産業保健・健康管理
部下の様子がおかしい!異変を感じた際にチェックする3つのポイント
「部下の様子がおかしい」「いつも元気な部下が、ここ最近落ち込んでいる気がする」
部下を抱える管理職の人は、このような異変を感じる人もいるのではないでしょうか。近年はメンタル不調を訴える人が増加傾向にあり、部下にこのような変化が見られたら心配するでしょう。
そこで本記事では、部下の様子がおかしいと感じたときにチェックしておきたいポイントを3つ紹介します。様子がおかしいときの対処法なども紹介しているので、併せて参考にしてみてください。
目次
部下の様子がおかしいと感じたら早めの対応が大事
近年は、新型コロナウイルスの影響もありメンタル不調を訴える人が増えています。もし部下に不調が見られたら、早期対応を心がけましょう。
まずは、メンタル不調の基礎知識を解説します。
近年はメンタル不調が増加傾向
近年は、メンタル不調を訴える人が増加しています。
厚生労働省が行った労働安全衛生調査によると、メンタルヘルス不調によって連続1カ月以上休業した労働者または退職した労働者がいた事業所の割合は10.1%でした。前年に行われた調査では、9.2%だったことから増加傾向にあることがわかります。
なお、メンタル不調を抱える原因は、さまざま考えられます。例えば、職場の人間関係や長時間労働もメンタル不調を訴える要因となるでしょう。他にもパワハラやモラハラといったハラスメントや、育児や介護などの両立が難しくワークライフバランスが崩れやすいことも挙げられます。
原因が一つとは限らないため、複数の要因が重なっていることもあります。そのため、部下がメンタル不調を抱えないために、しっかりとマネジメントを行っていくことが重要です。
“参照:厚生労働省|令和3年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要”
メンタル不調は早期対応が不可欠
部下のメンタル不調に気付いたら、早めに対応方法を考えていきましょう。
身体的な不調と同様に、メンタル不調は症状が悪化すると回復するまでに時間がかかります。会社としても戦力が欠けてしまうため、早めに回復してほしいと思うはずです。
ただし、メンタル不調は早期の段階で気付きにくいものです。バリバリと意欲的に働いていた人が、ある日突然不調を訴えるケースも珍しくありません。
そのため、管理職である上司がメンタル不調に気付けるように事前に知識を身につけたり、異変を察知できるようにコミュニケーションを取ったりすることが大切です。
部下の様子がおかしいと感じたときにチェックする3つのポイント
部下の様子がおかしいと感じたときにチェックしておきたいポイントは、以下の3つです。
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- ・勤務態度の変化
- ・仕事に対する気持ちの変化
- ・行動や外見に対する変化
それぞれのチェックポイントを詳しく解説します。
1.勤務態度の変化
部下の様子がおかしいと感じたら、勤務態度に変化はないかチェックしてみましょう。
メンタルに不調が現れた場合、欠勤や遅刻、早退が増える傾向にあります。例えば、今まで真面目に出勤していた人が突然無断欠勤を繰り返したり、勤務中に長時間退席したりすることもあるでしょう。
また、出勤していたとしても仕事に集中していなかったり、ミスが増えたりするのもメンタル不調のサインかもしれません。業務量に変化がないにも関わらず残業が増えたり、対応に時間がかかりすぎたりすると何らかの不調を抱えている可能性があります。
部下の変化にいち早く気付くためにも、日頃から勤務態度を把握しておくことが大切です。
2.仕事に対する気持ちの変化
勤務態度以外にも、仕事に対する気持ちの変化が見られる可能性があります。
例えば、積極的に発言していた人が消極的になれば、何らかのサインかもしれません。仕事に対してネガティブな感情が溢れている様子があれば、注意深く様子をみましょう。
他にも、会社のイベントに積極的だった部下が参加しなくなるといった意欲の低下も見逃せません。仕事に対する姿勢と合わせて、コミュニケーション面の変化もないかチェックしてみてください。
3.行動や外見に対する変化
仕事に対する姿勢や気持ちの変化以外に、行動や外見の変化にも注意が必要です。
