産業保健・健康管理

衛生管理者の第一種と第二種の違いを解説!どちらを選任すべき?

日付
更新日:2023.07.19

衛生管理者を選任しなければならなくなった場合、「第一種と第二種どちらの資格を取得すべき?」とお悩みではありませんか?

実は、第一種と第二種では対象となる事業場の種類が異なります。そのため、事業場の種類に応じた衛生管理者資格を取得しなければなりません。

この記事では、第一種・第二種衛生管理者の違いとどちらの資格を取得すべきかを解説します。衛生管理者資格についてはこちらの記事で紹介していますので、参考にしてみてください。

衛生管理者における一種・二種の違い

衛生管理者には第一種と第二種があり、それぞれ衛生管理が可能となる職場や試験科目・問題数、試験の難易度が異なります。

まずは、第一種と第二種の違いを確認してみましょう。

衛生管理が可能な職場

第一種・第二種衛生管理者を選任可能な職場は、以下のとおりです。

資格の種類 衛生管理が可能な職場の種類
第一種衛生管理者 すべての事業場
第二種衛生管理者 情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業などの事業場

第二種衛生管理者は、有害業務に当たらない事業場が対象となっています。一方、第一種衛生管理者は有害業務のある建設業や製造業、医療業、清掃業などすべての事業場に対応できます。

試験科目や問題数・配点

第一種と第二種の違いは、資格取得の際に受験が必要になる試験科目や試験の問題数、配点も異なります。

資格の種類 試験科目
問題数 配点
第一種衛生管理者 労働衛生 有害業務に関わるもの 10問 80点
有害業務に関わるもの以外 7問 70点
関係法令

有害業務に関わるもの 10問 80点
有害業務に関わるもの以外 7問 70点
労働生理 10問 70点
第二種衛生管理者


労働衛生 有害業務に関わるもの以外 10問 100点
関係法令 有害業務に関わるもの以外 10問 100点
労働生理 10問 100点

出典:安全衛生技術試験協会「衛生管理者受験資格」

2つの試験の違いは、有害業務に関係する問題が出題されるか否かです。第一種衛生管理者の試験では、有害業務に係る問題が出題されます。

第二種衛生管理者は有害業務のない事業場にしか対応できないため、試験科目にも有害業務に関するものは出題されません。

また配点も異なり、第一種は合計400点に対し、第二種は合計300点です。第一種の試験科目のうち、労働衛生と関係法令は各150点、労働生理は100点と比重が異なることに注意が必要です。

衛生管理者試験を徹底解説!試験内容、難易度、合格率は?【過去問あり】

試験難易度

第一種と第二種では試験科目や問題数が異なることから、試験難易度にも違いがあります。

基本的には、有害業務に係る問題が出題される第一種衛生管理者の試験のほうが、難易度は高いと言われています。

第一種衛生管理者の試験は、第二種より問題数が多いことも難易度の高い理由の一つです。

従業員50人以上の事業場では衛生管理者の選任義務がある

常駐する従業員が50人以上の事業場では、衛生管理者の選任義務が発生します。
選任しないと罰則もあるため注意が必要です。

衛生管理者とは、といった基礎知識から、選任しなかった場合の罰則については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

衛生管理者とは?役割や業務内容・資格取得のメリットをわかりやすく解説

衛生管理者を選任しなかった場合に罰則規定はある?罰則例も解説

衛生管理者の一種と二種、どちらを取得すべき?

第一種と第二種の違いは分かったけど、どちらの資格を取得すべきか迷いますよね。

衛生管理者の試験は、第一種と第二種どちらも同じ日時に実施されるため、併願することはできません。

基本的には、職場の業種に合わせて第一種と第二種を選択しましょう。ここでは、第一種・第二種衛生管理者それぞれが向いているケースを紹介します。

第一種衛生管理者が必要な場合

前述のとおり、第一種衛生管理者は有害業務を含むすべての事業場に対応できます。そのため、有害業務を含む職場では第一種衛生管理者の資格を取得する必要があります。

また、より専門的な衛生管理の知識を学びたい場合にも、第一種衛生管理者がおすすめです。有害業務を含む幅広い業務を管理できるようになるため、企業にもメリットがあるだけでなく、本人のキャリアアップにも繋がります。

第二種衛生管理者でも可能な場合

一方、有害業務など危険が伴う業務を取り扱わない職場では、第二種衛生管理者の資格だけでも十分です。

第二種衛生管理者の試験は第一種と比べて難易度が高くないため、すぐに衛生管理者の選任が必要な場合に向いています。

まとめ

第一種と第二種の違いを以下の表にまとめてみました。

資格の種類 第一種衛生管理者 第二種衛生管理者
衛生管理が可能な業種 すべての業種 有害業務を含まない業種
試験科目 5科目 3科目
問題数 44問 30問
合計得点 400点 300点

衛生管理者の選任には、第一種と第二種の違いを理解しておく必要があります。2つの資格の違いを理解していないと、たとえば有害業務のある職場なのに、第二種衛生管理者の資格しか取得していない、なんてことになりかねません。

万一、正しい種類の衛生管理者資格を取得できていなかった場合、衛生管理者を選任していないことになり、労働安全衛生法第12条の違反となる可能性があります。この法律に違反した場合、50万円以下の罰金が科せられることもあるため、注意が必要です。

なお、従業員が50人以上の事業所では、衛生管理者の選任のほかにも、産業医の選任ストレスチェックの実施などの義務が生じます。

従業員50人以上の事業場における義務とは?産業医の選任が必要?

Dr.健康経営では、産業医の紹介やストレスチェックの提供をしています。
もし選任がまだでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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鈴木 健太
監修者
鈴木 健太
医師/産業医

2016年筑波大学医学部卒業。
在学中にKinesiology, Arizona State University留学。
国立国際医療研究センターでの勤務と同時に、産業医として多くの企業を担当。
2019年、産業医サービスを事業展開する「株式会社Dr.健康経営」を設立、取締役。

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