健康経営・職場改善
リワーク費用はどれくらい?施設ごとの制度の違いや復職の際の注意点を解説
復職を目指す人のサポート制度であるリワークプログラム。利用を検討しているものの、必要な費用がわからずに不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
リワーク費用は、利用する施設やプログラム内容によってさまざまです。施設利用料以外の費用や助成金制度など、費用をなるべく押さえて復職を実現するためには、知っておくべきポイントがいくつかあります。
この記事では、リワーク費用の概要や負担を軽くするための制度、リワーク費用を考える際の注意点を紹介します。リワーク費用について疑問や不安を感じている人は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
リワークの費用はどれくらい?
種類によってリワークの費用は異なる
リワークとは「retern to work」の略で、仕事への復帰を意味する言葉です。メンタルヘルスの不調が原因で休職している従業員を対象にした復職支援プログラムをリワーク支援と呼びます。適切なリワーク支援は、復職へのハードルを下げるために重要です。
リワークに必要な費用は「リワーク施設の利用料×利用期間」で算出されます。利用料は施設によって異なるため、リワークを始める前に確認しておきましょう。
リワークを始めると、施設利用料以外にも交通費や昼食代などが発生します。利用期間が長くなるほど費用がかさむため、目標となる期間を決めて復職活動に取り組むことが大切です。
リワークプログラムをおこなう施設は、医療機関・福祉施設・公的機関・会社の4種類があります。原則として、医療機関・福祉施設のリワークは有料、公的機関・会社のリワークは無料です。
施設までの交通費やその他に必要な費用も考慮しながら、無理なく通えるリワーク施設を選びましょう。
費用負担を緩和する自立支援医療制度
自立支援医療制度とは、心身の障害を軽くするための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。
精神通院医療・更生医療・育成医療が対象となります。患者負担は1割になるため、対象者に該当する場合は自立支援医療制度の利用も検討しましょう。
自立支援医療制度は、病気を治療するために通院する必要がある人を対象にした医療制度であり、リワークプログラム受講者の申請が却下されることは原則としてありません。
医療機関の場合、1割負担だと1回あたりの施設利用料が数百円で済むケースが多く、昼食代と考えると心の負担も軽くなるでしょう。
“参考:厚生労働省「自立支援医療制度の概要」”
自己負担の上限額はある?
医療機関におけるリワーク費用は、医療保険で7割、自立支援医療費で2割を支援してもらえるため、患者の自己負担は1割で済みます。
また、前年度の世帯年収によって1ヵ月あたりの自己負担額の上限も定められており、それ以上の費用が発生することはありません。
世帯年収や病状により、患者負担額は以下のように定められています。
所得区分(世帯単位) | 軽度・中等度 | 重度かつ継続 |
市町村民税 235,000円以上 | 対象外 | 20,000円 |
市町村民税 33,000円以上235,000円未満 | 総医療費の1割又は高額療養費(医療保険)の自己負担限度額 | 10,000円 |
市町村民税 33,000円未満 | 5,000円 | |
市町村民税非課税(年収800,001円以上) | 5,000円 | |
市町村民税非課税(年収800,000円以下) | 2,500円 | |
生活保護世帯 | 0円 |
うつ病のような精神疾患は、多くの場合は「重度かつ継続」に該当する状態です。自己負担の上限額に達すると、その月に追加で支払う費用は不要となり、実質無料でリワーク支援を受けられます。
“参考:厚生労働省「自立支援医療の患者負担の基本的な枠組み」”
リワークプログラムを提供する施設一覧
リワークプログラムを提供する施設は以下のとおりです。
-
- ・医療機関
- ・就労移行支援事業所
- ・障害者職業センター
- ・会社
利用する施設によって、対象者や費用、プログラム内容が異なります。交通費が支給されたり、食事が出たりするリワーク施設もあるため、施設のホームページで事前に確認しておくと、費用を抑えられるかもしれません。
お金に余裕がないと、復職活動を続けるのも困難になってしまいます。心にゆとりを持って復職先を決めるためにも、経済的に負担のかからない施設を選ぶと良いでしょう。
