定要件とおり、ブライト500の認定基準として評価されるのは以下の5つです。

(1)経営理念・方針
健康宣言の発信
経営者の健診受診

(2)組織体制
健康づくり部門の設置
40歳以上の従業員の健診データ提供(必要に応じて)

(3)制度・施策実行
従業員の健康課題の把握と対策検討
健康経営の実践に向けた土台づくり
従業員の心身の健康づくりにおける具体的対策

(4)評価・改善
健康経営の取り組みに対する評価や改善

(5)法令遵守・リスクマネジメント
定期検診の実施
ストレスチェック実施
労働基準法・労働安全衛生法の遵守

中小企業を対象としたブライト500の認定基準は大企業の認定基準と基本的な構成が共通しています。企業規模が比較的小さくても認定水準が低いわけではありません。

ブライト500の認定事例では、労働衛生や健康経営の専門家である産業医や産業保健師を活用している例が少なくありません。スムーズにブライト500を獲得するためには、専門家の指導や助言を受けるのも一つの手です。

ブライト500認定までの流れ

健康経営優良法人の申請について|経済産業省
※画像引用:健康経営優良法人の申請について|経済産業省

経済産業省による上記の資料によると、ブライト500・中小規模法人部門の認定フローは以下のとおりです。

協会けんぽや健康保険組合連合会、国保組合等といった加入している保険者が実施している健康宣言事業に参加する

自社の取り組み状況によって、中小規模法人部門の認定基準を満たす具体的な取り組みを申請書に記載する

日本健康会議認定事務局に申請を行う

認定審査を通過すれば、日本健康会議において認定される

ただし、加入している保険者が健康宣言事業を実施していない場合は、各自治体が行っている健康宣言事業への参加でも代替することができます。また、保険者と自治体のいずれもが健康宣言企業を行っていない場合には、自社独自の健康宣言の実施によって代替可能です。

ブライト500認定企業の取り組み事例

ブライト500認定企業の取り組み事例として、睡眠を改善した例、禁煙を促進した例、フィットネスタイムを設けた例の3つを紹介します。

歩数チャレンジで睡眠の質を改善

「アイデアル株式会社」では歩数チャレンジを取り入れることによって、従業員の睡眠の質を改善しました。同社は従業員数72人(2022年時点)の情報通信会社です。

アイデアル株式会社は従業員の健康管理と新卒採用や対外的なPRを目的に、健康経営への取り組みを開始しました。従業員を対象とした健康調査では、睡眠の質が悪いと感じる従業員が半数を超えているというデータが得られました。

同社は睡眠の質に不満がある従業員の割合を半分以下に減らすことを目標に、運動施策の実施を決定します。全従業員が参加するチーム対抗戦によって運動不足を軽減したところ、睡眠の質や運動習慣における改善が見られました。

出典:健康経営優良法人2022|経済産業省

禁煙チャレンジを社内でも積極的に応援

「有限会社新郷運輸」では禁煙チャレンジを積極的に支援することで、従業員の健康意識を高めました。同社は従業員数30人(2022年時点)の運輸会社です。

有限会社新郷運輸では、1人の従業員が脳内出血によって就労不能になったことをきっかけに、禁煙チャレンジを導入しました。ドライバーがなりやすい脳血管疾患や心臓血管疾患は、喫煙によって増幅することが明らかになっています。

同社では禁煙チャレンジの参加者に禁煙パイポを配布し、禁煙パッチを購入しました。また、禁煙外来の受診費用一部負担、禁煙達成者への報奨金支給なども行っています。何人かの従業員が禁煙や卒煙に成功し、社内では禁煙チャレンジャーを応援する輪が広がっています。

出典:健康経営優良法人2022|経済産業省

就業中にフィットネスタイムを設けて不調改善

「株式会社エイジェントヴィレッジ」では、フィットネスタイムを導入することでワークエンゲイジメントを高めました。同社は従業員数20人(2022年時点)の保険会社です。

株式会社エイジェントヴィレッジでは退職者が多く、長く安心して働ける会社を目指した取り組みを模索していました。テレワークの推進によって肩こりや頭痛、眼精疲労に悩む社員が増加したことを受け、同社では朝礼時のストレッチタイムや就業中のフィットネスタイム、ウォーキングイベントなどを導入します。取り組みの結果、眼精疲労に悩む人や、デスクワークの姿勢が悪い人を減らすことに成功しました。

出典:健康経営優良法人2022|経済産業省

まとめ

ブライト500とは中小規模企業を対象とした健康経営優良法人認定制度の一つです。似た称号にホワイト500がありますが、こちらは大規模企業が対象です。健康経営の注目が高まるとともに、ブライト500の認知も向上しています。ブライト500に認定された企業は、従業員の健康増進が期待でき、求人の場でPRが可能で、ステークホルダーからの信頼が高まります。

企業が健康経営の実践に取り組む際は、産業医の助言が大きな助けとなります。産業医の導入を検討しているなら、まずはDr.健康経営にお気軽にご相談ください。

そのお悩み、Dr.健康経営に相談してみませんか?

「従業員数が初めて50名を超えるが、なにをしたらいいかわからない…」
「ストレスチェックを初めて実施するので不安…」

そんなお悩みを抱える労務担当者の方はいませんか?
Dr.健康経営では、産業医紹介サービスを中心にご状況に合わせた健康経営サポートを行っております。
些細なことでもぜひお気軽にご相談ください。

鈴木 健太
監修者
鈴木 健太
医師/産業医

2016年筑波大学医学部卒業。
在学中にKinesiology, Arizona State University留学。
国立国際医療研究センターでの勤務と同時に、産業医として多くの企業を担当。
2019年、産業医サービスを事業展開する「株式会社Dr.健康経営」を設立、取締役。

関連記事