メンタル不調のサインに注意!産業医面談が必要な基準とは?

日付2021.07.29
更新日:2022.03.31
メンタル不調の前兆に現れるサイン

メンタルヘルス対策をしない場合の企業のデメリットとは?

企業がメンタルヘルス対策を適切に行わない場合、以下のような企業リスクが考えられます。

産業医のご導入にお悩みの方は、お気軽にDr.健康経営までご相談ください

経済的損失

メンタル不調で休職や離職が出ると、休職の場合440万円、離職の場合990万円の損失があるといわれています。

コンプライアントリスク

メンタルヘルス対策、過重労働対策、ハラスメント対策などを適切に行っていない場合、安全配慮義務違反を問われることがあります。

損害賠償による経済的損失

過労死などによる自殺で労災が認定された場合、数百万円~1億円以上の損害賠償が複数あり、損害賠償額は近年増加傾向にあります。

レピュテーションリスク

企業イメージの低下につながり、離職率の増加や新規採用にも影響します。

二次性の精神障害リスク

メンタル不調で休業となった従業員と同じ職場の従業員は、休業者の仕事分も負担しなくてはならず過重労働が生じやすくなり、結果として二次的に他の従業員もメンタル不調に陥る可能性が高まります。また、職場全体の士気の低下、事故・ミスの増加や隠ぺいにもつながる恐れがあります。

これらのリスクを最小限にするためにはメンタルヘルスの予防策を適切に行うことが必要であり、上司が部下の異変を早期発見し、迅速に産業医へ相談し、早めに医療機関と連携することが重要です。会社は医療機関ではないため、問題社員について抱え込んだり、勝手に判断するのを避け、専門家へ早めの相談をしていきましょう。

メンタル不調の前兆に現れるサイン

メンタル不調の異変に早く気付くためには、メンタル不調の前兆となるサインを知っておきましょう。
サインは5つに分類されます。これらのサインが見られる場合は早めに産業医に相談しましょう。

① 精神の異変
② 身体の異変
③ 行動の異変
④ 業務の異変
⑤ 高リスク者
メンタル不調の前兆に現れるサイン

見逃さないために!メンタル不調のサインを解説!

ここでは、上記に挙げたメンタル不調の前兆となるサインを具体的に解説していきます。

① 精神の異変

精神的な異変は本人が気付くことが多く、以下のような内容を相談されたら、早めに産業医に相談するよう促しましょう。
●気分が落ち込んでいて憂うつな気分。何事にも悲観的になる。(抑うつ)
●周りのことに興味がなくなる。趣味など今まで楽しめていたことを楽しめない。(興味の低下)
●何事もやる気が起きない。(意欲の低下)
●物事にも集中できず、仕事や作業のスピードが落ちた。注意が散漫になり、凡ミスが増えた。(集中力・注意力の低下)
●焦りや不安が強く、落ち着かない。(焦り・不安)
●自分に価値がないと感じる、自分に罪の意識を感じる。(自責感)
●死を考えてしまう。死について口にする。自殺などについて何かしらの行動(準備)に至った。(希死念慮)
●疲れが取れない。朝からぐったりしている。(疲労)
●布団に入っても寝付けない。夜中に何回も目覚めてしまう。早朝に目覚めてしまう。起床後にすっきり感がない。日中の眠気が強い。(睡眠)
●食欲がない、または食欲が増えた。体重が減った、または増えた。(食欲・体重)

② 身体の異変

身体的な異変も本人で気付くことが多く、以下のような内容を相談されたら、早めに産業医に相談するよう促しましょう。
●頭痛、めまい、耳鳴り、動悸、息苦しさ、咳、胃痛、蕁麻疹、月経痛、倦怠感、肩こりなどが起こる。
●病因を受診したら「自律神経失調症」と言われた。

原因が明確にわからない場合、医師は「自律神経失調症」と診断することが多くみられます。「重大な病気じゃなくてよかった」とならず、「メンタル不調などの初期サインかもしれない」と考え、仕事や生活などを振り返るきっかけにしましょう。

③ 行動の異変

行動の異変は自分では気づきにくく、他人が気付くことが多いのが特徴です。このような行動の異変に気付いたら、早めに産業医に相談するよう促しましょう。

●日常生活や睡眠が不規則になった。
●生活態度が乱れてきた。
●みだしなみが乱れてきた。
●表情・動作に活気がない。
●怒りっぽく、他人に暴力をふるうことが増えた。
●アルコール量の増加、昼からアルコールを飲む。
●ギャンブルに依存する。
●異性とトラブルが増加した。