また、復職の相談や判断は主治医のみでは難しいため、企業は産業医と連携をとり判断を仰ぐことが非常に重要です。以下の記事では、主治医と産業医の役割の違いについて詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
参考記事:主治医と産業医の違いとは?それぞれの役割や仕事内容・意見に違いがある場合に企業がするべき対応
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リワーク費用の概要
医療機関のリワーク費用
医療機関のリワークは、保険診療の範囲内で提供されるため、原則として3割負担で利用できます。
負担額は施設の規模や時間帯によってさまざまですが、1日あたり2,000〜3,000円の利用料となるケースが多いようです。1ヵ月で20日通うとすると、40,000〜60,000円の利用料となり、休職者にとって大きな負担になりかねません。
医療機関のリワークプログラムを受ける場合は、自立支援医療制度を活用しましょう。自己負担が1割になるうえに上限額も定められているため、費用を抑えて復職活動に専念できます。多くの医療機関では自立支援医療制度の利用を推奨しており、大半の人が自己負担を抑えながらリワークに取り組んでいます。
医療機関のリワークでは、医師や看護師をはじめとした有資格者による専門的なサポートを受けられるのも特徴です。医療の場合は利用期限がないため、復職後のフォローアップも受けることができます。
最近は、夜間に通えるナイトケアや土日にリワークプログラムを開催する医療施設も増えてきました。復職先の仕事を続けながら医師や看護師と面談したり、他の利用者と交流したりできるのは嬉しいポイントです。
就労移行支援事業所のリワーク費用
就労移行支援事業所とは、学校のような感覚で通える復職サポート施設です。
他の利用者と一緒になって就職に必要な知識やスキルを学び、個別の支援計画に沿って復職の準備を進めていきます。学習する以外にも、不安や悩みを相談したり、就職にともない必要な準備を整えたり、手とり足とりサポートしてもらえるのが特徴です。
福祉施設である就労移行支援事業所では、行政からの補助金を利用して、1割の自己負担でリワークプログラムを受けられます。事業所により費用は異なりますが、1日あたり900円前後で受けられる施設がほとんどです。
自己負担額には上限が設定されているため、経済的負担が大きくなりすぎることはありません。本人の状況しだいでは無料で利用できる場合もあるので、リワーク開始前に確認してみましょう。
就労移行支援事業所のスタッフは、ほとんどが医療従事者ではありません。医療機関のリワークと比較すると、より一般的な会社の雰囲気に近い環境で復職活動をすることができます。
ただし医療機関と異なり、利用期限がある点には注意が必要です。原則として、多くの就労移行支援事業所では利用期間を最長2年間としています。利用期間を過ぎると支援が受けられなくなる点は、あらかじめ理解しておきましょう。
障害者職業センターのリワーク費用
障害者職業センターとは、障害のある人が自立して働くことを支援するため、各都道府県に最低でも1ヵ所は設置することが義務付けられている施設です。
就職や復職をするために、専門的なリハビリテーションが提供されています。障害者職業センターのなかには、障害のある人だけでなく、事業主への支援をおこなっているところも少なくありません。
障害者職業センターは公的なリワーク施設であるため、無料で利用可能です。しかし各都道府県に1ヵ所しか設置されていないので、住んでいる場所によっては通うのが難しいケースもあるでしょう。また、公的機関であるため、公務員として働いている人は利用できない場合もあります。
障害者職業センターでは、心理検査をベースとして必要な能力を数値化したアドバイスをもらえるのが大きな特徴です。項目ごとに数字で評価されるため、自分自身に足りない能力が明確化できるのはメリットといえるでしょう。
しかし、障害者職業センターのリワークプログラムは、ほとんどが半日で終了します。会社の定時勤務や残業に耐えるだけの体力が回復しているかどうかを判断するのは難しいでしょう。
また、申し込んでからプログラムを受けるまでに時間がかかる点に注意しなければなりません。
民間のリワーク施設では1週間前後で登録できるところも多いものの、公的なリワーク施設では登録完了までに3ヵ月ほどかかる場合もあります。会社から付与された休職期間や、本人の経済状況によっては、利用が難しいケースもあるでしょう。
会社内のリワーク費用
会社が従業員に対しておこなうリワークプログラムを、職場リワークと呼びます。会社に所属する産業医や産業保健スタッフがプログラムを作成し、休職者の復職をサポートします。
