離職防止のために企業ができる対策とは?3つの離職防止ツールも紹介

日付2022.07.29
更新日:2022.07.29
企業が離職防止対策に取り組む理由と新卒者の離職状況

少子高齢化が進みつつある現代、労働力の確保が企業の課題の一つとなっています。企業の人手不足を引き起こす原因の一つが離職です。安定した労働力の確保のために離職を防ぐことが大切です。

本記事では企業が離職防止に努めない場合のリスクや、従業員が離職する主な理由、具体的な離職防止対策を解説します。実績のある離職防止ツールも紹介するのでぜひ参考にしてください。

企業が離職防止対策に取り組む理由と新卒者の離職状況

まずは、企業が離職防止対策に取り組むべき理由や新卒者の離職状況を解説します。安定した労働力確保のためにも企業は離職防止に努めることが大切です。

企業が離職防止対策に取り組む理由

少子高齢化によって労働人口が低下しています。企業が離職防止対策に取り組む理由は人材確保を行う必要があるからです。以前と比較して若い人の転職に対する抵抗感が下がりつつあることから、新卒者がすぐに退職してしまうことも問題とされています。

新卒者の離職率が高い現状では長く働き続ける若い従業員の獲得が難しく、企業にとって安定した労働力確保は難題です。有効な離職防止策を講じることが企業には求められています。なお、新卒者の離職率についての具体的な数字などの詳細は次項で取り上げます。

【2020年度】新卒者の離職率

厚生労働省の調査による2020年度の新規大卒者の3年以内離職率は31.2%と3割を超える結果になりました。3人に1人は就職後3年以内に離職しているということです。近年に限った話ではありません。1990年後半以降、大卒者の3割が3年以内に離職するような状況が続いています。

日本では幹部候補を新卒者から採用する企業が多く、採用活動の中でも特に新卒採用には力が入れられることが多いため新卒者の離職率が高いことは企業にとって損失です。

出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況を公表します」(参照:2022-06-15)

従業員の離職防止対策をしない場合に考えられるリスク

従業員の離職防止対策をしない場合に考えられるリスク
従業員の離職防止対策をしない場合、企業にはコストや現場の負担増加、優秀な人材の流出、イメージ低下といったさまざまなリスクが生じます。それぞれについて解説します。

人材採用のための費用や時間などのコストがかかる

企業が人材を採用するためには、多額の費用や時間といったコストがかかります。離職者が多ければその分、さらに人材を補填する必要が生じるため企業にとっては大きな負担です。

採用コストは内部コストと外部コストの2つに分けられます。主な内部コストは、採用担当者の人件費、面接にかかった交通や宿泊費、内定者の懇親会や研修の費用などです。自社の従業員から企業に人材を紹介するリファラル採用では、従業員へのインセンティブも発生します。

外部コストには、求人メディアへの企業掲載費、採用管理システム費用、人材採用サービス代、会社案内製作費、会社説明会などの会場費、採用サイト製作費などがあります。外部コストはそれぞれの金額が内部コストよりも高額になりやすい傾向です。

既存従業員の業務負担が増える

従業員が離職すれば、それまで離職者が担当していた業務の引き継ぎが必要です。既存従業員全体の業務負担は必然的に増加します。業務のしわ寄せに不満を感じた従業員がさらに離職してしまう恐れもあり、離職の連鎖を防ぐためには早急な対処が必要です。

また、従業員1人当たりの負担が増えると生産性が低下しやすくなり、従業員にとってはやりがいを感じにくくなります。離職が生じることによって残った従業員のモチベーションが下がり、負のスパイラルに陥ることもあるでしょう。それらを防ぐためには最初の離職者を出さないことが大切です。

優秀な人材の流出

離職者が多いことは優秀な人材を失いやすい状況といえます。仕事ができる従業員は他社でも活躍できることが多く、選択肢が豊富なため、離職へのハードルは低いです。人材の流出はそれまでに培ったノウハウを失うことにもつながります。

企業にとって優秀な人材は次世代のリーダー候補です。リーダーシップや専門性を備えた人材は、企業の組織を支えるコア人材となり得ます。コア人材を離職によって失えば企業の競争力低下につながるでしょう。離職を防ぐには、能力ある人材が余すことなく実力を発揮でき、活き活きと働ける環境を整えることが大切です。

企業イメージの低下を招く

離職率が高いことは企業イメージの低下にもつながる可能性があります。インターネットが発達した現代、企業の離職率や評判などは検索によって分かるようになりました。人材が定着しない企業はブラック企業といったマイナスのイメージと結びつきやすく、業績や採用活動にも影響を及ぼしかねません。

採用活動では学生や求職者からのイメージが重要です。評判が良くない企業にはなかなか人材が集まりません。労働人口が減りつつある中で企業イメージを良好に保つことが大切です。

また、社会からの企業イメージが悪いと、既に自社で働いている従業員のセルフイメージが悪くなります。モチベーションが低下した結果、生産効率が落ちる恐れもあるでしょう。

従業員が離職する主な原因と離職防止対策

従業員が離職する主な原因と離職防止対策
従業員が離職する主な原因は会社への不満や労働条件への不満、人間関係の悩みの3つです。それぞれに対応した離職防止策を解説します。

会社への不安や不満

会社への不安や不満が多いと従業員は離職しやすくなります。離職につながりやすい主な内容はキャリアプランに対する不満、やりがいに関する不満、そして会社の将来性に対する不安などです。

スキルアップが見込めない、出世のチャンスがない、やりたい仕事に関われないなど、仕事にやりがいが感じられないことは、離職の原因となる可能性があります。企業の業績が不安定で停滞し将来性に不安を感じる場合も同様です。