④ 業務の異変

業務の異変は自分では気づきにくく、他人が気付くことが多いです。このような業務の異変に気付いたら、早めに産業医に相談するよう促しましょう。

●対人関係が悪化した。
協調性の低下、もめごとの増加、周囲からの孤立、発言の低下、不自然な発言が増えた、表情が硬い(暗い)など。
●集中力が低下した。
能率が低下した、ミスが増加したなど。
●遅刻・早退・欠勤が増加した(特に無断で行う場合)。
●残業・休日出勤が増加した。
●1日の中で気分に波がある。
(午前に「体調不良で出勤できません」と連絡がきたが、欠勤の罪悪感・責任感から、夕方には「体調が良くなりました、明日は必ず出勤します」と連絡がくる。しかし、翌朝も体調不良で欠勤…というのが繰り返されるなどのケースがあります。)

⑤ 高リスク者

以下の状況に当てはまる従業員は、客観的な指標として心理的な負荷が大きく、メンタル不調に陥りやすい状況にあります。優先的に声掛けなどをしてフォローし、少しでも異変を感じたらすぐに産業医に相談しましょう。

― 業務上での負荷 ―
【事故や病気】
●事故や災害を体験した。他人の事故を目撃した。
●大きな病気や怪我をした。相手に怪我をさせた。
【失敗や責任】
●仕事で大きなミスをした。仕事のミスなどについて責任を問われた。ミスなどにより多額の損失などが生じた。
●達成困難なノルマが課された。ノルマを達成できなかった。
●新規事業や会社立て直しの担当になった。
●顧客や取引先から無理な要求・クレームを受けた。
●上司不在などにより代行を任された。
【仕事の量・質】
●残業が多い(長時間労働)
●休憩が少ない
●2週間以上の連続勤務
●仕事の役割や責任があいまいである。仕事上の意思決定などの裁量権がない。
●繰り返しの多い単純作業をしている。
●本人の技術や知識が活用されない仕事内容である。
●能力向上や将来のキャリアについてのサポートが少ない。
●本人の努力に対して、給料や昇格などの報酬が少ない。
●複数名で担当していた仕事を一人で担当することになった。部下が減った。
●仕事内容、仕事量、仕事のペースが大きく変化した。
【役職や地位】
●雇用形態、勤務形態が変わった。
●早期退職の対象となった。退職を強要された。
●配置転換があった。転勤した。
●自分の昇格・降格があった。
【対人関係】
●上司や周囲からのサポートが少ない。
●上司や周囲とのコミュニケーションが少ない。
●上司・同僚・部下などとトラブルがあった。
●理解してくれていた人の異動があった。
●上司が変わった。
●同僚・後輩の昇格により先を越された。
●セクハラ、パワハラなど嫌がらせを受けた。
●非正規社員を理由に不当な扱いを受けた。
【職場環境】
●有害物質を扱っている、危険な作業を行っている。
●照明が暗い、騒音、暑い・寒い、換気不十分などの環境にいる。

特に以下の場合は産業医面談が法律で義務となっているため、早めの産業医面談が必要です。
長時間労働:月の残業100時間以上。または80時間以上で本人から面談希望のある場合。
ストレスチェックで高ストレス者判定となり、本人から面談希望のある場合。

― プライベートでの負荷 ―
●離婚、別居、夫婦間のトラブル、恋人とのトラブル
●近しい親族が死亡、病気、ケガ、事件を起こした
●収入の減少、財産の減少、ローンなどの借金
●引っ越し、家族以外との同居開始
●近所間のトラブル
●友人などの死亡、別れ、裏切り

― 本人の性格 ―
●几帳面
●完璧主義
●責任感が強い
●真面目
●他人任せにできない
●臨機応変にできない
●人に頼まれたら断れない
●他人の評価を気にする
●自分の考えや思いを人に伝えられない
●道徳観が強い

鈴木 健太
監修者
鈴木 健太(すずき けんた)
代表取締役/医師・産業医

1989年、東京都国立市出身。2009年、筑波大学医学部へ入学。
在学中にKinesiology, Arizona State Universityへ留学し、医学・経済学・人文学等を学ぶ。
卒後は国立国際医療研究センターで勤務医として働く。
予防医療の重要性に気づき、帝京大学公衆衛生大学院で健康経営を研究しつつ、産業医として多くの企業を担当する。