例えば、以下のような異変が見られれば、メンタル不調のサインかもしれません。
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- ・以前のように挨拶をしなくなった
- ・呼びかけてもあまり反応しない
- ・受け答えが曖昧になった
- ・髪型や服装などの身だしなみが乱れるようになった
- ・突然泣き出すときがある
- ・乱暴な言動や態度になる
これらのサインは、普段から部下とコミュニケーションを取っていると気付きやすくなります。常日頃から部下との時間を大切にしつつ、様子に違いがみられないか確認しておきましょう。
部下の様子がおかしいと感じた際にすべきこと
部下の様子がおかしいと感じたときは、放置するのではなく以下のような対処を行いましょう。
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- ・しっかりと話す時間を設ける
- ・必要に応じて専門医を紹介する
それぞれの対処法について解説します。
しっかりと話す時間を設ける
部下の様子がおかしいと感じたときは、しっかりと話を聞いてみましょう。
「部下がどのような思いを抱えているのか」「今何を感じているのか」など、話の中からヒントを得られるかもしれません。何らかのヒントがわかれば、その後の対処法も見えてくるはずです。
なお、話を聞く際は1on1ミーティングが効果的です。部下を主役として上司が聞き役に徹すると部下が話をしやすくなるため、今の気持ちや悩みなどを言葉にしやすくなるでしょう。
1on1ミーティングでは業務に関することだけではなく、プライベートなことも聞いてみるのもおすすめです。オンラインでも行えるため、リモートワークに対応している部下にも実施してみてください。
必要に応じて専門医を紹介する
部下の様子がおかしいときは、必要に応じて専門医を紹介しましょう。部下本人が大丈夫だといっても真に受けずに「どう対処すべきか」を判断してくれる専門医の意見を取り入れることがおすすめです。
例えば、無断欠勤が極端に多かったり、明らかな不調を感じたりする場合は専門医の指示の元、適切な対処法を実践しなけれいけません。メンタル不調と思っていたものの、実は身体の病気が原因になっている可能性も考えられます。
ただし、専門医へ紹介を促す場合は受動的な態度を心がけてみてください。命令するような高圧的な態度で受診を勧めても、あまり良い結果につながりません。あくまで、専門医への受診も一つの選択肢であることを伝えながら、部下にとって良い道が開けるようにサポートすることが大切です。
部下の様子がおかしいときに避けるべき行動
部下の様子がおかしいと「何かしてあげたい」「助けになってあげたい」と考える人もいるでしょう。しかし、メンタル不調を抱えている場合は逆効果となり得る可能性があるため、以下のような言動は避けておくべきです。
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- ・自己判断で対応する
- ・話を最後まで聞かない
- ・その場しのぎの言葉を伝えない
どのような点に注意すべきを具体的に解説します。
自己判断で対応する
部下の様子がおかしいからといって、上司の独断で物事を決めるのはやめましょう。
例えば、今の部署が負担になっているかもしれないと勝手に判断して異動させても、何も問題は解決しません。部下にとっては余分な負荷がかかってしまい、症状を悪化させる恐れもあります。
部下の様子がおかしいことに気付いたら、しっかりと話を聞く時間を設けて、必要に応じて専門家の意見をうかがいましょう。産業医をはじめ、専門的な知識を持った人の意見を取り入れることで、部下にとって良い答えを提示しやすくなります。
話を最後まで聞かない
部下の話を聞く際は、途中で遮らずに最後まで聞き役に徹することがポイントです。途中で遮ったり、事実に基づいて反論したりすると、部下は否定されたと感じてしまい、心を閉ざしてしまう可能性があります。
たとえ、事実とは異なる認識をしていたとしても、最後まで話を聞いて味方であることを示していきましょう。部下が話しやすいと感じる雰囲気を作りながら、真剣に話に耳を傾けてみてください。
その場しのぎの言葉を伝えない
部下の様子がおかしいときに、その場しのぎの言葉を伝えないようにしましょう。