会社によってプログラム内容はさまざまですが、通勤訓練や時短勤務をおこなうところが多いようです。本人の作業内容を評価するというよりは、所定の時間に仕事ができる状態まで回復しているかどうかを評価する場合がほとんどです。
職場リワーク費用は傷病手当金として扱われるため、原則として無料でプログラムを受けられます。
ただし、職場リワークを提供しているのは一部の大手企業に限られているので、社内制度を確認しておく必要があります。中小企業のなかには、リハビリ出社のみを実施しているところも少なくありません。
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リワーク費用に関する注意点
施設利用料以外の費用も考える
リワーク施設を使用する際は、施設利用料以外にも交通費や昼食代などが必要となります。施設によっては交通費や昼食代も支給される場合がありますが、そうでない施設がほとんどです。
数ヵ月間通うことを考えると、交通費と昼食代だけで大きな経済的負担になる可能性もあるので注意しましょう。
助成金の利用も検討する
リワーク施設によっては、利用者の負担を軽くするために助成金を出しているところもあります。
国や自治体からの支援制度があるとはいえ、リワーク期間が長引くと経済的に厳しい状況になりかねません。リワーク施設を選ぶ際は、助成金の有無も確認したうえで検討しましょう。
施設ごとの支援期間を確認する
復職支援をおこなう期間は、リワーク施設によって異なります。リワークプログラムへの申し込みから正式利用までにかかる期間、実際に支援してもらえる期間を事前に確認しておきましょう。
リワーク施設ごとの支援期間の目安は次のとおりです。
リワーク施設 | 利用開始までの期間の目安 | 実際の支援期間の目安 |
医療機関 | 2〜3週間
満員の場合は数ヵ月待ちになるケースもある |
3〜6ヵ月間
プログラムによっては数週間から数年間のプランもある |
就労移行支援事業所 | 2〜4週間
受給者証の発行に時間がかかる場合もある |
3〜6ヵ月間
原則として最長2年間 |
障害者職業センター | 6〜8週間
満員の場合は数ヵ月待ちになるケースもある |
3ヵ月間 |
会社 | 会社により異なる | 会社により異なる |
施設ごとに利用できる期間の大まかな目安はあるものの、実際の利用期間は本人の回復具合やプログラム内容によって変わります。
リワーク費用も考えながら、無理なく続けられる施設を選びましょう。
費用以外に気をつけること
リワーク施設を選ぶときは、費用以外にも気をつけるべきことがあります。
次の5点は特に重要なポイントなので、リワーク施設を決める前に確認しておきましょう。
-
- ・自宅から通いやすいかどうか
- ・施設の雰囲気が自分に合うかどうか
- ・自分の目的とプログラム内容が合っているか
- ・他の施設・支援機関との連携があるか
- ・サポート体制が整っているか
リワーク施設に申し込んでから実際に復職を達成するまでは、最短でも3ヵ月以上は必要な場合がほとんどです。場合によっては半年以上通うケースも珍しくないため、通いやすい範囲内にあるかどうかは重要なポイントになります。
施設の雰囲気が自分に合わなかったり、他の利用者・スタッフとの相性が悪かったりすると、リワーク施設に通うのが億劫になる可能性もあるでしょう。施設に通うこと自体にストレスを感じないかどうかは、必ず確認すべきポイントです。
また、復職直後は体調が安定せず、病気が再発する可能性も考慮しなければなりません。復職先で長く安定して働けるように、アフターフォローが充実した施設を選ぶというのも選択肢の1つです。
リワーク施設によっては、見学制度・体験利用期間を設けているところも少なくありません。実際に利用しはじめる前に、自分自身で雰囲気を体験しておくと、後悔しない施設選びができるでしょう。
社内リワークをおこなう際は、一定の流れに沿って復職支援が実施されます。職場復帰までの流れについては、以下の記事も合わせてご覧ください。
まとめ
リワーク費用は、施設利用料と利用期間を掛け合わせて計算されます。リワークプログラムをおこなう施設は、医療機関・福祉施設・公的機関・会社の4種類があり、利用料は施設によってさまざまです。
自立支援医療制度や助成金など、リワーク費用の負担を軽くする制度もいくつか存在します。復職を実現するまでは数ヵ月から1年近くかかる場合もあるため、無理なく続けられる方法を検討するのは大事なことです。
復職の相談や判断は、主治医だけでは難しいため産業医と連携をとり判断を仰ぐことが非常に重要です。
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