会社への不満による離職を防ぐには、業務内容と人材のミスマッチをできる限りなくす必要があります。
選考の段階から応募者とじっくり話し合い、それぞれの人材に適した配置を考えることが大切です。また、将来性に不安を感じないよう企業の展望を分かりやすく公開したり、業績が上がった場合にはボーナスとして還元したりすることも必要です。

労働条件や待遇面での不満

入社後の成果や勤続年数などによって昇給する場合、モチベーションが持続するかもしれません。しかし、長年働き続けても年収が上がらず、生活が豊かにならない職場環境では離職を考える従業員も少なくありません。

また、長時間労働やサービス残業がある環境や休暇を取得しにくい状態、フレックスタイム制やリモートワークが導入されておらず働きにくさを感じるといった場合でも離職しやすくなります。快適に働けない環境では、従業員が健康に不安を感じることも珍しくありません。

労働条件や待遇面の不満による離職を防ぐには、従業員の労働状況をあらためてチェックしましょう。企業は、従業員が快適で健康的に働き続けられる環境が整っているかどうかを定期的に見直す必要があります。

人間関係による悩み

人間関係の悩みで離職する人は少なくありません。仕事での人間関係というと上司や部下など社内の人間関係を指すことが多いですが、それ以外に顧客とのトラブルでストレスを抱えるケースもあります。

パワハラやセクハラの増加が社会問題になっていますが、離職の原因は大きな問題だけでなく、些細な人間関係の不和の積み重ねの場合もあります。

人間関係の悩みによる離職を防ぐには、できる限り従業員同士が打ち解けられる環境作りや、問題が生じている場合に早期対応できる体制作りが大切です。人事異動や配置転換によって離職を防げる場合もあります。また、人間関係の悩みがある場合、気軽に打ち明けられる相談窓口を設置することで従業員が問題を1人で抱え込まず、周囲に助けを求めやすくなるでしょう。

離職防止ツールを利用する

現在では離職防止に役立つ専用のツールが開発されています。離職を減らすためには、離職防止ツールを活用するのも一つの方法です。ここでは3つの離職防止ツールを紹介します。

Visual

『Visual』は従業員のエンゲージメントを可視化することで離職を防ぐツールです。エンゲージメントとは従業員が仕事や企業に対してどのくらい自発的な貢献意欲を持っているのかを示す指標です。

エンゲージメントが高い従業員ほど仕事に対するモチベーションが高く、離職する確率が低いといえます。反対にエンゲージメントが低い場合、仕事にやりがいを感じられておらず離職の確率も高い状態といえるでしょう。

Visualは個々の従業員のエンゲージメントを数値やグラフとして可視化し、離職の可能性が高い従業員がいればアラートで知らせてくれるツールです。Visualの利用によって従業員の離職をあらかじめ察知できるため、事前の手立てをとりやすくなるでしょう。また、離職を防止するためのアクションを状況に応じて提案してくれるため、適切な措置をとりやすくなります。

出典:Visual公式サイト(参照:2022-06-15)

ミツカリ

『ミツカリ』は適性検査を活用し、採用配属のミスマッチをなくすことで離職を防ぐツールです。早期離職の大きな原因は社風や人間関係とのミスマッチとされています。ミツカリでは待遇改善などを行っても、ミスマッチを解消しない限り解決には至らないという考えを重視しています。そのため、応募者と社風との相性診断を重視していることが特徴です。

ミツカリの活用によるメリットは自社の社風が可視化されることです。社風にあった人物像、会社や部署との相性が事前に分かるため、効率的な採用活動や配属決定ができます。ミスマッチを回避することで内定辞退者の減少につながり、採用活動の負担も減らせるでしょう。適切な人材採用や人事配属は離職希望者を減らし、従業員の定着の実現が期待できます。

出典:ミツカリ公式サイト(参照:2022-06-15)

いっと

『いっと』は在職者や退職者の本音を集めることで離職理由を分析し、離職防止に役立てるツールです。従業員が人事や上司には言えない本音をインタビューによって引き出し課題の本質を捉えることを可能にします。

いっとが行うのは定量分析による数から得た傾向や統計の視点からの現状把握、そして定性分析による数値化できない感情や理由からの原因把握です。これら2つの分析を組み合わせて相互補完することで本質的な離職理由が可視化されます。

いっとを利用すれば抜本的な離職対策による離職率の改善が期待できます。離職を検討している従業員に対しても未然の離職防止が可能です。そして、実行した離職防止対策の効果検証ができるため対策のブラッシュアップも見込めるでしょう。

出典:いっと公式サイト

まとめ

離職は企業の生産性を下げてコストの負担を増加させます。一般的に多い離職理由は会社や待遇面での不満や人間関係の悩みです。従業員は不安や不満からストレスを抱えて離職を決断しやすくなります。離職を防止するためには、従業員のメンタルヘルスケアを充実させることや専用のツールの活用がおすすめです。

従業員のメンタルヘルスケアには産業医の導入がおすすめです。産業医は労働衛生の専門家として職場環境の改善提案やメンタルヘルスケアのサポートを提供しています。Dr.健康経営はメンタルケアに強い産業医サービスとして多くの企業に導入されています。まずはお気軽にお問合せください。

鈴木 健太
監修者
鈴木 健太(すずき けんた)
代表取締役/医師・産業医

1989年、東京都国立市出身。2009年、筑波大学医学部へ入学。
在学中にKinesiology, Arizona State Universityへ留学し、医学・経済学・人文学等を学ぶ。
卒後は国立国際医療研究センターで勤務医として働く。
予防医療の重要性に気づき、帝京大学公衆衛生大学院で健康経営を研究しつつ、産業医として多くの企業を担当する。