例えば、これ以上頑張れないと感じるほど頑張っている部下に「もうちょっと頑張ってみよう」と気軽に声をかけると、メンタル不調が悪化する恐れがあります。すでにできる限りの努力をしている部下に対して、そのような声かけをしてしまうと追い詰めることになるからです。
他にも、悩んでいる部下に対して「そのうち何とかなるから大丈夫」との声かけも厳禁です。上司に見放されたと感じてしまい、強い孤独感を与えてしまうでしょう。
根拠のないその場しのぎの言葉は、部下を楽な気持ちにさせるどころか余計な負担をかけてしまう要因です。たとえ周りから見て些細なことだったとしても、部下の気持ちに寄り添って理解してあげることが重要です。
部下の様子がおかしいと感じる前にできる対策
部下の不調にいち早く気付くためには、管理職である上司が対策を練っていかなければいけません。事前に対策を行っていれば部下の不調にも気付きやすく、素早い対応がとれるでしょう。
部下の様子がおかしいと感じる前にできる対策は以下のとおりです。
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- ・部下との信頼関係を構築する
- ・職場の環境を整える
- ・メンタルヘルスケアを実施する
それぞれの対策について具体的に解説します。
部下との信頼関係を構築する
部下との信頼関係は、メンタル不調の悪化を未然に防ぐ上で欠かせません。日頃からコミュニケーションを蜜に取ることで、小さな変化に素早く気付けます。
反対に、部下とのコミュニケーションを重視せずに、必要最低限のやり取りしかしていないと小さな異変に気付けません。ネガティブな発言が増えたり、落ち込んだ様子を見せたりしても普段との違いがわからないでしょう。
また、普段からコミュニケーションを密に取ることで、メンタル不調を抱えた際に相談しやすくなります。些細なことでも聞いてもらいたいと思ってもらえるような関係を構築していくことが大切です。
職場の環境を整える
部下のメンタルを安定させるためにも、職場の環境を整えておきましょう。「従業員がどこに不満を感じているのか」「ストレスを抱えている問題はあるか」などを事前に把握しておき、その答えを元に職場の環境を整えておくといいでしょう。
例えば、コミュニケーションが取りやすいようにデスクの配置を考慮したり、個人が使えるスペースを十分に確保したりするのも一つの方法です。職場全体で取り組むことで、従業員一人ひとりが働きやすい環境を手に入れられます。
なお、ストレス状況を把握するためには、ストレスチェックを行うのも効果的です。ストレスチェックとは、心理的なストレス負担を把握するための検査のことです。匿名化されたデータを集団分析すれば、職場環境の改善に役立てられます。
ストレスチェックの詳細は、こちらの記事をご覧ください。
メンタルヘルスケアを実施する
部下の不調を未然に防ぐには、メンタルヘルスケアの実施も必要不可欠です。
メンタルヘルスケアとは、すべての従業員が健やかにいきいきと働けるように援助することです。つまり、メンタルヘルスケアを実践することで、従業員が不調を感じることなくいきいきと働ける環境を整えられます。
なお、メンタルヘルスケアを実践する上で以下の4項目が重要とされています。
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- 1.セルフケア
- 2.ラインによるケア
- 3.事業場内の産業保健スタッフ等によるケア
- 4.事業場外資源によるケア
これらのケアを行うことで部下のメンタル不調を未然に防いだり、重症化する前に適切な対応を行えたりします。
メンタルへルスケアの詳細は、こちらの記事をご覧ください。
まとめ
部下の様子がおかしいと感じた場合はしっかりと話を聞き、必要に応じて専門医の意見をうかがってみましょう。部下に寄り添って話を聞くことで、不調を改善できるヒントが見つかる可能性があります。
ただし、産業医をはじめとする専門的な知識を持った人の意見を取り入れることが重要です。誤った解釈をして症状を悪化させないように注意しましょう。
Dr.健康経営では、経験豊富な産業医を紹介できる産業医コンシェルジュをサービスとして提供しています。従業員の健康管理だけではなく、休職や復職に関するサポートも対応できる産業医を紹介できます。
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